食後のデザート
最後に、マンゴとパッションフルーツのシャーベットとプリンが出されて、エスプレッソで締めとなった。
協会長によると、マンゴはポカラ産という事だった。
「チョウサー種ですね。収穫時期がそろそろ終了する頃です。高級品種のアルフォンソ種に比べると、物足りませんが、これはこれで甘みも強くて、香りも豊かだと思います」
アバヤ医師が、軽いジト目になった。
「フン。マンゴは有難がって食べる果物では無いものだ。甘すぎるのは、好かん」
そう言いながら、先にパッションフルーツの白いシャーベットを、先に口に運ぶアバヤ医師である。酸味は、こちらの方が強いので、口直しに適していると思ったのだろうか。
「アルフォンソだの、ゴールデンだの、アップルだの高級マンゴがあるがね。どれも甘すぎるわい。熟す前の青切りマンゴを、野菜の代わりにガツガツ食う方が、ワシは好きだな。漬物にも出来るし」
どうやら、アバヤ医師は、マンゴはデザート用では無く、食事用が好みのようだ。とか言いながら、今は甘いマンゴのシャーベットを口に運んでいるのだが。
ゴパルはマンゴの産地の出身ではないので、特にコメントはしていない。今は、大きなプリンを食べる事に専念している様子だ。
サビーナがまた厨房から出てきて、いたずらっぽくゴパルに微笑んだ。
「本当なら、バケツサイズのプリンを出そうかと思ったのだけどね。可哀そうだから、今日は、これで勘弁してあげるわ。エスプレッソは、ポカラの南に隣接する、シャンジャ郡のコーヒー農園の産品ね。有機コーヒーだけど、まあ、エスプレッソにしてるから、あまり差は出ないかな」
マンゴについて熱弁した協会長も、今はゴパルと同じプリンを食べている。しかし、分量はゴパルの半分程度だが。
「ゴパル先生。そろそろ飛行機の時間です。残念ですが、今回はここまでにしましょう。国産ワインですが、正直な感想を、最後に聞かせてもらえませんか?」
ゴパルが、発泡水を一口飲んで、軽く肩をすくめた。
「現状では、ピザ屋の料理に適したテーブルワインでしょうか。高く売るのは、まだ難しいですね」




