表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
40/114

第7章 ーthe Step to Feedbackー

王都を出て何刻か経っただろうか

その途中でライカが

「…で、依頼を受けたはいいけど何から手ぇつける?」

その後、ラルク達は何の情報も得ずにレギオン王城を後にした

ライカとメリッサとも別れてしまったから今のところあてはない

「とりあえずハーロットが怪しいので探してみればいいんじゃないですか?」

セレンが首を傾げる

「それでは漠然とし過ぎていますね」

「何かいい案があるのかしら?」

と言われてもシルヴィアもあてがない

「なんだ…全滅かよ……」

「そんな時はぁー!」

「ん?」

聞き慣れた声が城門向こう側から聞こえてくる

「ガルシア人におっ任せぇー!」

ライカとメリッサが城門の向こう側から飛び出してくる

「まぁたお前達かよ…」

「そんなつれない事言うなよラルクぅ~」

メリッサがイタズラっぽい笑顔でラルクを肘で小突く

「お前さん達には特別師団長の俺が必要だろ?」

ライカは気取りながら城門に寄りかかる

「また騒がしくなりそうね…」

「でも、また一緒に旅が出来て嬉しいです!」

「まぁ、これでも一応貴重な情報源ですからね」

「そんな事言ってぇ…ホントは嬉しい癖にぃ!」

シルヴィアは鼻で笑う

そこでアルトはパンパンと手を叩く

茶番を終わらせる合図だ

「それで、何か手がかりがあるのかしら?」

まさかここまでラルク達を追ってきてふざけ倒しに来た訳ではないだろう

「とりあえずミラクに行こうや、話しは追い追い…な?」

ライカは曖昧に返事をして先に歩き始めた

ラルクは皆の1番最後に後を追う

胡散臭いが今まで信じてきた情報源だ

「ところで、姫様は良かったのかい?」

ライカがメリッサと話しているセレンに声をかける

「へ?良かったって何がですか?」

「いや、だからさ…せっかくラルク達がセレンのために頑張ってガルシア王に認められたのに、反乱に対抗するために力を借りなくていいのかい?」

ライカは当然悪意があって言った訳ではないが

その言葉はセレンの顔を曇らせた

「ラルク達には申し訳ないと思っています…ただ、オルドネス様にお力を貸して頂くならちゃんと戦う相手をハッキリさせておきたいんです……」

一気にその場の空気が重くなる

(ちょっとライカァ!どうすんのこの空気!?)

メリッサは空気を重くした張本人のライカを肘で小突く

「え…いやっ…あれだぜ?……そういう事じゃなく……」

ライカが言葉に詰まらせている中セレンが口を開いた

「みんな…あれ……」

セレンが指を指すその先には

何やら黒い鎧を着た者達が居並んでいる

「やっぱ検問しかれてるよねぇ…」

ライカが軽く舌を打つ

「なんでこんな場所に黒金騎士団がいるんだよ?え?ここガルシアだよな?何あいつら地理感覚なくしたのか?」

ラルク達は物陰に隠れて覗き込む

「ミラクはルシアとガルシアを海で結ぶ街、だからかしらね?」

アルトが腕を組みながら言う

「よくわかんないんで姐さん解説頼む…」

「メリッサ、お願いね」

アルトが肩を叩くとメリッサは咳払いをする

「オホン…ミラクはガルシアとルシアを海の国境で向かい合ってる街でルシアからガルシアに行くなら陸路よりルシア側のニンフから海路でミラクに来るっていう交通手段の方が一般的なのだよ……分かったかな?」

「はいっ!質問です!陸路じゃダメなんですか?」

セレンに質問され今度はライカが咳払いをする

「いい質問だねセレン君、セレンも知っている通りエデンを南北に二分するルシアとガルシアの国境てのはほとんどが山で隔てられてんだ、オマケに山道は安全とは言えねぇし、黒獅子も出るときた…と、こんな感じだねセレン君、後はシルヴィア先生に任せるよ…」

ライカは苦笑いしながらシルヴィアの肩を叩く

「あまりふざけている場合でもありませんよ……確かミラクを治めているのは大鴉のハーロットですよね?」

ミラクを治めているのは大鴉のハーロット…?

じゃあ、あの誘拐事件は……

いや、それはもう終わった事だ

「まぁ、ハーロットが黒金と手ぇ組んでたらミラクから奴が手引きしてる可能性が高いだろ?んで、ミラクには近づかれたくないからこうして検問してます…ってわけかい」

「で?どう突破すんの?」

長い説明はよせと言わんばかりにメリッサがライカを肘で小突く

「とりあえず話しでもしてみる?」

女の子を引っ掛けに行く人数を募るようにライカが振り返る

「相手は女性じゃないだぞ…?」

アルトがため息をつく

「そうなんだよそこなんだよぉ…!まぁ、上手く口説いて見せますよ……」

そうヘコヘコしながらライカは検問する黒金の元に出ていった

「また面倒な事を始めてくれましたね…」

シルヴィアがため息混じりにライカの後をラルク達と一緒に追いかけていくが

当然、検問をする黒金の騎士に止められる

「お勤めご苦労さん!ところでアンタ達誰の許可でこんなとこで検問敷いてんの?」

ライカは騎士の顔を覗き込むように聞く

「そんな事貴様らには関係無い、それより貴様らこの顔の女に心当たりないか?」

騎士の1人が一枚の人相画を差し出す

その人相画に描かれいたのは紛れもなくセレンの端正な顔だった

それを見たセレンはアルトの後ろに静かに隠れる

「へえ、それでその娘を探してんの?」

ライカが探るように聞く

「上から見つけ次第捕らえよと命令が出ている、貴様ら何か知っているか?」

幸いその騎士はアルトの後ろに隠れるセレンの存在に気づいていないようだ

「こんなかわいい娘知ってたら放っとかねぇよ…」

今度はラルクが返事をし通り過ぎようとするが

「その女の後ろに隠れるている奴出て来い!」

騎士がアルトを指差す

アルトの後ろに隠れていたセレンは肩をピクリと波打たせ

アルトは体を右へとずらしていく

「セ、セレン様?!お、お前達捕らえろ!!」

疑っていたのだろうが、あまりにもあっさり捜索目標が見つかり

騎士達は慌てて武器を構える

「さぁセレン様をこちらに渡せ!!」

騎士達はお決まりの台詞を叫びながらセレンにゆっくり近づく

「ア、アルト…どうしましょう……?」

セレンは一歩後ずさると後ろに周りこんだアルトに優しく背中を受けとめられた

「大丈夫ですよセレン様」

アルトはセレンに微笑むと槍を出し

その矛先を敵に向けるのではなくセレンの喉元に突きつけた

「動くな!動いたら殺すっ!!」

アルトの一声に一瞬騎士達の動きが止まる

「おっと困ったなぁ、命令は確か生け捕りだったよなぁ?殺されちまったらそりゃぁ重~い罰を受けるんだろなぁ~?」

ライカが挑発するように言う

「さぁ、セレン様を殺されたくなかったら通してもらおうか!?」

アルトが騎士達を睨む

しかし…

「ただの脅しだ!かかれぇ!!」

その一声で騎士達は覇気を取り戻し向かってくる

ラルクは騎士の振るう槍を剣を抜いて受けとめ

迷いなく斬り捨てる

守るために………

「ここで一戦始めますか?僕達は構いませんがここはガルシア国内だという事をお忘れなく…」

「それがどうした!?」

騎士達は負けじと吠える

「特別師団長ぉどうしますぅ?この人達オルドネス様に無断で検問してますよぉ?」

メリッサがワザとらしくライカに告げると一瞬騎士達の顔が固まる

「特別師団長ってまさか…あのガルシア王の片腕の…!?」

「ライカだ…実はさ今俺の部下が見えないとこからお前さんらの事狙ってるんだよねぇ…」

ライカが視線を移すと騎士達の視線もライカのについていく

もちろんそんなのはライカお得意の大ウソだ

「死にたくないんならお前さんらの指揮官でも連れてきたらどうだい?」

ライカは首を傾けながら微笑みかける

「クソ…!一度撤退するぞ……!」

騎士達は悔しさと恐ろしさを入り混じらせた表情で背中を向けて逃げていった

「決まったな………!」

ライカは気取ったようにラルク達を振り返る

「ちょっとラルク演技中は真顔やめてよぉ!」

メリッサが腰に手をあてて怒る

「しょうがねぇだろ真面目な場面なんだから!」

ちょっとふざけた感じで言い返すが

実際は違うんだ………

「それよりアルト笑いそうになってたろ?」

心の内を悟られたくなかったから話題を変えた

「だって…フフッ…セレン様の顔が……ッ!」

アルトが思い出し笑いを始める

「わ、私の顔がなんですか?それと、さっきのはどういう…?」

いまいち状況の飲めないセレンが視線を右往左往させる

「す、すみません…っ!私が槍を突きつけた時のセレン様の顔が…っ!」

それを皮切りにアルトは笑いを堪え切れなくなり

ラルク達の目をはばからず笑い始める

「ひ、ひどいですよアルト!もぉ…恥ずかしいです……!」

セレンの顔が一気に紅くなり

小さく体を縮こませる

その姿がラルクの目にはかわいらしく映ったというのは内緒だ…

ライカもきっとそう思ってる筈だ

と、ライカと目配せを交わす

「不敬罪でアルトは断罪…と」

「そ、そんなのダメですシルヴィア!」

セレンはオロオロとアルトとシルヴィアの間を行き来する

「冗談です、演技ですからね」

「へ?今の演技だったんですか!?余計恥ずかしいです……」

セレンが恥ずかしいそうに体を揺する

「そうそう、こうすりゃ無駄に戦わずに済むかなぁって思ってな…」

ライカは先程ラルクの殺めた命の器に視線を落とす

「嫌な役回りさせちまったな……」

ライカは黒金の騎士の亡骸を見つめるラルクの肩に手を置く

「いや、犠牲は少なく済んだ……そうだろ?」

分かっている、本当はそんなのは正しい筈がない

大きな利益のために小さな犠牲が必要だなんて………

守るために、と誓ったが意志は揺らいでしまうものだ

揺らぎながらも今のラルク達には立ち止まっている暇はない

「んじゃ、検問もなくなった事だしハーロットの御宅訪問と行こうぜ」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ