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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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外伝 ーthe Knight at Restー Part3

「しかし、クラウディア…これをもし慣習にうるさい貴族院の方に見られでもしたら…!」

その心配はあった

実際にルシア王国は階級制の考え方が強い貴族社会である

それ故に王族や貴族が軍属の者とこのような交流をするのは無礼講でもない限りあまりよく思われない

「そうしたら、その方もこのお茶会に招待して差し上げればどうでしょうか?」

アルトが提案する

「まったく…アルト、君はセレン様と出会った事で良い意味で変わったな」

セレンのほんわかとした雰囲気がアルトのピシッとした雰囲気と上手く混ざり合った、といったところだろうか

「シリウス、私思うんです…女の子は紅茶と甘いお菓子と、あと恋のお話しがあれば誰とでも仲良くなれる気がするんです。だから、しましょう!恋のお話しを」

シリウスは話しが変な方向に飛んだなと思いながら再び席についた

しかし、シリウスも思ったセレン達が言うような事が実現すればいいと

「はい、ではお言葉に甘えて……実は、最近のエルシア様の様子が気になっているのですが…」

シリウスは紅茶を一口飲む

すると、今まで入っていた肩の力が体に熱が昇ってくるのに対してスッと抜けていく

「エルシア様ですか?特にお変わりなくいつも通りお美しいとお見受けしていますが…」

「あら、アルトは随分エルシア様に憧れているのね」

クラウディアは水色の瞳に笑みを浮かべる

「は、はい…私もエルシア様やクラウディア将軍の様に強く美しくあれたらと…」

アルトは少し気恥ずかしそうに両手でカップを持ちながら言う

「フフッ…ありがとうアルト」

「…………」

早くも話しの移り変わりが早い女性達の会話にシリウスはついていけていない

「あ、ごめんなさいシリウス。えっとエルシアの様子ですよね?ん~私もそんなに変わりないと思いますよ?」

セレンもフォークでケーキを口に運びながらアルトと同じ結論を出す

「そうですか…クラウディアは、どう思う?」

「もしかすると、エルシア様は少しお疲れになっているのではありませんか?最近ご公務がお忙しいようですし、私が代わってさしあげる事ができれば良いのですが…」

クラウディアはカップを細い指で撫でながら長いまつ毛を持つ眼尻を下げる

「そうか……私には時々彼女がわからない…勿論あの方自身感情豊かなのは知っている。ただ、感情の使い所を知り過ぎているが故に、たまに彼女が無理して演じているのではないかと思うんだ…」

シリウスは自分が手をつけて崩れた食べかけのケーキを見つめながら本音を吐露する

「つまり…もっとシリウス将軍はエルシア様にご自分に甘えてほしい、という事ですか?」

アルトが首を傾けながらシリウスの話しを要約する

「い、いや…甘えてほしいというか、その…もっと頼ってほしいわけだ。エルシア様はいつも私達の先頭に立ってセリエ様やグレイド様を支えておられるんだ。だから、私も剣を振るう以外に何か出来ないかと思うんだ」

「それでしたら、そのシリウス将軍のお気持ちだけで十分じゃないですか」

シリウスが顔をあげクラウディアを見ると彼女は諭すような雰囲気でシリウスを見ていた

「私もそう思います。今こうしてみんなでお茶していますが、何かそれに特別な意味があるわけではないと思います。ただ、私はこうしてみんなでお茶して、最近あった面白い出来事や誰かの恋のお話しを出来るだけで私はとても嬉しいんです」

何故かそれを聞いていてシリウスはホッと出来た

人はそんなたった些細な事でも幸福を感じる事が出来るのだと思えた

平和を維持するために戦い続ける事で長らく忘れていた

「シリウス将軍は本当にエルシア様の事を考えられているのですね」

アルトはほんのり頬を紅く染めながらシリウスを見る

「フッ…そんなんじゃないさ。私はただエルシア様のお側に居たいだけだよ………では、長々と失礼いたしました、ごちそうさまです、セレン様」

シリウスは椅子から立ち上がりセレンにまた深々と頭を下げる

「はい、またお暇な時にいらしてくださいねシリウス!」

セレンは笑顔でシリウスを戸口まで見送った

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