第六章 再会
1
待ち合わせは、紗月の家から歩いて十分の、小さな公園だった。低い雲が流れて、午後の光はときどき色を失う。遊具のそばでは、小さな子どもたちが順番をめぐって静かな戦いを繰り広げている。
ベンチに座っていると、ベビーカーを押す紗月が「ごめん、遅くなった」と小さく頭を下げた。前に会ったときより、少しだけ眠そうな目。でも笑うと、昔と同じ形に目尻が下がる。
「来てくれて、ありがとう」
「ううん。連絡くれて嬉しかったよ。……それで、話って?」
紗月はベビーカーのブレーキをかけ、ポケットから透明のジッパー袋を取り出した。中には、折り目のついたメモ用紙が二枚。紙は薄く黄ばんで、端が柔らかくほつれている。
「引っ越しの段ボール、やっと一箱あけたの。あの頃のノートとか、練習メモとか、いろいろ出てきてさ。……これ、咲の手書きだと思う」
受け取ると、紙の繊維が指先にひっかかった。一枚は罫線の細いメモ。右上に小さな落書き。──丸を四枚重ねた、咲がよく描いていたあの花。
左下に、鉛筆の濃淡がまだ残っている。
“木曜 19:30 仮録り/灯”
もう一枚は、印刷した地図の切れ端だった。駅から細い路地を二本抜けた先に、赤いマーカーで小さく丸がついている。丸の横、同じ筆跡で“studio Akari”と書かれていた。
「……灯」
声に出すと、胸の奥で音が鳴った。章のタイトルみたいだ、と一瞬くだらない連想をして、すぐに打ち消す。
「撮影の合間に、咲がこれ持ってたのを見た気がするの」
紗月が言う。「『ちょっと別件で音合わせがある』って、ぼそっと。マネさんには言ってなかったと思う」
「別件……?」
「うん。私もそのとき深くは聞けなかった。あの頃、みんな余裕なかったし......。でも、メモの“仮録り”って、スタジオの仮歌かなって」
仮歌。
デモ段階での“声の当て込み”。正式な仕事ならスケジュールに載る。載っていないということは、個人的な頼まれ事か、あるいは──。
「この場所、まだあるのかな」
「わからない。地図も古いし、店名変わってるかも。……でもね、美晴。もう一つ、ひっかかったことがあって」
紗月はベビーカーの屋根をそっと整え、ふと思い出したように声を落とした。
「そういえばね、この前ママ友がSNSに発表会の写真をあげてたの。そのキャプションに“Akari”ってスタジオ名がタグ付けされてて……」
美晴は顔を上げる。
「場所も、この辺りで練習してるって書いてあったんだ」
紗月が地図アプリを開き、丸を指で押さえる。
細い路地の向こうに、名前のない小さな四角。地図記号のない空白。そこに、スタジオがあるのかもしれない。
「どうして、今日、これを私に?」
そう聞くと、紗月は少しだけためらってから笑った。
「この前、カフェで話したでしょ。美晴はまだ“終わってない”って顔をしてた。……私、あのとき軽く言いすぎたのかもしれない。『大丈夫だと思うよ』って」
彼女は自分の言葉をなぞるように、静かに続けた。
「母になって、暮らしのリズムに守られてると、過去を“いい思い出”に包んで置いておける。でも、そうじゃない人もいるよね。……だから、せめて手がかりになりそうなものは、ちゃんと渡したかった」
ありがとう、と言おうとして、喉がつまる。ベンチの上でメモをもう一度開く。ひらがなの“あ”が、咲の癖字だと確信できる形で、細く丸い。
「覚えてる? 咲、よく紙コップに花描いてた」
「うん。あと、私のスケジュール帳の隅にも描いてた。怒ったのに笑ってごまかされて」
二人で笑って、すぐにその笑いがほどける。
花の線の上に、時間が降り積もっている。触れると、指の腹に溶けていきそうな記憶。
「……このスタジオが、咲に繋がるって思う?」
「わからない。でも、咲って名前に縁起をこめる子だったでしょ。『縁担ぎ、けっこう信じる』って。“Akari”って、選ぶかなって」
紗月の言葉に、胸の奥が小さく明るむ。
たしかに、咲はそういうところがあった。ユニット曲のリハが進まないとき、自分のリストバンドの色をこっそり変えてみたり、ルーティンに小さな“儀式”を差し込んだり。
ベンチの背もたれに冷たい風が当たって、薄い紙がふわりと揺れた。メモの余白に、うっすら鉛筆の削りカスの跡。消しゴムで消した横線。何度か書いて、消して、また書いた痕跡。その逡巡の気配が、紙の上に残っている。
「彩瑛には、このこと話した?」
「まだ。あの子、今度『キッズ向けのコンテスト』の審査入ってて、バタバタしてるみたい。……でも、知らせた方がいいのかもね」
ベビーカーの中で、小さな寝息が規則的に上下している。生活の音。今の時間。その向こうで、遠いリズムが耳の奥に戻ってくる。
木曜 19:30分──スタジオの蛍光灯が生む白い影。鏡に映る書きかけの振付。
──もし、あの夜に戻れるなら。
「私、行ってみる」
口にした途端、言葉が身体に馴染んだ。頼りなくても、決めた音が胸の中に落ちる。
「気をつけて。……無理はしないで。もし場所が残ってたら、私にも教えて」
「もちろん」
「......ありがとう、紗月」
「ううん。……ねえ、美晴」
「なに?」
「もし咲に会えたら、伝えて。怒ってるわけじゃないって。私は、ただ、元気でいてほしいって思ってるだけ」
うん、と頷く。
そう言える紗月に、少しだけ嫉妬した。私はきっと、もっとわがままなことを言ってしまうだろう。どうして何も言わずにいなくなったの、って。どうして最後に笑ったの、って。
ベンチから立ち上がると、雲が割れて光が差した。紙の上の文字が、少しだけ濃く見えた。
帰り道、メモを鞄の内ポケットに入れ直す。ファスナーを閉めたとき、心のどこかで音がした。過去と現在をつなぐ、小さなスイッチが入る音。
駅までの道のり、信号待ちのたびにメモの花が頭に浮かぶ。丸を四枚重ねた、稚い花。咲がよく描いた、あの花。あの花の真ん中に、いま灯がともった気がした。
──studio Akari。
あの四角い小さな丸印。そこへ行けば、何かが始まる。
私は歩く速度を少しだけ上げた。
翌日の午後、美晴は紗月から受け取ったメモを鞄に入れ、地図の赤い丸を目指して歩いていた。
「studio Akari」と書かれた文字。その響きはどこか柔らかいのに、胸の奥では針のように尖って残っていた。
最寄り駅から路地へ入り込むと、空気が少し湿っている。古びたビルの並ぶ一帯は、昼間でも人通りが少なく、ガラスの割れた窓や錆びたシャッターが目に入った。かつては音楽スタジオや稽古場が多く集まっていたと聞いたことがある。けれど今は、半分以上が閉じられているようだった。
もしここに咲がいた痕跡があるのなら、それを確かめられるのは自分しかいない。そんな思いが背中を押す。
ビルの影に入り込むと、赤茶けたレンガの壁に、かろうじて「B棟」と読めるプレートが残っていた。
息を呑む。地図の丸と一致する場所。
入口のドアには「関係者以外立入禁止」と色あせた紙が貼られ、横には鍵穴がひとつ。ビニールタグの「B-2」という文字が頭に浮かぶ。
ドアに手を伸ばすと、古びた金属音とともに、ドアが少しだけ揺れた。
開けるかどうか迷う。
胸の奥で、「やめておけ」という声と、「確かめろ」という声がせめぎ合う。
そのとき、耳の奥で微かに幻聴が響いた。
「大丈夫、いけるよ」
あの頃、咲が練習のたびに口にしていた言葉。笑いながら、誰よりも自分に言い聞かせていたあの声。
美晴はゆっくりとドアを押した。薄暗い廊下。ほこりの匂いと、わずかに残る防音材のゴムの匂い。
扉の隙間から差し込む光の中に、舞い上がった塵が揺れている。
数歩踏み出すごとに、過去の映像が重なってくる。練習帰りに笑いながら肩を並べて歩いた咲の横顔。音が外れたときに真っ赤になって「もう一回!」と叫んでいた声。ステージ直前に深呼吸を繰り返していた小さな背中。
──なぜ気づかなかったのだろう。
その笑顔の奥に、あれほどの影があったのに。
建物の奥、二階へと続く階段の前で足が止まる。貼り紙には「Akariスタジオ 一部閉鎖中」と掠れた文字。それでもAkariという単語が、胸の中で光った。
階段を一段上がるごとに、心臓の鼓動が早くなる。ここに咲の痕跡が残っているのかもしれない。そして、それは過去と未来を繋ぐ唯一の手掛かりなのかもしれない。
2
胸の奥で、心臓の鼓動が規則を乱す。息を整えようとしても、肺の奥が浅い呼吸を繰り返すばかりだった。
防音材の壁は一部剥がれ、カーペットには古いシミが点々と残っている。けれど、中央にはまだ大きな姿見が据え付けられていた。鏡の中に映った自分は、やけに小さく、頼りなく見えた。
数歩踏み入れたとき、奥のドアがわずかに揺れた。
思わず身を固くする。耳を澄ますと、細い鼻歌のような声が聞こえた。その旋律を、知っていた。
三枚目のシングル。咲がセンターで初めて務めた曲。
息を止めて、音のする方へ進む。廊下の突き当たり、小さな練習室の扉が半開きになっていた。中から漏れる光は蛍光灯の白。そっと覗くと、そこに人影があった。
黒いパーカーのフードを被り、ジャージの裾を引きずるように動くその背中。細い肩、かすかに震える首筋。鏡越しに見えた横顔に、美晴は呼吸を忘れた。
「……咲」
名前は喉の奥で囁きに変わった。彼女は歌を止め、振り返った。目が合った瞬間、時間が溶けたように動きを失う。
咲は、変わっていた。頬は少しこけ、目の下には薄い隈がある。けれど、その瞳は十代の頃と同じ澄んだ色を保っていた。ただ、そこに浮かぶ光は、どこか遠い。
「……美晴?」
掠れた声。それでも確かに咲の声だった。声を聞いた途端、胸の奥の何かが決壊するように揺れた。
「本当に……ここに、いたんだ」
言葉が勝手にこぼれる。
咲は小さく笑った。けれど、その笑みはどこか自嘲めいていた。
「探すなんて、思わなかったよ」
美晴は一歩踏み出す。けれど咲は、鏡を背にして後ずさった。距離は、むしろ広がってしまう。
「ごめん……ずっと、会いたかった。でも、どうして何も言わずに……」
問いかけは声にならないまま、空気に滲んで消える。
咲は視線を落とし、両手をポケットに隠した。
「言ったって、止められなかったよ。あのときの私……」
言葉は途切れ、しばらく沈黙が落ちる。蛍光灯の微かな唸り音だけが、耳に刺さる。
美晴の脳裏に、あの頃の咲がフラッシュのように蘇る。
練習の合間、紙コップに小さな花を描いていた姿。「大丈夫、できるよ」と笑っていた、無邪気な声。舞台袖で、緊張を隠すように両手を胸に組んでいた横顔。そのすべてが、目の前の咲と重なる。
「ねえ、美晴。あの頃、私が何回も聞いたよね。『私たち、光になれると思う?』って」
瞳が揺れる。その奥に、決して消えなかった問いがまだ残っていた。
「……覚えてる」
美晴は頷く。喉が震えて、声が上手く出なかった。
「答えは、もう出てるんだと思ってた。私たちは光になれなかった。ただ、それだけ」
咲の声は淡々としているのに、刃のように鋭い。
「違う……。」
気づけば声が出ていた。鏡に映る自分が、必死に手を伸ばしている。
けれど咲は、ただ静かにその手を見つめるだけだった。
「美晴は、まだ信じてるんだね」
そう言ったときの笑みは、哀しみと優しさが混ざった色だった。
返す言葉が見つからなかった。ただ、再会の事実だけが、胸を締めつける。
咲は荷物を掴むと、扉の方へ歩き出した。その背中を追いたいのに、足が動かない。
「待って……!」
呼び止めた声は、空っぽの練習室に反響して消えた。
振り返った咲の瞳が、ほんの一瞬だけ揺れる。だが次の瞬間、彼女は何も言わず扉を閉めた。
残された鏡の中には、美晴ひとり。肩で荒く息をしている自分の姿だけが映っていた。鏡に映る自分を見つめながら、美晴は思った。
咲はまだ、ここにいる。けれど、その心はもう別の場所にある。扉の向こうに消えた彼女を追いかける勇気が、まだ足りなかった。
3
扉が閉まったあとの静寂が、ひどく重たかった。蛍光灯の音すら止まってしまったように感じる。鏡に映るのは、自分ひとり。肩を上下させながら荒く息をしている姿。
「追えばよかった」と思う気持ちと、「もう遅い」と呟く心の声が、胸の奥でせめぎ合っていた。
視線を落とすと、床の隅に古びたノートが置かれていた。拾い上げると、表紙には「Luminous」と黒マジックで書かれている。ページをめくると、当時の振り付けのメモや歌詞の書き込みが並んでいた。
小さな字で書かれた「笑って」「もっと前へ」「大丈夫」──どれも咲の癖字だった。
ページの端には、控え室で見たあの落書きもある。小さな花、意味のない線、そして五人を模した棒人間のイラスト。棒人間の真ん中に描かれたのは、大きな丸い星。その横に、「光に届く」とだけ書かれていた。その文字を見た瞬間、胸の奥が熱くなり、呼吸が詰まった。
どうして咲は、あの時、誰にも何も言わずに消えたのだろう。思い返せば、最後のリハーサルのときも、彼女は何かを抱え込んでいた。ステージに立つときは完璧に笑顔を作っていたけれど、舞台袖で楽屋に戻るその数秒、瞳の奥にかすかな影が走っていた。
その違和感を「疲れてるんだろう」と勝手に片付けてしまったのは、美晴自身だった。
鏡の中の自分を見つめる。咲に追いつけなかった自分。優音と並ぶことを怖がった自分。紗月や彩瑛に頼ることもできず、ただ距離を置いてしまった自分。
──私のせいでもあったんだろうか。
そんな問いが胸を刺す。
手に持ったノートを抱きしめると、かすかな香りが鼻をかすめた。紙に染み込んだ汗と香水の混じった匂い。それは、解散直前の控え室を思い出させる。
「ねえ、美晴。もし私がいなくなったら、どうする?」
最後の夜、咲が投げた言葉が耳の奥でよみがえる。あの時、美晴は笑って「いなくならないでしょ」と答えた。その軽さが、今では耐えられないほど重かった。
静かなスタジオで、美晴はゆっくりと目を閉じた。脳裏に蘇るのは、五人で立った最後のステージ。ペンライトの海。声援の波。そして、センターで歌う咲の笑顔。
けれど、その映像の隅には、確かに影があった。咲の口元の笑みが少しだけ硬く、視線が時折、遠くに彷徨っていた。
「どうして気づけなかったの?」と、自分を責める声が強まる。
ノートを閉じ、深く息を吐く。胸の奥の痛みは消えないけれど、それはもう“ただの痛み”ではなかった。咲の痕跡を、過去の断片を、こうして確かめた今だからこそ、そこに答えがある気がした。
「咲……」
もう一度、会わなければならない。彼女が消えた理由を、正面から確かめるために。それが、美晴自身の過去を照らすことにもなるのだと、胸の奥でようやく理解できた。
4
外に出ると、夜の空気は一気に冷え込んでいた。
スタジオの中でまとわりついていた湿った匂いが、まだ鼻の奥に残っている。埃と古い木材と、咲が残した痕跡の混ざった匂い。それを振り払うように、深く息を吸った。冷たさが喉から胸の奥へと突き抜けていく。
通りの向こうでは、若い学生らしい二人が笑いながら歩いていた。イヤホンから漏れるアイドルソングのサビが、ほんの一瞬だけ耳に入る。懐かしいリズムに似ていて、思わず足が止まった。
けれどすぐに、胸が締めつけられる。自分たちの歌ではない。もうあの頃の声が街に流れることはないのだ。
──それでも、咲は歌っていた。
薄暗いスタジオで、誰もいない鏡の前で。声は掠れていたけれど、その旋律はたしかに私たちのものだった。
ベンチに腰を下ろし、しばらく夜空を仰ぐ。ビルの隙間に、星がひとつだけ瞬いていた。
「私たちは光になれると思う?」──咲の問いが再び胸に響く。あの言葉は、ただの疑問なんかじゃなかった。あの頃からずっと、咲の心を縛っていた叫びだったのかもしれない。
目を閉じると、過去の場面が鮮やかによみがえる。リハーサル後、汗を拭きながら「まだいけるよ」と笑っていた咲。ファンレターを読みながら涙をこぼして、「いつか返したいな」と呟いていた咲。
そして──失踪する直前、楽屋で荷物をまとめる姿を見たような、曖昧な記憶。ほんの数秒だけ視線が交わったはずなのに、なぜあの時、声をかけられなかったのだろう。
スマートフォンを取り出す。画面には未送信のメッセージがいくつも並んでいた。
「咲、元気?」
「どこにいるの?」
「私、まだ信じてる」
どれも送れなかった。指先が震えて、送信ボタンの上で止まったまま、画面を閉じることしかできなかった。
けれど、もう引き返せない。
今日、咲と再び目を合わせた。それだけで、過去はただの記憶ではなくなった。失われたものだと決めつけていた時間が、今この瞬間に繋がっている。
スマホの連絡先をスクロールする。指が一瞬止まったのは、「桐生優音」の名前の上だった。
白い画面に浮かぶその文字は、ただの文字列にすぎないのに、胸の奥を小さくえぐるような重みがある。
つい先日、久しぶりに会った彼女の言葉が蘇る。完璧に笑顔を作り続けるその強さも、内側に隠した鋭さも、やっぱり自分には届かないものだと思った。ステージの真ん中で輝いていた頃と同じで、優音は相変わらず遠い存在だった。けれど、同時にあの再会が確かに背中を押してくれた。逃げ続けてきた自分の弱さを、そっと突きつけてくれたのだ。
今度は、咲だ。
避け続けてきたその存在に、向き合わなければならない。咲を見つけなければ、自分の時間も止まったままになってしまう。彼女が最後に残した言葉も、あの不自然な笑顔も、ずっと心の奥に刺さったまま動かない。
胸の奥に小さな決意を抱えたまま、美晴はスマホを閉じた。夜の部屋は静かすぎて、時計の秒針の音さえ胸に響いた。自分の呼吸がこんなに浅いのだと気づく。
咲を探す旅は、まだ始まったばかり。けれどそれは、単に彼女の行方を追うことではない。過去の自分と向き合い、置き去りにしてきた想いをひとつずつ拾い直すことでもある。
そしてそれは、同時に自分自身を取り戻すためのものでもあるのだと、美晴は静かに気づいていた。




