表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
14/114

第3章 ーHangoverー

星がその輝きを見せ始めた頃宴は盛大に始まった

初めは雰囲気に呑まれていたが

一番緊張していたラルクとセレンも次第に緊張がほぐれてきた

ライカもほろ酔いで踊りの輪に入っている

「んでラルクよぉ、手前ぇはなんでガルシアに来た?」

盃の酒をゲルダは一気に飲み干す

「実は王都で謀反が起きてセレンが国を追われたんだ、それで国を取り戻すためにガルシア王に力を借りようと…」

横に座るセレンを気にしながら話す

「オルドネスに力が借りてぇか、簡単な話しじゃねぇぞ?」

「ルシアとは同盟国であるのに力を貸さないという事ですか?」

「ガルシア人てのは強い奴が弱い立場の奴らを守るってのが正義だと考えてんだ、セレンのお嬢を守りために力を借りたかったら手前ぇの力量と正義を認めさせねぇとな」

ゲルダはラルク達を見回す

「正義か…」

自分の正義とは何だろうか?正義とは…

「なぁにしんみりしてんだよぉ?楽しく呑もうぜぇ?」

紅い顔をしたライカが重い空気を打ち壊すようにアルトに絡みついてくる

「お前は少し空気を読め!」

アルトに首根っこをつかまれる

「そういやぁライカ、昨日メリッサが来てたぞ?」

思い出したようにゲルダが言うと

これまで酔っていたのが嘘のように動きが止まる

「え?いまなんと…?」

「だからな、メリッサが約束がどうのこうの言って…まさかすっぽかしたのか?」

ゲルダに言われライカは目線を斜め上にやり、暫くすると元に戻す

「メ、メリッサとの約束…?し、しらなぁい…俺なんにも知らない…」

どうやら約束を忘れていたようだ

「メリッサとはどなたの事何ですか?」

セレンが小首を傾げる

「おっ、お嬢気になるか?メリッサってのはなライカのこれでな、これがライカにはもったいないくらいのかわいい娘っ子なんだ…なぁライカ?」

ゲルダはセレンに小指を立てて見せる

「ちょっ…!大将余計な事言うなって!!」

ライカが慌てて間に入るが時すでに遅し

しっかりセレンとアルトの耳に入っていた

「面白そうな話しねぇ?もっと詳しく教えてもらおうかしら?」

アルトはライカの右肩に手を置く

心なしかラルクには彼女の眼が光っているように見えた

「私そういうお話し聞いてみたいです!」

セレンも眼を輝かせてアルトて2人でアルトを追いかけていった


「あのお嬢も大変だな…」

ゲルダは眉をひそめて酒を呑む

「確かに15にこの現実はキツイだろうな…」

ラルクはセレンと歳がひとつしか変わらないが

自分がセレンの立場だったらどうだろうと考えながら今を楽しむセレンを見つめる

「それが国を背負うという事です、子は親を選べませんからね」

「シルヴィア…」

時にこういったシルヴィアの冷たさが悲しく思える

「そもそもなんだが手前ぇらの国はどうして謀反なんかおっ始めたんだ?」

今聞かれると完璧に原因というのは説明しきれない

「意図はわかりません、ですが首謀者がセリエ女王の夫君だと…」

シルヴィアの言葉にゲルダは違和感を浮かべた

「グレイドがか?あんなに嫁と仲がいいのにおかしな話しだな…」

「?セレンどうしました?」

シルヴィアはラルクの背後に立つセレンを見上げた

様子から察するに今の会話は聞かれていないようだ

「お嬢どうした?酒でものみたくなったか?」

ゲルダも下手に誤魔化した

「飲んでみたいですが飲んだらアルトに怒られますので…お気持ちだけ頂いておきます」

セレンが笑顔を返す

「なんか俺達に用があったのか?」

「はい、そろそろ寝ようと思うので、みんなに一声かけようと…」

「そっか、ライカからなんか聞けたか?」

興味はさほどないが一応聞いてみる

「ライカはメリッサという方の事をただのお友達と言っていました、少し残念です…」

「そっか、それじゃあおやすみ、寝坊すんなよ…」

「はい、おやすみなさい」

セレンは笑顔で返し走っていった

「さて、俺も寝るとするかな…」

セレンが去って行くのを見届けラルクに続きシルヴィアも立ち上がる

「なんだぁ?若ぇのに夜遊びもできねぇのか?」

「生憎寝坊するとうちの姐さんが怖いんでね…」

2人は宴の席を離れて行った


翌朝日が少し昇った頃ラルク達は出発する前にゲルダに挨拶しようと思ったのだが

皆酔いつぶれてその辺に雑魚寝状態だったので

そのまま砦を出る事にしたが出口に人影があった

「よぉ、みなさん朝が早いねぇ、そんじゃ行きますか!」

ライカだった、意外にも酔いつぶれいない様子だ

「まだついてくるんですか?ここはもうガルシアなので結構ですよ」

「そんな事言うなってシルヴィアく~ん、最後までお供しますってぇ」

いつものように軽い口調で結局ライカはついてくる事になった


それから一刻程経ったころ

「そろそろ峠を抜けるなぁ…」

ライカが言うと眼下には広大な平野が広がる

「ここから王都までどれくらいなんだ?」

「おそらくは3日程でしょうね」

「いや…今日の夜には着くぜ?」

ライカがシルヴィアの説明に口を挟む

「どういう事…?」

アルトを含め全員がライカを見ると

ライカは何かを取り出し地面へと叩きつける

そしてそこから黒い煙が上がる、煙幕だ

「キャッ…!!」

皆が咳込む中でセレンの短い悲鳴が聞こえる

暫くして煙幕が晴れるとライカに抱えられたセレンと

数人の兵に取り囲まれた自分達の姿が現れた

どうやらガルシア兵のようだ

そこらへんの傭兵とは装備が違う

「セレン様!?ライカ貴様ぁ!!」

アルトが吼える

「悪りぃな、ルシア王国王女及び以下数名、つまりお前達にはルシアから正式に手配書が出てる。てなわけでお前達を拘束する、大人しくしてれば姫様の身の安全は保証するよ」

まさかここでライカに裏切られるとは

不覚にもすっかり信用しきっていた

「ここは抵抗しない方が良さそうですね…」

ラルクとアルトにも異論はなかった

「いい子だ…拘束しろ!」

ラルク達は特に手を縛られるわけでもなく馬車に乗せられた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ