寺院へのお礼参り
ビンダバシニ寺院へは、ゴパルが一人で参拝した。カルパナはバイクで来たので、駐輪場で待っていてくれた。やはり、駐輪場でもバイク盗難の恐れがあるためだ。
小走りで、百段ほどの階段を駆け上がっていくゴパルである。手には、バナナの葉に包まれた供物セットを持っている。階段の下に連なっている屋台で買った、花や米等だ。
「すいません、カルパナさん。すぐに戻りますのでっ」
カルパナがバイクに乗ったままで、駐輪場から軽く手を振って応えた。
「ゆっくりで構いませんよ」
ゴパルの参拝は、ものの数分で終わり、すぐに駐輪場へ駆け戻ってきた。結構、急いでいた様子で、肩で息をしている。
「お、お待たせしました、カルパナさん」
カルパナが微笑んで、バイクのエンジンをかけた。
「では、行きましょうか」
ゴパルが、カルパナからヘルメットを受け取った。それを頭に被りながら、申しわけなさそうに頭をかく。
「カルパナさん。バドラカーリー寺院へも参拝した方が良いでしょうか」
カルパナが、微笑んだ。
「そうですね。行ってみましょうか。ですが今日、隠者様はパメの庵に居るのですよ。先程、電話して確認しました。寺院では、バドラカーリー様へお礼を申し上げるだけに留まりますね」
バドラカーリー寺院でも、カルパナは丘の麓の駐輪場で待っていてくれた。ここも駆け足で参拝階段を駆け上がり、そして駆け下りてくるゴパルであった。さすがに、かなり息が上がっている。
「お、お待たせ……しまし、た。カルパナ、さん……」
カルパナが、笑いを堪えながら出迎えた。
「これで、神様へのお礼は済みましたね。まだ時間がありますし、もう少しの間、ドライブしましょう。アンナキャンプへ向かう際に、ポカラの北と西は見たと思いますので、今度は東かな」




