表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒險の相棒 ~世界最弱最強の魔物~  作者: ゅぇ
粘液騎乗師の登録と初仕事
9/16

冒險九話 Xランクで出来るお仕事

 【ランク】…F、E、D、C、B、A、S、SS、SSS…9つのランクに分けられる。

F、Eは下級ランクと呼ばれ…D、Cは中級ランクと呼ばれ…B、Aは上級ランクと呼ばれる。

そしてSは最上級ランク、SSは伝説ランク、SSSは神ランクと呼ばれていた。

ランクはありとあらゆるモノにおいて適用されていた…仕事、職業、魔法、商品、食品、施設、魔物…様々なモノがこのランクを基準としてわけられている。


 【Xランク】…ほとんどの人が一生のうちに見る事がないであろう隠されたランクである。

未知数をしめすこのランクが表示される時は、喜ばしい意味なんかではない…

ギルドでXランクが出た場合…一年後のカード更新の際に、一年で得た依頼の実績をかねて改めて正確なランクを授与される。

つまり、ギルドでのXランクは一年間の仮免許のような扱いであり…特典を得られないまま一年も過ごさなくてはいけない…



 ティアは自分のギルドカードを見つめていた。


(Xランクかぁ…ん~…ジルおばぁちゃんはSランクだったよね?…はてしなく遠すぎる。)


 隣の部屋ではドラン、ポール、マーズベルトが話し合っている。

ティアに聞こえないように配慮しているつもりなのだろうが…だだもれだった。


(あれ程の実力があるのにどうしてなんだ!?)

(これでも凄い事じゃないですか!?本来ならFランク…カードもとれなかったんですから…)

(だがAランクの俺に勝ったんだぞ!マーズベルト!お前がついていながら…)

(あたくしは精一杯やりましたわ!そもそもいろいろと誤魔化すのにも協力しまし…)

(誤魔化したってなんの事だ!そんな事をしたから…)

(まぁまぁ落ち着いてください…とにかく今はこれからの事をティアちゃんに説明して…)

(どう説明しろっていうんだ!?)

(そこをなんとかするべきなんじゃありませんこと?ハ・ゲ・ア・タ・マ!)

(なんだとぉおーっ!)



「喧嘩してる…やっぱXランクはヤヴァイのかな?ラムネはどう思う?」


 ラムネはテーブルの上でコップの周りでプニプニしている。


「ちょっと聞いてる?一年間ランクなしな状態で仕事をこなしつつ…」


 ラムネはコップに体を伸ばすと中の水をシュルルッと飲み干してしまう。


ゲプッ


「はぁ~、あんたは余裕だね…」

(でも、大丈夫か…ラムネと一緒なら。)



ガチャッ


 扉が開くとポールとドランが難しい顔をしてやってくる。

マーズベルトはどこかに言ったようだった。


「ティア、俺の力がないばかりに…すまない…」


 ドランが頭を下げる。


(ドランさん頭がまぶしいです。)

「ちょっと、やめてください!誰のせいでもないですから…」


「俺に勝つだけの実力があるってのに…くそっ!もう一度儀式をやりなおせば…」


「マーズベルトさんも言ってたじゃないですか?何度やろうと結果は一緒です…しかしまぁ、Xランクとはいえ登録できた事を喜びませんか?これは快挙ですよ!ギルドが設立されて以来初めての事例だそうです…Fランク魔物モンスター相棒パートナーとして正式に認められたんです!世界初の粘液騎乗師スライムライダーだなんてカッコよくありませんか?」


 ポールは語りながら眼鏡をはずして、笑顔でティアの前にたった。


「はい!やっと騎乗師ライダーになれたから!ランクだって一年がんばれば…」


 ドランはポールをおしのけてティアと向き合う。


「ティア!聞いてくれ…ランクはとても重要だ。金銭面での補助はない、行ける場所にしても制限だらけ、装備も買えない、宿にだって泊まれない…ランクがないままだと苦労しかしないんだぞ?耐えれるのか?一年間も。」


 いつものように小さく深呼吸するティア…手にあるカードを強く握りしめた。


「私達なら出来ますよ。絶対に。」

(だよね?ジルおばぁちゃん。)


 そこには何度も見てきた、自信にあふれる迷いのないティアの黒い瞳がまっすぐにドランに向けられていた。


(ったく…この頑固さと目にはかなわないか…)

「あぁ、お前ならできるな!」


「はい!…って事で仕事下さい!」


「…。」


 ドランはティアから目をそらす。


「あれ?ドランさん?」


「…えっと…言いにくいんだが…」


「まさか…ないんですか?」


「本当にすまない!どの仕事依頼にもランク指定の条件がついているもんなんだ!だからこそ騎乗ギルドは最低でもDランクはないと成り立たない仕事であって…あーっ、くそっ!」

(これだけの実力がありながら仕事がないとは…)


(あちゃ~…ジルおばぁちゃんどうしよう。)


 ドランも、さすがのティアも困り顔の中で…眼鏡をかけながら不敵な笑みをうかべるポール。


(今しかチャンスはありません…)

「忘れているようですが…ティアちゃんはテーブル弁償代として銀貨八枚の借金もあります!ここで一つ提案するのですがティアちゃんが僕と付き合ってくれ…」


バシッ


 ドランがポールを思いっきりはたいた。


「さっきマーズベルトに聞いたんだが…お前、俺達の勝負を使って賭けをしてたらしいな?」


(さすがにばれてしいましたか…)

「ん、まぁ…そんな事もしたようなしなかったような…」


「ポールさん…」

(イイ人だと思ったのに…)


「ティアちゃん!?そんな目でみないで下さい…」

(でもこの軽蔑した目もイイ!)


「さて、話しに聞く所によるとティアが圧勝で勝つと賭けたのは二人だけだったとか?そのうちの一人は…ポールお前らしいじゃないか。いくら稼いだんだっけなぁ…確か…」


「ははははっ、もちろんティアちゃんのおかげで稼がして頂きましたのでテーブルの弁償分は僕が責任もって支払っておきますね!ははははっ!」

(しかーし!僕にはまだ手があります!)


「ありがとうございます!」

(ポールさんはまだ何か企んでる…)


 ティアがラムネに目くばせをすると、ポールに気が付かれないようにラムネは忍び寄った…


「ティアちゃん、僕と前向きに付き合ってくれるならこの依頼…あれ?紙がない?」


 ポールは後ろポケットに隠し持っていた紙をなくしたようで必死に探している。

その傍らでラムネが体をニューンと伸ばしてティアに一枚の紙を渡した。


「探しモノはこれですよね?ポールさん。」


「あっ…」

(さすがはティアちゃん…好きだ!)


 ポールが隠しもっていた紙は、Xランクでも引き受けられる今現在唯一の依頼書だった。


「この仕事、ティア=フレアハートが引き受けました!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ