アスパラガスの段々畑
次にアスパラガスが育っている段々畑を見る。こちらも青々と茂っているのだが、どれも茎が細いようだ。
ゴパルが、葉の先を摘んで口に含む。
「こちらも、小麦と同じかな。アスパラガスも、小麦程ではありませんが、肥料を必要としますからねえ」
カルパナが素直に同意する。同じように、葉の先を摘んで口に含んだ。
「そうですよね。ヒラタケ栽培や、フクロタケ栽培をした後の廃棄菌床を、追肥で使っていますが、それでも量が足りませんね。アスパラガスは、欧米の観光客に人気なので、作れば売れるのですが」
アスパラガスは、フランス料理やイタリア料理では、春の旬野菜の料理として、よく使われる。品質の良いアスパラガスは、高級食材として、それ単品で調理されるほどだ。
専用の鍋を使って茹で、茎の部分は、重点的に熱を通し、芽の部分は、ごく軽めの火の通りに仕上げる。この精妙な火の通し具合が、料理人の腕の見せ所でもある。
フランス料理では、オランデーズソースをかけたり、ムスリーヌを添える事が多い。
ちなみに、このアスパラ料理では、基本的にワインとの相性が悪いので、発泡水等を飲む事が普通だ。無理やりワインを飲むのであれば、ソーヴィニヨン・ブラン種辺りになるだろうか。
そんなアスパラガスだが、栽培を開始しても、最初の年は収穫できない。
二年目から細いアスパラが収穫できるのだが、最初は細いので、高級食材としては使えない。他の料理の軽い付け合わせ野菜として、何とか使う事ができる程度だ。
さらに、栽培期間が他の野菜と比べて長い事も、問題になりがちだ。一年目で病虫害が発生すると、二年目以降の生長と収穫量が低迷してしまい、赤字になってしまう。
その後、ショウガとオクラの段々畑も、一緒に見る。こちらも、ある程度は肥料を必要とする野菜だ。
ただし、こちらは肥料を多く入れすぎると、病気に感染しやすくなったり、収穫してもあまり美味しくなくなってしまう。
他には、大豆やブロッコリー、ウリ、ニンジンといった、それほど肥料を必要としない野菜を見回る二人である。




