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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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第2章 ーTransmitted to the Sword feel is…ー

「アルトの色仕掛けに引っかかってないで急ぎましょう」

「別に引っかかってなんか…!…セレンこの部屋に隠し通路かなんかあるか?」

気を取り直しセレンに聞く

「いえ、特には…」

どうやらセレンの言うとおりで今は探している時間もない

「仕方ありませんね、窓から行きましょう…」

さらっと言ってのけシルヴィアはバルコニーへと続く窓を開ける

「え?本気ですか?!ここ3階ですよ?!」

焦るセレン

「僕が先に行きます、ラルクはセレン王女をお願いします」

シルヴィアは迷う事なくバルコニーから身を投げていった

「俺たちもいくか…」

ラルクはセレンを抱えあげシルヴィアと同じ様にバルコニーから身を投げる

「え?ちょっ?キャーーー!!」

セレンはラルクの服をギュウッと掴み落下の恐怖に耐える

気がつくとセレンは既に着地していたが落ちている時の恐怖は

数倍の時間にも感じられた

着地する時に体がフワッと浮き上がった感覚がしたのは

シルヴィアの魔術のおかげだろう

「大丈夫か?」

ラルクが楽しそうにセレンに声をかける

「こ、怖かったです…」

涙目になりながらペタンと腰を地面につく

「もっと別の方法は無かったのか?セレン様には刺激が強すぎるだろう」

アルトがセレンの前に膝をつき彼女に怪我がないか体を見回す

アルトが何時の間にかここにいるという事は

さっきの黒金の男共はアルトの色仕掛けに鼻の下を伸ばしてる隙にやられたのだろう

「何者だ!?」

息をつく間もなくラルク達の元に1人の騎士が駆けつけた

その手には剣が握られている

「見つかったか…!」

腰の剣に手をかけ、自然とその右手に力がこもる

そして体が殺気に包まれる

たが、その瞬間ラルク達の前に立ちはだかった騎士は

その場に崩れ落ちた

アルトが背後に回り込み気絶させたのだ

「武器を収めなさいラルク」

「なんで戦わないんだよ…」

言われた通り剣を鞘に収め不服そうな顔をする

「今の私達の目的はセレン様の救出、人を殺す事じゃない」

「殺そうとしてなんか…!」

否定したが、心の中は概ね悟られていた

「そうか?先程のお前の眼は殺気に満ちていたぞ、訓練の成果を試したいと言う様にな…」

何も言い返せなかった…しかし、それの何がいけないのだろうか

まだラルクには分からなかった


城の外に出られた時にはもう月が空高く登っていた

ラルク達はグレンが確保した退路から脱出して砦に帰ってきた

帰るとすぐにラルク達はグレンの執務室に集まった

「さて、セレン王女を救出したはいいがこの後どうするかが問題だ」

グレンは椅子の背もたれに寄りかかり眉間にシワを寄せる

「この騒ぎがまるまでうちで保護すればいいんじゃないか?」

ラルクが提案する

「しかしここにとどまり続ければ敵に感づかれます。それに契約には姫の保護は含まれていません」

「じゃあこのまま危険な王宮内にセレン様を戻せと言うのか?」

アルトがシルヴィアを睨む

「2人ともよせ」

みかねたグレンが制す

「一旦今日は休むぞ、セレン王女は俺達で保護する、いいな?」

誰もグレンの意見に意を唱えなかった


その日の夜

「ラルク、ラルク起きて下さい」

「ん…?」

ラルクは眠い目をこすりながら体を起こした

頭がまだ半分寝ている状態だったが次のシルヴィアの一言で一気に目が覚めた

「敵襲です、早く準備をしてきて下さい」

「…?!」

頭が完全に目覚めた

ラルクは急いで装備を整え執務室に急いだ

「遅いぞラルク!」

いつもはあまり怒ったりはしないが

その眼はいつに無く真剣だった

これから命の駆け引きが始まるのだから当然だ

少しでも気を緩めればそれが死に繋がる

「敵の数は約30、小隊程度の数です。向こうは4分の1刻後までに姫の引き渡しを要求しています」

シルヴィアが早口に状況を説明する

「30か…なら裏口はアルトとシルヴィア、表は俺が行く、ラルクは奥でセレンの護衛につけ」

「俺は前線じゃないのか?」

納得が行かずにグレンに訴えるラルク

「もし俺達が敵を抑えられなかったら誰がセレンを守るんだ?」

そう言い残しグレンは配置につきに向かった


しばらくすると武器の重なり合う音、人の叫び耳に入った

異様な緊張が漂い心臓の鼓動が速く大きくなる

そう、これは訓練ではない

生きるか死ぬかの命の駆け引きだ

「アルト達は大丈夫でしょうか…?」

不安そうな表情を浮かべるセレン

「大丈夫だろ、そこらの兵卒よか強いと思うぞ」

話している最中から武器の重なり合う音が段々と小さくなってくる

こちらが優勢なのだと分かれば安心できる

と思っていた矢先に誰かの足音が近づいてくる

それもものすごい勢いで

多分グレン達のものでは無いだろう

「セレン下がってろ…」

「…ハイ」

セレンは部屋の隅に身を寄せる

それを確認したラルクは静かに剣を鞘から抜く

息を殺し扉の横で待機する

さっきの足音はラルク待機のいる部屋の前でとまり

扉が大きな音を立てやぶられた

黒の鎧

やはり敵だ、恐らく隙をついてすり抜けて来たのだろう

「死ねぇっっ!!」

相手の騎士は殺気に満ちた眼でラルクに斬りかかってくる

かなり興奮しているようでラルクは騎士が横薙ぎに振った剣をバク転で躱す

見た感じそんなに強くはないだろう

勝てる

相手の騎士は間髪入れずに剣を縦に振り下ろすが

ラルクも下から斬り上げ相手の剣を弾き隙を作る

ラルクは素早く踏み込み相手の鎧の間に剣を突き刺した

刺した剣を抜いた瞬間そこから大量の血が噴き出し

身体中に顔にも返り血を浴びる

そしてもう一太刀

今度は剣を伝って肉と骨を絶つ感触が伝わってくる

相手の騎士は悲鳴をあげて崩れるようにして絶命した

相手が死んだのを確認すると

ラルクは血で濡れた剣を相手の服で拭い

自分の顔に付いた返り血を服の袖で拭った

セレンを確認すると

彼女は肩を小刻みに震わせながらその眼に涙と恐怖を溢れさせ

死体を確認するラルクにセレンは

震える唇でこんな言葉を口にした


「ラ…ラルク…が…殺した…の…?」


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