外伝 ーSolitude of Invisibleー Part2
光の方を見ずただ深淵の永久の暗闇を見下ろしながら歩いていたラルクは
気がつくと街が見渡せる高台まで来ていた
いつもなら街の外の世界を見渡して心を落ち着かせる筈だが
今のラルクの眼に映る眼下の景色はさらにラルクの心に影を忍ばせた人の営みの感じられない広大な夜の世界
それが、街の外を見渡した感想だ
立ち止まり高台の手摺の足場がない方へと足を出し腰掛ける
下を見下ろせば遥か下には灰色の石畳
はたから見ればラルクは空を見上げているようにも見えるが
実際の当人の眼には夜空の星も弦をさらに天空へ向けて引き絞った月も見えていなかった
「親父……死んでからどれくらい経つんだ…?」
そんな言葉を口にした
構わないさ誰も聞いちゃいないんだ
「母さんの話ししてくれるって言ったじゃねぇかよ…?」
俺が物心つく前にはもう死んでたらしいけど
俺、母さんの事なんもしらねぇや…
「いっか、今度親父と母さんの墓参り言行った時に話せば。それより、さっきは楽しかったわ…ま、話しのネタ俺だったんだけどな、ハハハッ…!」
ラルクは短く笑い声をあげてから深く息をついた
「でも、なんだろうな…それが終わった後ってなぁんか落ちつかねぇ……」
胸がざわつく感じがするんだ
ハッキリとはそれが何なのかわからない
生暖かい風が正体のわからない事に悩んでいるラルクを嗤うかのように
彼の銀髪を弄んで去っていく
「わかんねぇや………帰るか…アルトに怒られんな…」
ラルクは手摺の反対側の足場に降り宿へとゆっくり帰っていった
そして、いつも通りの朝を迎えラルク達は街を出て行った
いつも通りの陣形を取り歩いているが今日もいつも通りラルク達の会話が弾む
グダグダに見えるが一応全員が周囲の警戒を怠っていない
だが、ラルクは独りその会話に入って行こうとせず仲間達の会話を眺めていた
「でね~その時シルヴィア君が……あれラルク?どうかしたの?」
メリッサは会話の途中だったが
視界の端に映ったラルクに眼を留めた
「あ?なにが?」
ラルクはメリッサに声を掛けられ彼女を見る
「どうしたんだラルク?さっきから上の空よ?」
アルトにも言われてしまった
「あ、いや…昨日ちょっと寝不足でボーッとしてるだけだわ」
実際にはそんなでもない
「大丈夫ですかラルク?少し休みましょうか?」
おっと、セレンが食いついてきたな…
こりゃマズイぞ…
「セレンに膝枕でもしてもらえばいんじゃねぇの?」
ライカがニヤニヤしながら言う
「いや、恥ずかしいからいいわ…」
大丈夫、大丈夫じゃないの前にそれは本当に恥ずかしい
「なら、ここからレギオンが近いですし、時間に余裕があるので今日はレギオンに滞在しましょう」
そうシルヴィアが提案した
「いや、シルヴィア本当に俺は大丈夫だ。さっさと目的地に行こうぜ?」
とは言ってはみたが
「そうね、すぐそこだしいいんじゃないか?」
「野宿よかマシだな~」
意外と反論する様子は無いようだ
まぁ、いいか…




