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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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第4章 ーStrength of Kingdomー

「おかしいですね…」

拘束され馬車に揺られながらシルヴィアが言う

「えぇ、特に武装解除されるわけどもなく手荒な扱いも受けないのは変ね…」

アルトが言う証拠に馬車の中にいる3人は全員武器をいつでも使える場所に持っているし

シルヴィアに関しては魔術を使えなくする封印さえされていない

「脱出しようと思えばいつでもできるな」

「それほど余裕なのでしょうね、とりあえずは様子を見ましょう」


その日の夜にはラルク達はライカの言っていた通り王都であろう場所に連れてこられた

武装した兵に降ろされ辺りを見回すと夜にも関わらず街中には多くの人の姿が見られる

きっと治安がいいのだろう

ラルクのガルシアに来る前のイメージは

ガルシアは武術の国と呼ばれる国だからもっと街中でもケンカとか事件が絶えない治安の悪い所なのだと思っていた

そんな事を意外に思いながら兵士に連れてこられたのは

「ここが王都でいいのか?」

アルトに小声で聞く

「王都のレギオンだ、そして目の前にあるのがガルシア王のいるレギオン城だ」

「なんだ来たことあるのか?」

「任務で何度かな…」

アルトに言われて顔をあげると巨大な城門にそれを取り囲む高い城壁がラルク達の前に立ちはだかった

ルシアの王都アークの王宮の美麗さとは違い

レギオン城の外見は荘厳という言葉が相応しく

これから会うガルシア王の強さを表しているようにも見える

兵士達によって城門を通され城内に入るとやなり内装もアークの王宮とは違い

広く装飾の派手さはないが硬派な印象をうける内装だ

ラルク達は長く紅い絨毯の敷いてある廊下を連れて行かれると

兵士は大きな扉を開けラルク達を奥へ通した

扉をくぐり中にはいると

広い部屋の1番奥の壇上に正しく国を統べる者が座るに相応しい玉座があり

そんな力の象徴である玉座に座す大男は足を組み頬杖をつきながらこちらを見下ろしている

「あんたがガルシア王オルドネスか?」

ラルクが進みでると大男はラルクに眼の焦点を合わせる

すると眼があった途端ラルクの身体に鳥肌がたった

その瞬間ラルクは悟った

このような者の事を『覇者』と呼ぶのだと

「いかにも、俺がガルシア王オルドネスだ…お前がグレンの息子のラルクか?」

一言しゃべるだけで足をすくわれそうなか感覚になる

だがここで引き下がってはいけない

「あぁ、そうだ。随分と手荒いご招待だったな…」

隙を見せないようにと睨み返すがラルクとは反対にオルドネスは微笑を浮かべていた

「ほぉ…このガルシア王オルドネスに対して物怖しないとは、父親にそっくりだな…だが、グレンの息子ラルクよ、お前達は今我が軍に拘束されているという事を忘れていないか?」

それを聞いて今度はシルヴィアが進み出る

「その事も含めて僕達には話しが読めないのですが?」

「セレン様の件も伺いたいのですが?」

それを聞いてオルドネスは玉座から立ち上がった

すると、座っていた時も体は大きく見えたが立つとゲルダと同じぐらいの大きさに見える

壇上を降りてくるオルドネスの顔をよく見るとスキンヘッドに紅い瞳、顔の中央に斜めにかけて傷が走っている

歳はグレンとゲルダと同じぐらいと顔のシワの入り具合から推測できる

「安心しろ、セレン殿は無事だ。そして先日ここへ来たグレンからも事情は聞いた。今、我が国ではルシアの騎士がセレン殿を探すために国内をうろついている。それ故にお前達を安全にここへ連れて来るために手配書が出たと嘘の建て前でお前達を拘束した」

「ずいぶん回りくどい事すんだな…」

「そういうな、だがあながち建て前だけでお前達をここへ連れてきたわけではない」

オルドネスは3人を見回す

「今宵より俺からお前達の力を見るための試練を与える…この国の正義はもう分かっているな?」

「強い者が弱い者を守る…だろ?」

オルドネスがうなづく

「ですが私達が助力して頂くのになぜ私達の力を証明しなければならないのでしょうか?」

シルヴィアが最もらしい質問をする

「それは、この先お前達がセレン殿を守るのに相応しいだけの力があるかどうかをみるためだ。もし、試練に敗れるようであればこの先セレン殿をお前達に任せる事はできない。それと最後に俺はお前達がセレン殿を守る理由に足りる正義を試したいのだ」

それを聞いたラルクにらひとつ不安があったそれは

自分の心に正義を問いかけるとその答えはいつも揺らいでいる事だ

だが、返事は決まっている

「わかった、試練を受けさせてくれ」

ラルクが胸を張って進言するが

「ですがラルク、僕達の任務は王女をガルシアまで護衛する事ですからこの先に予想される戦いは参加する必要はないのではないでしょうか?」

シルヴィアは冷たく言い放つ

「シルヴィア!本気で言っているのか?!」

アルトはシルヴィアに叱責するが当の本人は顔色ひとつ変わっていない

「シルヴィア、もしこの先戦いになったらまたセレンが危険に晒されるかもしれない、だから俺たちの任務はまだ終わっちゃいないとおもうぜ?」

シルヴィアはそれに反論しなかったが

納得はしてなさそうだが一応伝わっただろう

確かにシルヴィアの言うとおり当初の契約はセレンの保護だけだったが

結局はガルシアまで護衛するところまできた

必要性があったからこうなったと言えばそれまでだがこうなった理由にはそれだけでは片付けられない部分がきっとあるのだろう

「話しはまとまったか?」

やり取りを見ていたオルドネスが再び聞く

「あぁ、試練を受けさせてくれ」

その言葉を聞きオルドネスは微笑を浮かべた

「いいだろう…ではお前達に課す試練は3つだ、心して挑むが良い…と、言いたいところだが、今日はもう遅いからゆっくり休め。お前達は建前上捕虜だが、俺の客人だ部屋を用意しよう」


ラルク達はオルドネスに言われた通り部屋に案内された

部屋の寝台で仰向けになっていると扉をノックする音が聞こえた

誰だ?

もしかすると、と淡い期待を浮かべながら扉を開けるとアルトがいた

「どうした?こんな時間に」アルトはその綺麗な胸の上に両手を重ねながらラルクを見た

「シルヴィアのこと、説得してくれてありがとう…」

なにかと思えばそんな事か

「ん、あぁ、あいつああは言ってるけどシルヴィアは悪気があって言ってる訳じゃないって事ぐらいアルトもわかってんだろ?」

「えぇ、でも…」

アルトは右腕で腹を抱える様にし左手の人差し指と中指で彼女の果物のような潤いのある唇をなぞる

「なんだよ?親衛隊長様は姫様がいたいないとこんなに弱気になるのか?そんなんじゃシルヴィアにイジメられちゃうぞ?」

「ちがっ…私は…!?」

頬を紅く染める

「わかってるさ、シルヴィア見てちょっと不安になったんだろ?」

「…うん、あの子の現実的過ぎる物の味方は良くも悪くも出ちゃいそうで…」

アルトは唇をなぞっていた左手を腹もってくる

「そうなったら俺達が叱ってやればいいだろ?」

少し首を傾けて見せる

「そうね…あ、こんな時間にすまない、おやすみなさい…」

アルトはいつもの調子に戻り廊下を歩いていった

確かにシルヴィアの性格はストイックというか人として何かが欠けているというような感じはあるのは前からラルクも思っていた

長いことシルヴィアと一緒にいるがこれといった原因をあった様に思えない

やはりこういった場合は友として原因を突き止めてあげるべきなのだろうか

自分に問いかけながらラルクは部屋の燭台の灯りを消した


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