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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
179/1133

シスワ地区の南端

 農家も仕事があるのだが、カルパナが来ているというので、一緒にゴパルと歩いている。子供達も加わって、あっという間にカルパナの周囲には、十数名の人垣が出来てしまった。

「ここです」

 カルパナ達が立ち止まったのは、崖の上だった。河岸段丘の端に出たようだ。


挿絵(By みてみん)


 ポカラは大昔は大きな湖だったのだが、それが干上がって盆地になった。その後、ヒマラヤ山脈が何度も隆起を繰り返したので、盆地も盛り上がった。

 そして、川の浸食作用が加わって、川に沿って階段状に崖が出来る地形になったのだ。ここは、崖下を流れる川まで、十数メートルほどの高さの崖になっていた。

 水田が続く平地が、突然崩れて階段状の崖になっているのだが、カルパナ達が立っている場所の近くには、地割れが走っている。今も、徐々に崖が崩れているのだ。

 川には上流と下流で小さな橋が架かっていて、車が通っている。

 河岸段丘になっている対岸には、大きな町があり、病院や学校も建てられていた。このあたりは、さすがにガンドルン周辺とは違う。

 その町の上には、大きな丘陵が連なっていた。山道が丘の向こう側まで何本も続いているので、丘の向こうにも山村があるのだろう。


 しかし、カルパナの視線は、こちら側の河岸段丘の底を向いていた。ゴパルも見下ろすと、底には果樹畑が広がっていた。バナナとパパイヤだ。

 ゴパルが感心した表情になる。

「ネパール大バナナと、赤パパイヤですか。病気が流行しているので、栽培するのは大変でしょう」

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