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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
29/114

第6章 ーDaydream while Sleepingー

結局、セレンが連れていかれた場所が分からないため

情報が入ってくるまでレギオンで待機する事になった

その夜ラルクはまた眠れないで城の中をフラフラと歩いていた

最近あまりよく眠れていない

理由はわかっている…

これから起こる戦いも避けられないだろう

また自分は…

「親父…?」

中庭を通りかかるとグレンの

ラルクの父の姿があった

中庭に立つグレンの背中は理由もなく何となく寂しそうに見えた「どうしたラルク?」

グレンはゆっくりと振り返った

「何か眠れなくって…」

父親と2人きりのせいか子供染みた台詞が出てラルクは少し恥ずかしくなった

自分はもう大人なんだ、と思っていたが

まだまだ甘えがあるんだと改めて気づいた

「眠れないなら少し話すか…」

ヒゲを生やした口元にグレンは笑みを浮かべた

ラルクに向けられたその笑顔は久しぶりに見た団長としての顔ではなく

父の顔だった

「どうだ?傭兵の仕事にはもう慣れたか?」

グレンはその場に座り他愛もない質問を投げかけてきた

「そうだな、元々シルヴィアもアルトも姉弟みたいに育ったから今更何の苦もないだろ。セレンやライカ、メリッサ、旅してから色んな奴と会ったな…」

ラルクの言葉にグレンは嬉しさを混じらせながら頷いた

いわゆる、子供の成長を感じる瞬間…というやつだろうか?

「仲間か…ラルクにもそう呼べるものができてきたか…」

「親父はオルドネスとゲルダか?」

ラルクがそう言うとグレンはクスッと笑う

「あれはくされ縁でできた悪友だな」

ひとしきり笑い合い

また2人の間に静寂がこだます

きっとお互いに聞きたい事はわかっている

「明日…戦いになるのか?」

先に沈黙を破ったのはラルクだった

「下手を打てば戦いになるだろうな…」

「俺、怖いんだ…人を…殺すのが…」

消えてしまいそうな声でラルクは勇気をだして言ってみた

この事を言ったらグレンに怒られると思ったからじゃなく

この怖さを口に出してしまったら

さらに恐怖が大きくなるのではないかと思ったからだ

それに、今のところ父にしかこの本音は言えそうにない

「ラルク、人の命にしろ何かを奪うというのは誰でも怖い。だが誰にでも守りたいものがある、例え自分の手を汚したとしてもな…まぁ、正しいか正しくないかはまた別問題だがな」

「親父は…戦うのが怖くないのか?」

「怖いさ…戦場では臆病な奴が生き残るからな」

意外だった、まさか自分の剣のしである憧れの父が自分と同じ思いを持っていたとは

「でも、守りたいもののために勇気を出さなきゃいけない時もある…」

なぜだか、グレンの蒼い瞳に彼の過去が見えそうな気がラルクにはした

「親父の守るものって何だ?」

グレンに聞いてみると彼は少し優しい顔になった

「家族である傭兵団のシルヴィア、アルト、死んだ母さんが残したお前…後は自分の正義…だな」

父の言う自分の正義…

じゃあ、自分の正義とは何だろうか…?

「ところが俺は1人の命を守るためにどれだけの命を奪って来たんだろうな…守るというのは難しいもんだ」

グレンのその言葉で自分の抱えて来た迷いが解決する訳ではないが

きっかけにはもしかしたらなるかもしれない

「そっか……親父、話し聞いてくれてありがとう!何か少し気持ちが楽になった気がする」

話して良かったと思った

何だか最近その事ばかり考えていた気がするから

ラルクは笑顔をグレンに向けると彼の顔が少し驚いたような顔になった

「…?どうした親父?」

「いや…母さんに似て来たと思ってな、ずっとラルクは大きくなったら俺に似ると思ったんだがなぁ。」

ごまかすようにグレンは頭をかいた

ラルクにとっては母親の顔を知らないが少し嬉しかった

「じゃあ今度母さんの話し聞かせてくれよ、おやすみ…」

手をあげてラルクは去っていった

グレンと話して少し子供の頃に戻れたような気がして満足だった

今夜はよく眠れそうだ

一方静かな中庭に1人残されたグレンは

「アルナ………」

グレンは静かな夜を優しく照らす月明かりを見上げながら

ゆっくりと流れる時に身を任せていった


【一点の汚れもない白い光の中にラルクはいた

「ん?親父、こんなとこでなにしてんだよ?」

前を見ると自分がずっと追い続けてきた父の背中があった

「ラルク、先に行ってるぞ…アルナが呼んでる…」

母さん…?そんなはずは…

グレンはラルクを一瞥して前に向かって歩いていく

その蒼の瞳は夕べ見たように少しの寂しさを宿していた

「母さんって…俺が生まれてすぐ死んだんじゃないのかよ?」

おかしく思いラルクはグレンに聞き返すが

グレンは振り返りもしない

「ラルク…グレンと先に行ってるわね、シルヴィアとアルトをお願いね…」

グレンの向かう光の彼方から聞き覚えのあるような、無いような

優しくラルクの頭を撫でてくれるような声が聞こえてくる

「母さん…なのか…?いるんなら出てきてくれよ!」

ラルクはグレンの背中と母の声を追って走り出そうとするが

景色の中のグレンは遠ざかっていくだけで前に進めない

手を伸ばしてもグレンの背中は遠くなっていくだけ

「親父!母さん…母さん…!】


「母さんっ!!!」

気がつくとラルクはそう叫びながらベッドから体を起こしていた

「ラルクいきなりどうした…?」

ライカがベッドの横に立ち

驚いた顔でラルクを見下ろしている

多分ラルクの事をみんなで起こしに来たのだろう

「ラルクごめん…アタシラルクのお母さんじゃないんだ、アルトォ?ラルクのお母さん役やってあげれば?」

メリッサにフラれるとアルトがベッドのラルクの横に腰掛け

「ラルクは本当に甘えん坊さんね…そんなにママが恋しいのぉ?」

母性本能を刺激してしまったのかアルトに愛おしそうに頭を優しく撫でられる

ちょっとだけ安心してしまった自分に腹が立った

「ふざけてる場合じゃ無いかもしれませんよ、今みたいに寝ている間にうなされたり寝言を言ったり叫んだりしてしまう心の病がありますからね…」

いやシルヴィア、多分俺はお前よりふざけてない…

「大丈夫ラルク?最近嫌な事あった?」

いや…嫌な事っていうかさ…

本当に話すとしたら、んな簡単に話せる事じゃねんだ…

「私で良かったら相談に乗るわ」

いや遠慮しときます

前にアルトに相談したらさ、自分の話しにすり替えられて

一刻ぐらい話し聞かされた憶えがあるんだわ…

「別に何でもねぇよ…あ、そうだ、シルヴィアかアルトさ、母さんの事憶えてないか?」

そういえばグレンから母の事について聞いた事はほとんどなかった

知っているのはラルクが生まれて物心つく前に死んだということくらいだ

だが

シルヴィアはしょうがないとして4つ年上のアルトなら何か知っているのかもしれない

「すいません、思い出せませんね…」

「私も…思い出せと言われて思いだせないわね…」

当然と言えば当然の答えが返って来た

実の息子のラルクが覚えていないのにアルト達が覚えている筈がない

「そっか…それより悪かったな起こしに来てくれて」

と言って仲間を見渡すと皆ニヤついていた

「ま、面白いもん見せてもらっからよしとするわ」

ライカはラルクに向かってウインクした


それからラルク達は作戦室へ向かうとグレン達が既に集まっていた

グレンの顔をみたら母の事を聞きたくなったが今はやめておこう

「全員揃ったな…では始めよう」

緊張した空気の中オルドネスが切り出した

「やっぱり調査の結果、セレン殿の誘拐、黒獅子のアジトの襲撃の犯人は大鴉の爪で間違いない。現在奴らは本拠地ではなく今は使われていないアルカナ城を占拠している、特別師団からは以上だ…」

ライカは報告を済ませ後ろに下がる

「昨日の襲撃の被害はどうなっている?」

「はい、衛生師団から報告します、先日の襲撃で一個中隊の半数が負傷、死者も出ています」

報告を聞くオルドネスの顔が険しくなる

「ゲルダ、黒獅子はどれくらい集まった?」

その言葉にラルクは本当に戦いが始まるのだと実感した

「500だ、何時でも動ける…」

ゲルダの言葉にも決して相手を許さないという覚悟が滲んでいる

「グレン、何か策はあるか?」

「そういう事ならウチの策士に任せてもらいたい…」

グレンはシルヴィアを見る

「まず僕達がセレンを救出しに内部に入り、救出成功後騒ぎを起こします。ゲルダさん達は混乱に乗じて一気に攻め込んで来て下さい」

それを聞きながらゲルダは太い眉毛を持つ眉間にシワをよせる

「おい坊主、そんな回りくどい事しねぇで俺達が攻め込むのと同時にお嬢を助けたらどうだ?」

ゲルダの意見を聞きながらシルヴィアは呆れた顔を見せる

「セレンが人質とされている場合を考えると、そんな事をすれば相手を刺激して救出がより困難になる可能性が高くなる事が分かりませんか?」

それを聞くとゲルダの眉が釣り上がる

「ゲルダよ、お前の気持ちはよくわかる。俺も同じ気持ちだ、だがセレン殿の救出が今は最優先にしたい、だから少し辛抱してくれないか?」

オルドネスが諭すとゲルダはギリと奥歯を噛み締め憤りを鞘に収める

「半刻だ…その間にお嬢を救出しろ…!」

そう言い残しゲルダは仲間を招集すると言って出て行った

「すまんな…俺達は今、同胞を傷つけられて普通ではいられんのだ、どうか分かって欲しい…」

オルドネスの言葉にシルヴィアは無言で頷いた

だが、少年の心にどれだけ響いているのかは

その場にいる誰にも分からない

「大将、今回軍はゲルダの旗下につくのかい?」

言われてオルドネスは少し考えた

「いや、それは奴があんまり良くは思わないだろう…今回は黒獅子に任せる。その変わりライカ、メリッサ、貴公らはグレンに同行してセレン殿の救出を手伝ってくれ」

「またお前らと一緒か…」

ラルクは少し呆れ顔を見せる

「もう…素直じゃねんだから!」

ライカはラルクの肩を乱暴に叩く

「ホントは嬉しいくせにぃ!!」

メリッサに肘で小突かれる

「お前ら意外と息ピッタリなのな…」

そう言われると2人はハイタッチをした

「作戦開始は今日の深夜だ、武運を祈るぞ…」

そう言い残しオルドネスは部屋を後にした

「よし、俺達も行くぞ!」

グレンがラルク達に促し部屋を出ようとすると

「セレン様を…!!」

今まで黙っていたアルトの声が耳に入った

「セレン様を…頼む…!」

珍しくアルトが不安そうな顔を見せる

「大丈夫だ、ちゃんと連れて帰ってくる」

ラルクはアルトに笑って見せた

だが、笑顔とは裏腹に心の中は穏やかではなかった

これから人を殺めるかもしれないから…

「不安なら無事に帰って来れるように祈っておいてくれ」

グレンはアルトの頭をポンポンと2回軽く叩き

ラルク達の最後に部屋を後にした



物語中でシルヴィアの「今みたいに寝ている間にうなされたり寝言を言ったり叫んだりしてしまう心の病がありますからね…」と言っている病は

実は実話で私の実体験です(苦笑)



この場で暴露してすみません…_| ̄|○(大汗)


あ、でも物語を書く上で参考になったりしちゃってます( ´Д`)y━・~~ (笑)

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