表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
102/114

外伝 ーthe Alonesー Part5

それから、2日後の夜

ガルシア王から与えられる試練を明日に控えたライカは緊張しているかと言われるとそうでもなかった

それより、気掛かりなことがひとつあったからだ

「帰ったぞ〜って、良い子はもうとっくに寝てる時間か…」

居間の扉を開けると明かりが点いてはいるがソファの上にメリッサの姿がない

もう深夜近いからメリッサもさすがに寝たのだろう

「ふ〜…つっかれたぁ〜」

ライカは体をソファに投げだして大きく息をつく

一日の疲れがソファに沈む体とともに溶けていく感じがする

しばらくボーッと天井を眺めているとライカはある音に気づいた

「…………ッ……ゥ……ッ…」

ライカは何か分かっていたようにソファから立ち上がるとメリッサの部屋の扉に向かう

「メリッサ、入るぞ…」

ライカはノックせずに部屋の中に入った

部屋の灯りは窓から差す木漏れ日のような月明かりだけだった

ライカは窓から差す月光を頼りに寝台に眼をやると

寝台の上の毛布が小刻みに震えながら盛り上がっていた

「メリッサ…」

ライカは部屋の魔導灯を点けずに寝台に腰掛けた

返事が返ってこないのは分かっていた

「ッ…ゥ……ック…」

「泣いてるのか?」

ライカは盛り上がる毛布を優しく撫でた

「…ゥ…ないて…ない…ッ…!」

メリッサはすすり泣く声を混じらせながら応えた

「寂しくて悲しかったし、恐かったよな…」

ライカは無理に涙の訳を聞き出そうとせずにただメリッサに寄り添った

「…ッ……うん…ゥ…でも……おもいだせないの…ッ」

メリッサは何について思い出せないのかをライカは知っていたが敢えて口には出さなかった

ただ、メリッサが家族や周りの人を失ってしまった寂しさがこの時期に押し寄せてくるのをライカは分かっていた

「そうか、思い出せないか…」

「ライカ…」

メリッサは毛布から泣き濡れた顔を出してライカの胸に顔を埋めた

ライカは小刻みに震える彼女の背中に手を回し優しくさすった

「俺もここに来るまで友達がいたけどみんないなくなっちまった…メリッサと一緒だな…」

ライカは子供を寝かしつけるための子守唄を歌うように囁いた

「ライカも、寂しいの…?」

メリッサは顔を上げて涙で紅く腫れた眼でライカを見上げた

「寂しい時だってあるさ…でも、今はみんながいる。これからみんなで楽しくしていきたいな…」

ライカは人差し指でメリッサの瞳から零れる涙を拭う

「たのしく…なるかな?またみんないなくならない?」

メリッサは嗚咽を残らせた声でライカに聞いた

「メリッサはお城にいるみんなや王様のこと好きか?」

「うん…みんな優しいから好きだよ」

メリッサは小さな声で答えた

「そっか、みんなもメリッサと同じでメリッサのことが好きなんだ。だから、お互い好きだったら離れたりなんかしないよ」

ライカはメリッサに笑顔を見せて頭を撫でた

「うん…」

メリッサは頷いてまたライカの胸に顔を埋めた

「約束だ……さ、寝ようぜ。おやすみ…」

ライカはゆっくりと穏やかな寝息をたて始めたメリッサの体を寝台に横たえて毛布を掛け直した

「もう大丈夫だからな……」

ライカは静かに部屋の扉を閉めて出ていった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ