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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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第9章 ーenable protected Body and unable Heartー

「母さん……」

ラルクは何時の間にか微睡みから引き戻されていた

眼を開けると見えるのは星空ではなく見慣れた少女の顔だった

「ラルク?私はラルクのお母様じゃありませんよ?」

気がつくとダンケルク城にいるはずのセレンがラルクの顔を覗き込んでいた

「セレン…?!」

ラルクが勢いよく体を起こし彼女の顔を見ると

眼元が赤く腫れ茶色の瞳の周りが充血していた

「ラルク達がこちらに向かっていると聞いてアルトに連れて来てもらいました。さっきまでケガをされていた方達の手当をしていたんです」

「そうか……セレン!…その……」

ラルクにはセレンに1番聞きたい事があった

「ラルク、またお話し相手になってもらえますか…?」

セレンはラルクの言葉を遮り上目遣いでラルクを見る

セレンの話し相手になるというのはこの旅の始まりにした約束だ

「あぁ…」

ラルクがそう返すとセレンは一瞬笑顔になり

そしてまた真剣な顔になりラルクの隣に腰を下ろした

「…アルトに…全部聞きました……お母様の事を………」

「アルトと話したのか?」

ラルクが聞くとセレンはゆっくりと小さく頷いた

少し驚いた、あんなにアルトはセレンに真実を打ち明けるのを怖がっていたのに

「全てを聞いて…私もアルトも一緒になって泣いていました……確かに始めはアルトに感情を抑えきれずにぶつけてしまいました……でも本当に責めを追うべきはアルトじゃないんですよね?アルトもラルクも他のみんなも辛い中で私を守ってくれてたんですよね…」

セレンの眼には涙が溜まっていた

彼女の琥珀のような瞳に溜まる澄んだ涙

「いや…でも俺はセレンの体は守れても結果的に心が傷つく事からは守ってやれなかったよ。セレンも他の奴らもそうだ………」

ラルクはセレンから目線を外しながら言うと

膝の上に置いていた左手を強く引っ張られた

セレンが小さく暖かな手でラルクの大きなゴツゴツした手を握りしめていた

「違います…っ!ラルクはちゃんとみんなの事を守ってます!!もしラルク達やグレンさんがいなかったら今頃私は……!!」

セレンはそう言いかけると握りしめていたラルクの左手をラルクの膝の上に戻し

背を向けて星空を見上げた

「だから…そんな事言わないで……」

セレンの声は弱弱しく震えていた

「心が傷つく事は避けられないかもしれません…その傷は自分で抱えてしくしかないかもしれません…」

セレンは右手の人差し指で眼を拭って再びラルクに向き直る

「でもみんなと一緒に抱えていけば……独りよりずっと強くなれるって分かったんです…!」

そう言ったセレンの顔はラルクが知っているいつもの彼女の顔に戻っていた

「そっか……なんか逆にセレンに励まされたな」

でも良かった、アルトがセレンに本音を打ち明ける事でようやく仲間を頼るようになった

アルトの心もこれで少し楽になってくれるだろう

そして、ラルクは何かを思い立ったようにグレンの墓標である剣の台座の前に立った

「ラルク…?…それは……」

ラルクは父の剣の柄にゆっくりと手をかける

「親父…力を貸してくれ…!」

ラルクは台座から月光を受けて白銀の輝きを放つ刀身を引き抜いた

「あっ…!?」

「っ…!?」

剣を引き抜いた瞬間、ラルクが引き抜いたグレンの剣の刀身と

セレンの右腕の銀の腕輪がお互いを呼び合うように月明かりより眩しい白銀の光を放つ

「い、今のは…?」

セレンが右腕に通されている腕輪を見る

「きっと親父がこの剣を使う事を許してくれたんじゃねぇか…?」

ラルクがそう言うとセレンは柔らかく微笑んだ

「そうですね…きっと……グレンさん、お力をお借りしますね…」

セレンはグレンとアルナの墓標に向かって深々と頭を下げた

すると、セレンの言葉に返事をするように柔らかな風がセレンの黒髪を撫でていった

「じゃあラルク、向こうでアルトが待っているので先に行きますね!」

「あぁ、おやすみ…」

ラルクがそう言うとセレンはラルクに頭を下げて走っていった

そして、遠くに見えるアルトはラルクにウインクして見せ

アルトの元に着いたセレンと腕を組み城へと続く道を歩いていった

ひとり残されたラルクは改めて両親の墓標に向き直る

「アイツに勝ったら…また、返しに来る…待っててくれ…!」

ラルクは剣の刀身を顔の前に立て頭を下げた

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