12 球の展開図 (球面→平面化(地図化)の各種手法を紹介)
2-4 球の展開図 (球面→平面化"地図化"の各種手法を紹介)
☆ 球面の平面化は世界地図のように地軸を基準に展開するものが全てではない。
世界地図は、地球表面という球面全体を平面化したものです。
地図化の手順はすでに3章-1項のP-41で解説図を交えて説明しているのでそれを参考にしていただくとして、そこでは論点が別にあったために中途半端な部分で説明を切り上げてしまっていた箇所がありました。
この項では、簡単に済ませてしまっていた球面の展開という部分に焦点を当て、より深くまで切り込んだ解説をしていきたいと思っています。
上の図解は通常の緯度と経度が採用されている地球儀ではなく、三軸全て緯度と同じ表記法を採用している球体を二次元平面に展開しています。
緯度と経度の違いは、緯度が球をミカンの房のような扇形になるように表面に対して直角を維持して分割するのに対し、経度は輪切りにするように地軸に対して常に直角を維持したまま分割するという違いがあります。
図 P-054_2カラー版の二番目から三番目の手順で扇形に開いた図形を円柱に直す作業が在りますが、ここで見えにくいですが正面に伸びた黄色軸と上下に伸びた水色軸の情報が統合されて、経度として情報がまとめられている様子が示されています。(黄色軸は、水色軸である上下の座標情報における中心と両端の位置を決める役割を担っています)
地図には緯度と経度の二軸分の情報しか含まれていないと考えている人が大半だと思いますが、正確には円柱を分割して開く際の位置決めという場面で重要な役割を与えられている訳ですから、(気付きにくいのも事実ですが)三軸目の情報はしっかりと地図上に残されているのです。
図P-054_1 (図 P-041_2再掲)の三枚は、必ずしも地軸を中心に円筒を作らなくても三軸それぞれの方向で二次元平面を展開できることを、実際に球の展開図を作成する過程を見せることで示したものです。
こうして地軸以外を縦軸にとった地図の作成手順を実践してみせれば、「北極と南極がつながっていないのはおかしい」などという、それこそおかしな主張が出てくる余地はなくなるはずです。
p-054
地球全体を展開する世界地図では、やはり地軸を縦軸にとることと赤道を中央にして北半球と南半球をそれぞれ上下に配置するという部分を変えるのは難しいのでしょう。
ですが例えば日本での世界地図を見れば、上下の中心は赤道に変わりはないですが左右という点では日本という自国が中央に来るような配置になっています。
これは世界中どこであっても同じでしょう。
地軸以外の軸に関しては割と融通を利かせられるという一面は、球と回転軸の関係性という視点で見るといろいろな示唆に富んだ興味深い部分です。
ただ、地軸を縦軸にするということは、中央から上下に離れていくに従って距離の比率が大きくなってしまうという問題も抱えることになります。
世界地図には~技法と数多くの手法が存在する理由は、球面を二次元平面化するにあたって必ず何かを犠牲にする必要があるからです。
犠牲になるのはスケールの統一性であったり方角であったり形であったりと様々ですが、犠牲になるものが存在する以上完璧な世界地図というものは存在しえません。
ですが、「世界地図」でない場合は話が違ってきます。
赤道から離れれば離れるほど歪みが大きくなるということは、逆説的に赤道に近ければ近いほど歪みは小さいと捉えることもできます。
世界地図であっても、横軸の中央にどこを置くかに関しては割と融通が利くのは先に書いたとおりです。
そして赤道が中心になるように緯度をそのままの位置に固定しているのは、球全体を平面化するという目的のために地軸方向が縦軸になるような形で展開するという縛りが発生していたためです。
そうした縛りも球全体ではなく一部の局所だけを平面化するだけでいいのなら別に取っ払っても問題はないでしょう。
実際の地図、例えば東京の地図なら地図の中心を東京の中心ということにして円柱方向の角度を、東京がある座標の緯度分だけ地軸が通る北極点からずらしてやることで、平面化の際に発生する歪みは最低限に抑えられています。
さらに範囲を小さく限定すれば歪みはさらに小さくなり、ほぼ現実と変わらないものを作成することが可能です。
これはその場所を世界の中心だと設定することで、地図化する範囲の広さと全体における絶対座標上の位置という点が犠牲にした結果、その代償で獲得した歪みの少なさであり正確さなのです。
ではこのやり方で範囲を拡大して球全体(裏側も含めて)まで地図化しようとすればどうなるのか、試しに作成してみたいと思います。
p-055
範囲を拡大するにあたり円周を直線化する手法として、三次元球面を作成するときに使用したこの方法を採用しています。
円に変形してから展開する方法は縦と横のサイズが等しくならないという問題もありますし、あの手法は地軸方向を縦軸にとることが前提のようなところがあるので、今回は別の手法をとります。
緯度と経度ではなく、三軸全てに対してミカンの房のような区分けで座標位置を決める方式を採用します。
これによってスケールは大きく崩れてしまいますが、角度情報は維持されます。
ちなみに真円の内側が球面の表側(中心部になる座標がある側)で、外側が裏側にあたります。
黄色・水色・紅色がそれぞれ球の直交する円周軸(地球に当てはめると赤道と南極点および北極点を通りかつ直交する二本の円周と合わせた計三本の円周)の各交点を中心に展開したのが上記三枚の図になります。
ちなみに、展開する前の元となる球面は、3章1項で紹介した三次元球面の三次元に加工する前の二次元球面です。
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このように、採用する範囲によって歪みの大小は大きく変化します。
このような事実を目の当たりにすると、「曲率」という指標がどれほどの意味を持つのか、正直なところ甚だ疑問に感じてしまいます。
少なくとも、何が原因で発生した歪みなのかを提示できていなければ、そこから何の情報も読み取ることはできないと考えてしまうのは自然な成り行きだと思うのですが・・・。
結局何が言いたいかというと、どんなものであれそれが成り立っている仕組みを理解することこそが、起こっている現象を理解する一番の近道なのではないか、ということです。
p-056




