狭間の章2
お待たせしました?
久しぶりの更新です
体調を崩していて更新できませんでした
皆さんも体調は大丈夫ですか?
「ふぁ~。ねみぃ。」
「あの、大丈夫ですか?ジル様」
「そんな気にするもんじゃねぇけど、こうも何もないと退屈だぁ。
何日か前みたいな事起きねぇかなぁ~」
「そんな物騒な事言わないでください!!」
「あ~。わりぃ。けど実際、暇じゃねぇ?お前らもそう思うだろぉ?」
ジルフォンスとマリーがフワンの森を出発してから四日が経過していた。
そして、彼らは今<豊穣の地>に向かうために馬車に乗っていた。
しかし、今の会話には明らかに違和感が存在する。
なぜ?二人で旅をしているはずのジルフォンスがマリー以外に語り掛けているのか?
その答えは
「「「「「「は、はい。そう思います。ジルの旦那!!!」」」」」」
ジルフォンスの問いに答えたのは、二人が乗っている馬車を押している男たちだ。
しかも、その姿を見るなり一般人と言うわけではなく、明らかに盗賊の部類に入る男達だ。
なぜ彼らがこんな事に成っているかと言うと、簡単である。
二人がまだ徒歩で向かっていた時に、彼ら盗賊団と遭遇したのである。
彼ら盗賊団からしてみれば、何の装備も持たずに自分たちの縄張りに入ってきた絶好のカモだと思い奇襲をかけ二人を襲った。
しかし彼らはすぐに自分たちの行動を後悔する。
自分たちの縄張りに入ってきたのは、カモではなく、怪物であったと。
結果など言うまでもなく瞬殺。逆にジルフォンスの暇つぶしの遊び相手にされ最終的には、二人を目的地にまで運ぶ道具とされたのだ。
ちなみに、当初はすまなさそうな顔をしていたマリーだが、慣れてしまったのか当初の恥じらいが全くない。・・・・・・・・・・・・・慣れとは恐ろしいものである
それでも、彼ら盗賊団を労わっているだけに、育ちの良さとその優しさがよくわかる
「それでよぉ~あとどの位で、国境まで着く?」
「へ、へい。もうすぐに見えるはずですわ。旦那!!」
ジルフォンスの問いに、盗賊の一人が答える
そんな中マリーが
「あの~。ジル様。国境と言うのはまさか。」
「ああ。そのまさかだ。俺らが今から向かう場所は、人間領じゃないからな。とりあえず、シルンの国境まで運ばせてんだよぉ」
「ではやはり、<豊穣の地>があるのは<獣人領>なのですね」
「ああ、今から会うに行く奴は<獣人族>だ」
マリーの確認するような問いに、ジルフォンスはその予測が正しいと言いながら
言葉を発する
「獣人族ですか。」
「何だぁ、心配かぁ?」
「い、いえ。何分初めて、他の種族と会いますので緊張して」
「そんなに気負う必要はねぇぞ。気楽にしてろや。」
「そうは言いますけど・・・・・」
マリーの言葉を遮るかのように一人の盗賊が声を上げる
「旦那、見えました。国境です。」
「おお。着いたかぁ」
その声を聞いて、マリーもまた前を見る。
そこには、<人間族>と<獣人族>の領地を区別する大きな壁が、俄然に見えた。
それを見ながら、ジルフォンスは懐かしむように言う。
「全く変わらねぇなぁ。この壁も人間も」
「旦那、俺たちは本当にここまでで、よろしいんですよね?」
壁の扉の前で、二人を下した後盗賊たちが怯えながらジルフォンスに聞く。
「ああ。お前らはここまでぇ良い。後はもう好きにしなぁ。行くぞマリー」
「あっ!はい。皆さんも、もう悪さなどしてはいけませんよ」
盗賊の問いに、興味のなさそうな声で答えるジルフォンス
そして、そのまま壁の外へと歩き出す
そして、それを追うかのようにマリーも続く。
残された盗賊たちは、皆思う
((((((なんで、畜生どもの巣に用があるんだ?))))))
「おお。相変わらず、自然が綺麗だねぇ。此処は」
「ほ、本当ですね」
壁を抜けて、<獣人領>へと入った二人を迎えたのは、フワンの森の芸術的な美しさではなく、野生の美しさを見せる獣人領の自然風景だった。
「さぁ~って、ここまでくればぁあいつのいる場所まではもうすぐだ。行くかぁマリー」
「はい。ジル様」
そう言って、歩き出す二人。
しかしその行く先の雲は、これから起こる嵐を示すかの様に曇天の雲に覆われていた。
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