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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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第4章 ーTrial of Strengthー

翌日の昼、ラルク達は王城近くの闘技場へ連れて来られた

「試練って言ったらやっぱりこれか?」

闘技場の選手用通路に響く3人の靴が床を叩く音を聞きながらラルクは言う

「ガルシアでは数年に一度王座を決めるための闘技大会が開かれ、優勝した者には王になるための試練を受ける資格が与えられます」

ゲルダが言ってた弱者を守るのが正義であり、それに足る力を証明するという言葉の意味が少し解ったような気がした

「その他にも普段は腕に覚えのある者達が集まり試合が行われています、ガルシアの観光資源のひとつですね」

だが、ラルクにはそれを聞いて少し気になった事があった

「なぁ、その試合はどちらかが死ぬまで闘うのか?」

旅に出始めてから大分こういう事に敏感になっている

それに人が死ぬまで闘うのを見せ物にして人々の熱狂を呼ぶとはあまり信じたくはない

「先代のガルシア王は罪人や闘士達を死ぬまで闘わせたそうですが、オルドネス王に変わってからは規則改正や治療魔術の発達で試合による死亡はほとんど無くなりました」

なら安心出来る、だが話しに出てきた闘技場の土に闘士達の血を吸わせた先代ガルシア王、一体どんな人物なのだろう

「ルシアにはこういうものはあるのか?」

あまりルシアでは闘技大会などは開かれていないような気がすると思いながらアルトを振り返る

「ルシアではこういう見世物は賭博などを生むから禁じられている、あっても王侯貴族の前での両騎士団対抗の御前試合くらいだな」

「アルトは出た事あるのか?」

「えぇ、他の隊長格は抑えたけど神将騎団には全く歯がたたなかったな」

最年少親衛隊長のアルトでも歯が立たない神将騎団、一体どんな騎士達なのだろう

そんな話しをしている内に薄暗い通路を抜け円形の闘技場に出てきた

観客達の歓声が波のようにラルク達を襲い鳥肌がたつ

「来たか…」

闘技場の中央に立っていたオルドネスはラルク達が来たのを確認するとゆっくりと手を高く挙げた

すると、さっきまでラルク達を襲っていた歓声がピタリと止んだ

これだけの聞いていて怖いくらいの人々の熱狂を一瞬にして止めてしまうのは

ガルシア王オルドネスの偉大さを端的に表しているようだった

「では説明を始めよう…お前達に与える試練のまず一つ目は力の試練だ、今からお前達には俺が用意した精鋭に3人で挑んでもらう。ただし殺してはならぬ、無駄に命を奪わないというのもまた正義だからな、では始めよう」

それをオルドネスの口から聞いてホッとした

元々戦うのは好きだから今回は思い切り戦えそうだ

オルドネスがラルク達の入ってきた入り口から出ていくと反対側の鉄格子がゆっくりと鈍い音をたてて開いていく

「来るぞ…」

出てくるのは屈強な戦士かそれとも猛獣か

だが、出てきたのは1人の鎧に身を包んだ男だった

見ると身体の線は太くなく屈強という言葉は当てはまらないような気がする

「よぉ、皆さんお揃いで!元気だった?」

と武装した男は手を挙げる

ラルク達は一瞬その光景に眼を疑った

そして、なぜその男が出てきたのかも知ることとなる

「その声…ライカか?」

よく兜の奥を覗くと鮮やかな金銀の瞳が笑っている

「ご名答…」

と言いながら兜を脱ぐと

やはり鮮やかな短い金髪に男前とでも言うべきライカの顔

正にラルク達を裏切ったライカの顔が現れた

「貴様あの時はよくもセレン様を!!」

アルトが裏切られた時ぶつけられなかった怒りを今ぶつける

「怒ると折角の美人が台無しだぜぇ…ってうわっ!!」

ライカは慌ててシルヴィアの投げたナイフを身を翻して避ける

「ちょっと不意打ちはなしでしょ?!せっかく大将の後に会場を盛り上げようと思ったのに」

「空気が読めなくてすみません、なら僕にも少し喋らせて下さい…」

と言いながらシルヴィアは詠唱を始める

「ちょい待ち!約束通り安全に送り届けたでしょうが!?」

そう言いながらもシルヴィアの放った焔の渦をかわす

「随分手荒いご招待だったけどなっ!!」

ラルクはライカが焔の渦をかわした隙を利用してライカの間合いに入り剣を振り下ろすがライカも素早く抜剣し受け止める

「ドッキリ大成功だったっしょ?わっかんないかねぇ俺のこのユーモアが」

ヘラヘラ笑いながらライカは剣を押し返す

だが、間髪入れずに横からアルトの槍が飛んでくる

ライカは槍を身体をずらして穂先をかわして反撃に出るが

アルトはそれをさせないため向かってくるライカの体を駆け上がりライカの背中側に抜ける

すると、アルトのいなくなった場所からラルクが現れまた剣を振り下ろす

「甘いねぇ、そんなんじゃ俺に攻撃は当たらんぜ!」

ライカはまた剣を横向きにして受け止め競り合いに持ち込む

そして、競り合いの途中ラルクは小さくライカの剣を押し返し

その隙に飛び上がってライカの剣を蹴り空中に体を投げ出す

ライカが後ろに仰け反った瞬間シルヴィアの放つ風の刃が襲いライカは大きく飛ばされるが上手く体を捻り着地する

「シルヴィアが魔導書無しで魔術を使えるってのは誤算だったな…」

ライカは剣を突きたて

「そんじゃ俺もそろそろ上げてきますか…」

ライカが両手の拳を合わせると先程の戦闘で亀裂の入った鎧が剥がれ始める

「俺の本気、見て惚れんなよ…」

鎧が完全にライカの体から剥がれるとライカの四肢が紅く輝き始める

「なんだ…?」

ライカの突然の変化にラルクは無意識に一歩後ずさる

「あれはガルシア特有の武術、『魔導体術』です、ああする事で肉体を強化し身体能力を飛躍的に上げる事が出来ます」

シルヴィアの説明を聞いてる間に気づくとライカは既にラルクの間合いに入って来ていた

「戦場ではよそ見するなってグレンさんに習わなかったか?」

ライカの拳がラルクを襲うがラルクは間一髪で剣で防いだ

その一撃は恐ろしくや速くて重く

また剣の刃で受け止めたにも関わらずライカの拳には傷ひとつついていない

仰け反ったラルクに追撃しようとするライカをアルトが槍で阻止しようとするが

ライカはそれをことごとくかわす

ライカの身体能力は動きが制限される鎧でも高い事がわかってはいたが

魔導体術を使う事にさらに戦うのが困難になる

そして、アルトに注意がいっているライカに横からラルクが突きを出すが

ライカは相手をしていたアルトを前蹴りで飛ばして後退させ

剣をよけてラルクの腕に絡みつく

ライカはラルクを地面に倒して腕を折ろうとするが

それをシルヴィアが阻止しようと踏み込む

どうやってそんなに広範囲まで把握しているのかと思わせるような反応でライカは宙返りを連続させ距離をとる

すると、ライカの四肢の光は消えていった

「いやぁ、1人で3人相手はキツイわ…大将!こんなんでいんだろ?」

そうライカが扉に向かって言うと中から2人の大柄な男達が出てきた


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