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日進月歩

今日は街まで買い出しに出かけていたアインとアンナ、フィール


街までは1日2本しかないバスで向かう

1人ならば自転車で行くのだが、今日は3人で行こうと言う話になったのでバスを使うのだ


街とは言え、まだまだ田舎の方なので本当に中心部に行かなければ色々な店はない


かつてアインやフィールのいた世界と比べればそれでもかなりの都会となるのだが、そもそもの文明レベルが違いすぎる


だからアインとフィールは街にでるのを楽しみにしている


フィールがスーパーで買い出しをしている間にアインとアンナは

銀行に行き、通帳記入の列に並んでいた


最近は便利屋である程度のお金が手に入るのだが、やはり光熱費や食費で無くなっていく

アンナも成長が早く服が足りないので購入するのだがこれがそれなりの出費なのだ


「育児スキルでおむつは出るのに服は出ないんだもんなぁ・・・」


「あぃー」


アンナはアインの背中にくくりつけられているのでばたばたと動いている

最近のアンナは目を離すとすぐどこかに行ってしまうので今日はおんぶ紐だ


「ちょ、あんま暴れんなって」


他に並んでいる人に笑顔を向けられてうれしいみたいだ

後ろに並んでいたおばあさんに飴をもらう

お礼を言って、自分の番になったのでATMの前に行く


そして通帳記入をして出てきてそれを見ながらフィールの帰りを近くの公園で待つことにした


そこで一つ気づく

あれ?先月の振り込みがない?


今までも遅れることはあれど、必ず入金されていたのに


「アインさんお待たせしましたー」


「おう、おつかれ…」


「あれ?どしたんですかー?元気ないですねえ」


「ああ、例の振り込みがなくってさ・・・」


「ええ?マジですー?逃げちゃったのかなぁ・・・」


逃げちゃったというのは、フィールの代わりに働いている「誰か」のことである


「おい!女神!今月振り込まれてねぇぞ!!」


アインがそう脳内で叫ぶと


(え!?あ・・・もう10日過ぎてた!?)


頭の中に声が響く


(す・・すみません!)


お?何だか今日のポンコツ女神は様子がおかしいな?いつもなら何とかしますの一点張りなのに


「なあ、あんた・・・」


一言言おうとしたそのジリリリリリとまるで電話の着信音みたいな音が頭に響いた


「あいってぇ!うるさ!おい!おい!女神!・・・くそ、なんだったんだ?」


連絡が取れなくなり仕方なくアインとアンナ、フィールは公園から出ようと歩き出した時だった



「はい、それじゃ・・・ダメですか・・ありがとうございました」


そう言って電話を切り、公園のベンチでため息をつく一人の女性を見つけた

かなりの美人に見えた彼女は瞳を閉じる


(勇者アイン、申し訳ありません・・・今暫くお待ちください・・来月には必ず)


声か響くー


アインはゆっくりとその彼女に近づいて


「あ・・ああ・・・それよりも、アンタ・・・」


女性に対して普通に声をだして話しかけると


(なんでしょうか?まだ何か?)


頭の中に返事が返ってきた


「こんな所でなにやってんだ?」


(はい?)


彼女は閉じていた目を開く

そしてアインと、抱かれたアンナを見るなり


「人違いです」


いきなりそう言った


「人じゃねぇだろ」


「め、女神違いです」


「女神なのは認めるんだ?」


アインがそう言うとプルプルと震えだし


「じゃあどうしろって言うの!!」


「はあ、なにやってんの女神様」


フィールだけは、ハッとした顔でまさかと呟いた


「あの、アインさん…ひょっとして毎月の振込みって…」


アインは頭をポリポリとかいてから


「分かってるよ…この女神さんが働いてそれで仕送りみたいに振り込んでたんだろ。そんでもって多分仕事をクビかなんかになってたって事なんだろうよ」


この鋭くない推理に対して


「そうですよ・・・見てたの?」


真っ赤に耳を染めて俯き、ぽたぽたと涙を落とす女神


「私だって一生懸命働いていたんです・・それなのにそれなのに・・・あの・クソババア・・・」


あ・・かなり病んでるし


仕方なくアインは正直に気持ちを話すことにした


「ああいや、その、ありがとうな」


こういうのって、なんだかひどく恥ずかしい気がした



「え?」


「いやまさかあんたが働いてるとは思わなかったからさ、今までひどい事言って悪かったなと」


「あの、その」


アインのその言葉が刺さったのか

今度は顔も赤くして女神は言った


「何とかしますっていいましたからね」


「そうだけど…」


とは言え、望んでなかった世界に送り込まれた事をアインはまだ忘れていないのだが…


「なんかな、アンナが居る生活は悪くないって言うか、今じゃフィールも家族みたいなもんだし、そのなんて言うかこの世界も悪くないなって思い出してるって言うか」


「ごめんなさい、勇者アイン。私の失態で…」


「いやいいんだ、それよか仕事なくなったんだろ?良かったらうちにこないか?ボロアパートだけどまだ部屋は沢山あるしな」


今度は女神が


「ありがとう」


そう言って笑った


今更一人増えたところで問題はない

それに女神が働いて得たお金で暮らしていたのだから、その女神が困っているのなら助けるのが当然だろう


「あい」


アンナが女神に対して、さっき貰った飴ちゃんを差し出した


女神は少しだけ戸惑ってから


「ありがとう」


アンナから飴を受け取って微笑んだ








まったりすぎる更新だった

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