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第6話 クソ神からの報酬


さて、自己紹介も終わったので家に入る。

中は意外と片付けてある。

シエルが片付けたのかな?


まずはご飯だ。

せっかく野菜と香辛料を買ったんだ。

肉はもういいわ。


台所を探すが、まさかあの炭や灰がある地面じゃないだろうな?

よし、テントを出してキッチンでしよう。


「ぇ?」


「ん?あぁ悪い。テントの中で料理するから。土足禁止だから靴は脱いでくれよー?」


簡単な説明をして中に入る。

相変わらず、謎の照明のお陰で明るい。

どっちかと言うとカンテラのような光源だが。


恐る恐るという感じにシエルも入ってきた。

キョロキョロと見渡してる。

俺も最初に入ったときは、広くて驚いたから仕方ないか。

適当に座ってくれ、と言おうと思ったがキッチンと寝袋以外の家具なかったな。


「あー、椅子とか無いか。ちょっと待っててくれ」


テントから出て、空き家のテーブルや椅子をアイテムボックスに回収して、テント内で取り出す。

家具一式を報酬に貰うか。

それと、テントじゃなくて小型ハウスみたいな物もな。


「よし、座って待っててくれ」


では、料理開始だ。

普通に野菜スープでいいか。

後は固いパンと葉野菜のサラダぐらいしか出来ないし。

後で柔らかいパンを作ろう。


ん?そう考えると調味料一式もいいな。

作り方の知識も一緒に報酬に追加だ。


そんなことを考えながら、ちゃちゃっと調理して完成。

空き家の中にあった皿を再利用した。

使える物は何でも使うスタイルです。


「出来た。お腹減ってるだろ?まずはご飯だ」


時間的には昼はとっくに過ぎてるが、俺は食べてないから腹が減っている。

ではでは。


「いただきます」


そういうと、シエルはキョトンとした。

ん?そうか、食事の前後の挨拶って日本独自の文化なんだっけ?

宗教なら、今日も神に〜とうんちゃらするらしいが。


「これはな、食材になった動植物の命を貰うことや、作ってくれた人に感謝して『頂く』って感じだったと思う」


ごちそうさまはどうだったか知らないが。


「ぃぁ……ぁぅ…」


いただきますって言おうとしたのかね。

長い間、声を出さなかったから発音が難しいのかもな。

時期に慣れるか。


では、一口スープを含む。

うん、手間を掛けてないからこんなもんだろうが、久々の野菜はとても美味しく感じる。


「ぅぅ……」


声がしたからシエルを見ると泣いている。

ろくなもん食べてないように見えるし、まともな食事は初めてだからかね?


「よしよし、ゆっくりでいいから食べなさい」


椅子を持って隣り移動し頭を撫でる。

泣きながらスープを少しずつ口に運ぶ。


時間をかけて食べ終えたシエルは疲れてたのか、背もたれに身体を預けると寝てしまった。

椅子で寝ると風邪を引きそうだ。

起こさないようにお姫様抱っこで寝袋に運ぶ。


寝袋って意外と寝心地いいからなぁ。

さて、俺も寝るか。

肉体的には問題ないが、精神的に疲れたからな。


だが、寝袋は使用済み。

空き家のベットは藁に布を被せたやつだから使いたくない。

虫がいそうだ。


いつも通りマントに包まって寝るか。







身体を揺すられてる感じがする。

何だ?


「……ん…?」


隣りには女の子が。

あぁそうか、エルフの子供を引き取ったんだっけ。


「おはよう。よく寝れたか?」


コクリと頷く。

今、何時だ?

時計が無いとわからんな。

うん、これも追加か。


外に出ると真っ暗だ。

夜なのか。

時間が流れるのは早いな。


「……ん…」


袖を引かれる。

そして、寝袋を指差す。

なんだ?


「寝袋で寝ろって?」


「ん」


どうやらそうらしい。


「その前に身体を拭かないとな」


昼寝程度ならいいが、就寝となると身体を拭かないと。

クリーンの魔法があっても、気持ちの問題なのだ。


鍋でお湯を沸かして適当な桶に移す。

風邪を引く前に拭いて寝るか。


コートを脱ぐが、スケルトンとの戦闘でボロボロだ。

クソ神の報酬に丈夫なコートも追加か。


服を脱いでさっさと拭くが、シエルが固まっている。

…そりゃそうか。

素肌を異性に晒すのは恥ずかしいもんな。

俺は気にしないが、向こうはそうとは限らない。


「悪い、無神経だったな」


背中を向けて再開。

終わったら替えの服を着る。


「シエルー?終わったかー?」


「ん」


声からしてたぶんいいんだろう。

振り向くと、色が変わったタオルがある。

だいぶ綺麗になったが、髪の毛がなぁ。


シャンプーとか作り方がわからんし、報酬にこれも追加するか。


しかし、ボロの服のままは駄目だろう。

アイテムボックスから予備の服とスボンを出して渡す。


「俺の予備で悪いがこれを着なさい。その服のままじゃ不衛生だろう」


というわけで、まただるまさんがころんだの如く背中を向ける。

ゴソゴソと音がするし着替えてるんだろう。


「ん」


声がかかった。

着替えたんだろう。

振り向くと、大きすぎてぶかぶかのようだ。

袖が長すぎて手が出てないし、丈が膝上まであるし、スボンも同じだ。

捲りあげるか。

針と糸も買っとけばよかったな。

いや、シエルの服も追加すればいいか。


さて、寝るべ。

寝袋に潜り込むがかなり大きいな。

俺がもう1人入れるぐらいの余裕があるぞ。


このまま寝ようと思ったが、シエルが外に向かうのが見えた。


「どうした?」


口をパクパクして何か言おうとしてるんだろうが、聞き取れない。


「もしかしてトイレか?」


ここには無いもんな。

だが、顔を横に振るから違うようだ。


「…ぇっと……ぉと…」


えっとおと?

何だそれ?

困惑していると、寝袋を指差してる。


「…ぁい」


あい?愛?

…もしかして無いって言ってるのか?

俺が使ってるから外で寝ると?


「もしかして、俺が寝袋を使ってるからか?」


頷くのでビンゴだ。

しかし、何も考えなしの俺も悪いな。

普通ならわかるはずなのに。


「ほら、来なさい」


寝袋は広いからシエルが入っても余裕だろう。

少し恥ずかしいが。


シエルは戸惑っている!


「寒いから早く」


寒くないけどな。

やっと恐る恐る来たので、スペースを空ける。

寝袋は、まだまだ余裕があるな。


しかし、シエルは端までいって距離を取ってる。

やっぱり怖いもんな。

しかも、今日会ったばかりの男だし何されるかわからんもんな。


「ごめんな。やっぱり嫌だよな」


普通そうじゃん。

何やってんだ俺。


「ゃう!」


と思ってた、何か叫ばれた。

しかも顔を横に振ってる。

違うかってことか?


「嫌じゃないのか?」


頷くのでそのようだ。

うーむ、何なんだ?

悩んでると手を握られる。

震えてるし、寒いのかね?


「おいで」


といいながら抱き寄せる。

親猫と一緒に寝る子猫のような感じた。

腕枕付きである。


「嫌なら言ってな?」


顔を横に振る。

嫌じゃないらしい。


しかし、何故この体勢なんだ?

普通なら正面からだろう?

俺も自然と行動したからわからん。


まぁいい。

とりあえず、頭を撫でながらシエルが寝るのを待つか。







目が覚めて、自分の腕の中に見知らぬ女の子がいるとビビるよな。

慣れるまで時間がかかりそうだ。


起きたいが、シエルを起こしたくない。

というか腕にガッシリと抱きついてるから抜け出せない。

可愛いからいいんだけど。


のほほんと娘を見ている気分ってこんな感じなのか、と思いながら頭を撫でる。

これでも起きる様子がない。


さて、どうするか。

クソ神と連絡取れるか?

おーい、出てこいクソ神。


『あれ?もういいのかい?』


時間がある時に済ませるんだ。

で、報酬を寄越せ。


『僕が選んだのでいいのかい?』


良くないわ。

お前に任せると下ネタ系しかないだろ。


『よくわかってるじゃないか』


ニコニコとした顔が思い浮かぶ。

うぜぇ…。


まぁ脇に置いといて、報酬をだな。


亜空間にある広い部屋に、風呂、家具一式、生活用品一式。

シャンプーやコンディショナー、洗剤とかだな。

使いたい放題がいいが、駄目なら作り方の知識と物をくれ。

亜空間への入り口は防衛機能付きでな。

他には、特殊な調味料の作り方と物を。

具体的にはコチュジャンとか味噌や醤油、酢、チョコとかもだ。他には丈夫なコートの予備を数着とシエルの服をいくつか。

それとエリクサーみたいなのあるんだろ?

いくつか寄越せ。

シエルが病気になったら怖いから病気の知識と薬剤の知識もな。

後は移動手段として魔力が燃料の大型バイクと車。

車種はRX-8な。

バイクは何でもいい。

あぁ、金も必要だな。

くれるだけ寄越せ。

最後に使い捨てでいいから、人族の街の近くに転移する物をくれ。

エルフの里に長いは出来ないからな。


以上だ。


『欲張りだねえ。というより多くないかい?ちょっと……』


そういや、森に1ヶ月も放置されたな。

その分も使おうか。

それに期待していいと言ったのはそっちだから期待してるんだぞ?


『ぐぅ…。仕方ない。知識の類は魂に直接刻むからね』


貰えるならそれでいい。


『うん、アイテムボックスに全て転送したからね。取扱説明書をよく読んで使用してね』


あ、口頭じゃないんだ。


『こっちも忙しくてね。主にあのスケルトンの分析にね。ちなみに、上位神の半分以上が解析に参加してるぐらいだから』


へー、凄いのかわからんな。

ふむ、最上位らしきお前さんにダメージを与えられるなら上位神は斬れるのか?


『斬ることは出来ると思うよ?倒すってなると難しいだろうけど』


なるほど、出来ないことでは無いと。

いい情報だ、感謝しよう。


『普通は報酬に感謝しないかい?』


報酬はもらって当たり前だろ?

何言ってんだコイツ。


『ハァ……いいや。それじゃ、いつになるかわからないけどまたね』


出来ればこんな事態での連絡は辞めろよ?


『……善処しよう』


断言しないのか。

いいけどな。

またな。


『うん。じゃあね』


さて、報酬も貰い終わったし確認するか。


………………………。


アイテムボックスの所持リストを思い浮かべたら、ウンザリするほどの数が浮かび上がった。

パッと見だが明らかに頼んでないおかしいものがあった。

性欲剤とか媚薬ってさ…


何か無駄に疲れた。

二度寝しよう。

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