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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
112/114

外伝 ーthe Best Friends have a Quarrelingー Part3

「シルヴィアは一体どこに行ったのでしょうか?」

セレンは宿を出て温泉独特の硫黄の香りが漂う温泉街の通りを見渡す

「シルヴィアのことだから見つかりにくい場所にいんじゃねぇの?」

そう言いながらライカは自分達が泊まる宿の裏手に入るための路地を指差す

「そだね、行ってみよっ」

そう言ってメリッサは迷うことなく路地をずんずんと進んでいく

少しばかり近くの温泉から伝わってくる篭った熱と硫黄の臭いがする路地を抜けると周りを建物の塀で囲まれた広場のような場所に出てきた

辺りが薄暗くなってきたこともあり広場が周りの建物の窓から漏れる灯りで照らされている

そして、その灯りに艶やかな黒髪を照らされる少年が独りポツンと広場の真ん中に立っていた

「シルヴィア君っ!」

メリッサがシルヴィアに駆け寄っていく

呼びかけられたシルヴィアは少し離れた場所からでも分かるくらいの大きさで肩でため息をつく

「ラルクに言われて来たんですか?」

シルヴィアは振り返らずに低い声で返事をし肩越しにメリッサを見る

「ちがっ…!」

シルヴィアの察しにメリッサは反論しようとするがライカがそれを制止した

「そうだぜ?ラルクに言われて来たんだ」

「ちょっ…ライカ!?」

ライカはメリッサが止めるのにも関わらず本当のことを話した

「余計なお世話です、少し独りにして下さい」

シルヴィアはライカ達に振り返って冷たく言い放った

「シルヴィア…」

セレンは眉尻を下げる

「あぁ独りにしてやるよ、長いことこんな所いると湯冷めするしな」

「でも、その前に少しシルヴィアの胸に支えていることについてお話ししてくれませんか?」

セレンはシルヴィアの俯き加減の顔を覗き込む

「…わかりました」

シルヴィアはボソッと了解の返事を返した

普段のシルヴィアだったら決して首を縦に振らないだろうが

今回は絶妙な距離感をとったセレンとライカの作戦勝ちといったところだろうか

「ねぇ、さっき子供扱いするなって言ってたけどあれ何のことだったの?」

メリッサは単刀直入に聞いた

もしかしたら、この聞き方の方が色々と思案を巡らせる性分のシルヴィアには効き目があるのかもしれない

「それは、ラルクはこのまま徐々に大人になっていきます。しかし、そのラルクに子供扱いされて置いてかれていってしまえば、僕がラルクの隣りにいる必要がなくなってしまうと思ったからです」

シルヴィアは淡々とであったがセレン達が思う以上に口数が多かった

「居場所がなくなってしまう…ということでしょうか?」

セレンが話しを先読みしてシルヴィアの話しをまとめるとシルヴィアは小さくコクリと頷いた

「子供というのは出来が少し悪い方がかえって大人達からは好まれるものです」

シルヴィアの薄い唇からポツリとそんな意味深な言葉が出た

「どゆこと?」

メリッサは聞き返してはシルヴィアに鼻で笑われそうな気がしたがそれでも聞き返した

「僕は10歳の時にルシアの魔道評議会認定魔導士の資格をとりました。それから僕は何度か独りで依頼を受けました」

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