chapter3:噂の張本人、登場
「ハァイッッ!!!」
勢い良く体育館のドアが開き、皆が一斉にそちらを向く。
そこには噂の張本人、日下ちとせと肩で息をしている母親がいた。
「皆様、お静かにお願いします。日下さんはすみやかにお席に着いてください。」
「あっ、はい。遅れてすみません。」
笑ったり、あきれたりしている全校生徒の中を平然と通り過ぎ、席に着くちとせ。
一方、母は頬を赤らめ、ひきつった笑みを浮かべつつ、席に着く。
「ちとせ、おはよう。なかなか来ないから心配しちゃったよ。」
「でも、さすがだよなぁ。絶対何かやらかすと思ったけど、まさか入学式そうそうだとは……ッハハハ」
「おはよっ、紫月、純ちゃん。てか、笑わないでよ〜。恥ずかしいじゃん!!それより、みんな同じクラスだね。やった∨∨」
「紫月がいるから香山もいるよ、ちとせ。」
「えっ、また紫月と香山、同じクラスなん?!やったじゃーん、紫月。」
「む〜〜〜。ちとせまでぇ。」
「静かにしてください。呼名を再開します。」
「楠 純奈」
「ハイッ」
ちとせ、純ちゃん、紫月の三人は、小学校低学年の頃から、ずっと一緒で、気の置けない友人である。
髪を肩まで伸ばし、その顔から性格がうかがえる様な明朗で活発な少女。いつも三人の盛り上げ役でトラブルメーカーのちとせ。
文武両道、容姿端麗、いわゆる才色兼備で、ストレートで腰まである黒髪がよく似合う、日本美人風でしっかり者の純ちゃん。
おっちょこちょいだけどやる気は満点。天然パーマがかった髪を二つに結っている。背も小さめで、小動物をおもわせる様な外見の持ち主。でも、どこかほぅっておけない紫月。
全く違うタイプの三人だが、だからこそわかり合える部分があり、とても仲が良い。
そして今回、三人は同じクラスになれたらしい。
「真下 紫月」
「はいっ」