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天然タワシ

 中央市場を歩く人影が一つ。スーツを着て、金色に染めた髪の毛をツンツンと“薔薇色(ローズ)不定型(スライム)”から作ったワックスで固めている。幼さが残りながらも大人の色気を持っている男である。一言で言うならホストのような雰囲気を持つ男である。


 男は何かを探すようにキョロキョロと辺りを見回しながら歩いており、探していると女性とばったり目が合うことも多々ある。そんなときはにっこりと天使の頬笑みのような笑顔を浮かべて会釈をして再び歩きだす。

 微笑みかけられた何人かの女性はふらふら~っと男の後を追いかける。まぁ追いかけてくる確率は低いのだが、何しろ目の合う回数が多いために10人ほどが後を追いかけてきている。何これ、ドラ〇エ?爆ぜろ、天然たらしめ。


 不意に男がチラッと後ろを見る。何か数を数えるように頷いたあと、前を向いて女性達にばれないようにしながらニヤッと笑った。あ、これ確信犯だな。自分でわかって頬笑みかけてやがる。…おい、しまいにゃ鼻歌歌い始めたぞ。余計に爆ぜろ。そして、ついてきてる女性の皆さん逃げて!どうせこいつ、奴隷商とかだよ!!


 「や、やめてください…!」


 後ろから追いかけてきている女性の中から悲鳴が聞こえた。やっぱり奴隷商だったか…こういう展開だと大抵そうだもんね。そして、拉致しようとしているのであろう場所を見てみよう。過激になるかもしれないから覚悟しておけよ。


「ねーちゃん可愛いなぁ~。」

「良いだろ?俺たちと一緒に遊びにいこうぜ~。」


 ・・・・・

 …ナンパでした。…はやとちりだったね。テヘペロ♪

 痛い…。グーパンチは無しでしょ。ちょっ待って待って!頭にかかと落としはダメだよ!!

 …かなり痛いんだけど続けようか。男三人組が追いかけてた女性の一人をナンパしているようだ。一人は頭以外を銅でできた無骨な鎧に包んだハゲ。あと二人は以下略。特徴が多すぎて伝える暇がありませんと言っておきましょう。

 ホストを見ると青筋が額に浮きまくってます。つかつかとナンパしている男達の所に行き、女性の肩を掴んでいる以下略その1の腕をねじり上げます。


「痛!痛たたたたたたたた!?」

「てめぇ!何しやがる!!」

「女の子が嫌がってんだろ、だったらやめろよ。」


 冷静な怒りの声を返したあとに男の腕を離して後ろを向いた男は、


「大丈夫?怪我は無い?怖くなかった?」

「は、はい。大丈夫です。…あ、ありがとうございます。」


 今度は慈愛に満ちた頬笑みで女性を魅了します。行動は優しいけどやっぱたらしなことには変わりがありません。次からはタワシとよんであげましょう。

 …また殴られた。はてさて、三人の男達は大激怒!あらまぁ大変。


「てめぇ、俺が誰だかわかってんのか?“銅色の太陽”と呼ばれて恐れられるゴリラ・イッキュウ様だぞ!!」


 ・・・

 わざわざ負けフラグ立てお疲れ様です。もう、良いよね?負けるの確定してるもんね。

そもそも、銅色の太陽ってのを自慢げに語ってる時点でアホさが滲み出てるのだ。まず銅色の意味は、威勢はいいけどある程度財産を持ってる人は鉄装備とかにするので、銅装備で威張ってる奴に対する嘲笑。太陽はつるっぱげなので光を反射して光るからである。

 つまり、ただのカスだ。


「はぁ…。お前らこそ言葉改めろよ。逆に俺のこと知らないわけ?」


 あきれたように溜息をつきながらズボンのポケットから巾着袋を取り出す、タワシ。


「お?なんだぁ?金で解決しようってんなら有り金全部よこしな!!」

「さすが、兄貴やることがあくどい!!」


 馬鹿丸出しで笑う二人。だが、さっき腕を掴まれた男はブルブル震えていた。目の前の金髪の男を見て。ひとしきり笑って銅鎧は子分が震えていることに気が付いた。


「ん?どうしたんだよ、お前。」

「き、きき金髪に、スーツにき、巾着袋…!?うわ、うわあああああああああ!!」

「あ、オイ!どこに行く!!」


 ぶつぶつ呟いたあと、脱兎のごとく逃げる以下略その1。数秒後には金髪と二人を見に来た野次馬で見えなくなってしまった。


「たく、なんだってんだ!」


 悪態をつく銅鎧。そこに、金髪がしゃべる。


「あぁ、もうめんどくせぇわ。とりあえずお前ら公開処刑な。」


 そういって、巾着袋に手を入れて何かを掴みだす男。そして、掴んだものを目の前の二人に撒きかけた。黒いそれは、


「灰だぁ?こんなもんまき散らしてなんになるんだよ!!」


 灰。有機物を燃やしたときにでるものだ。こんなものをかけても相手がただ不快になるだけでしかない。彼をのぞけば。不意に野次馬が呟いた。


「馬鹿だよなぁ。灰咲に喧嘩を売るとか。俺は絶対無理だね。」


 金髪の男、灰咲(はいざき) 翁翔(おうと)は呪文を呟く。


「狂い咲けや、熱き花。」


 次の瞬間、目の前の男が爆発した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 灰咲 翁翔。元々は童話、【花さかじいさん】の主人公である。

 能力は爆破。

 灰を爆発させることができ、爆発は自分にはダメージにはならない。自分の思い通りに爆発の性質を変えられる。

 応用性は非常に高く、爆風で高く飛んだり敵を内部から爆発させたりもできる。



 彼のデータはこんなものだ。先ほどの爆発は銅鎧自体が爆発したのでは無く、灰を使って、こいつらの鎧や服を破壊したのだ。衝撃で二人は気を失ったが体に特にダメージは無いようにしている。つまり彼らは裸だ。

 そして、翁翔は気を失っている男達の前で粘土と灰を混ぜ合わせた物を二人にくっつける作業をしている。そして、作業が終わったころに二人が起きた。


「うむぅ…ここは?」

「レディース&ジェントルメン!!今からショーを開演いたします!それでは彼らをご注目ください!!」


 野次馬達の前で大声で叫ぶ翁翔。二人は自分が注目される。


「では!いってらっしゃい!!see you again!!狂い咲けよ!熱き花ぁ!!」

「え?あ、あっちいいいいいい!!?」


 翁翔は彼らの背中に粘土を取り付け、三時間ほどずっと細かく爆発するようにしておいたのだ。彼らはカチカチ山の狸のように走って逃げかえっていった。大事な所はなけなしの残った服の破片で隠している。


「おい!お前ら!!水の中に入っても意味ないぞー!!」


 最後にダメ押しをした後に追いかけてきていた女性達をナンパしようと考えていたが、多分仕打ちがひどいとでも思ったのか誰もいなくなっていた。


「あーあぁ。皆いなくなっちゃたよ…。」


 がっくりしながら次の獲物である女性を探しにとぼとぼと歩き始めた、色欲の塊である。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 翁翔が歩いていると皆が立ちどまっている一角についた。


「な、なんで皆、立ち止まってんだ…?」


 至極もっともな意見である。驚愕しながら翁翔が歩いていると、三人の動いている人物を見つけた。


「お姉様…?」

「え、えっと。ちょっと理解できないんだけど…。ちょっと待ってくれる…?」

「・・・」


 そこにいたのは翁翔好みの美女・美少女 (可愛いなら年齢は問わないのが俺の流儀ね。)、そして無口なブタ。なんで、こいつがここにいるんだ…?


「どうしたんですか?お二人さん?何か困りごとでも?」


 翁翔は天使の微笑みで話かけた。この子達は絶対俺のハーレムに入れないといけねぇ!!そんな下心を持ちながらである。

美女は翁翔の方を見て顔を赤くして俯いたので、この子は恥ずかしがり屋なんだな。と、翁翔は思った。実は美女が翁翔を見て、よっしゃああああ!!イケメンキタァァァ!!とか考えながら翁翔からは見えない右手でガッツポーズしているなどとは思わないだろう。

少女の方はジト目でこちらを見てくる。ああ、この反抗的な視線の子を完全に屈服させたい!!と、ドSな考えの翁翔。こいつ、嗜好が歪んでやがる。


「誰ですか!あなた!!私とお姉様の新婚生活を邪魔しないでください!!」


 美女ことモモと翁翔は体から力が抜けた。何を言い出すのだこの子は!せっかくのイケメンが逃げるだろうが!!モモはそんな事を考えて、翁翔はそういう趣向の子達を自分色に染めていくのも最高だな。と、考えている。十人十色とはこのことですかね?


「とにかく!私達の邪魔をしないでください!!行きましょ!お姉様!!」


 そういって、グイッとモモの袖を引っ張るアリス。わ、ちょっと!と、モモが講義するが気付いていない様子で、右手を前に出す。


「ワープゲート!!」


 右上がりのニュアンスでアリスが叫ぶと、空間に成人が二人だけやっと入れるくらいの切れ目が入った。そして、アリスはモモを引っ張って中に一緒に飛び込み翁翔の目の前から姿を消した。


三人目の主人公ポジ登場です



モモと翁翔のデータはこちら。


モモ・タリスロア{桃太郎}女

《桃太郎》

・女 18歳

・基本的にクズ

・イケメン狙いの美女

・剣の腕は相当なもの。

・スカートの長いフリフリのドレスが好き

洗脳ザ・キビタンゴ

石などをキビタンゴに作り変えられます。そのキビタンゴを食べさせた相手を洗脳することができます。また、犬・猿・雉は食べさせずとも洗脳できます。有効距離は5エズリンク。


灰咲はいさき 翁翔おうと{花さか爺さん}

《花さか爺さん》

・男 18歳

・ドSで、支配欲が強い

・女好きで夢はハーレムを築くこと

・また、戦いにおいて躊躇がない(男限定)

・女には優しいイケメン(仲良くなるまでは)

『爆破(狂い咲けや熱き花)』

灰を爆発させることができます。爆発は自分にはダメージはありません。自分の思い通りに爆発の性質を変えられます。


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