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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
108/114

外伝 ーthe Knight at Restー Part4

「シリウス将軍は何事にも一生懸命ですが、エルシア様の事になるとなおさらですわね」

クラウディアがにこやかにそう言った

「上手くいくといいですね…」

「大丈夫ですよアルト、エルシアなら上手くやってくれますよ!」

セレンも明るくそう言い放った


シリウスはセレンの私室を出た後

慣れない事を考えていても仕方ないと思い剣の素振りでもしようと思い立った

しかし、やはりエルシア様の様子が気になるな…

一体どういった方法をとれば彼女が気軽に本音を打ち明けてくれるか…?

「本音を言ってくれないわけではないが……」

「シリウス、どうしたんだそんな深刻そうな顔をして?」

今日はよく人に声をかけられるなと思いながら振り返ると

短く切り揃えられた白髪に整えられた口ひげ

娘と同じ茶色の瞳を持つルシア女王夫君グレイドが立っていた

「その顔からすると…女性の事でも考えていたのかな?シリウス将軍は」

「なぜお分かりに…?!」

グレイドは真っ白な口ひげに笑いを浮かべていた

「伊達に女系国家の女王の夫をやっておらんよ。確かにこの国の女性はちとクセがあるかもしれないな…」

「そうかもしれませんね…」

2人は互いに苦笑いを浮かべていた

「…まぁ、言いたい事があるのなら上手く言えなくともちゃんと伝えておくのが吉だな。誤解なら後から解いていけばいい…これが夫婦円満の秘訣、だな!」

グレイドはシリウスの肩を力強くポンと叩いた

「グレイド様…エルシア様の居場所はご存知でしょうか?」

そうと言われれば何もしないわけにはいかない

「あぁ~確か…中庭に散歩に休憩がてら行くと言っていたな…」

グレイドが意味深な視線を送る

「ありがとうございます!ご無礼かとは存じますが御前を失礼いたします!」

シリウスはグレイドに頭を下げ走っていった

「フフフ…この手の事に関してはまだまだ若いのかもしれんな…」

グレイドは駆けてゆくシリウスの背中を見送りながらそうつぶやいた


一方雲ひとつない蒼天の下エルシアは城の中庭で豊かに湧き出る噴水の淵に腰を下ろし

平穏と流れる時に身を委ねていた

「エルシア様…!!」

「シリウス、どうしたの?そんなに急いで?」

エルシアは自分の元に走ってくるシリウスに気づくと立ち上がり

自分の元に辿り着いた彼の額の汗を白い布で拭う

「すみません、どうしてもエルシア様にお伝えしたい事があって…!」

「なにかしら?」

エルシアはあれだけ速く鎧を身に纏いながら走って息を切らしていない事に感心しながら聞き返す

「私は……私はエルシア様にとって頼りない存在でしょうか…っ?」

シリウスは噴水を背にしたエルシアに一歩詰め寄る

「いいえ、貴方はとても頼りになる方よ」

エルシアは柔らかな笑顔で応える

「エルシア様…!私に真実をお聞かせ下さい!貴方は時にその微笑みでご自分の本心を隠されてしまうから…!」

シリウスはもう一歩噴水を背にしたエルシアに詰め寄り彼女の白く細い肩を

彼女が痛がらない程度に気をつけながら掴む

「シリウス?今日の貴方少し変よ?それに私は嘘なんかついてないわ」

端から見ればシリウスがエルシアを襲っているように見えなくもないが

彼女はそんな状況でも落ち着いて応える

「私は不安なんです…貴女が私の知らない内に感情を押し殺してお独りで苦しんではいないかと思うと…!」

エルシアはシリウスの思いを黙ってその太陽のような金色の瞳で真っ直ぐ

彼の自分を見つめる焔を見つめながら聞く

「ですから…私をもっと頼って下さい!…それとも、私では貴女の隣りにいるには頼りないでしょうか…?」

シリウスが思いの丈を全て言い終えるとお互いに見つめあったまま沈黙が流れる

「………じゃあ、試してみる…?」

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