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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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第5章 ーPossessionー

独房を出たラルク達は実験室を通り抜けまた暗い通路を歩いていると

「結局誘拐事件の真相はなんかよくわかんないし、さっきの事もあるし何か複雑…」

「俺達の知らないとこでこんな惨い事が行われてたなんてな…」

さすがのライカも声の調子を落とす

「いっそのことお化けでも出て来てくれれば良かったのに…」

メリッサがうつむき加減に言う

「お、お化けなんているはずない!!」

アルトが真剣に反論する

「わかんねぇぞ?思念体が作れるくらいだから幽霊ぐらいいんじゃねぇの?」

ラルクはほんの軽口のつもりだったがアルトに睨まれた

「ラルク…」

セレンの小さな声が耳に届いた

「どした?具合でも悪いか?」

セレンの顔を覗きこむと

いつもは色白で血色のいい彼女の顔は蒼白い

それに両肩に何かが乗っかっているように肩を落としている

「少し気分が悪いんです…それより、ここから早く出た方がよさそうです…」

本人は大丈夫だと言ってはいるが明らかに様子がおかしい

ラルク達には感じない何かをセレンは感じているのだろうか


「…おかしいですね……」

またしばらく歩いているとシルヴィアが立ち止まった

「どうした?」

ラルクが聞くとシルヴィアは光の玉に作図された紙を照らす

「ここに入った時から地図を描いて帰りはそれをあてにしていたのですが、どうやら僕達は同じ場所を回っているようです」

「そ、それってどういう……?」

アルトの声を遮り

「お、お、おい…何か影の数おかしくね?お…俺達の他になんかたくさんいらっしゃるみたいだけど…?!」

ライカにそう言われ、見てみると

シルヴィアの出した光の玉には6つの影が照らされる筈が

無数の影がセレンを取り囲んでいる

「…フッ、フフフッ…やって気づいたのね…バカな奴ら…」

セレンの顔を見ると普段は決して彼女が見せないような不適な笑みを浮かべながら高笑いをあげている

一瞬普段のセレンとの違いに戸惑ってしまう

「え?なに?もしかしてセレン…憑かれちゃったの?!」

メリッサは一歩たじろいだ

「思念体はユアンという者が封印したのではないの!?」

アルトの言葉に憑依されたセレンは嘲笑の笑みを浮かべる

「封じられた?フフッ…バカ言わないでよ!あの程度の封印解くなんてわけないわ!…それにあの女、死に際に自分の体から精神を乖離させて自分と一緒に私達を封じようとしたのよ!フフッ…笑っちゃう!!そんなんで私達を封じられるとでも思ったのかしら?まぁ、あの女の思念はもう飲みこんでやったけどね…」

セレンに憑依する思念は高笑いを浮かべる

「おい、マズイんじゃねぇの?このままじゃ姫様乗っ取られんぞ!?」

いつもなら戦えばいいのだがそうもいかない

相手はセレンなのだから迂闊に傷つけては相手の思う壷だ

「お前達を殺したら後でゆっくりこの体の女の精神を飲み込んでやるわ…そしたらこの白くて滑らかな綺麗な体は私のもの…!」

思念はセレンの白い肌をゆっくりと細い指でなぞる

そして、突き刺さるような視線で思念がこちらを睨むと

彼女の周りにある床の石畳が剥がれラルク達を襲う

「…ッ!こんままじゃ俺達やられんぞ!?」

ラルク達は反撃出来ずに思念の攻撃を体中に受ける

「じゃあセレンを斬れっていうのかよ!?」

ラルクが吼える

「そうよ、早くこの娘を斬らないとお前達が死ぬわよ?さぁ私にお前達の醜い裏切りを見せてちょうだい!!」

思念は悦楽の高笑いを浮かべる

「…やるしかねぇか…シルヴィア、隙を作ってくれ」

ラルクは覚悟を決めたように腰から剣を抜く

それに応じて女の高笑いは更に高じていく

「やっとその気になったのね!さぁ、お前の手でこの女の体を切り刻むがいいわ!!」

思念はラルクの覚悟を受け入れるように両手を広げる

「ラルク!!相手はセレン様だ!他に方法が…!」

「これしかねぇだろ…!セレンには気の毒だが…」

ラルクはやり切れない思いに奥歯を噛みしめる

「貴様ぁっ!あの時の約束を忘れたのか!?」

アルトはラルクに掴みかかる

「アッハハハハッ…最高!こんな所でこんな面白いものが観れるなんて!いいわ…相手してあげる…いらっしゃい!!」

思念は戦闘態勢に入り対するラルク達は

覇気の失せたアルトをシルヴィアがラルクから引き離す

そしてラルクは思念に向けて剣の切っ先を向ける

「セレン…今、楽にしてやる…!」

緊張が高まった瞬間思念の背後に肉薄する人影があった

「クッ…ウッ…騙した…な…!?」

セレンの体は背後に回り込んだライカに首を締められ悶えながら気を失った

「フゥ…ビビったわぁ…まさかこんな事が起きるなんてな…」

「よく気づいたな、ライカ」

ラルクが手を差し出すとライカもそれに応じてハイタッチをする

「それにしてもアドリブ芝居だったなぁ…次はもうちょっと分かり易く頼むぜ?」

「えっ?!今のお芝居だったの?!」

どうやらメリッサだけ気がついていないようだった

「守るって言ってるのに私達が本当にセレン様を斬る訳ないだろ…」

アルトは苦笑いを浮かべる

「でも迫真の演技でドキドキしちゃった…」

メリッサは心臓の鼓動を抑えるように胸に手を添える

「あんな三文芝居に引っかかるとはまだまだですね」

「むぅ…そんな事言うんだったら今度は私も混ぜてよね!」

「大根役者でない事を祈りますよ…」


「で、これからどうするよ?」

ライカがラルク達を見回す

「実験室へ戻ってみましょう、セレンの体から思念を乖離させる方法がある筈です」

「じゃあラルク、セレン様を頼む」

アルトはラルクの肩を叩く

「俺かよ…そういう仕事は親衛隊長様の仕事だろ?」

ラルクは横たわっているセレンの体を抱え上げる

「…どうしたメリッサ?またなんか企んでんのか?」

横にいるメリッサの視線を感じたから一応聞いてみた

「お姫様抱っこいいなぁって思ってさぁ」

笑顔を浮かべながら唇を尖らせる

「別にそういうつもりじゃ無いけどな…それに、そんなにして欲しいんだったらライカにやってもらえばいいだろ?」

そうメリッサに提案してみると頬が少し紅くなり

「ねぇライカ…?お姫様抱っこ…して?」

ライカにすり寄っていく

一方ライカは、今日1日で神経を使い過ぎたのかボーッとしている

「ん?俺のこの鍛え上げられた腕はもっと大人の女を抱くためにあんのよ、お子ちゃまにはちっと早ぇかなぁ」

悪戯な笑みを浮かべる

「えー?!ケチーッ!…あ~急にお腹が~っ!」

メリッサはわざとらしく腹を抑えてうずくまる

「早く大人になれよメリッサァ」

ライカに軽く頭を撫でられただけだった

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