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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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第1章 ーthe look of Nostalgicー

「ラルク」

食堂の椅子に座りながら窓の外を眺めていると不意に食事の支度をしているシルヴィアに声をかけられた

「ん?」

気のない返事を返す

「早く難易度の高い任務に出たいんですか?」

「何で解った?」

「ラルクが任務に出たいという時は大体窓の外を眺めていますから」

表情を変えずにいう

「よく見てんのな…確かに早く討伐とか難しい任務に出たいけどな…何の為に訓練してんだか」

ため息を混じらせる

ラルクは傭兵団に所属していながらまだ討伐の様な難しい任務にでた事が無かった

それに比べシルヴィアは団長でありラルクの父であるグレンについていき難しい任務をこなしている

しかし、ラルクがグレンに頼んでもダメの一点張りだ

ラルクにとってはそれがはがゆかった

「それなら、魔術と錬成術の練習の後に戦闘訓練でもしますか?」

「ホントか?!」

ラルクの顔が一気に明るくなる

「ええ、それでは僕は先に練兵場にいってますよ」

シルヴィアは食堂を後にした


半刻後、ラルクは訓練用の木剣を持って練兵場に向かうと

シルヴィアが何冊かの本を持って立っていた

「待たせたなシルヴィア」

「いえ、始めましょうか」

そう言い、シルヴィアはラルクに持っていた本を手渡した

「何だこれ?」

「下級魔術の魔導書です、魔術はこれがないと使えません」

シルヴィアの話を聞きながらラルクはパラパラ魔導書を眺める

「なぁ、やっぱ魔術もこの先はもっと高度な魔術覚えなきゃダメか?」

「いえ、ラルクは基本的な事をおさえれば大丈夫です」

シルヴィアが答える

「まず、魔術と錬成術の違いは、本来物質は基本的に3つの状態の分類の内

個体、液体に干渉するのが錬成術で気体に干渉するのが魔術と覚えておいて下さい」

シルヴィアは落ちている折れた木剣を拾いあげ

図を描き始めた

「これは?」

ラルクが聞く

「錬成陣です、錬成術は魔術と違い錬成したい物に直接手を触れなければなりません」

描き終わるとシルヴィアはラルクを見た

「ラルクこれに両手をついて見て下さい」

シルヴィアに促されるまま手を錬成陣に触れる

すると地面が隆起を始める

「陣は錬成が成される範囲を示しています、そして中に描かれているのは造形の紋です、他に破壊や昇華の紋があります」

「なんか難しいな…」

「そうでしょうね…」

そこでシルヴィアは先程の折れた木剣に手を触れる

それと同時に木剣が形を変え始めナックルダスターが現れる

シルヴィアがいつも使っている武器だ

「シルヴィア今…錬成陣無しで…?」

なんとシルヴィアは錬成陣無しで

しかもラルクより正確に武器を錬成してしまった

「はい、普通の錬成術士や魔導士はこんな事は出来ませんが、一部の素養のある者にはこういう事が出来ます」

ラルクにはにわかに信じ難い

「じゃ、魔術でも同じ事ができるのか?」

シルヴィアは頷き両手を前に出し詠唱を始める

「ラルク、宙返りして見て下さい」

シルヴィアに促されラルクは重心を後方に傾けながら地面を蹴り身を反らす

すると、いつもは短く景色が一回転する筈が今回は違う

景色の回転している時間が長い

それに地面を蹴った時体が軽かった

ラルクの体が空高く浮き上がったのだ

「っと…」

体勢を崩しながら着地した

「今僕はラルクの足元に気流を生み出しました、それによって高く跳ぶ事や動きを加速させる事が出来ます」

一応魔術や錬成術が便利だという事だけは解った


「んで、基本はこんなもんか?」

「ええ、後は応用です、そろそろ僕の説明にも飽きて来た頃でしょう?」

そう言いながらシルヴィアは武器を前に出す

「ああ、そっちの方が頭に入りそうだな」

「そんじゃあ、遠慮無く行くぞ!!」

ラルクは剣を顔の横に構え突進する

ラルクがシルヴィアの間合いに入るのに対し

シルヴィアは構えすらとろうとしない

しめたと思いシルヴィアの頭めがけて木剣を振り下ろす

いくら木剣と言えど

木剣の中には鉄の芯が入っていて本物のさほど重さも変わらない

当然、当たれば相当痛いし最悪骨が折れる

しかし、シルヴィアの唇が微かに動き

彼の前に障壁が現れラルクの攻撃を遮る

防がれた剣から手に痺れが伝わり

その痛みを歯を噛み締めて堪える

そしてシルヴィアがナックルダスターで反撃にでる

ラルクは一発を頭をずらして避け

二発目を剣で受け止める

ラルクも剣を横薙ぎに振るが

シルヴィアはバック宙で躱す

そこからシルヴィアは体を捻り投擲用のナイフを投げる

今度はラルクがバク転で躱す

「また腕を上げたな…」

お互いに間合いから外れる

「ラルクこそ、ですがこれはどうでしょう…」

シルヴィアが詠唱を始めると足元に魔術陣が浮かび上がる

「させるかぁ!!」

ラルクはシルヴィアの詠唱を邪魔するため詰めよろうとする

しかし、シルヴィアの詠唱の方が早かった

魔術陣から焔の渦が放たれる

「危ねえっ!!」

ラルクは横っ飛びで何とか避けたが髪の毛が少し焦げた

しかしそんな事を気にしている暇はない

その時焦げた臭いと熱気の中からシルヴィアがこちらに踏み込んでくる

だが、シルヴィアは拳を剣で受け止められ後ろに飛び退く

対するラルクは離れるシルヴィアを追っていき剣を振る

一方シルヴィアも負けじと拳を繰り出す

2人の剣と拳が乾いた音をたてぶつかり合う

だが、2人の耳に入ったのは

いつもの訓練用の武器がぶつかり合う音が少し違った

なぜなら…

「僕の負け…ですね」

シルヴィアは動きを止めた

「どうした?」

ラルクが聞くと直ぐに異変にきづいた

シルヴィアの右手からナックルダスターが消えている

「砕けましたか…」

ラルクが下を見るとシルヴィアのナックルダスターの残骸が散らばっている

「錬成術は万能じゃ無く、この様に対象物が劣化します」

「じゃあなるべく武器は錬成しない方がいいってことか」

「そういう事ですね、説明はこんな所ですね…そろそろ砦に戻りましょう」

シルヴィアは武器を手から外し始める

「そうだな、今朝早く起きちまって眠いし…」

ラルクは大きくあくびをした


二人が砦に戻って来ると

女性が一人門の前に立っていた…


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