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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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第12章 ーinto the Abyssー

まだ完全に倒した確証を得られないアルトは槍を構えたままセレンとメリッサの前で構える

「高い山のおかげで酸欠になって動けなくなり、その身を斬られる。普段の貴方ならまず味わうことはないでしょうね」

シルヴィアは再びスカーレットが魔術を発動させることのないよう魔導書を燃やしてスカーレットに近づく

「さぁ、お話しの続きを聞かせてもらいましょうか?」

シルヴィアの台詞を聞きながらラルクは

スカーレットが魔導書無しで詠唱を始めないようにするために剣の届く距離まで近寄る

しばらくの間スカーレットの乱れる呼吸だけが続く

だが、ある瞬間彼女の乱れる吐息は急に止まった

「ぅ…っ……違うの…っ!!」

いきなりスカーレットは嗚咽を混じらせながら涙声になって口を開いた

その姿にその場にいたシルヴィア以外全員が動揺した

「違うのっ…フィルス公が私を…っ……騙したのっ…!!」

彼女が顔を上げるとスカーレットの紅い瞳から大粒の涙が頬をつたって流れ落ちる

それは先程のあの残虐さからは打って変わってか弱い女性の姿だった

「偽りの涙は結構ですから続きを話して下さい。フィルス公がどうしたんですか?」

シルヴィアはスカーレットの流す涙を嘘と見ているようだ

「酷い…嘘なんかついてないわ!…私、謀反が起きたあの日セリエ様のお部屋の近くを偶然通りかかった時、部屋から大きな物音がして部屋にいってみると衛兵と一緒にセリエ様が殺されていて…」

「え…?!」

そのスカーレットの証言にセレンの体に衝撃が走る

「セレン、そんな作り話を信じるんですか?」

シルヴィアがセレンに釘を刺そうとするとセレンはでも、という眼でシルヴィアを見つめる

「それで、床に落ちている血のついた剣を拾いあげたらそこを偶然通りかかったフィルス公に見られて…私がセリエ様を殺したと…」

「スカーレット…それは本当なの…?それなら…」

セレンは自分の母が殺された時の情景を聞かされるという衝撃に耐えながらスカーレットに聞く

真偽の程はまた別として

もうセレンはスカーレットの唇に釘付けになってしまったようだ

「よく出来たお話しですね」

シルヴィアは心に動揺をひとつも浮かべることなく

いつものように凍てつく氷のような視線で彼女を見下ろす

「どうして信じてくれないの?!私は、濡れ衣を着せられてフィルス公につかないとセリエ様を殺した罪で殺されてしまうの!お願い…信じて…!」

スカーレットはラルク達に向かって懇願する

しかし

「ラルク、お願いします」

シルヴィアは先程までのやり取りが無かったかのようにラルクに促す

「あぁ…」

ラルクは躊躇いながらも返事をし

剣を振りかぶるがスカーレットは涙眼でラルクを見つめ

それにラルクは動揺を誘われる

本当に殺していいのか?

もし彼女の主張が真実なら罪もない人をこの手にかけることになる

剣の切っ先が天に向けられたままなかなか降りてくれない

「ラルク、待って!!」

ラルクが迷っているうちにセレンが叫びながら駆け寄ってくる

セレンを守っていたアルトもこの状況下でのセレンの予想だにしない行動で反応出来ていない

「セレン、来るなっ!!」

ラルクは剣を振り下ろすのを止めてセレンを止めるために振り返る「ウフフッ…本当にバカなお姫様さま…」

スカーレットのその一瞬の囁きはラルクの耳にしか届いていなかった

しかし、ラルクがそれに気づいて振り返った時にはもう遅かった

スカーレットは胸元のざっくり開いた法衣の襟をはだけさせ豊満な左胸に刻まれた魔術陣に手をかざす

その顔には哀れを誘う涙はなく

代わりに皮肉の笑みが浮かんでいた

「やられた!?」

ラルクは魔術の発動を阻止しようとスカーレットを今度こそ斬りつけるがもう遅い

ラルクとスカーレットとセレンのいる足場が地割れのように唸るような轟音をあげて崩壊を始めた

「ラルク!セレン様!!」

アルトが2人を助けに向かおうとするがライカが彼女の体を押さえつける

「行くな!!死ぬ気か?!」

「セレン!」

ラルクは崩れる足場を駆け、恐怖に固まるセレンを抱きかかえて手を伸ばすシルヴィアの元へ走る

「ラルク早く!」

シルヴィアが手を伸ばし、彼をアルトとライカとメリッサが支える

もう少しで手が届くと安心してラルクも手を伸ばすが

それも虚しく崩落の轟音に掻き消され

ラルクの手がシルヴィア達の手に届くことはなかった

「セレン様!ラルクーーー!!!」

ラルクとセレンはスカーレットの後を追って奈落の底へと吸い込まれていった


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