第12章 ーthe Scarlet slipped into the Fogー
ラルク達は戦闘態勢に入った
始めはシルヴィアにしか聞こえていなかったが
その足音は段々とラルク達の耳にもとらえられるようになってきた
足音が近づくのに呼応して心臓の鼓動も段々と大きくなる
敵の数は…およそ15ぐらいだろう
「フフフッ…こんなところで遭うなんて奇遇ね」
霧の奥から聞こえる艶っぽい声
「その声は…!?」
アルトが1番始めに嫌悪の表情を浮かべる
「スカーレット…!!」
アルトに呼ばれ霧の奥から現れた美しい妖女はその朱の唇に笑みを浮かべる
「こんな危ない山に部下連れて遠足か?」
ラルクが出会い頭に挑発する
「あら、山ですれ違ったら挨拶をするのが礼儀ではなくて?それより、こんな山奥で我が麗しの君に会えるなんて光栄ですわ」
スカーレットは罪悪の緋色の唇に皮肉をたっぷりこめる
「……スカーレット、どうしてこんなことになってしまうんですか…?!」
今回のセレンは勇気を出して前に進み出る
「そのような事、我が君が知るようなことではありませんわ。ずっとあの小さな鳥籠のような部屋に閉じ込められていた貴女には」
スカーレットは退屈そうに右手で自分の紅の髪をなびかせながら言う
「ちゃんと…ちゃんと答えて…!」
セレンが怯えを握った拳に混じらせながら追求する
「フゥ…仕方ありませんわね……」
スカーレットら溜め息をついた後にひと呼吸おき、こちらを睨みつける
「気にいらないのよ…!あの女、セリエ女王のやり方が!」
それを聞いたセレンはビクッと肩を震わせ
それを見たアルトは彼女の肩に手を置いて後方へ下がらせる
「で、セリエ女王の何が気に食わないってんだよ?」
セレンに代わってラルクが前に進み出て聞く
「あの女はいつも私達の前できれい事並べて理想を私達に勝手に押し付けて…私そういう現実を見ない女大っ嫌いなのよね」
スカーレットの表情は話しているうちに段々と悪意と軽蔑を込めたものへと変わっていく
「それで、理由はそれだけですか?」
シルヴィアが聞き返す
「あら、聞きたいの?そうね…聞きたいなら貴方自身のことを私に話すか、私に力づくで話させるか選びなさい」
スカーレットは挑発するような態度でシルヴィアに要求する
「ヒュー、なかなか刺激的なこと言ってくれるじゃん?」
ライカが冷やかすように口笛を吹く
「アンタ、シルヴィア君に興味あるって……そういう趣向が好みなの……?」
メリッサはまるで苦いものでも口に含んだかのようにスカーレットに向かって舌を出して見せる
「残念だったなぁ!うちのウブなシルヴィアは年上はあんまし好みじゃないってよ!」
ラルクは剣を構えてスカーレットに向かって走り出す
「ラルク、そういう意味ではありません」
シルヴィアもラルクの後に続く
「あら、それは残念ね…じゃあ、お前達にはここで死んでもらうわよ!!」




