花火!1
「「「「「花火?」」」」」
「そうっ。花火!」
「なぜにいきなり。」
「夏と言えば花火、という訳だ」
夏のある晴れた日、朝食を摂っていると、緋澄<ひずみ>が突然言い出した。
「いつやるんさ?」
きょとん、とした顔でたずねる黒猫。
「仕事終わりにでも」
「さいですか」
緋澄を除く全員が呆れ返る。
「なぜにいきなり。」
「昨日花火大会の番組特集してた訳。だから」
「なるほど。」
「ま、せっかく浴衣全員で新調したんだし私は構わないさ」
そういった黒猫。こいつの特徴は語尾が「~さ」なとこ。
「じゃぁ、花火大量買いしてくるね!」
楽しみ~!と緋澄が笑った。子供っぽい。
「だけど仕事終わるかなぁ」
きょとん、とした表情でこういった朱詩<しゅうた>は放置で。
夜、
「たっだいまぁ~!!」
黒猫、来飛<らいと>を除く5人が帰ってきた。
「お帰りさ、緋澄。」
「お帰りなさいっご飯できるわよ」
来飛は髪も長く、柔和で優しく、格好も女だが、れっきとした男。どうやら、財閥の息子らしく、大手会社の5代目社長。女装にかんしては両親は放置らしい。それを利用して子会社を立ち上げた。・・・らしい。
「ありがとう来飛」
「ふふ、どう致しまして。藍<らん>」
藍は来飛と逆な、男装した女。まぁ格好は女に近いが、パンツルック(スキニーやらジーンズやら)が主である。アダナは大将。
「お腹すいた・・・・。何作ったの?」
後から入ってきたのは朱詩と芝咲<しばさき>の二人。
「お~今日も豪華。」
「今日は海鮮丼にしてみました(はぁと。デザートもあるのよ」
来飛は調理師の資格を持っている。
「さすが来飛。」
「でしょ?ありがとう芝咲」
くしゃ、と来飛の髪を撫でる。
「しばー」
「はいはい今行く。」
藍と芝咲は従兄弟同士だ。
「着替えてくるね」
「はやくしないと食べちゃうわよ」
「うわ、急がないと」
いつもの光景。
「じゃぁ皆様、揃いまして、」
「「「「「「いただきます」」」」」」




