5 虚数を使用して、経過時間を変数(t)とする関数の式に置き換える
⑤ について
◦ 虚数を使用して数式e^i^θを経過時間を変数(t)とする関数f(t) e^i^(v_θt)に置き換える
④までで指数を数直線上に落とし込んだ指数直線と、回転を座標的に表す極座標の間には密接な関連性が存在していることを解説してきました。
虚数は本来こうした条件下で扱うのに適した概念であり、現実に存在しない数といった位置づけをされている現状は誤った認識のせいで空間への理解を著しく歪めているといわざるをえません。
現状がこうなってしまっているのは虚数やネイピア数が考案された背景に原因があるため、一概に誰かのせいにすべき問題ではありませんが、いつまでもこのままの状態が続くのはさすがにどうかと思いますし、できるだけ早く改善すべきなのではないでしょうか。
少なくとも虚数に関しては二乗してマイナスになる数というより、一単位分iで円の1/4の角度(90°)分の回転を表す記号として活用されているのが現状です。
ただし、それだけなら回転量の増減を表すのにi 2i 3i ・・・ と増やしていけばいいはずですが、回転を表した数式では e^i^θという指数表記が採用されています。
この事実は、極座標での数直線が直交座標の数直線とは異なり、図 P-018_2で示したような指数直線を当てはめるのが適切ではないかと私に考えさせる切っ掛けとなりました。
そこからさらに思考を進めて、単に座標上の点を求めるだけではなく、経過時間に従って移動する点の座標位置を表した経過時間(t)を変数(t)とする関数を考えればそれが円周上の回転を表す関数になるはずです。
具体的な手順としては、弧度法では角度θと円周の長さθは連動させていますから、これを活用します。
長さを速度と時間に分解し速度を定数、時間を変数にすると、時間の特性から時間が経過するごとに一定間隔で数値が増えていく局面を勝手に生み出してくれます。
予め断っておきますが、上記のような虚数と回転の関係性が成立するのは恒常的に回転運動を続ける事象に限った話になります。
角度θと円周の長さが連動するのが弧度法ですが、円周の長さは半径を1と置いた円周率で表すのが決まりです。
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90°なら一般的にはπ/2と表しますが、円周率として考えるならτ/4と表記すべきですし、回転であることを重要視するなら単にi と表記するのが本来の意味を正しく汲んだ表現だと考えているので、ここでは基本的に円周率にπを使用することはせず、状況に応じてi とτを使い分けています。
弧度法を用いて円周の長さをθとする場合は、回転運動での扱いが主になるのでi が基準になります。
すなわち、本来ならθが直角(90°)の場合の円周の長さはi ということになりますが、指数の底をe^iと表記している関係で、表現が重ならないようにθ=90°の場合もあえてτ/4という表記が採用されていると考えてください。
回転を主体に考えるなら直角(90°)が長さと角度の単元単位ですが、この関数で変数に採用しているのは時間(t)ですから、速度v_θ単位時間当たりに進む距離ということになり、速度v_θに経過時間(t)をかけたv_θtが経過時間tで進めた円周の長さということになります。
これは、虚数を使った座標である複素数平面とは逆回転になりますが、アナログ時計を例にとって説明するのが一番分かり易いのではないかと思います。
アナログ時計といっても、ここで想像してもらいたいのはカチッ、カチッと秒ごとに刻んでいくタイプではなく、秒針や分針、時針が止まることなく流れるように回っていくタイプのものですね。
時間経過と共に円周上を移動する運動の軌道を時間の関数として記述したf(t) e^i^(v_θt)
のそれぞれの要素についてここまで個別に解説してきました。
e^i がセットで指数の底である事、指数^( v_θt)のうち^(v_θ) が円周上を移動する速度で、時間tを掛けることで円周上を移動した距離となり特定した時間での軌道上の座標位置を割り出せるようになる事、そして底のeを- e または1/ e に変更することで回転方向が逆になることも含めて、円周を移動する運動の仕組みについて、かなり踏み込んだ考察ができたのではないかと思います。
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◦ ただ、この関数を適用できるのは天体の自転や公転などの、恒常的に規則正しい周期で回り続ける回転運動の場合に限った話になります。
例えばヨーヨーや独楽のような玩具や、車や航空機のエンジンなどは回転の速度が一定ではありませんし、ルービックキューブのように回転の軸が一本だけではなく三本持つものもあります。もっとも三本の回転軸を持つといっても同時に回せる軸は一本だけで、三本同時に回せるわけではありませんが。
また、腕を回すなどの、軸自体の傾きを操作することで回転に模した動きをとらせるような、回転軸(一次元の基軸)ではなく支点(0次元の基点)を中心に回す運動も考えられます。
このような支点を中心に回転させる運動は物体の姿勢制御の手法として活用されていますが、こういった支点を中心に円ではなく球状に回転させる時に用いられる虚数が四元数です。
四元数を活用する回転運動では、円運動で使用する虚数とは全く別の考え方が必要とされます。
例えば球をi 軸に沿って90°回転させればj 軸は k 軸、 k 軸は j 軸の90°先の位置に置き換わったように見えますが、回転軸 l を基準にした視点で見ればi 、j、 kの三本の円周軸は回転前と同じ位置関係を保ったままになっているのです。
もちろん全体座標から見た位置、姿勢、運動などを把握しておく配慮は必要です。
個自体を主体とした自己座標という個別の視点と、個の全体の座標での変化という全体の中での自己の在り方という異なる視点を持つ二つの状況を同時に反映させることで、個自身の存在を全体の中で確立させる事ができるのです。
実際私たちが普段意識していないだけで、上で紹介した人体における関節と筋肉の関係などそうした関係性を持つケースは現実世界のありとあらゆるところに存在しています。
実際に虚数を現実に当てはめて考えるなら、虚数の働きは軸を中心とした回転運動とは切り離して考えた方が、運動の仕組を正しく把握しやすくなるでしょう。
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図 P-024_3の左上の図のように回転軸をxyz座標のy軸に設定した場合を想定して解説していきます。
y軸を回転させると連動してxz平面上の円周にあたるk(回転軸)は回転方向に移動します。
※ 下部に円周が送られるメカニズムを図にしたものを載せています。これは円周を直線に補正(投影)して、円周の回転と直線の座標位置が直線上を移動する動きがどのように連動しているのかを表した変換図です。
変換の手順としてはまず円を用意して、次に円の中心を通るような無限の長さを持つ直線を引きます。さらに円の中心から先ほどの直線と直交する直線を伸ばし、垂線と円周との交点を基点として円周を等間隔に分割し、基点から伸ばした直線を円周上の分割した点を通るように伸ばして、最初に引いた円の中心を通る無限の長さを持つ直線と重ねることで、その直線上の点を円周上の点が直線に転写されたものとして扱います。
回転軸yとxz平面の両者はお互いに直交する関係性を持ちます。
xz平面上の円周である虚数kをどれほど回転(円周軸送り)させたとしても回転軸yの傾きが変化することはありませんが、その代わり円周軸iおよび円周軸jの角度に影響を与えます。
この性質を利用しているのが経度と緯度を使って球面上の座標を特定するやり方で、一般的に使用されるのも圧倒的にこちらです。
これは地球のように自転軸が固定されている球体に使用するには非常に便利な手法ではありますが、例えばルーブックキューブのような三次元座標のx軸y軸z軸とそれぞれの軸に回転軸が転移してしまうような物体に適用するのには、円周軸iと円周軸 jのどちらを緯度とするのか、などの猥雑な問題が発生してしまうなど、向いていないケースもそれなりにあります。
図 P-024_3の右上の図は、経度を用いずに円周軸iと円周軸 jだけで回転軸yの傾きを操作するやり方を示しています。経度情報に関しては円周軸iと円周軸 jの動かす割合によって代用させることができます。
※ 図 P-024_3の左中間部の説明文ではその辺りに関しての解説をしています。
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結局のところ、数式e^i^θのような恒常的な回転は、回転軸に対して直交する平面上でのみ起こる運動であるため、わざわざ四元数を用いて表すのは現実的ではないといえるでしょう。
四元数は前頁で紹介した図のように軸を傾けさせる場合のような一時的な動きを表すのにこそ最適だといえるでしょう。実際、姿勢制御などの分野で大いに活用されているという話も聞きますし。ちなみに四元数を構成するのは三本の円周軸と半径情報の四つの要素からであるため、虚数軸(円周軸)自体は三本だけであってもやはり四元数という言葉を当てるのが相応しいと思います。
さて少し脱線してしまいましたが、四元数の解説はこの辺で切り上げて時間を変数とする回転運動の関数に話を戻します。
いろいろと考察を進めてきましたが、この関数が有効になるケースとして考えられるのは時間の刻みに対して一定速度で円周上を進む運動ということになるでしょう。
現実世界に当てはめると細かい調整は必要ですが、身近なところで天体の自転や公転運動あたりに適用できそうです。
地球の自転で考えた場合、24時間で一周なのでその1/4の時間となる6時間( t = 6 )で1単位分の時間が経過したことになるという計算です。
公転の場合なら、365日経過で一周ですから1単位分の時間は約91日と6時間ということになります。
それでは次の段階として、経過時間を変数(t)とする関数f(t) e^i^(v_θt)をグラフに起こしていきたいと思います。
そうすることで時間経過によるグラフの変化が一目瞭然になり、この関数の仕組と動きを正確に把握できるようになるはずです。
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