11 次元早見表の作成・三種類のアプローチから
2-3 次元早見表の作成・三種類のアプローチから
☆ 頂点(0次元)・辺(一次元)・面(二次元)・立体(三次元)・胞体(四次元)・・・空間の増加と各次元で必要とされる境界の数量
頂点・線分・正方形・立方体・・・という存在は、空間を閉じて内側に限定された領域を確保するためには、内側と外側を隔てる境界の存在が必要不可欠です。
「正方形」や「立方体」等、閉じた空間を作るのに必要な境界の構成要素が、各々直交する向きに同じ量だけ伸びるもののみで構成した存在において、その構造物を構成するために必要な境界の各次元ごとの数量の法則性を、構造物の形成過程から数式化して各次元ごとの数量を割り出すための表の作成がこの項での目的です。
言葉だけでは何を指しているのか分かりづらいでしょうから、今回も実際に表を作成しつつ解説していこうと思います。
ケース ①は0次元から順に、次元を追加する方向への移動による軌跡から導き出される数量を数えていく計算方法です。
一般的にはこの方法が最もよく知られているのではないでしょうか。
注意しておくべき点として、中心点から伸ばす長さが1なので線分や正方形・立方体の一辺の長さは1ではなく2になるという点と、三次元から四次元へと次元を拡張する際に軌跡が直角ではなく斜めに伸びている点ですが、別に追加する軸の方向を斜め方向に伸ばしているわけではなく、あくまで前後左右上下の三軸を同時に延ばした結果がそうなっているだけです。
ただそれまでと違うのは、三次元までは次元を追加する際、新たな軸の方向をすでに存在する次元と直交する向きになるよう設定していますが、三次元から四次元へと変換させる際は新たな方向に軸を追加するということはせず、基点を中心から三軸全ての方向に1ずつずらすことですでに存在している次元上に新たに伸ばせる余地を生じさせるという方法を採用している点です。
「三次元から四次元へと次元を拡張する段階では、新たに作られる軸の基点が中心ではなく、一辺が2の長さの立方体の六面ある表面それぞれの中央部に三軸×2の合計6カ所になります」――という手順の意味は、おそらく言葉で説明するより図 P-049_1の下段左の図を参照してもらった方が早いと思います。
p-049
伸ばす長さはそれぞれ外側に1/2(中心から3/2)、内側に1/3(中心から2/3)としています。
内側と外側への伸ばす長さの違いが、中心から数えてそれぞれお互いの分子と分母を入れ替えた数値になる、というところがこの方法を採用した際に現れる最も特徴的な部分になります。
これは、四次元ではそれまでの数直線による軸ではなく、指数直線というものを各軸に採用しているために生じる現象です。
※指数直線に関しては一章二項で解説しています。
図 P-049_1の中で、次元を増やす度に各要素(頂点・辺・面・立体etc)がどのようにして増えていくのかを数値化していますが、次はここから分かる規則性から次元と各構成要素の関係性を数式化した表を“ケース ①“として作成していこうと思います。
この表はある意味次元を増加していく手順を数式化したものですから、ある意味その手順で作られる正方形や立方体、四次元超立方体のいわば設計図に相当するものだと言っていいでしょう。
ケース ②では一段階ずつ次元を増やしていくのではなく、基点からその都度全方向に伸ばすことで空間を広げていくという手法を採用します。
これも言葉での説明ではイメージし難いでしょうから、図を使って説明しています。
中段に、三次元立方体から四次元超立方体――混同を避けるため「正八胞体・テッセラクト」へと表記を変更――へ一次元増やす際、斜めの軸を追加するのではなくあくまで直交した方向に向けて軸を伸ばした結果、斜め方向の境界線・境界面が発生する原理の解説を挿入しているので、本題である表を作成するための手法の説明は下段の部分になります。
ここでは各次元の境界を色で区別できるように、点→青色・辺→赤色・面→緑色といった具合に色付けしています。
線を線分という領域に留めるには2つの点が必要です。
同じように平面を正方形という領域に閉じ込めるには4本の線分を必要とします。
p-050
三次元空間内に立方体という領域に閉じ込める場合は6枚の面が、四次元空間に正八胞体という領域に閉じ込めるには8個の立方体で境界を作る必要があり、立方体を作るには6枚の正方形が必要で、正方形を作るには4本の線分が、そして線分には直線を区切るための2つの点が両端に存在しているのです。
このように各次元での構成要素を全て抜き出してその総数を算出した後に、重複分を割って必要数を抜き出していくという手順で表に入る数値を確定していきます。
計算式と実際の数値は下の表になります。
数値を求める計算式は次元が増えるごとに長くなっていきますので、計算式と計算結果は表を分けておきました。
ケース ①とケース ②で同じ数値になっていますが、これは同じ現象を数式化しているだけなのである意味当然の結果といえるでしょう。
上記の二つの例で、現象を分析するための視点は一つに限らないということがお判りいただけたかと思います。
それではさらの別のアプローチを試してみようと思いますが、このケースでは視点を大きく変化させます。
ケース ①とケース ②では次元を追加する際、基点から拡大していくことを前提としていました。
ケース ③では、ここまでで何度も言及してきた「内側」「外側」「境界」という要素を主眼にした表を作成します。
これまでのように次元を増やしていくのではなく、空間を「境界」で覆って切り離された領域を作り出すために必要な要素と数量から「頂点」「辺」「面」「立体」各構成要素の数を割り出そうという試みが 図P-051_2 です。
手法としては、四次元なら「正八胞体」三次元なら「立方体」二次元なら「正方形」一次元なら「線分」と、まずその次元の空間内に一つの領域を作成し、それが成立するために必要な境界を作成して、さらにそれらの要素が境界の役割を果たせるよう結合するための繋ぎ手の必要数を数えていくという、ケース ①とは逆に高次元から低次元へと順に進めていくことになります。
p-051
ではケース ③も数式化して表を作成していきます。
ここで問題が発生します。
0次元から四次元までの数値は完全に一致しますが、五次元体の面のところでケース ①②と異なる数値が出てきてしまっています。
この結果に対する解釈は二通りのケースが考えられると思います。
一つ目は、数式化の時点で誤りがある可能性です。
数式化に際しての考え方は図P-051_2の通りなのですが、そもそもこのような次元ごとに構成要素を数えていくという試みで、ケース ①以外の方法を採用しているもの自体見た記憶がなく、もしかしたら全く存在していない可能性すらあり得るほどのものですし、残念ながら私も数学が専門ではないのでこれ以上の検証のしようがありません。
二つ目は、数式が正しかった場合、この数値が異なるという事実が何を意味するのか、という部分から空間の在りように関して一つの推論が浮かび上がります。
ケース ③は、ケース ①②のように次元を増やす過程で足される頂点や辺といった新たに生成される要素を数えたものではなく、空間を境界で囲って閉じた領域を生むために必要な数を書き出したものです。
次元を増やしていく工程を進めると、ある段階で領域形成に必要な境界を組み上げるための必要数に、新たに生成される要素のうちのどれかが足りなくなるという現象が起こることも否定はできません。
つまり、その境界を作るための必要数に足りなくなる段階が五次元なのではないかという推察されるわけです。
三つの表を見比べて、五次元空間で閉じた領域を作成するためには32の頂点・80の辺・90の面・40の立体・10の胞体が必要なことになっていますが、ケース ①②の表から、生成される各要素の内、面の数が80と必要数にあと10足りていないことが明らかに分かります。
五次元で閉じない空間が出てきてしまう以上、これ以上の次元の関して調べても無意味でしょう。
五次元の段階で境界を作るための必要条件を満たせなくなるために空間から独立した五次元体を作ることが不可能になるのですから、これ以上の高次空間では、独立して形を保つ「物体(多胞体)」という存在が成立する基準を満たすことはありません。
p-052
言うまでもないことですが、この推論が当てはまるのはあくまで図P-052_1の表に間違いがない場合に限ります。
ただ一ついえることは、五次元以上の空間というのはその在り様をある程度まではイメージできる四次元世界とは違って、完全に未知の領域だということです。
ポアンカレ予想、四次元超立方体(正八胞体・テッセラクト)の作成に続いて各次元の物体を構成する各要素の必要数を表した表の作成と、三項に渡って高次元世界に関連した今までになかった視点からの考察を行ってきましたが、いかがだったでしょうか。
次の項では少し方向転換して、球面を二次元平面に変換する(球面"極座標"→平面"直交座標")手法について解説します。
p-053




