第12章 ーthe Bled Colorー
膨れ上がる殺気の中でスカーレットは詠唱に入り
ラルクとライカがそれを阻止しようとするがスカーレットの部下達が間に入って邪魔をしてくる
ラルク達はそれをひとりずつ斬り倒していく
「ラルク、ライカ」
シルヴィアの後方からの声に横っ飛びになると
シルヴィアの生み出した風の刃が黒金達を襲い彼らの身を奈落の底へといざなう
「ッ…!!役立たずね!!」
スカーレットが舌打ちすると彼女の足元に浮かぶ魔術陣が臨界に達し
スカーレットから焔の渦が放たれる
「させるかっ!!」
アルトはそれに対し障壁を発動させ側にいるセレンとメリッサの身を守る
そのスキを見てライカとラルクがスカーレットに襲いかかるが
やはり、幾多もの戦場を戦ってきた歴戦の将だけあって
ラルク達の攻撃もギリギリのところでかわされてしまう
「腐っても神将騎かよ…!?」
ライカとラルクは一旦シルヴィアのいる位置まで後退する
「アンタ達運がいいわね、今日は霧が出ていて空気が湿っている上に、ここは山の上だから酸素が薄い。本来なら今頃アンタ達は黒焦げよ」
そういいながらでも容赦無く焔がラルク達に迫り
肌がジリジリと無数の針で刺されるような感覚に襲われる
「このままだと俺達いい感じにこんがり焼かれちまうぞ」
ラルクは後方のシルヴィアを見る
「酸素が薄いですか…アルト、スカーレットは普段から魔術のみで戦うんですか?」
シルヴィアはセレンとメリッサを背で守るアルトに聞く
「あぁ、いつも部下に周りを守らせて指揮をとり魔術で遊撃しているそうだ」
「なるほど。ラルク、ライカ。2人はスカーレットに接近して今まで通り攻め続けて下さい」
シルヴィアは前衛に構える2人を見る
「それは分かったけどあいつ俺達の攻撃そうそうもらってくれないぜ?」
ライカの言うとおりこちらの攻撃が当たらないのなら
むしろこちら側から仕掛けるのは危険かもしれない
「当たらなくていいんです。僕がちゃんと援護しますから安心して下さい」
そうシルヴィアに言われればラルク達は納得せざるを得なかった
「そんじゃやってみますか!」
ラルクとライカの2人は再びスカーレットに肉薄しスカーレットに攻撃を加えていく
シルヴィアも様々な攻撃の魔術でスカーレットに迫る
対するスカーレットは魔術を障壁で受け止め、なおかつラルク達の攻撃をかわすという芸当を繰り返す
「っ…!!うっとおしいわねっ!?」
最初の内は機敏に動いていたスカーレットだが次第に紅色の唇から苦痛の吐息が洩れ始める
「ッ…ハァッ…ハァッハァ……!」
息が切れて詠唱が困難になってきたスカーレットは口での詠唱を止め
魔導書を取り出しその魔術陣に手をかざし焔の渦を放つ
「そろそろですね…ラルク、ライカ」
シルヴィアは2人に呼びかけるとラルクとライカは同時にスカーレットに迫り
ライカが拳を撃ち込みそれをスカーレットが魔導書で受けるが当然ライカの力が勝り魔導書が彼女の手から投げ出される
スキをみたラルクが横薙ぎに剣を振るが間一髪でスカーレットはそれを避ける
しかしそれは布石だった
態勢を崩したスカーレットの体をライカが駆け上がり踵を彼女の紅の後頭部へ落とす
後頭部にまともに踵落としを受けたスカーレットは意識が飛びそうになりながらぐらつき
そこにラルクが素早く踏み込んでいき一閃する
遂に彼女は膝をつき彼女ね二つ名と同じ紅蓮の血をわき腹から流す
「やったのか…?!」




