コキーユ 『あの日あの時、あなたがいたから、私は今こうして手をとれる』
物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります
手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています
関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております
小説は毎朝6時に投稿いたします
ぜひ、ご覧下さい♡
Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい
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大きな波が打ち寄せる
ザザーン、ザザザー
一度として同じ波の形をして帰ってくることはない
白い泡が消えては作られていくのを、ボーッと眺めていた
どれくらいの時間がたったのだろう
お日様が目の高さにあったと思っていたのに、いつの間にか頭の上にまで登っていた
遠くから弾むような声がするので、私は声を目で追った
少し離れた所に、大きな流木がある
楽しげに小さな子どもが母親らしき人物と遊んでいる
『懐かしいね、ふふふ』
静かな波の音に混ざる優しい、か細い声に耳を傾ける
『そうだね、あの頃を思い出すね、お母さん。ふふっ』
小さな頃、ここでよく母と追いかけっこをしていた
ふと隣に目を向ける
キレイな黒髪に少しウェーブのかかった髪の毛は、今はボブくらいの長さに揃えられ、少し白くなった髪の毛も昔より量も少なくなった気がした
私が『大人』になったのだなと実感する
貝殻を拾い上げ、母に手渡す
『キレイだね。そろそろ子どもたちが買い物から帰って来る頃だと思うけど、どうする?久しぶりに連れてきて欲しいって言ってたから、もう少しいる?』
『もうそんな時間?波の音を聞いてると時間を忘れるね。ありがとう。そろそろ帰ろうか』
そう言って、ゆっくりベンチから重たくなった体を引き離す
私は、母を支えながら一緒に歩きだした
大きな手だと思っていた手
今は少し小さくも感じる
少し前から杖も付くようになっていたのだが、オシャレは忘れていない
持ち手の少し下の部分には、可愛らしい何かが付いている
(なんだろう?...あ、リボン?)
私はまじまじとリボンを見て、ハッとした
昔、ここで私と一緒に拾った貝殻と似た色だからと、帰り道に買った『コキーユ』の小さい方を付けていたのだった
『どこにあったの?そのリボン』
『一緒に買ったの覚えてる?あなたすごく気に入ってたから、ずっと置いてたのよ』
『ふふふ。そっか。ありがとう、お母さん』
波の音が私達の思い出を濃く思い出させてくれる
次、来る時は子どもたちと一緒に来よう
ゆっくりゆっくり歩幅はあの頃と一緒
今度は私が合わせる番...
終
最後まで読んで下さり、ありがとうございます
色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです
また明日、6時にお会いしましょう♪