第八章:希望の谷
一週間を超える旅の果て、マエラが語った隠された谷への道は、次第に岩と茨の荒野へと変わっていった。だがシムは不思議な勘で迷わず進み、ゴンドが茂みや峡谷で道を見失いかけても、司祭は立ち止まり、遠い声に耳を澄ますように首を傾けた。彼は時折、マエラから託された銀緑の葉を掌に包み、静かに握りしめていた。
ある午後、古いオークの木陰で休んでいると、ゴンドはシムが葉を手にする様子を見ていた。司祭は葉をゆっくり回し、山々の見えない裂け目を指すと、葉脈が淡い真珠色に脈打った。あまりに微かな光で、ゴンドは木漏れ日の戯れかと思ったが、光は揺るがず、シムの手の中で静かに鼓動していた。シムは小さくうなずき、唇に静かな笑みを浮かべて葉をしまうと、確信を持って進路を定めた。道は依然として険しかったが、どこか通りやすくなり、大地そのものが彼らの通行を許しているかのようだった。
やがて、幾日も急な丘を越えた末、地形は突然、切り立つ崖に囲まれた広い谷へと開けた。細い滝が断崖を流れ落ち、澄んだ湖に注いでいる。谷底は緑の草に覆われ、野の花や野生の果樹が点在していた。一行は手際よく野営を設営し、恒久的な宿営地の建設に取りかかった。
意外なことに、ダックスが宿営地作りの指揮を執った。彼は大工の見習いで、家族が近くの町に彼の作品を届ける途中、盗賊に襲われたのだった。目的を与えられたダックスは生き生きと動き、ゴンドには、殻を破って男たちの中に加わる姿が、新兵が一人前の兵士へと成長する様を思わせた。
谷に着いて一週間ほど経った頃、最初の避難者が現れた。
彼女はリラと名乗り、十八には見えない痩せた脱走奴隷だった。暗い髪は飢えでやつれた顔に絡みつき、手枷の擦り傷や新しい切り傷が腕を覆っていた。足を引きずり、左足をかばいながら谷の端にたどり着くと、今にも倒れそうだった。
「マエラが私を送りました」息も絶え絶えに言い、シムが水と優しい手で寄り添うと、嗚咽で言葉が詰まった。震える指でぼろぼろの上着の襟元を探り、しっかり握りしめて折れ曲がった銀緑の葉を取り出す。それを差し出し、必死の供物のように。「彼女が言いました……これを見せろと。それが証明になる……私が言う通りの者だと。あなたたちが私が助ける者によって送られたと分かると」葉は汚れた掌に乗り、一見ただの葉に見えたが、リラの目はそれを聖遺物のように見つめていた。「彼女が言いました……私のような人々がここにいると」
シムが傷の手当てをする間、リラの物語が断片的に明かされた。父親が借金返済のために彼女を奴隷に売り、商人の家で台所女中として働いていたが、病気の母のためにパンを盗んで捕まり、見せしめとして塩鉱山送りを命じられた。看守が迎えに来る直前に逃げ出し、二週間逃亡してきたのだ。
だがリラには生き延びる術があった。「父が借金で私を売る前に狩りを教えてくれました」シムが深い傷を拭うとき、顔をしかめて言う。「もっと深い森で鹿を追ったこともある。静かに動く方法、痕跡の読み方も知っていました」疲労の中にも、目には強い誇りが宿っていた。「だから一人でここまで来られたんです」
ペルが影から現れ、新参者を値踏みするように見た。「また迷子が一匹か」呟いたが、悪意はなかった。「そのうち本格的な避難所になるな」
ゴンドは考えるより先に一歩前に出ていた。少女の決意、耐え抜いた末もなお屈しない姿が、何かを呼び起こした。「彼女はここに残る」短く言い切る。「マエラが送る者は誰でも歓迎だ」
その言葉は口の中でしっくりと収まり、説明できない確信の重みがあった。火の周りで他の者たちも頷き、ゴンドは彼らの顔に、ただ生き延びるだけではない新たな認識が生まれるのを見た。
その後も避難者は一人、また一人と現れ、ほとんどが似たような物語を持っていた。脱走奴隷、残酷な主人から逃げた農民、追い出された見習い。多くがシムやリラと同じ銀緑の葉を携えていた。そして皆が口にした名はマエラ。彼女が避難者たちを導いていたのだ。以前はどこに送っていたのか、誰も知らなかった。
シムは避難者の世話を引き受け、寝床を用意し、集団を養い、来る季節に備えて仕事を割り振った。
◇ ◇ ◇
谷を見つけて三週間ほど経った頃、ゴンド、リラ、ペルは谷から一日離れた狩場に出ていた。ペルが明らかに踏み跡のある道を下り始めたとき、ゴンドが咄嗟に手を伸ばして止めた。鳥の声が静まり、見えない手で肩を掴まれたように身が強張る。腕の毛が逆立った。
「待て」
ペルは眉をひそめて周囲を見回す。「俺には何も見えないが」
「いいから待て」ゴンドは繰り返す。「何かが……」
数分もしないうちに、地平線に砂塵の雲が現れた。武装した一団が、ペルが進もうとしたまさにその道を急いでいた。
「どうして分かったんだ——」リラが言いかける。
「運が良かっただけだ」ゴンドはすでに動き、服を引き裂きながら茂みに身を隠して導いた。「敵地で生き延びた年季がある」
リラは納得しきれない様子でペルを見たが、ペルは肩をすくめてゴンドの後に続いた。
彼らは茨と砕けた石を抜けて別の道を見つけた。ようやく宿営地に戻ると、夕暮れが迫る中、皆がそれぞれの仕事に散っていた。長い一日を終え、ゴンドたちは静かに荷を下ろし、焚き火のそばで短い休息を取った。
その夜、ゴンドが水を汲みに行くと、焚き火の陰でリラと二日前に加わったばかりの不機嫌な男コルヴェンが、減りゆく食料を巡って激しく言い争っているのを見つけた。他の避難者たちが緩く輪を作り、リラに頷く者もいれば、腕を組んでコルヴェンを支持する者もいた。
「まず子供たちが食べるべきだ!」リラは一語一語、はっきりと言い切った。「それが人間ってもんでしょう!」
「まともな人間から先に死ぬのさ」コルヴェンの手がナイフの柄に伸びる。「強い者が食い、弱い者が飢える。それが世の理だ」
避難者たちは陣営を分け始め、声が高まり、手が武器に伸びる。集団の脆い結束が薄氷のように割れた。ダックスは妹の前に立ち、年老いた女はショールを握りしめて後ずさった。
ゴンドが二人の間に立つ。声は集団全体に静かに降りかかった。
「やめろ」
その一言が空気を切った。コルヴェンの手は途中で止まり、リラの口もぴたりと閉じた。子供たちも身じろぎをやめた。周囲の避難者たちは動きを止め、思いがけない権威にゴンドを見つめた。
「持っているものを分け合うか、全員で一緒に飢えるかだ」ゴンドは一人一人の顔を見て、目を逸らすまで視線を外さなかった。「コルヴェン、お前が最初の見張りだ。他の者も自分の役目は分かっているな」
争いは一瞬で収まった。コルヴェンは短くうなずき、持ち場に向かった。リラは子供たちを集めて世話を始め、他の者たちも仕事に散った。緊張は朝霧のように消え、数人の避難者が安堵と畏敬の入り混じった目でゴンドを振り返った。
夜の支度をしていると、ペルがゴンドの肘に寄ってきた。「今の……面白かったな。いつからそんな威厳を持つようになった?」
「無駄口の代わりにまともなことを言うようになっただけだ」ゴンドは答えたが、内心では、なぜあれほど簡単に争いが収まったのか不思議だった。言葉は口の中でしっくりと収まり、説明できない確信の重みがあった。
数夜後、新たな避難者の一人──ヨリクという男──が悪化した。熱にうなされ、腕の膿んだ傷から赤い筋が広がっていた。シムは薬草を塗り、祈りを呟きながら懸命に看病したが、感染は止まらなかった。
ゴンドは考えるより先に死にかけた男の傍らに膝をついた。神殿での記憶が蘇り、ヨリクに触れずにはいられなかった。
「無理だと思うが──」シムが言いかけたが、ゴンドがヨリクの熱い額に手を置くと、言葉を飲み込んだ。
ゴンドはアラニィに心の中で祈った。*どうか──*
何も感じなかったが、ヨリクの苦しげな呼吸が次第に落ち着いていくのが見えた。浅く速かった胸の動きが、ゆっくりと深くなっていく。額に汗が浮かび、それが乾き始めた。一時間もしないうちに、ヨリクは目を開き、はっきりとした声で食べ物を求めた。
「驚くほどの回復だな」シムは慎重に言葉を選んだ。「薬草も、正しく使えば効き目が早いものだ」
ゴンドはうなずき、その説明を救い綱のように受け入れた。「お前の女神はタイミングがいいな」
だが内心では、指を曲げ伸ばし、何か変化がないかと確かめていた。手はいつも通り、傷とたこだらけの、ごく普通の手だった。だが神殿で聞いたあの声の記憶が残り、まだ答えを求めるには早い問いが心に残った。
その夜、見張りの番をしながら、ゴンドは火の周りで眠る顔ぶれを見つめていた。いつから自分は答えを求められる立場になったのか。いつから彼らの生存が自分の責任になったのか。
柔らかな足音がシムの接近を告げた。司祭は星空を仰ぎながら、岩の出っ張りに腰を下ろす。
「悩んでいるのか?」
「どうやってここまで来たのか考えていた」ゴンドは低く答えた。「数週間前まで、俺は次の飯以外に責任のない傭兵だった。今は……」
「今は二十人以上の魂の希望を背負っている」シムの声は穏やかだった。「重い荷だな」
「望んだ覚えはない」
「最良の指導者は、たいていそうだ」司祭はしばらく黙った。「アラニィはしばしば、仕えることを嫌がる者を選ぶ。重みを知っているからだろう」
ゴンドはシムを見た。「本当に女神が関わっていると思うのか?」
「小さな種も、良い土に落ちれば大きなオークに育つ」シムは星明かりの下で微笑んだ。「時に、力は思いがけない場所から生まれる」