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ドグマの終着点。

作者: 枕くま。

「熊ですよ」

「なあんだ」

「でもただの熊じゃないんだ」

【 夏子の冒険/三島由紀夫 】


■ 1.

 

 日曜日の気怠い午後をぼんやりと過ごしていると、リビングと台所の境目にある固定電話が鳴った。インスタントラーメンを作っていた母が「誰か出て頂戴」と云った。でも私も妹も、父もちっとも面白くないテレビ番組を視るのに忙しくて、動くことも返事をすることも出来なかった。結局、母が短い悪態とスリッパの軽快な足音をさせて、電話を取った。「もしもし、西野です」すると、私も妹も、父も、電話に出なかったくせに母の方をそれとなく窺っていた。母の表情は次第に深刻なものに変わっていった。

「えぇ、えぇ、判りました。注意致しますので、はい、はい……それでは」

 神妙な顔つきのまま、母は受話器を置いた。私は親戚筋で死人が出たのかなと思った。

「何かあったの?」

 私が訊ねると、母は引き攣った顔でこう云った。

「熊が脱走したんだって」



■ 2.

 その熊は、近所の小さな動物園で飼育されていた。動物の飼育数は少なく、ほとんどが鳥やウサギなどの可愛らしい小動物だった。ただでさえ狭い敷地は公園と分割されており、檻は肩を寄せ合うように密集している。せっかく小動物を擁しているのにも関わらず、檻の前には厳重に柵が張られて、ぜんぜん近寄れないし、ふれあえるようには出来ていない。遠くから眺める動物には愛着を抱き辛いから、当たり前に人気がなかった。

 地元の小学校では、遠足の度にその動物園に行くことになっていた。もちろん、私も行ったし、妹も最近行ったらしい。行ったところで、遠巻きに小動物を見てもすぐに飽きてしまうし、公園で遊ぼうにも獣臭や糞の臭いが立ち込めていて、不快だし、遊具もない。

 そこで、多くの子供達は園内で唯一の大型肉食動物である、熊の檻の前に集まった。

 その熊はずいぶんと昔、この町にやって来たサーカス団から譲り受けたものだと園長さんは懐かしそうに語った。熊には名前がついていて、その名を『ステイト・オ・メイン』と云った。メイン州とはなんぞや。

 後から知ったことだけど、それはJ・アーヴィングの小説『ホテルニューハンプシャー』に出てくる調教熊が由来らしかった。

「こいつはねぇ、昔はすごかったんだ」

 園長さんはまるで自分の偉業を誇るように話した。

「ボールを渡せばひょいと軽業士のように飛び乗って、みんなを楽しませたもんだ。ほら、そこに太い綱が渡してあるだろう? その上をね、こいつは行くんだ。あっちへふらふら、こっちへよろよろして、ハラハラさせやがる。こいつのいいところはね。観客がいないとそう云うことをしないってとこだな。熊ながら、きちんとした芸人なんだ」

 私も他の子達も、へぇ~って相槌を打ちはしたけど、そこまで興味はなかった。だって、ステイト・オ・メインはもうすっかり老いさらばえて、ちっとも動こうとしなかった。時おり、思い出したように転がっているボールを小突いたり、恨めしそうに頭上の綱を見上げているくらいだった。私は、その眼差しに人の臭いを感じた。熊でも昔を懐かしむのだ。熊でも、悔しさや悲しさが判るのだ。そのことに気付いた私は、この熊を不憫に思うようになった。

「つまんねえ熊だな。もっと動いてせいぜい俺等を楽しませろよ、おら」

 そう云って小石を投げた男子の頬を、幼い私は思い切り打った。それから、私は何かを云ったのだ。叫んだのだ。でも、そこから先の記憶は曖昧で、打った右手のじんとした痛みだけが、後遺症のように滲んでいた。




「アールが逃げたの?」

 母の言葉に妹はソファから身を乗り出して問うた。アール?

「だってあの子、そうやって鳴くの。アールって」

 これも後から知ったことだけど、小説のステイト・オ・メインもアールと鳴くことから、そのように呼ばれていたらしい。たぶん、そこからの連想でメイン州と云う名になったのだろう。私が生まれた時に、おぎゃあと鳴いて、おぎゃあと名付けられないでよかった。

 母は目に見えて怯えていた。父は相変わらずテレビを見ていて、妹だけがはしゃいでいた。私? 私はおぎゃあと鳴いて云々と考えてしまうくらいに、他人事だった。だって、私はあの眼差しを見て、知っていたから。あの力ないぬいぐるみのような体たらくを知っていたから。

「ねえ、見に行っていい?」

「馬鹿なこと云わないで」

 妹の無邪気で恐ろしい提案に、母は眉間の皺を濃くした。

 でも、母もステイト・オ・メインを知っているはずだ。昔、私がせがんで何度か連れて行って貰ったことがある。当時の私は、あの熊に夢中だった。あの情熱はいったい、何だったのか。今の私では要として知れない。

「美代みたいに小さいと、頭からがぶっといかれちまうぞ」

 父がテレビを凝視したまま、渇いた笑みと共に云った。妹の美代はむぅっとむくれた。

「変なこと云わないでよ、お父さん。アールのことなんか何にも知らないくせに」

「熊のことなら、ちょっとは判るさ」

 そう云って、父はおもむろにスマホを取り出した。おいおい。

「えぇと、なになに……主に植物食傾向の強い雑食だが、ジャイアントパンダやメガネグマのように植物食傾向が強い種や、ホッキョクグマやヒグマ、ナマケグマのように動物食傾向が強い種も存在する。へぇ~。 

……ホッキョクグマは動物食傾向が強い。両者の間では顔の骨格も異なり、前者はよく発達した頬骨弓・側面にみられる眼窩および小さな犬歯を収めた短くて円筒形の頭蓋骨・関節が高い位置にある弓型の下顎骨・側頭筋と咬筋の大きな付着部・長い臼歯を特徴に持つのに対して、後者は小さな頬骨弓・正面にみられる眼窩およびよく発達した犬歯を収めた長大な頭蓋骨と長い顎・歯列レベルまで低い顎関節・少ない臼歯を特徴に持っている。なるほどなぁ。

 ……一度人間の肉の味を覚えたクマは、今度は人間そのものを「エサ」と見做し、手当たり次第人間を襲うようになる。へーほー、おっそろしぃ。以上、ウィキぺディアより抜粋」

「お父さんの馬鹿!」

 美代はすっかり機嫌を損ねてしまった。顔も素性も知らない誰かの書いた情報を得意気に語った父のダサさに私はオェっときた。それにしても、男が可愛い子に悪戯したくなるのって、いつになったら治るのだろう。こう云う積み重ねが、いつか本当の軽蔑になって返って来るって判らないのだろうか。父は他のサイトも調べながら、薄ら笑いを浮かべている。ああ、ホントにもう……。

「なぁ、母さん。あそこの園長は無事だったのかな?」

 父の資料丸読みを聴いていた母は顔面蒼白だった。

「……怪我されたそうよ。右腕だって」

「ほぅら、人の血の味を覚えたぞ」

「アールは意味もなくそんなことしない!」

 美代はますますムキになって、父はどんどん図に乗って気持ち悪い。

「熊の気持ちなんか、誰にも判ってたまるもんですか!」

 母がキンキン声で怒鳴り、二対一になってしまった美代は、「馬鹿!」と叫んでリビングを出て行った。母は食卓に項垂れるようにしていた。父だけがへらへら。……なんだこいつ。

 私は父を侮蔑の眼差しで睨み付けた。

「お父さん、美代がもう物心付いて何年経ったか判ってる? 嫌なこととか悲しいことって、いつまでも憶えてるんだよ? 消えないんだよ? それだけは知っといてね。それで、美代が中学とか高校になって、お父さんを軽蔑し始めても、絶対に被害者みたいな顔しないでよね」

 すると、父はせっかく鼻先でボールを回して見せたのにご褒美を貰えなかったオットセイみたいな顔になった。

「……なんだお前、父さんが嫌いなのか?」

 部屋が少し埃っぽくなったような気がした。父は私の顔をじっとりと眺め回した後、視線をテレビに戻した。音量が大きい。リモコンに手を出そうとすると、父は無愛想に「触るな」と云った。触るな、だって。

 私は何も云うことが出来なかった。私の発言はただの忠告と云うか、今から覚悟しておいた方がいいよって云う、どちらかと云えば親切心に基づいたものだった。なのに、急に好き嫌いの話にすげかえられて、ドキッとしたし、ダサッとも思った。面倒臭い彼氏みたい。男がみんなこうでないと祈りたい。男からしたら、面倒臭い彼女みたいなんだろうか。じゃあ、人間が面倒なのかな。知らないよ、もう。不貞腐れてテレビを見る機械を気取っていると、父はまた突拍子もなく口を開いた。

「お前、進路は決まったのか?」

「はぁ?」

 急に何を云い出したんだこいつ。私の進路? 熊が脱走して、末娘を泣かせて、私に嗜められて、それで私の進路が何故、今出てくるんだ?

「どうなんだ?」

 父は真面目腐って追撃を試みたけど、何だよそれって感じだった。アレなのかな。思ってもみない好き嫌い発言を帳消しにしたくって、唐突に父の威厳を発動させなきゃみたいに焦ったのかな。何をそんなに肩肘張ってるんだろう。家族ってそう云うもんなの? いちいち嘗められちゃいけねぇって云う暴走族とかヤーさんみたいな根性を示さないと、大黒柱たり得ないもんなの? 抱腹絶倒もんだよ。ダサいって云う死語を何回私に吐かせる気だ。

「決まってないよ、別に。私、まだ二年だし、他の子も似たようなもんだよ」

「何にも決まってないのか?」

 父はここぞとばかりに元気になった。はぁ。

「まぁ、大学には行きたいかも」

「何しに?」

「え?」

「何をするために、何になりたくて、どんな大学に行きたいんだ?」

 私は言葉を失った。なんで? 何急に気合入れ出したの? つーかさっきまだ決まってないよって云ったけど。でも、なんだかきまりが悪くって、私も自分が悪いような気持ちがして、口が重くなってしまう。

「……決まってないけど」

 すると、父はせせら笑って、

「その程度なのに、大学に行きたいのか?」

 私は愕然とした。信じられない。こいつ、意趣返しをしているんだ。私に責められて、恥を掻かされたから、強引に自分が強気に出れる要素に私を引き摺りこんで、仕返ししているんだ。でないと、今の嘲りの意味が判んない。そもそも、アレは恥を掻かそうとしたんと違うのに。父は一見して満足そうにニヤけ面を発露している。ヤバいこいつ。

 私はもう呆れ果てたし、嫌悪感に胸焼けして薄いラーメンも食べたくなくなった。中年の脂っぽさって精神にクるんだな。そう思うと心がどんどんささくれて冷たくなって、硬度を増して、くさくさしてくる。

「……なによそれ」

 私はまともな神経が次々に断裂していくのを感じていた。

「ぁあ? 金を出すのは俺と母さんだぞ?」

 違う。そう云う話をしたいんじゃない。

「自分で娘を泣かせといて、謝りにも行かない。嗜められたら逆ギレして人の痛いとこ無理くり掘り出して攻撃してさ。TPOって言葉、判る? こんなの、今すべき会話じゃないって、自分でも判ってるんでしょ?」

「難しい言葉を使うなよ。将来の話に時と場合もあるか。なぁ母さん?」

 話が通じない。難しくねえし。巻き込まれた母は「そうよねぇ」と煮え切らないけど肯定してるっぽい父の欲しがった答え。母もおかしい。当たり屋みたいな話題の振られ方したとは云え、そこは真面目に応えてよ。怒ってよ。私に味方してよ!

「父さんはな、高校出る時にはもう金を稼ぎたくて働きに出ようって決めたんだぞ」

「知らねえよ、何の話だよ」

 気が付くと思ったことがそのまま口をついていた。

 場の空気が凍りついた。あ、しまった。

 父の顔を見られない。でも、滑り出したからには、すべて云い切ってしまえと思った。傍からぼろぼろと言葉がこぼれ落ちた。

「さっきの美代への仕打ちについて、どう思ってんのって話だったじゃん。私にだっていっぱい覚えがあるんだからね? 私のお人形遊びを馬鹿にして笑ったのなんか、もう忘れちゃったんでしょ? 忘れたのはお父さんだけだよ。おままごとも馬鹿にしたよね? 私がどれだけ怒って泣いてもニコニコにやにやして。子供だからって、時間が経てば忘れるって決め付けて。美代にもおんなじ思いをさせるんだ? 何よ急に私の進路とか、人を煙に巻こうとしてさ。ダサいよ、それ。酷いことしといて、どうせ許されるって思ってんでしょ? 馬っ鹿みたい。ふざけないでよ……その歳になってまだ無条件に愛されるって、よく信じられるよね?」

 父は唐突に立ち上がった。私は自分の下半身がひゅんと冷たくなるのを感じた。恐れを感じた。私は身体が勝手に震え出すのを止められなかった。頭上にある父の顔は真っ赤。ゆで上がったタコみたい。髪の毛も少ないし。

「こいつ!」

 父が右手を振り上げた時、「止めて!」と悲痛な母の叫びが轟いた。「……止めてよ、もう」行き場を失った父の右手は仕方なく自分の右腿を、バシッと叩いた。座り込んだ私の目の前で発されたその音が、私に怒りを灯した。その大きな音を出した手で、それと同じ力で自分の娘を殴ろうとしたのか?

 私もふらふら立ち上がって、父としっかり向き合った。

「人には意地の悪いことをするくせに、自分がされるのは嫌なんだ? ……甘えないでよ、自分の娘に、気持ち悪い……。暴力を振ったら、それでどうなるかも判んないのか!」

 バシッ! 頭の中で鈍い音が反響した。頭が右にグルンッと回った。

 左の頬がカッと熱を持って痛い。

 母の出来の悪い九官鳥のような叫びが耳に響く。

 打ちやがった。

 怒りは急速に下火になって、悲しみで胸が張り裂けそうになった。

「……おま、お前、誰の、おか、おかげで、生活出来てると……」

 父はぐちぐちとありきたりな言葉を吐いていた。悲しい心で、私は笑えた。全国のお父さん達は金で心は買えないって、いつになったら気が付くの? 若い頃にはそう云うだっさい歌詞の歌謡曲をしこたま耳に流し込んで悦に浸っていたくせに!

「紗代!」

 母が私を抱き締めて、名前を呼んだ。お母さんの薄い胸の中では、私の呪いの言葉はぜんぜん邪魔されない。「お父さんに謝りなさい」死んでもゴメンだ。

 私は母のエプロンでちーんと鼻をかむと、リビングを飛び出した。まさか、同じ日に二度も娘に飛び出されるとは思いもしなかったろう。ざまあみろ!

 ああ、子供の扱いを幼児期のパターンからちっとも更新しなくなった怠慢親父と面倒臭いからってそんな父へ同調ばっかりする母! あんな連中とこれから先もいっしょにいなければならないのか! 考えるだけですぐに家を出たくなる。でも、美代のことを思うと躊躇われる。せめて、私だけは味方でいたい。そばにいてやらねばと思う。あの子を家族行為のヘッタクソな両親の自己満足の生け贄なんかにさせたくない。

 私は薄暗くて冷たい廊下を走った。自室に飛び込んでベッドに潜り込んで、両親の陰口を思い付く限り吐き散らかして、スマホに録音しておこう。落ち着いてから、それを聴いて、ぐへへと笑ってやる。暗いって? うるっせえよ、馬鹿!

 ぐじゅぐじゅと鼻水を垂れ流しながら、私は美代の部屋の前で立ち止まった。同じく両親の無理解を受けた者同士、感じ合う何かがあるだろう。私は服の袖で乱暴に涙を拭うと、美代の部屋をノックした。

「美代?」

 しかし、返事はなかった。もう一度ノックをしたけれど、反応はなし。私は悲しみも怒りも何もかもうっちゃって、最悪の光景を脳裡に描いていた。

「……開けるよ?」

 冷たいドアノブを回すと、するりと扉は開いた。

 中に美代はいない。すると、答えは一つしかなかった。

 熊を探しに行ったのだ。



■ 3.

 家を飛び出して、私はあちこちを駆けずり回った。美代の可愛らしい背中はどこにも見えない、見当たらない。外は雪がちらついていて、上着を着て来なかったことを後悔したけれど、美代の方が大事だ。私は、ようやく母の気持ちが判った。たとえだらしのない奴でも、熊は熊だ。男だってみんなオオカミだもの。

熊は冬眠するために餌を欲するだろうと思った。そう考えると、本当に悠長にはしていられない。ステイト・オ・メインめ、熊なら冬は眠ってろ!

 冬の住宅街には、ちっとも人影がなかった。連絡網が回って、誰も外に出ないようにしているのだろう。白い息が目の前で揺らめいた。

 いつしか走ることも出来なくなって、一度家に帰ろうと思った時、ポケットのスマホが着信で震えた。見ると、母だった。面倒臭いけど、美代が帰っていないか確かめる必要があった。「もしもし……」「紗代! あんたどこにいるの?」煩わしいキンキン声。「死にたいの? ねえ? あんた達ったらもう! 美代もいないしどうなって……」「美代はいないのね?」「え?」「美代はまだ帰ってないのね?」「そう……」ブツッ。着信終了。

 私はスマホをポケットに戻すと、ともかく歩かねばと思った。今の電話で、美代が一人でいなくなったことは両親に伝わっただろう。私からきちんと伝えるべきだとも思ったけど、さっきのさっきでべたべた絆を深めるようなこと、出来ない。左の頬は未だじんじんと痛い。美代の命と私のわがまま、どちらが大事なのかなと、少しだけ悩んだ。ともかく、私が美代を見付け出せればそれでだいじょうぶだ。たぶん。あの子が家を出てから私が気付くまで、そんなに時間は経ってない。あまり遠くまで行ったとは考えにくいんだ。すぐに見つかる。きっとすぐに……。

「きみ、何してるんだそんなところで!」

 不意に、背後から呼び止められて、飛び上がりそうになる。振り返ると、警察の人が小走りにやって来た。ああ、そりゃあ捕まえるための人はいるか。じゃあ本当にあのだらしのない熊がここいらをのし歩いているんだな。そう思うと、ちょっと寒気がした。「きみ、その顔……」警官の顔色が変わった。目立つくらいの傷になっているのか。「いえ、これはなんでもないんです」ちくしょう、確かに喋ると痛い。あの父親は娘の顔をなんだと思っているんだ。

「あの、妹が熊を見たいって家を飛び出してしまって」

「あ、ああ、判ったから、きみはもうすぐに帰りなさい。送っていってあげるから」

「いえ、私も妹を探します」

「はぁ?」

 はぁ? だって。まぁ、はぁ? かもしれないけど。

 すると、あちこちから大人達がぞろぞろと集まって来た。どこにそんなにいたのだろうと思うくらい。私と警官を取り囲むようにして、何やら情報交換をしている。どこそこで熊を見たぞ。あっちで猫が死んでいたぞ。そっちで足跡を見たぞ。みんな恐々とした面持ちで、熊の話ばかりしていた。

「あの!」

 私は勇気を出して声を上げた。

「すみませんけど、うちの妹を見ませんでしたか? 家からいなくなってしまったんです。どなたか、見かけた方は居りませんか? まだ小学校に上がったばかりで」

 しかし、誰も私の声に応えてくれる人はいなかった。そんなことより、熊を早く何とかしたい。熊を何とかすれば、それから探してもいいのではないか。熊を殺せば、一先ず不安はないだろう。ともかく、君は帰りなさい。馬鹿なんじゃないだろうか? 他人事だと思いやがって。適当にはぐらかしやがって。インチキばっかり云いやがって。お前らが殺されちまえばいいんだ!

 すると、私は自分の左頬の痛みと怒りの中に、何かを見付けそうになった。なんだろう。忘れてしまった何かを思い出しそうだった。そう思っているうちに、大人達は次々に情けない悲鳴を上げて、足早に私から離れていった。え? 急にどうしたのと思っていたら、耳元で奇妙な鳴き声。

「……ぅアール」

 懐かしい獣臭さが突き刺すような空気の中に漂う。鼻先には嗅いだことのない生臭い臭い。恐らく、園長さんなら嗅ぎ慣れた臭いだったろう。私はこの臭いの主とは、檻と柵に隔たってしか接したことがない。

 全身が金縛りにあったかのように、ピンと硬直して動けなかった。頭を恐る恐る向けると、左の頬を熱くてざらざらしたものが撫ぜた。背筋にぞぞぞっと悪寒が走る。……ステイト・オ・メインがそこにいた。私の左頬を、べろりと舐めていた。

「きみ、どうか落ち着いて!」

 遠くでさっきの警官が云った。お前、一番に逃げたくせに。

 私はステイト・オ・メインを見詰めたまま、ちっとも動けなかった。私はその大きさに慄いていた。でっぷりとしたお腹と小山のような背中の盛り上がりが私の悲鳴を殺した。昔見た時よりも大きく感じるのは、至近距離で見ているせいなのか、それとも檻の外にいるせいか。その巨大な口には黄ばんだ白い牙が骨肉を噛み砕き、腸を引き摺り出すためだけに並んでいた。率直に怖い。牙と牙の隙間から、生臭い死肉の悪臭が絶え間なく流れ出している。こいつは肉を食うんだなと思った。これは肉を食う奴の臭いだもの。

 熊と出会った場合、けして背を向けず、向かい合ったままそろそろと後退するのがいいと聞いたけど、そう云い出した奴はこの分厚い筋肉と毛皮の塊りを、そこから突き出した鉤状の五本の爪を目の当たりにしたことがあるのだろうか? 同じく、死んだふりをすればいいと云い出した奴にも問いたい。それって、諦めて死ねってことじゃないの? 私はそんなのは嫌だ。かと云って、悪足掻きが通じるとも思えない。死の予感が私の頭を馬鹿にする。頭の中がぼんやりとして、現実味を損なう。正しい思考は失われる。

 私は立ち尽くした。つまり、死んだふりと同じだった。でも、私は黙って死ぬつもりは毛頭ない。最後まで声を上げてやる。攻撃してやる。殺してやる。

 そうだ、今日を生き残ってやる。暗い気持ちに押し潰されて、腐るようなことはもうしない。滅入ったら動け。やられたらやり返せ。インチキを暴き出せ。どうせこいつならなにを云ってもだいじょうぶとか嘗め腐って来るボンクラの頭を潰せ。今日を、生き残ったら、今度は私が熊になる。月に吠える。邪魔者を殺す。ずる賢く生きてやる。いつか、渋くて格好良い熊撃ちに、鮮やかに眉間を撃ち抜かれるまで。

 私の頭の中に巡ったあらゆる言葉は、もしかしたらこの瞬間にはそぐわない走馬灯のようなものだったかもしれない。でも、まったくそぐわないとも思わなかった。なんでかは知らないけど。それでもやっぱり身体は震えて動かない。あーこれで死んでしまうのかと思ったら、ステイト・オ・メインはいつまでも私の左頬を舐め続けて、一向にその鋭い爪や牙でもって私をぐちゃぐちゃの肉塊にしてこない。あれ? 

 死と恐怖と悪臭でくすんだ思考が戻って来た。フィルターが取れる。熊は、ステイト・オ・メインは、さっきから私の頬っぺたを舐め通しだった。え? 殺す気ないの? そう思ってよくよく見ると、さっき見たほど大きくも思えず、せいぜい頭は私のお腹くらい。頬っぺたを舐めるために、ちょこっと首をもたげている。なんで? なんで頬っぺた舐めてんの? そんな、左の頬ばっかり。私の殴られたとこばっかり。

 熊が私の頬を一舐めする度に、大人達は悲痛な叫びを上げた。なんか、高校に上がって友達が一人もいなくって、孤独のうちに自殺したクラスメイトを思って集会とかで泣くクソみたいな女子みたい。お前らが逃げたんだろ?

 私はステイト・オ・メインを何の緊張もなく振り返った。その毛むくじゃらの中に埋もれた小さな目を見た。

 彼の目にはかつての、老いて腐っていただらしのない光はなかった。何かをなす。どこかに行く。もっと、もっとより良い場所を目指す。そう云う、強い意志が灯っているように思った。私はその精悍な眼差しに見入った。

 サーカスで育ったステイト・オ・メインは、外の世界を知らない。芸を仕込まれればそのようにし、ご褒美にたくさんご飯を貰ったろう。出来なければ貰えなかったろう。そして、普段は狭い檻の中で、冷たい床の上で、薄暗い中、黴臭い臭いと共に育っただろう。やがて、サーカスが終わり、彼はようやく自然に返されそうになった。でも、サーカス暮らしの調教熊に、大自然の中を生きて行く力はないと、周りが勝手に決めただろう。

そして、あの動物園に贈られた。若い身体は日を追う毎に衰えて、飼育小屋や檻の中以外を知ることもなく、腐り切っていくことを覚悟したかもしれないし、それで涙を流したかもしれない。そんな折、不意に訪れた機会は、今日だったのだ。

 今日、彼はふと園長さんをどうにかすれば、外の世界を見に行ける。そう気付いたのだ。園長さんは長年世話をしてくれたとは云え、同時に閉じ込めてもいたのは間違いない。彼は今日、絶好の機会を受けて、思ったのだ。園長さんをどうにかしてでも、飛び出す価値がそこにあるって。

 これは私の妄想でしかない。何もかも間違っているのかもしれない。でも、ステイト・オ・メインは私の傷付いた左頬をずっと舐めている。か細い声で、アール、アールと呻いている。殺意はない。食べようともしない。私は知らないうちに泣いていた。今から殺されるかもしれないのに、私を慰めてくれた熊を思って泣いた。

「……だいじょうぶ。もうだいじょうぶだよ。ありがとう。ありがとう」

 私はステイト・オ・メインの毛深い頭を撫でた。ごわごわして、固かった。

「何してるんだ! 危ない! 逃げろ!」

「いや、落ち着くんだ! ゆっくり、ゆっくり離れて!」

「悠長なこと云いなさんな! 走りなさい! 走れ!」

「いいから、ゆっくり離れなさい!」

「いいや、走れ! のろのろするな! そのままだと死ぬぞ! 走れったら!」

 大人達は好き勝手なことばかり。向こうでやいのやいの云う奴等の、誰一人として私は知らない。知らない人間達だ。関係のない人間の厄介で嫌なことって、向こうには何の責任もないから、好き勝手云い放題なところだよなぁって私はぼんやりと考えていた。ステイト・オ・メインは私の涙をべろべろ舐め取った。臭いし、痛いけど。けど、あの連中よりずっと頼もしく、親しみを感じた。

「あのー!」

 私は涙を拭うと、手を振って合図した。あいつらは私の急な大声にびっくりしてる。

「あのー! なんかだいしょうぶっぽいですけどー?」

 私の手に撫でられるがままのステイト・オ・メインは、借りて来た猫みたいに大人しい。だけど、連中はちっとも話を聴いてくれなかった。

「馬鹿なことを云うもんじゃない! 熊の恐ろしさを知らないのか?」

 えぇえ、と思った。この辺に野生の熊なんかいないし、私もアンタも実際は知らないじゃん。そりゃあ、人食い熊の事件は過去たくさんあったろうけど、こいつは調教されて人慣れしているじゃないか。さっきは急に間近で見ちゃって気が動転したけどさ。でも今、害もなさそうなのがハッキリ目に見えているはずなのに、なんでそれが判らないんだろう? 目の前の出来事より、実際に目にしたこともない情報を信じているのだろうか。そうか、つまりあれは私の父と似たような連中なのだ。借りて来た情報を鵜呑みにして、それが正しいと信ずるあまり、目の前が真っ暗になっているんだ。そんな奴等に、どうして言葉が通じると思ったんだろう? 我ながら不思議だった。

「猟師を呼んで来い!」

 誰かが叫ぶのが聞こえる。ああそう。

 みんな、どうしたってステイト・オ・メインを殺したいんだな?

「止めて下さいって! この子、人慣れしてるから!」

 私は駄目で元々、もう一回声を上げてみたけど、通じる気配がない。あいつらの目には、私は恐怖のあまりに錯乱して、わけの判んないことを叫んでる女の子ぐらいにしか見えていないみたいだった。

「よぉし! こいつで注意を引き付けてやる! そのうちに逃げろ!」

 やがて、顔も名前も知らない大人達の誰かが、石を投げた。それは、ステイト・オ・メインの固い毛皮に弾かれて、威力もそのままに私の額を打った。痛い。「何してる! 悪戯に刺激しちゃいけない!」警官の嗜める声が聞こえた。耳元で、ステイト・オ・メインがぐるぐると唸った。私は額を左手の甲ですっと拭うと、鮮やかな赤色が私の白い皮膚の上に、きれいな扇を作った。ああ、だから嫌い。

 その時私はかつて、ステイト・オ・メインに向けて、小石を投げたあの男子のことを思い出した。顔も名前も思い出せないけれど、今日、私はあの子と同じ頬を打たれて、あの子がやったことをやられた。

 頭の中に懐かしい声が響く。

 ああ、思い出した。私は、その顔も名前も忘れた男子のことがちょっと好きだったのだ。誰にでも優しいし、足も速かった。勇敢な子で、いつもみんなの中心にいた。ヒーロー願望みたいなものもあったのだろう。だから、熊にも石を投げたんだ。でもそれは、相手を見てやったことだった。相手が、絶対にこっちに危害を加えられないと理解した上での、いやらしくって勇気の欠片もない下衆の行いだった。でもそれが出来たのは、自分に正義があると思い込んだから。みんなのために、あの熊がもうちょっと動けばいいと云う、サービス精神。出来損ないをちょっといじって面白くしてやったとか、そう云うノリ。いじりっつーかいじめだけど。

――――だから私はこう叫んだのだ。



「見損なったよ! バカヤロー!」



 額からはだらだらと止め処もなく血が流れていた。そんなのはまったく気にもならない。ステイト・オ・メインは歩き出していた。唸り声を高らかに、可愛げの失せた肉食獣の呻きを上げて。

「殺せ!」

 私はその毛むくじゃらの同士に精一杯の言葉をかけた。殺せ! 踏み潰せ! 行きたいところへ行け!

 ステイト・オ・メインは大人達へ向けて、猛然と駆け出して行く。警官が小学生のペニスみたいな拳銃を引っ張り出して、パンパン渇いた音を立てたけど、そんなものが熊に通ずるはずがない。しめた! 奴等、きちんとした武器を持っていないぞ。行け! 行け!

 ステイト・オ・メインは駆け抜けた。老いて固まった身体に鞭打って、若く柔らかい心でもって。その姿は雨後の河原を埋め尽くす濁流のように茶色の背中を波打たせ、すべてを蹴散らして猛進する速度そのものとなった。

 大人達は散り散りに熊を避けた。警官は、まだパンパン無駄な弾を消費した。余計なことだ。後で打った回数を報告書に書くんだろう。落ちた薬きょうを這いずって探して。それで、同僚にこう云うんだ。「俺、熊に立ち向かったんだぜ」って。

 でも、その勇気はステイト・オ・メインには到底敵わない。未知の世界を目指して駆けた老いたる調教熊には、ぜんぜん敵わないのだ。

 やがて、ステイト・オ・メインの姿は見えなくなった。山の方へと消えたようだけれど、本当はどうだか判らない。でも、私の中には確信としてそうあった。あいつはきっと山に行ったろう。本来、山にいるべき奴なんだ。私は茫然と立っていた。あらゆる気持ちが抜けていた。

「あれ、お姉ちゃん?」

 振り返ると、美代が歩いて来る。ステイト・オ・メインがやって来た道だ。美代はちゃんと厚手の上着を着て、手袋までしていた。私は頭の中が真っ白になった。

「アールを見なかった? さっき、すごかったんだよ! アールったらね、細い塀の上を綱渡りしたの! 猫ちゃんみたいに、すいすいって。あっちへこっちへふらふらしながら、でもちゃんと渡り切ったの! すごいって手を叩いたら、やっぱりアールって鳴いたよ。うれしそうだったよ。また見たいなあ」

 私は力の抜けるのに任せて、へなへなと美代を抱き締めた。美代の身体は柔らかくって、暖かい。美代は、私より先にステイト・オ・メインに会っていたのだ。現れた熊が、もし、ステイト・オ・メインでなかったなら。もし、ステイト・オ・メインが本当の人食い熊だったら……。私は身体中が小刻みに震えてきて仕方なかった。もしそうだったなら、美代は今頃、ハラワタを食い破られて、内臓を引き出されていただろう。私は想像する。浅く積もった雪上に仰向けに倒される美代を。内臓から飛び散る赤黒い血や胆汁や様々な体液が雪を溶かして、湯気を立てている様を。そして、熊は本能に従って、美代の片足を咥えて、血の線を路上に引きながら、得物を隠す穴を目指す。そこに保存して、掘り返して、食って、埋めて、掘り返して、また食って……。そんなことがあり得たのだ。ほんのさっきまでその可能性をぜんぜん否定出来なかったのだ。なのに私、変な意地張って、美代を助けられるのは自分だけみたいな。親にも話さないで。

 不甲斐なさ過ぎて涙が出た。私は本当に、馬鹿だ。最悪だ。

「……ごめん、ごめんね。お姉ちゃん、美代のことより自分のことばっかで」

 涙が止まらなくて、わんわん泣いたら、美代が頭を撫でてくれた。

「どうしたの? お姉ちゃん、顔が腫れてるよ? 頭から血出てるよ?」

「……ごめん……ごめん」

「いいよ。だって、私はアールを信じたもの」

 涙も血も止まらなくって、私は気絶する瞬間までごめん、ごめんと謝り続けた。



■ 4.

 すべてが終わって、父は私をまた打つんだろうなと思ったら息が詰まるぐらい抱き締められた。息が出来ないし、煙草臭いし、加齢臭もした。でも、父は泣いていた。父が美代にしたことや、私にしたことを、私はいつまでも憶えているし、忘れることはないだろう。しかし、今だけはそれを糾弾しようとは思わなかった。何故って、私も泣いていたから。親子揃って涙もろいみたいだった。あんまり認めたくないけど。

 そして、未知の世界を駆け抜けた同士、ステイト・オ・メインはその後、山中で血を流し過ぎて死んでいた。

 あまり動かないで居過ぎたせいで、筋力が衰え、弾丸の通りを良くしたのかもしれない。何はともあれ、ステイト・オ・メインは熊らしく山中で死んだのだ。

 たとえ、死体を撤去されようとも、その魂は自然の中に溶けていっただろう。

 私と美代は、それからあの小さな動物園にも行った。ステイト・オ・メインの檻はきれいに清掃されていたけれど、新しい動物はいなかった。

「熊の臭いが染み付いているから、他の奴は入れられないんだよ」

 園長さんは、昔見た時より、さらに老けて見えた。当たり前だけど。

 話を窺うと、あの日、ステイト・オ・メインが脱走した日、園長さんはいつものように清掃を終えて、飼育小屋からステイト・オ・メインを呼び戻した。そして、外から鍵をかけようとした瞬間に、扉ごとドカッと体当たりされたらしい。

「噛み付かれたわけじゃあないんだ。あいつは優しいからね。こけた拍子に腕を痛めただけさ」

 園長さんの口調は明るかった。でも、やっぱり悲しそうに見えた。

「俺は知っていたんだ。あいつが、いつも檻の向こうを見てるのを。でも、俺にゃあ出してやることなんか出来やしなかった。可哀そうだよ。俺はあいつが人を襲わないと知ってるが、あいつを知らない奴は誰もそんなこと、信じるはずがないだろう? ……あの日も、本当は殺さないでやって欲しいと云ったんだ。奴等、善処すると口では云ったけど、それが万全を尽くすって意味でないのは、何となく判ったよ、判ったんだ」

 でも、ステイト・オ・メインは行きたいところに行って、死にたいように死にましたよと私は云った。生意気に思われないかなと思ったけど、園長さんはありがとうと云ってくれた。

 帰り際、美代が園長さんにこう云った。

「私、アールが最後に綱渡りをしたのを見たよ。すごかった。本当にすごかったよ」

 園長さんは、誇らしそうに笑った。

「そうだろう? あいつの綱渡りは一級だ。なんせ、どれだけふらふらふらついても、最後にはきちんと辿り着く。そう云う奴だったんだ」

 その顔は、幼い頃に私が見た、あの日の姿そのままだった。私の右手がじんと痛くって、男子は泣いて、先生達は騒然。檻の中では、我関せずとばかりに、くぅぁああると欠伸を漏らすステイト・オ・メインがいた。空っぽの檻の中から、そのだらしのない鳴き声は、すぅっと空に消えていった。


 ドグマとは、独断的な説とか、柔軟性を欠く無批判な信念みたいな意味らしい。ちょうど、佐藤友哉のドグマ34とか、ドグマの生成過程とかを呼んで、それが近しいかなと思ってつけた。クマの字入ってるしね。土熊でドグマって読ませようかと思ったけど、それもうわけ判んないからよした。

 初めは2000とか3000字で終わるつもりだった。でも、きちんと書く気持ちはあった。それでこの様よ。あー楽しかった!

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