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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
82/114

外伝 ーDating with the Princesー Part1

「へぇーそうなんだ~。そういえばさ、アルトのこの首飾りいつも着けてるよね?」

ある街のある夜のある宿の一室でアルトと雑談をしていたメリッサが

鎧が外れて薄着になったアルトの胸の谷間の上に下がる首飾りを指さす

「これ?実はこの首飾りは昔セレン様からいただいた大切なものなの」

アルトは笑顔を浮かべながらその小さな鎖が連なり指輪の様な銀の輪がぶら下がる首飾りを掌の上に乗せた

「へぇー!じゃあすっごい高いものなの?!」

メリッサは少し興奮したようにアルトの口から驚愕の値段が出ることを期待しながら首飾りを見つめる

「ううん、違うの。これはどこの街でも売ってる普通の首飾りなんだけど、これにはちょっとした思い出があるの」

そう言ってアルト自身も首飾りを見つめた


時はさかのぼること2年前…

ルシア王国王都アークの王宮、女王セリエの私室の扉が開いた

「失礼します。セリエ様、私に内密の用事とは…?」

扉が開くと白い鎧に長い紅髪の白銀の騎士アルトが現れた

「あら、アルト!よく来てくれました!前もって言ってくれてたらお菓子でも用意しておいたのに」

セリエは透き通る空色の瞳に笑みを浮かべる

「前もって知らせてしまっては内密であるのに誰かに気づかれてしまいますので…」

「あら、それもそうね!」

セリエは桃色の唇に笑みを浮かべる

「セリエ様…」

アルトは苦笑いを浮かべた

実際に彼女の冗談はどこまでが冗談なのかわからないから色んな意味で怖い

「それでねアルト、貴女を見込んでお願いがあるの」

セリエは先程までの冗談を引きずるように笑顔を浮かべたままアルトに言う

「はい、私に出来ることなら…」

アルトは公の場で任務を受けるように胸に右手を当てて頭を垂れる

「えぇ、実は…セレンを誘拐して欲しいの!」

「出来ません」

自分でも驚くぐらい即答で忠誠を誓う君主の命令を拒否した

「ちょっと待ってよアルト〜!グレイドだってもう少し話しを聞いてから断ってくれるわよ?」

セリエは子供のようにアルトに絡んでくる

こうされてしまうと彼女が一国の主であるなどとは誰も気づけないだろう

だが、そういった無邪気さが彼女の女王としての魅力なのかもしれない

「セリエ様…それで、私にセレン様誘拐の大罪を着せてどうなさりたいのですか?」

「意地悪しないでアルト〜。誘拐っていうのは冗談でセレンを一日王宮から連れ出してほしいの!」

とセリエは言うが実際のところ言い方が物騒ではなくなっただけだ

「それでしたら、エルシア様やクラウディア将軍に頼まれる方がよろしいのではないでしょうか?」

多忙な2人ではあるが、暇な時間であれば快く連れ出してくれることだろう

「それがダメなのよ〜この前それを相談したら警備をつけるって言って聞かないの!」

当然と言えば当然なのだが彼女がセレンに警備をつけたがらないのには何か訳がありそうだ

「では、なぜ私にセレン様を王宮から連れ出せと仰られるのですか?」

大体は予想はしていた。今まで国を継ぐ王位継承者として

半ば軟禁状態で育ててしまった自分の娘に少しでも外の世界に触れさせたいのだろう

しかし、疑問が残った。もし、セレンが外出するとなれば護衛が付く

立場を考えれば当然のことだがそれを無理にでもさせない理由とは?

「エルシア達は立場があるから反対しなくてはならないのだけど、私はあの子の親として、ほんの少しの時間でもいいから普通の女の子のように外の世界で過ごさせてあげたいの。だからアルトお願い!」

最初はふざけた話しだとは思っていたが、彼女の一国の女王ではなくひとりの子供の母親としての考えに共感出来た

あるいは、いわゆるお姫さまというのは全ての女の子の憧れ、華やかなおとぎ話のように思えるが

アルト自身の知っているお姫さまは籠の中の鳥だ

「わかりました。そういうことでしたら貴女の御心のままに…」

アルトは胸に手を当てて再び頭を垂れた


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