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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
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レイクサイドの通り

 店から出て傘を開いて雨の中を歩く。雨の勢いは変わっておらず、レイクサイドの舗装された道路を濡らしていた。側溝も増水していて、水が流れる音が聞こえてくる。通行人の数は、やはり雨期の閑散期なので少ない。


 しかし、道路の両側では、多くの店が開いていて、それなりに客が入っている。カフェや軽食屋が多く、二階建ての大きなレストランもある。同じくらいに小さな旅館もあり、雑貨屋や土産物屋、旅行代理店が建ち並んでいた。

 その土産物屋は、ほとんどがチベット産物で占められている。タンカと呼ばれる、掛け軸型や額縁の絵型の仏画が多い。仏具や仏像、それにチベット仏教の祭祀で使われる面も売られている。偽物も混じっているが。

 他には、ヒマラヤ山脈の威容を映した写真もある。ほとんどは首都よりも東のエベレスト連峰と、ポカラから見たアンナプルナ連峰の写真ばかりだ。

 観光シーズン中の快晴の空を背景にして、フェワ湖に映る白銀のアンナプルナ連峰の写真である。撮影場所は、ルネサンスホテルの近くのようだ。

 しかし、撮影したのが、かなり昔のようで、記憶に無い建物がいくつか映っているが。

 近くから撮影したアンナプルナ連峰や、ダウラギリ連峰、それにマナスル連峰の写真は、ほとんど見当たらない。

 ヒンズー教徒であるゴパルには、写真以外の商品は、仏具ばかりなので関係のない品ばかりである。しかし唯一、アンモナイトの化石には少し興味を抱いたようだ。ヒンズー教の祭祀で使う場面があるからなのだが、それでもチラリと一目見ただけだった。


 ポカラ市内を回るバスが、客を十数人ほど乗せて、ノタノタと走り去って行く。盛大に黒煙を吐き出している、旧式のバスだ。それを見送った協会長が、ゴパルに振り返った。

「ここです。入ってみましょうか」

 この店も二十四時間営業の看板が掲げられていた。店名を見て、ゴパルがかねてからの疑問を口にする。

「店名がどこも『アンナプルナの家』ですよね。先程のインドネパール料理屋も同じ店名だったのですが。チェーン店か何かですか?」

 ポカラのホテル協会作成のポータルサイトでも、二十四時間営業の飲食店は、共通してこの名前の店名で、少し気に掛かっていたのであった。実際には、先程のインドネパール料理屋ではネパール語表記、そして、このピザ屋ではイタリア語表記という違いがあるが。

 協会長が傘を畳みながら微笑んだ。ゴパルを手招きする。

「ポカラのホテル協会の資金で運営している点では、共通していますね。ちなみに、二十四時間営業の中華料理店は、中国語での表記ですよ。さ、どうぞ。お入りください」

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