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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
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古都バクタプール

 ネパールはインドと中国チベットの間にあり、万年雪と氷河で覆われた、ヒマラヤ山脈の絶景で有名な国だ。

 しかし、七月ともなると雨期真っ盛りになる。熱帯のインド洋から吹きつける大量の湿った空気が、ヒマラヤ山脈にぶつかって冷やされ、水蒸気が凝結して雨になるためだ。標高の高い場所では、雨ではなく雪になる。おかげで、ヒマラヤ山脈は、この時期は雲に覆われていて、白銀の峰を見る事がほぼできない。

 ヒマラヤ山脈の壁は、所によっては高さが八千メートルにも達する。なので、雨はネパール側で降るばかりになる。

 そのせいで、ヒマラヤ山脈の北側に広がるチベット高原まで届く雨雲は少なく、山脈の北と南とでは、風景がまるで異なっている。最近の気候変動のおかげで、多少はチベット高原にも雨が降るようになり始めているのだが、それでも砂漠がちの草原が広がるばかりだ。

 ヒマラヤ山脈の南側では豪雨が続くのだが、首都は比較的雨量が少ない。首都は標高千三百メートルにある、カトマンズ盆地の中にあるので、雨雲が薄くなるためだ。それでも、雨期になると道路が冠水したり、舗装されていない土道が、泥沼になってしまうのだが。


 その首都から東へ少し離れると、古都バクタプールがある。

 やはり、同じカトマンズ盆地内にあるので、雨期でも比較的雨量は少ない。それでも、道が泥まみれになるのは、首都と同じだが。

 このバクタプール市は、首都とは異なり、現代的な建物は少ない。昔ながらの赤瓦と赤レンガの木造家屋が密集している、丘の上の街だ。昔は一つの国だった頃もあったので、伝統文化を守る気風が非常に強い街である。

 そのため、バクタプール大学キャンパスから街を見ると、赤い色で統一された中世の街の趣が感じられる。

 その街も、今は雨期の雨に濡れて、くすんだレンガ色になっていた。バクタプール大学からは、晴れていればヒマラヤ山脈の一つ、ガネシュ連峰が拝めるのだが、今は雲の中だ。

 雨に濡れた道路を走る三輪タクシーやミニトラック、バイクや自動車の走る音が、雨の音に混じって聞こえてくる。大学なので、学生の笑い声も聞こえる。

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