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人気者のようでして...

誰もいない廊下を歩く俺の足音だけがペタペタと響く。

「失礼しまーす。二年三組の安藤です!山田先生いらっしゃいますか?」

「おう、こっちだ。って本当にそんな格好に…。」やまだんが肩に手を置いてきた。やめろ、そんな目で俺のことを見るな。

「ほら、先生。これでわかりました?ピッチピチですよ!どうしてくれるんですか。ここに来るまでにうけた私の精神ダメージはどうしたらいいんですか、ほんとに‼︎」先生の机をバシッっと叩く。どう考えてもただのやつあたりである。

「いや、スマン。とりあえず落ち着け、パンツ見えるぞ。」

「なんですか先生、パンツ見たいなら言ってくださいよ。女物穿いた男子のパンツでよければいくらでも見せ…」今度はやまだんに口をふさがれた。今日はよく口をふさがれる日だ。

「よし、いい子だから一回黙れ。声が大きいぞー。」あ、やっべー。やまだんこめかみピクピクしてるわ。キレる前にやめとこ。

「よし、よし。それでいい。安藤、俺の部活用のジャージ貸してやるから着替えてこい。どうせ自分の服だって小さくて着れないだろう。」

「ういーっす。」職員室の隣にある職員用更衣室を借りて着替えた。うん、これでもちょい小さいな。あとで山村か誰かになんか借りよう。

さてと、職員室戻るか。ってあれー?なんかやまだんの周りに女の子がいっぱいいる。

面白そうだし、混ざろう、っと。

「先生、ひどい!私のことも忘れて他の女の子と遊ぶなんて。」俺がそう言うと女の子たちが一斉にこちらを振り向く。あ、そういうテンションじゃなかったかも。

「「「安藤君!」」」

「は、はい。なんでしょうか?お嬢様方。」

「私たち、王子が男子になったってさっき山村君に聞いていてもたってもいられなくって。」

「迷惑かなって思ったんだけど、きちゃったごめんね、安藤君。」

「安藤さん怒ってます?」十人以上はいる女の子たちが一斉に喋りだすから職員室はちょっとしたパニックに包まれた。要するにみんな俺の男姿を見に来てくれたと。俺モテモテじゃん!

俺は一番近くにいる女の子の唇に人差し指をあて、しーっといった。

「怒ってないから、大丈夫だよ。みんな俺を心配してきてくれたんだろ?嬉しいよ。でもね、山田先生が困ってるからみんな一旦教室に戻ろう?俺もすぐ行くから。」

「「「はーい。」」」気持ちのいい返事が返ってくる。中には頬を赤く染めている女の子もいるみたいだ。うん、可愛い。

「うん、みんないい子だね。じゃあ先生に挨拶して戻ってね。」

「「「山田先生、お騒がせしました。ごめんなさい。」」」

「お、おう。」先生は女子の統率のとれた言動に若干引きつつもにっこりと笑顔を作って手をふった。女子たちが去るとやまだんはふーっと息を吐いた。

「ふぅ、あ、先生これありがとうございました。」ちょっと小さかったなーなんて笑うやまだんはとても素敵で思わず惚れそうになってしまった。くそ、俺も見習わねば。

「それにしても安藤は相変わらずモテモテだな。」

「いやー、他の放送部のメンバーに比べれば全然そんなことないですよ。」

「校内人気投票で二位のくせによく言うよ。そもそもあれはイケメンランキングみたいなもんだったろ、なんで女のお前が入ってるんだ。」

「ふへへへ。今は男だからおっけーですよ。」

「はい、はい。じゃあもう帰った、帰った。お前がここにいるとまた女子が集まるからな。」

「えー、私はまだまだ先生といたいのにー。」そう言って俺はニヤリと笑う。

「冗談言ってないでさっさと戻れよ。どうせ俺、二限目は授業あるから。」

「ちぇっ、わかりましたー。じゃあ先生ジャージ適当に帰しにきますね。」俺はそう言って職員室を後にした。

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