ギャルゲーという他人事~ホームルーム~
少女たちはキテレツな格好をしたまま机に突っ伏していた。小刻みに震えている者もいる。
アオイはベルトの固定がキツいため、一人だけ立っているが。
「…そこまで、言わなくても…だぜ」
ぽつりと、呟くマキャラメの声に、嬢子が机を叩いて立ち上がった。
「そうですわ!そんなことよりも他の方が致命的ですわ!」
「そのとおりだ!しかし、確かに…私服、ダサいはつらい」
「そ、そうですよ、私、みなさんがそこまで、イカれた服装なのみていられないです」
「…座りたい」
「妹子、にぃウケする格好がいいな」
少女たちの言葉にうんうん、とウラメンが頷いた。
「色々いいましたが、僕は皆さんのこと好きなんです。だからここに来たんですよ」
「あぁ、ありがとう、ウラメン殿。新しい『私』に少し不安もあるが…よりよくなるなら、私は受け入れよう!とりあえずこの私服は捨てる!」
「えっ」
「えっ」
「新しい葵さん?そんな予定があるですか?」
「えっ、ここから創造が始まるんじゃないのか?」
「えっ」
「えっ」
「ねぇ!ウラメンにぃはここに何しにきたのっ!」
この世界をよくするための『ウラメン』ではないのか
「僕はここに情報を集めに来ただけですよ?」
「…騙された…よく考えたら……この世界をよくするとは一言も言っていない…」
「はい、僕はこの世界の【後継】を創るつもりです」
「えっ、私たちはどうなるんですかぁ?」
「皆さんは貴重なサンプルでした。僕は私服ダサいと言われない女の子たちを目指しますから」
「そんな…ひどいですわ」
「それに、僕が何をしようとしたって、この世界は『完成』しているのです。皆さんはそのままで素敵ですよ」
「私たちは、このまま、なのか」
「万が一【リメイク】されることがあれば今回の意見を伝えますから!」
「ウラメンっち…」
言葉を失った少女たちの顔に浮かぶのは諦めと絶望であった。
改善案無き否定の、なんと無責任で残酷なことか。
「最後になりましたが、僕個人の意見としては、皆さんは私服捨てた方がいいと思います。それじゃあ、お元気で!」