表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/27

第二十七章:大陸の再生

エーテルバーグ大聖堂の空気は、もはや古い香や恐怖の重さに満ちてはいなかった。かつては汚れたステンドグラスに裂かれていた光が、今は澄んだ窓から差し込み、広い堂内に舞う塵を照らしている。長い眠りから目覚めたかのような古の石たち。まるで長く息を潜めていたものが、ようやく静かに息を吐いたようだった。


シムは染めのない亜麻布の質素な法衣をまとい、かつての華美な高い説教壇ではなく、身廊の中央に据えられた低い木の台に立っていた。聖職者の技巧で増幅されることのないその声は、それでも堂内の隅々まで届き、集まった人々の上に温かな毛布のように広がっていく。粗布の農民、質素な晴れ着の商人、かつての金ぴかの傲慢さを脱ぎ捨てた貴族たちまでもが、同じ木のベンチに肩を並べて座っていた。


「アラニィの光は、限られた者だけが閉じ込めておく宝ではない」シムの声は静かに響き、一人一人の顔を見つめる。「それはすべての心に芽吹く種。立派な神殿にあるのではなく、素朴な親切の行いの中にこそ宿る。隠された規則ではなく、困っている人に差し出された手の中に」


腐敗した旧教会の灰から生まれ変わったアラニィ教会は、静かに栄えていった。血筋や政治的な狡猾さではなく、慈悲によって選ばれた聖職者たちが大陸各地へと散っていく。彼らは新たな石や金の大聖堂を建てることはなかった。代わりに、埃舞う村に学校を開き、仮設の診療所で病人を看取り、恩恵よりも公正を重んじる知恵で争いを仲裁した。人々からの捧げ物は、もはや神の報復を盾に強いられるものではなく、収穫の一部を分かち合うなど、自らの意思で捧げられるものとなった。時には一日の労働を志願する者もいた。変化はゆるやかで、静かな土を耕すようだったが、その根は深く張っていった。


◇  ◇  ◇


新たに結成された同盟王国評議会が署名した布告は、南の賑やかな港から北の辺境の山砦まで、すべての町の広場で読み上げられた。その言葉は明快だった。「今を以て、この大陸に生きるすべての男女と子らは、もはや財産にあらず。束縛の鎖は断たれた。万人は、自由である」


布告は最初、呆然とした沈黙で迎えられ、次いで不信、やがて大陸を席巻する歓喜の波となった。かつて悪名高い奴隷貿易の中心地だったヴェリディア市では、鉄の首輪が溶かされ、鞭が中央広場に高く積み上げられて火が放たれた。辛辣な黒煙が空に立ち上り、澄んだ夜明けと鋭く対比をなしていた。権威を失った元監督官たちは、逃げるか群衆に紛れ込もうとし、顔を青ざめさせていた。


移行は混乱なしには進まなかった。無償労働の上に築かれた財産を持つ一部の地主たちは抗議し、その声は憤慨で甲高くなった。しかし潮目は変わっていた。兵士たち──その多くは元奴隷自身か、ゴンドの軍と共に戦った者たちだった──は、揺るぎない決意で新たな法を執行した。だが、どんな軍よりも強かったのは、隷属の苦い滓を味わい、今や自由の甘い空気を吸う人々の集合的な意志だった。農場は再編成され、新たな技術が学ばれ、解放された人々の共同体が自らを確立し、かつて鞭の音しか響かなかった場所で、彼らの回復力の歌が広がった。傷跡は残った。記憶と風景に刻まれて。しかしそれらはもはや未来を縛る鎖ではなく、克服された過去の記念碑となった。


◇  ◇  ◇


二十年が過ぎ、世界は新たなリズムに落ち着いていた。


ケールの黒髪には、時の銀が混じり始めていた。低い石垣に腰かけ、午後の陽射しが顔を温める。好奇心に目を輝かせた子供たちが、彼の足元に集まっていた。村の学校の生徒たちで、その日の授業を終えたばかりだ。


「ケール神父様」栗色の目をした小さな女の子が声を弾ませる。「本当なの?人が……*他の人を*持ち物みたいにしてたって?山羊や荷車みたいに?」額にしわを寄せ、その考えの異様さに戸惑っている。


ケールは優しく微笑み、彼らには分からない悲しみを湛えていた。一つ、滑らかな石を手に取り、指先で静かに転がす。「本当だよ、小さな子よ。昔、多くの心がとても硬くなって、自分と同じ人間を道具のようにしか見なくなった。彼らを売り買いし、太陽と鞭の下で働かせ、それが当然だと思っていた」


年上の男の子が顔をしかめ、首を振る。「でも……なぜ?それが間違いだって分からなかったの?」


「分かっていた者もいた」ケールは静かに答える。「声を上げた者も、戦った者もいた。でも、それは古い病で、貪欲と恐怖に絡め取られていた。世界がひっくり返り、何よりも明るい光が現れて、ようやく皆がはっきりと見えるようになるまで、長い時がかかったんだ」彼は子供たちの大きな瞳を見つめる。「君たちは幸運だ。それがただの悪い夢でしかない今を生きている。それが、小さな子たちよ、最大の奇跡なんだ。それがどれほど特別なことか、決して忘れてはいけない。決して闇が忍び戻ることを許してはいけない」


子供たちはしばらく黙り込み、ケールの言葉を噛みしめていた。人間を財産とする発想は、彼らには想像もできない野蛮な時代の暗いおとぎ話にしか思えなかった。ケールはその様子を見つめ、胸に静かな満足を覚えていた。過去の教訓は決して易しいものではないが、不可欠なものだった。


◇  ◇  ◇


ゴンドは、かつての逞しさが今は細身に変わり、幾多の旅で刻まれた皺深い顔で、同盟王国評議会の前に立っていた。彼らはゴンドを探し出し、忘れられた谷で神隠し熱の患者を看病しているところを見つけた。申し出は壮大だった。指導的地位、新時代を形作る発言権、もし王国が単一の統治者の下に統一されるなら王冠さえも。議場は静まり返り、集まった領主や貴婦人たちが彼の答えを待っていた。


ゴンドは彼らの真剣な顔、大きなオークのテーブルに広げられた地図、新たな権力の象徴を見つめた。責任の重み、終わりなき妥協、そうした重荷と共に訪れる心の静かな侵食を思い描く。


かすかな微笑みが唇に浮かぶ。ゴンドは首を振った。単純で明快な仕草。「俺の歩む道は、別の方角にある」静かだが岩のように揺るがぬ声。「世界にはまだ苦しみがある。王国ではなく、人々に。この手は癒しのためにある。王笏を握るためではない」


彼は振り返り、議場を後にした。呆然とした沈黙と統治の誘惑を残して。誰も彼を止めなかった。


数年後、噂が広まる。疫病に苦しむ村に現れる孤独な治療師。その手は優しく、薬草の知識は深い。食べ物と宿を少し求めるだけで、すぐに姿を消す。彼の内に光を宿しているという者もいれば、アラニィの恩寵の名残だと語る者もいた。ただの熟練した医師が語り継がれるうちに伝説となっただけだと主張する者もいた。


ある夕暮れ、孫娘が重い病に倒れた老農夫が、太陽が地平線の下に沈み、空がオレンジと紫に染まる中、井戸のそばに座る見知らぬ男を見つけた。その男は野の薬草を静かに包み、老いた手でそっと差し出した。朝までに子供の熱は下がっていた。農夫が礼を言おうとした時、治療師の姿はもうなかった。ただ、露に濡れた草の足跡だけが、約束も言葉も残さず、果てなき道へと続いていた。


お読みいただき、最後まで本当にありがとうございました。

この物語は、私が「こんな物語を読んでみたい」と思ったところから始まりました。

それなら自分で書いてみよう――そうして少しずつ形にしてきたものです。


ひょっとしたら、同じように読みたいと思ってくれる方がいるかもしれない。

そんな願いを胸に、ここまで書き進めてきました。


この旅路に、読者としてご一緒いただけたこと、心から感謝しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ