表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
24/114

第5章 ーinto the Prisonー

ラルク達は半刻ぐらい後

街の船乗りに頼みこんで荒れる海の中ようやく岩窟島に辿り着いた

船を降りるとまるでラルク達がここへ来るのを歓迎する様に

雨がより一層強くなり雷鳴までその姿を現し始めた

波に激しく打たれる断崖絶壁の上には黒い壁に覆われた巨大な建物がそびえ立っている

「で、今更だけどこのいかにもメリッサが期待してるもんがでそうな建物は?」

「ここはミラク最終収容所という監獄で、先代のガルシア王の代まで凶悪犯罪人や謀反人等の疑わしい者が先代の偏見で収容、拷問、処刑を行っていた場所です。今は廃施設ですが見た目の禍々しさから岩窟島の名がつきました」

「そりゃまたエライとこに来たな…」

ラルクは苦笑いを浮かべた

もう一度建物を見上げると確かにその名に相応しく建物から離れたくなるような異様な雰囲気を放っている

…ここで大量殺人をした者、国を陥れようとした者、その他の大罪人が裁かれていった

自分がもし今までの人を殺した事が立証されたとしたら

自分もここで罪を裁かれるのだろうか…?


「ここって何で使われなくなったか知ってる?」

メリッサが楽しそうに皆に問いかける

「そ、そんな事知る必要無いんじゃね…?そ、それよりさっさと行って用事済ませようぜ?」

「…おかしいですね、普通こういう廃施設には魔術で施錠されている筈ですが…」

シルヴィアは錆びて紅くなった鉄の扉をなぞる

その扉の錆び具合からここが使われなくなって長い時間が立っている事を教えている

「当たりみたいだな」

ラルクは扉を押しためらう事なく入って行く

ラルクとシルヴィアの後をぴったりセレンがついてゆき

メリッサがライカの腕を無理矢理引っ張って中に入って行く

「どうしたアルト?置いてくぞ?」

アルトは入り口の前で石像の様に固まっている

「え?!い、今行く…」

アルトはぎこちない歩きでラルク達を追って中に入っていった


建物内はかろうじてお互いの姿が確認できるくらいの暗さで

あの分厚い外壁のせいか外の雨音は消え雷鳴までもラルク達の耳には届かない

完全に隔離されたような状態になった

「でね、さっきの話しの続きなんだけどさ…十何年か前にここで囚人達を処刑する代わりに囚人達を魔導実験の実験台にしてたんだって」

沈黙が走り腕の辺りを冷えた空気が走っていくような感覚になる

そこでメリッサは更に声の調子を落とし

「それでね、その実験で死んだ囚人の亡霊が今もここを彷徨い続けて自分を殺した研究者を探し出して復讐しようとしてるんだって…」

「そ、そんな事ある筈ない!バカバカしいっ…!!」

アルトが割って入るとメリッサは悪戯な笑みを浮かべた

「えと、何か楽しい話題に…しませんか…?そういえばアルト、この前メリッサにライカの事…を…」

場を和ませようとしたセレンの声が段々と小さくなっていく

「この話題はまた今度にしますね…私も何だか怖くなってきました…」


しばらく歩き続けると先頭を歩くラルクはある事に気づいた

「セレン、そんなに俺の近く歩かれると危ないだろ?っていうか俺のマント掴むなよ…」

「あ、危なく無いですよ…?それにラルクいつも俺の側から離れるな…って言ってるじゃないですか…?」

セレンは上目遣いで彼女の小さな体を更に小さくしながら言う

「いや、そうなんだけどさぁ…そんな近いと逆に危ない…っていうか怖いんなら正直に言った方がいいぞ?」

ラルクにそう言われるとセレンは今までガチガチに力を入れていた肩の力を抜いた

「…怖いです…隣に行ってもいいですか?」

「俺先頭だから後ろのアルトとかメリッサの隣に行った方がよくないか?」

「あんな不安そうなアルトの隣には可哀想で行けません…メリッサの隣はライカがいますし、隣で怖い話しされたらと思うと…」

ラルクが後ろを見ると

アルトとライカは顔が引きつり明らかに挙動不審になっている

「ま、確かにそうだな…シルヴィアは?」

こんな異様な場所に来ても顔色一つ変えないシルヴィアに一応聞いてみる

「そういう役目はラルクに任せます」

あくまで拒否するようだ

「シルヴィア冷たいです…」

「んじゃ隣歩いてもいいけど、危ないから俺より前に出るなよ?」

出る事はないだろうが一応注意しておく

「はい!…それと…」

「それと?」

聞き返すとセレンは顔を少し伏せ紅くなっていた

「もし私が驚いて腰を抜かしたら助けて下さいね…?」

ラルクはセレンの要求に軽く返事をし先を歩いていった


またしばらく歩いていると

囚人達の牢屋の集まる部屋に入った

牢屋を覗いてみると鉄格子の中に囚人を繋ぐための鎖や枷が無造作に置かれ

なかには血が付着しそのまま残っている物もある

「……笑い声…?」

シルヴィアが立ち止まると全員が一斉にシルヴィアを見る

「ちょ、ちょっとシルヴィア…」

アルトはいつも見せる強そうな口調とは打って変わって弱々しい女の子特有の声を挙げる

「あ!ア、アルト!後ろ!!」

メリッサが驚いたようにアルトの背後を指差す

「キャァァーー!!!」

「うわぁぁーー!!!」

アルトとライカ、セレンが一斉に悲鳴を挙げて走り出す

そして3人とも同時に転ぶ

「おーい!大丈夫か?…メリッサぁ…」

ラルクはメリッサの頭にコツンと拳を乗っける

「エヘッ…!」

メリッサは片目を瞑り舌の先をペロッと出して見せる

「ったく…で、シルヴィア笑い声がどうしたって?」

転んだ3人を助け起こしながらシルヴィアに聞き返す

「この奥から人の笑い声のようなものが…」

シルヴィアは奥の闇を指差す

「いやぁ~ん怖~い!」

メリッサがライカの腕にわざとらしくしがみつくがライカは反応する気力もないようだ

「いってみるか…」

奥に進んでいくとその笑い声はラルク達にも聞こえるようになり

更に奥に進むとラルク達の前に扉が現れた

恐らくラルク達の耳に届く不気味な笑い声はこの扉の奥からだろう

思い切って扉を開けてみるとそこは先程の通路より広い空間に出た

中央には痩せ細り肌は黒ずみ眼が虚ろな今にも死にそうな男が現れた

白衣を着た男の前には何やら積み上げられた物があり

数歩近寄ってみるとその正体が分かった

死体だ、するとこの空間にさっきから漂っている異臭は死体から放たれている死臭だ

「ウッ…」

セレンはその光景に吐き気を覚え懐から出した白い布で口元を抑える

「セレン見るな、下がってろ…で?アンタがこの街で起きてる連続誘拐の犯人?」

ラルクは男を睨みながら剣を抜く

「じっ…けん…し…ね…」

男は小さな声でブツブツ何かを言いながら目の前に落ちている魔導書に手をかざす

何か攻撃をしかけてくるのかとラルク達は身構える

しかし、何も動きがなく油断した瞬間

床から魔術陣が出現し光を放ち始める

「しまった…!?」

ラルク達は身を翻し魔術陣から抜け出そうとするがもう遅い

体から力が抜け始めラルク達は床に倒れる

「ク…ソ…ッ…!」

意識が遠退いていき目が霞む中で男を見上げると

男に肉薄する者がいた

あの時のマントの男だ

マントの男は手に持った鞘から素早く抜剣し男を一閃

男は血を流す事なく崩れ落ちた瞬間

魔術陣が床から消え体に少しずつ体に力が戻ってくる

「お前は…」

ラルクが力の入り切らない声で伏したまま言うと

マントの男はラルクの頭の横にまたも紙切れを落として去っていった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ