ギャルゲーという他人事~五時限めっ~げんこく
葵『異世界 女騎士』マキャラメ『鶴』
あおい『一般人』嬢子『一般人』
アオイ『宇宙人』妹子『魔法少女』
「…なんで、一緒に…創ろうと…思ったの……三人は…………」
「【シナリオ】に差がありすぎですよぉ!嬢子さん、私たちだけ一般人ですよ!」
「い、一緒にしないでくださいまし!わたくしは、人間ですが、財閥の娘ですわ」
「そんなの、ブロッコリーとカリフラワーぐらいの違いしかないですよぉ」
「まぁまぁまぁ、【ギャルゲー】のいいところって、一本の【ゲーム】で多彩な世界観が味わえるところっていうかぁ!ほら、皆さんとても個性的ですよ!」
やたらと早口でまくし上げるウラメンをみて、アオイはふぅ、とため息をついた。
「ちなみに…差があるのは…内容…だけじゃ…ない」
「どういうことでして?」
「…この世界の…期間は1年。……みんなは1年って…どのくらいだと思う?」
「そうだな、1年、といえば12ヶ月ではないか」
「アタシも葵と同じでそう思うぜ」
「えっと、1ヶ月30日として…365日?だけど多すぎますよね」
「そうですわね、この世界で、と考えるなら1ヶ月4週かける12で、48週程度かしら」
「はいはーい!妹子は春夏秋冬で4つかな!」
「そう…1年…その……認識の違いが…あった」
「どういうことだぜ?」
「…つまり、【シナリオライター】たちの【ゲーム内ターン数】に解釈の違いがありすぎた。
その違いが、【イベント】数の違いになる」
アオイはチョークを手に取り再び黒板に文字を追加する。
葵『異世界 女騎士』マキャラメ『鶴』
イベント数 各12種+エンディング2種
あおい『一般人』嬢子『一般人』
イベント数 各48種+エンディング4種
アオイ『宇宙人』妹子『魔法少女』
イベント数 各4種+エンディング1種
「妹子たち、超少ない!【エンディング】はハッピーのみだし!」
「…嬢子さん、私たち一般人が一番【イベント】が多いですよ」
「あおいさん、何度も言いますがわたくしは財閥のむ、す、め!贅沢で非日常的な生活をおくっていますから、ある意味異世界みたいなものですわ。
進路で悩んだり、友人関係でもめたりするだけのあなたの【シナリオ】と一緒にしないでちょうだい!」
「ひどいです!嬢子さんだって家のことでもめるだけじゃないですか!しまいには実は愛人の子でしたっていうオチで!」
「あなた!言っていいことと悪いことがありましてよ!」
嬢子と、あおいが言い争うなか、他の少女たちは対岸の火事を見守る目をしていた。
「本当に問題があるのは妹子たち姉妹だよねぇ。ねぇ、アオイ」
「…私たちは…ハリボテ姉妹…といわれて…いる…」
「【イベント】すっかすかだもんねぇ。4コマ漫画並みだよねぇ」
「よかったな、マキャラメ!【フラグ管理】は散々だったが、【シナリオ】数には恵まれていたようだぞ」
「素直に、喜んで…いいのかわからないぜ」
「まぁまぁまぁ、【イベント】数に差があるなんてむしろ斬新じゃぁ、ないですか!うん」
だらだらと汗を流すウラメンをみて、アオイはまた、ため息をついた。
「…このウラメン…は【シナリオ】にも関与できない…みたい」
「ねぇ、ホント何しにきたの、ウラメンにぃ」
やっと名前を覚えたらしい妹子が軽蔑の眼差しでウラメンをみていた。