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第2話 神様のような存在?


「いやー、すごい人生だねー!!執念で魔物になっても自我を保つとかすごいね!!」


からかうような声が聞こえた。

声がした方を見ると、真っ白な空間に銀髪のセミロングで、男とも女とも見れる中性的な顔の人がいた。


「…誰だ?」


「んーそうだね。君にわかりやすくいうなら神様だよ。イザナギって呼ばれてるけど、ボクたちにはそんな名前はないからね?」


どうやら神様は本当にいるらしい。


「そうなのか。なら、俺を地獄か天国にでも連れて行ってくれるってことか」


「半分正解で半分不正解かな。まぁ、とにかく座りなよ。少し長い話しになるからね」


いつの間にかテーブルとイスがあった。

しかも装飾が無駄に凝っている。

イスに座ると紅茶とクッキーが出てきた。


「あ、紅茶でよかった?茶菓子もクッキーで大丈夫?食べたいのあるなら別の出すよ?」


「特にないから大丈夫だ」


とりあえず、食べても大丈夫なのだろう。

クッキーを1つ取って食べてみる。


「………」


「どう?美味しいでしょ?紅茶も飲んでみて」


紅茶を飲む。

涙が出てきた。

昔、アイリスが作ってくれたクッキーと紅茶の味だ。


「もう思い残すことは無い。いつでも逝ける」


「いや、昇天してもらっちゃ困るから」


苦笑いしている神様。

そういえば、話しがある的なことを言ってたな。

神様が真面目な顔になった。


「うん、話しをする前に何故ここに呼ばれたのかっていう前提を話さないといけない。質問は話し終わってからにしてね?」


「わかった」


神様は頷いて話し始める。


「ボクたち神はいくつかの 【世界】を作って管理しているんだ。と言っても直接手を出すわけじゃない。世界が壊れないように保つだけで、動かすのは【世界】に住んでいる人々なんだ。人々が滅びに向かおうとしても、ボクたちはただ見てることしか出来ない」


ここまではいいね?というので頷く。


「君のいた世界は急激に変化した。それは【世界】と【世界】が繋がってしまったからだ。この異常事態にボクたちは動いた。原因を探ると君の【世界】地球とは別の【世界】剣と魔法の世界…アースの魔王が勇者を倒して力を取り込んでしまったことにより【世界】を隔てる次元の壁を歪めてしまったんだ。これ以上被害を出すわけにはいかなかったので、地球とアースを隔離した。ここまでで質問はある?」


首を振って話しを促す。


「ボクたちはこの世界がどうなるのかを演算して未来を予測した。結果はどっちの【世界】も滅びる。ボクたちが直接手を出したら余計に変質してしまうかもしれない。そんなどうしようもない状況で君が現れた。恋人でもない女を守る為に魔物になってまで戦うっていうバカな男が現れた。ボクたちは予想外で、演算しても未来が予測できないというイレギュラーが起きたんだ。それからは君の知ってる通りだ」


「つまり、俺はとんでもないことをやってしまったから呼び出されたと?」


紅茶を飲んで、素晴らしい笑顔とサムズアップで答える神様。


「うん、とても掻き回してくれたよ!!」


…俺は地獄行きが決定したかも知れない。


「安心していいよ。決して悪い方に向かっている訳じゃない。むしろ、いい方に進んで未来が絞れたんだ。どの結果もアースの魔王を地球の人々が討伐して世界は安定するって出てる。違いはそこまでにどれくらい時間がかかるか、だけど些細な違いさ」


「俺がいい方に進めた?どこでそうなったんだ?」


苦笑いをする神様。


「地球はステータスがないからわからないだろうけど、君が戦ってきた強敵たちは魔王の幹部でね。しかも、魔王の力で強化された幹部を片っ端から倒してきたから魔王を弱体化させたんだ。それだけでも凄いことなんだけど、そんな強さを持つ君を跡形もなく消滅させることが出来る力を手に入れたんだ。負ける道理がないじゃないか」


そういや、アイツらはそんなこと言ってたような…

あのまま残って戦えば魔王を倒せた?


「それはないよ。君はあのままだと自我を失って暴れ回る災害となっていた。だから、あのタイミングで消滅を選んだのはベストだったと言える」


やっぱりそうなってたのか。


「納得していいのか、ダメなのかわからんな」


「ははは、まぁ、君はよく頑張りましたってことだよ」


そうか、神様に認めてもらえるならそうなんだろう。


「さて、ここまでが【世界】の状況説明と君が呼ばれた前提だ。次が本題の【目標】なんだ」


目標?


「ボクたちは【世界】の人々に【目標】を与えている。その【目標】をどれだけクリアしたかによって天国か地獄行きかを決めるようにしているんだ。けど、君はそれから外れてしまった。だけど、2つの【世界】の運命を引っくり返した君に、地獄か天国かなんて決められないんだ」


「つまり、どうしたらいいかわからないと?」


再び素晴らしい笑顔とサムズアップで答える神様。


「その通り!!ってことでどうしたい?」


「いや、どうしたいって言われても何が出来るとか言ってもらわんと困るわ」


「天国に行きたいっていうならすぐにでも行けるよ?美人美少女美幼児の天使ちゃんたち付きのハーレムでね。流石に神に成りたいっていうのは出来ないけど、別の【世界】でもう1度人生をやり直すとかかな?」


おい、何かおかしいのが混じってるぞ。


「もう1度人生をやり直すか…」


「お、やっぱり興味ある?今なら特別に色々と特典付けるよ?」


興味津々な感じで聞いてくる神様。


「そうだな、もう1度人生をやり直したい。結婚も子供を作ることも出来なかったし」


「うんうん、でどうしたい?」


「いや、だから出来ることを教えろって」


「長身にするとか、超絶イケメンとか、精力絶倫とか色々できるよ?とりあえず、何か要望言ってみ?」


なんで、そんなに偏ってるのかわからんが…


「容姿なら、肉体があるときの姿で長身にして無駄毛を無くして欲しい」


「無駄毛処理って変わった要望だね」


嫌なんだから仕方ないだろう。


「んで、頑丈な肉体は欲しいな。あと病気にもなりたくない」


「頑丈な肉体は大丈夫だよ。君の強力な魂を入れる身体は頑丈じゃないと自壊するから。自己回復スキルを付けておくから、これで病気や疲労もバッチリだ」


今の所、全ての要望が通ってる。


「君はそれだけのことをしたからね。次は何かある?」


まるでゲームのキャラクタークリエイトだな。


「武術や体術は必須で、鍛冶師や錬金術、魔法も使ってみたいな」


「刀術と体術は魂が覚えてるから大丈夫だと思うよ。その他のスキルも大丈夫だね」


「あ、最低限の金や食料、知識も必要だな」


「なら、スキルにアイテムボックスを付けてその中に入れておくよ。知識は魂に刻んでおこう」


後は何があるかな。

あぁ、そうだ。


「あと、あの刀を持って行きたい」


「あれかぁ…」


凄く難しい顔をしている神様。

どうしたんだ?


「君はあの刀が魔剣の類だってこと知らないでしょ?あれを持っていくのかぁ…」


マジか。

そんなことになっていたのか。


「名を付けるなら、妖刀・血吸かな」


「なんでそんな物騒な名前なんだ」


「だって、何百万の魔物の血に濡れ続けてきた刀だよ?そりゃ物騒にもなるさ。というか、刃こぼれしないなとか思わなかったわけ?」


やけに頑丈だなとは思っていたがそういうことだったのか。


「よし、こうしよう。あの刀を浄化させてくれるなら持っていってもいいよ」


「まぁ、愛着があって、使いやすいから持っていくだけだし、能力とか興味無いからな」


それからトントン拍子で刀が浄化されたのだが、ここでも難しい顔をした神様。


「うん、これでも持っていかせたくないね」


「なんだ、どうしたんだ?」


「浄化したのはいいんだ。能力が不壊って…」


「不壊?壊れなくなったということじゃないのか?いいじゃないか」


深い溜息をする神様。


「いいかい?不壊ってことは破壊可能オブジェクトと打ち合った場合、相手を必ず破壊することが出来るんだよ?殆ど破壊出来ない物はないということなんだよ?」


なるほど、こいつを振り回せば何でも破壊出来るってことか。


「無闇に振り回さなければいいだろう?それか俺以外に持てないようにするとかすればいいんじゃないか?」


「そうだね、そうしよう」


俺専用刀…いい響きだ。


「さて、ここまで準備は出来たけど他に何かあるかい?」


そうだな…


「妹…アイリスに伝言とか頼めるか?」


「本当はダメだけど、特別に許可しよう。でも、あんまり長いのはダメだよ?」


「そんなに長くないさ。『泣くな、笑え』とだけ言っといてくれ」


「わかった、任せておいてくれ」


あとは何も無いな。


「じゃあ、これから君がいく【世界】は魔物が普通に闊歩してる剣と魔法のファンタジーな【世界】で、名をティラスという。人族や獣人族、エルフ族、ドワーフ族などの多様な種族が暮らしている。今から送る所は人族の街の近くだ。その後は好きに生きるといい。英雄になるなり、ハーレムを作るなり、国を作ってもいい。それじゃ元気でね」


何か言われてることが偏ってるぞ。

文句を言おうとしたが、意識が遠のいていく。

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