第1章 ーAll the Beginingsー
眼を開けると男にとっては見慣れた自分の部屋の天井が目に映った
(夢…か…)
男は夢から覚めた体をベッドから起こし息をついた
そして、窓に映る自分の顔を見てある事に気が付いた
宝石の様な蒼い瞳、暁の光に輝く銀髪…
夢の中で戦った男と同じだ…
(自分に斬られる夢か…ゾッとしない話しだな…)
男は自嘲しながら窓の外のまだ陽の昇りきらない暁の空を見上げた
男が朝日をボーっと眠気まなこで見つめていると
不意ににドアをノックする音が聞こえる
「ラルク、もう起きてるんですか?」
ドアのむこうから細いが程よく低く落ち着いた声が聞こえる
「シルヴィアか?起きてる、入っていいぞ」
ラルクと呼ばれた男はその低い声で返事をした
「失礼します…」
そう言いながらドアを静かに開け、ラルクの前に姿を現したのは
ラルクと比べるとまだ少し幼い外見の小柄な少年だった
否、体が小く見えるだけであって、標準的な身長のラルクと比べ小さいが
歳はラルクより2つ下の14歳だ
それにこのシルヴィアと呼ばれた少年は
長い黒髪を後ろの方だけ結い
銀のピアスを黒髪から覗く耳に付けている
間違ってもこんなませた子供はいないだろう
「どうしたんだ?こんな朝早くに、怖い夢でも見たか?」
見たのは自分の方だと思いながらシルヴィアに聞く
「子供扱いはやめて下さい、ラルクの方こそこんな朝早くに起きて、今日の天気は大丈夫ですかねぇ?」
「言ってろよ…」
といつもの調子で会話を進める
「んで、用件は?」
苦笑いしながら聞く
「はい、グレンさんに魔術と錬成術の指導をラルクにするようにと言われて」
紅い鋭い瞳でそう答える
「魔術と錬成術かぁ…俺ニガテなんだよ」
顔をしかめ頭を掻く
「やんなきゃダメ?」
やりたくないという願望を乗せシルヴィアに聞いてみる
「ダメです」
即答された
「はぁ…」
「それでは朝食をとった後に…」
食堂に向かっていくシルヴィアにラルクは気のない返事を返した




