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継承物語  作者: 伊阪 証
軍神の渇望

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爆散

『狂団事変』の次は『メカントリー・レイド』と『グッバイ・ヒーロー』になります。

ロタールの強さに関する回。

あと『天国か地獄』っていう短編書いたから見てね。メイセイ君にめっちゃ関わってる。

結構内容詰め詰めでやってる。

しばらく長いから今回だけちょっと字数減らします。


彼の名はコウキ、コウキ・タカハシ。

傍らに頂点とも言える災害を従え母を名乗る世界最強の一角がいたり副王の方が知名度高かったり帝国以外だと暗部への嫌がらせ損害により大体金1tの賞金首だったりそろそろ十六児の父になったり身長がまだ170じゃない事を気にしていたり内臓が心臓以外無く消化出来ないのに食べ物を食ってる人である。

先の一件で防衛戦を固めるべく、一年程度は計画を練るのに回し、インフラ作りから始める。大体そこまでに三ヶ月は掛かる。あの簡易テントも安物ではない。寧ろこの三ヶ月で出来るという宣言が確定出来た事実が衝撃だ。

「鉄筋コンが出来る程鉄鋼の技術は湿式を多用出来ない分使いにくい、防衛戦に回した方が有効だろう。」

「・・・つってもなぁ、砂資源が不足してるんだよな。」

砂・・・と言っても砂漠の砂ではない、あれは何の生産性もない物だ。砂利の方が近い。

偽物の帝都を作る為に買い占められ、資源は残っていない。皇帝曰くごめんとの事だ。許さん。

また一年経過した、今年で・・・いや、まだ五歳行ってなかった。記憶も三百年分だが半分位は殺されたり監禁された記憶だ。痛みへの耐え方はそれで覚えた。四肢を容易に捨てれるのもそれが理由だ。切れた所で止まらない程度には落としている。

王位再選は終わったが、決闘を約束し一人一人念入りに潰すつもりだ。防衛戦だと此方が有利過ぎる。自分一人でどう戦うかの訓練も兼ねて戦う。・・・事実上の継続だが、少々特殊な形になったという事だ。マノン相手に勝っている時点で全員警戒しているし、恐らく暗部王の残党も居る。

「仲間の候補も探せたか?」

「ああ、こっちも順調だ。」

「そりゃあ良い。」

「円卓の騎士っぽいのは作っておきたいしな。」

支配する領土が贈られて増えた。・・・が、流石に大都市レベルではない。治水に関してある程度ダムを弄った経験がある自分の方が信用出来るのだろう。

太平洋の様な海は無いが、川や海は複数存在する。先の殺された原因はその手の物が多い。日本だと無縁な話だ。罪状の適用例が無い位。ダムの問題はある。工事を中止した結果大雨で被害が発生したりはあるが。ダム次第で他国を滅ぼせる。自分を住まわせた村長は、国から金を貰ってダムを弄って・・・と、大殺戮に巻き込もうという連中ばかりだった。

「エリさん。」

「タンパク質持ってきても代用は無理だよ。建築すると維持が無理なの。」

「そうか、謎肉ハウスみたいなの作りたかったんだが・・・。」

前調査したい事に関して返信があった。アスタルトにも聞けるが、今は場所的に真逆にいる。

「そしてフランツの仲間とやら、蘇生した覚えがあるのよね。別で回収する物があった時にやっておいた記憶がある。」

彼女はリーツィア関連ならマトモだが、普段は結構変人というか、関わりたくないタイプの人だ。

「見た目しれっと変えたせいかな。」

「絶対それだ。」

一旦その状態である事は置いておき、探しに行こう。残党に合流していたら始末対象にしておく。



東の王都、通称『廃都』。東部王は廃墟を好む人間で、時間を掛けて拘り、再現に尽力している。古い道具で最適解を出す様な人間だ。政治的には力があるが、軍事的実権は脆い。・・・とはいえ実力者じゃないという事はない。

それはさておき、実力者は大体細工をして底上げしている。英雄誕、超能力、神格との契約、魔女との契約、能という使命の亜種、災害、武器。

帝国の戦力は大半がそれに支えられているが、夫々が別の力によって守られている。コウキは大半が純粋な武力で支えられている。群れる渇望は連発可能だが再生は一ヶ月必要、五回以上行使すれば危険・・・一応再生し終われば回数自体は増えるが、完全に消滅するともう使えない。

間の時間を潰し、そしてある人物に会いに行く。

「遠目から見ても分かるがお前結構手を抜いたな?」

「身体が限界来てたんでな。無理は出来なかった。」

「悪くはない、見事だ。」

「ああ、ありがとよ。」

蒼髪公、面識自体はあったが話した事は無い。

自分はメンタルこそマシだが、脳を酷使した上に身体もツギハギだらけで滅茶苦茶な状態、エリニューエスのお陰で何とか形を保っているが、下手すれば簡単に瓦解する。

ロタールやマノンには単独で及ばない、公爵や王位では強くはない。仲間や能力を買われているという事だ。

「ロタールは安定していたか?」

「問題無い。して、理由は?」

それはいとも容易く明かされた。

「ロタールの出生は人間じゃない。病毒の神格だ。」

深々と言う事はしなかった、軽く、しかし思う事が多少含む中で伝えた。

「僕はストレスのせいで頭を回してしまうが、彼は違う。彼は知性を別の生物を寄生させて補っている。」

・・・はぁ、となった。神格にしては時空の何とかよりも強い。一辺倒な所はあるが、人間ではないので多少弱い箇所はあるか。群れる渇望と共生する自分と本質は同じだ。

「彼が凡ゆる病、毒を封じ込める事で病死や毒死は存在しない。死を請け負っている。寿命も大量に消費する。遠征公と言われる程走り続けなければ彼は死ぬ。」

・・・それは意外だった、寿命の機能とか言われていたが、存在自体はするので死だけが避けられている理由は分からなかった。とはいえプリオン病や癌は全く別、死の神格がどこまでを死と定義するか次第らしく、そこは触れられないそうだ。

「病毒の神は本来死を齎す事で信仰を削ぎ落とす、そんな存在であった。死で失う事で己に対する苦しみも減る。病毒が広まれば己が苦しみ、消せば己が死ぬ。生命の神がそうならぬ様に支えた。己を責めて、他者からも責められる。そんな存在を許容しなかった。だから病毒の神は終わらずに生き続けれた。生命の側としても細菌やウイルス等の存在がある、種類がごっそり減って生存出来なくなったら生命の神も死に絶えて全人類絶滅コース確定になる。どちらかが終わっても人間は死ぬ訳だ。」

細菌は植物類の繁殖には重要、それがなければ世界は破綻する。だが複雑に絡み合う思惑がどうも彼を生かすらしい。それに関しての本心は彼次第だ。

「ある事に彼は気付いた、恐怖さえあれば自身の毒を除いた儘生き延びれると。・・・信仰力があるから病気は治せる様になった、知名度と悪名があったからそれは治せたのだ。人にしか根絶出来ないものだ。死で奪い、死を気付かぬ内に止めて、今なら治せるという好機を作った。」

少し辛そうに語った、神格にしか分からない事があるのだろう。それか小学生的な思考か。

「だが、人は向き合わなかった。死を起こす事で恐怖を教え、それから死を奪う事で治せぬものではなくなったら、人は治さんくなったのだ。」

その結果は、ロタールに返ってきた。全世界の苦しみと連動する痛みが彼を襲った時、人の世を滅ぼさんと立ちはだかった。

「病を治すリソースは無い、とな。鬱病も、性感染症も、先天性疾患も、全てを己が責任であるとした。ヒトに失望した彼はアルトリウスの計画で病毒を些細なものにしてしまおうとした。」

・・・アルトリウスがいたから、マシになった。止めて大分落ち着いたのだ。

「それがロタールという神だ。挫折し、彼の願いは果たされなかった。」

何となく分かった、このパターンはいつものだ。

「・・・自分は彼とは親交があったが、助ける事が出来なかった。」

やっぱりだ、だから自分もその答えは理解している・・・が、一応覚悟した際の言葉は聞き届けよう。

「君の影響か、彼は心を開き始めている。」

少し上目遣い気味だが、身長が高いせいで車力の巨人みたいになっている。もう少し他人に配慮するべきだろう。

「・・・だから僕は君に託したい。」

その言葉を受け取った、それは拳で示し、誠意を受け取る為にまだ言葉は出さない。

「暫く同行するよ、陛下に頼んだ。僕の知性は乏しいから部下に任せれる。」

「応、俺に任せろ。」

さて、ここからは談話だ。気を抜いていこう・・・と。

「僕の名はサリム=シャルロ・ベティーチィ。」

「わ、わんもあぷりーず。」

「サリム=シャルロが名前、サリムでもサリーでも、シャルロでもシャルルでも、シャロでも良い。」

「ファミリネームの方だよ。」

「ああ、ベティーチィ。Bethizy。」

「フラペチーノ的な?」

「あれはppucc。Frappuccinoだから。」

「(意外だな、現代出身か。)」

神格という風に予想していたが、違うらしい。フラペチーノは混合語で、光化学スモッグのスモッグと同じ扱いだ。煙と霧を足してスモッグだったり。其方で本来は引っ掛ける予定だったが、此方の方が確実ではある。

「(一応ヘカテーに戸籍類の書類はインプットさせた。五千人の情報にあればいいのだが・・・。)」

『(名前は該当者無し、冷凍保存名簿にも無い。)』

「(継承か?)」

『(神格なら情報を消されてる可能性が高いかな。)』

一旦はその程度で終わり、とキリをつけて出た。

東方国への襲撃戦、その会議が行われる。



帝都で各王位と各公爵が集結した。アルトリウスは現在一人で東部戦線を維持、何とか問題無い状況に出来ている。向こうからすれば大問題だが。

その東方国の人間。戦線崩壊の原因・・・それを探るべく真逆の方向からアプローチが入った。

「人呼んで最弱の国民、イーサンです。」

「最弱にイーサンとはこれ如何に。」

この名前は一応強い人的な意味だ、日本語で言えば剛とか武みたいな名前になる。つまり剛田イーサンとも言える。

「東方国は世界を支配するには経済基盤が弱いが・・・軍隊の平均で言えば世界最高の国だ。」

東方国は具体的な数字として強さが出る。ステータスという事だ。そしてこれは整数で、少数や分数等が出ず、基本的に1以上の間隔が存在する。

人口500万人程度の国家で、都市が7割を保有する。そこまで説明した所でコウキは恐れる理由を理解した。

「仮に1がパンチにおいて1gの運動量の差、そして彼を1kgであるとしよう。」

「・・・それ以上は言わなくてもいい突出したヤベー奴とほぼ変わらんヤベー奴が大量にいる国だってのが分かったからさ。」

国として動きがない、戦力としてはある方だが、侵攻する意味が無いという可能性がある。

「ちなみに運動量の差ではなく殺した人数です。」

「・・・一番ヤバイ奴引いた。」

イーサンが1人殺したらトップは500万人殺した事になる。そこから1ずつ減らして足してみよう、それが最低値だ。全人類の93%は既に死んだ人間・・・というデータを思い出す。一番の要因は傭兵稼業らしい、どこでも戦って頑張って数字を増やしているそうだ。二度と増やすな。

「治安の悪いタイミングでそこを隣国全てが攻めている。軍事的功績で満たす・・・よくある手段だ。」

今の内に落とせばなんとかなる、と。和平交渉をした各国も同様の意見で、帝国の参入も希望されている。

「タカワシの逃げ先としても適している。スイスみたいな場所って事だ。・・・少し違う点があるとすれば、強過ぎて周辺勢力の維持が出来なかったという事だ。」

前回逃がした分の追跡を終わらせたい所だ。最終的に負債で死にそうな位に必要なものが溜まっている。

「第一位の女帝。」

そう言い始めた。

「あの変態含めて二十人程度しかいないのが女帝、信頼されるのは簡単だから長くなりやすい。」

王は長くとも百年・・・帝国は制度上、不満があれば公爵や王の地へ移住すればいいという国なので交代が起きない。

「周りの男がチョロい童貞野郎とか言ってやるなよぉ!」

「お前もそっち族だぞ。」

どうやら、見事に刺さったらしい。



会議の終了後、東方国に攻めるのは役割外だが、少数精鋭で帝都にアタックされる可能性もある。

カンの友人が来てくれるらしいが・・・まぁなんと癖が強いらしい。デュラハンごっこを現実でされようと最近は驚かなくなったのでそろそろ超えて欲しい。

「最もホームズに近い探偵、ヴィクトラン・ラモー。」

「半分位不名誉だろそれ。部分的にピエール〇だし。」

実力もある、それはパッと見で判断出来る。だが信じ難いというか、表面的に相容れない感覚がする。

「奴は自分の快感の為に事件を解決する、だから犯人を追い詰めて何人も死人が出た後に証明する。」

「金〇一?」

「アレはほぼ死刑レベルのばっかだから楽にしたれ。」

・・・まぁ、その予感は的中していた。正しく解決する訳ではなく、単に解決だけを目指す。全ては気分次第、そんな探偵にあるまじき行為を幾つも重ねている。

「能力が足りないから、ボロを出すまで繰り返すと主張する奴だ。実際の所能力は足りている。」

かなり質が悪い、正義であるが同時に悪だ。割合的には悪が大きい、今の所関与は保留しているとの事だ。

「武道も嗜んでいるが・・・格下としか戦わない。」

「俺じゃん。」

「お前一応ルールありだったら世界最強取れなくもない立場な事忘れるなよ。」

カンは一つ付け足した、それがどうでもいい話であるかの様に。

「あと・・・アイツの弟だって事も有名だな。・・・魔女の弟、ってな。」

誰かは不明だが、多分この手のはアスタルト、血縁的にも手を出すのは危険、一旦放置で頼らない方向にする。どうせ巻き込まれるので覚悟はしている。

・・・それに悩んだ結果・・・。

「闘が王位再選を全て引き受ける。俺は少し東部戦線に顔を出したい。」

「行ってらっしゃい!」

という風になった。


しかし直後、マノンと闘には何かがあったらしい。

「それで、コウキに関して何を隠しているの?」

紅茶を置く、そして目を閉めた儘言う。

「いいえ?別に何も?」

「見抜けないとでも?」

「言ったとしても救いようがない事ですから。」

「・・・どういう事?」

「もしその事実を知ったら、貴女は死を選ぶでしょうね。」

目を開く、どうにもこれは慣れない、嫌な気分だが、彼女の言っている事はきっと正しい。

「それも、助ける為に。」

その言葉は、自分を何よりも締め付ける。言い当てられたが故に苦難してしまう。



ここにパーティが完成した。

子持ち未婚ダメ国王、称号が不能の公爵、変態レズダメ魔女、あとオマケ。

そこまで時間は掛けないつもりだが、バックアップを作りたい。戦略的撤退を行い要塞が固められているとかなり厄介だ。

コウキは一応顔が割れているのでそもそも身体から変更、エリニューエスの性癖が詰め込まれた一品が完成した。エルフストリートの叡智も詰まっている上にマノンが一年間温めた恨みも果たされ、結果見事なスレンダーお嬢様が爆誕。ドレスの下は細マッチョ、胸は胸筋混じりに大きめ、口紅が薄いのに色っぽい。

コウキではなくグレースとして暫くは活動する。公爵二人は付き人としてだが、昔過ぎて顔は割れていないのでそのまま、エリニューエスは特定不可なのでそのまま。リーツィアならそのまま見抜ける。

『(眼光が据え置きだから毒親っぽい。)』

「(少女作ったつもりなのにオトナな女出来ちゃった・・・。)」

子持ち未婚ダメ国王(毒親・元男)とどんどん属性が増えていく。仮想通貨もビックリなブロックチェーンが出来つつある。

ここで東部に破壊工作に手伝いとして優と狂を合流し、情報を受け取って工作を引き継がせる。

畑に塩を撒く簡単な作業だ。ローマ式カルタゴ農法、ジャンボタニシ農法と負けず劣らず、隣にアボカドを埋めるが如き所業だ。損害賠償を請求されなかったらそれだけで幸運な位に。

どう見ても韓ドラの破壊工作的な構図で手際良く作物を枯らす予定を植え付ける。

・・・彼等の間に、隔たりがある。それはヘカテーが一番理解していた。牽制し、警戒し、やがて乖離する。

正直に言えば、怖い。



パブロが海底探索を生身から遂に別こ道具に頼り始めた時、言われた様な扉は無かったが棺を見つけた。

「見つけた、神崎銓だな。昔言っていた奴・・・。」

確かに昔見た覚えがある。自分は冷凍保存されて少なくとも一万三千年は経過、千年程度は体の修復に費やしたがあまり効果は無かった。以前の様にはやはりならない。そこで旅に出て七つの大陸を渡り、最後にここに着いた。

「神崎家の末裔か・・・鷹鷲の末裔とは逆に完全に国内ルーツ。」

いや、それどころか人類と同じルーツかも不明、それが彼等だ。日本は歴史的に不可思議な箇所も多い。

「・・・少し探すか。」

念の為とクルーザーに溜め込んだ本のデータを探る。一つ面白い本があった・・・縄文や弥生の中、邪馬台国がどこにあるかという予想をする本である。

古代日本は基本的に西日本が中心である。近畿、九州は特に重要な箇所で、そう考えると土地の条件と配置において完璧な箇所がある。四国だ。四国は配置を考慮すると何かしらの勢力が無いと逆におかしい。

そこならば何かある、現状の結論はそこまでだった。神格と災害、その差は何か・・・自分はそれを探るべきだろう。様々な目的、様々な生き方、その中ではその一点を通過しなければいけないかの様に回っている。

同時に解き放たれるは神崎銓という神格、又の名を愛の神格。

「・・・コウキはこの子供を利用して何かを企んでいるらしいが・・・何か見当もつかない。」

棺を開け、眠転ける一人を取り出す。

一方で優はパブロ、ベスとの対話である事実に気付いた。不味い、というかどうすれば良いか分からない。

「・・・詰んだかもしれない。」

「なんて?」

「王位再選の参加者が各国の頂点に並ぶ連中が消えた時期と被っている。追い詰めた内乱の影響だと思ったが・・・違う可能性が浮上してきた。」

国内側のスパイも居るだろう、だが、目立たない様に知名度は抑えてある筈だ。であれば、名前が挙がっている奴等は間違いなく危険。各国の文献から姿を消した奴等を暴き、推定する。でなければ・・・。

「全員がコウキを殺し、そして帝国中枢を破壊する。」

そうなるだろうと踏み切り、覚悟をする。



帝国の反撃は一人に託された。彼一人が、全てを打ち砕くだろうと信じられている。

「さぁて、準備は終えた。」

ロタールの技、それは豊穣を齎す美しい病。

それと同時に、人類を崩壊させうる呪いの一撃。

その一連の攻撃は二つの祝福と一つの厄災によって成立する。

「『ボルバキア・グリーン』」

体内における生存確率が変化した、人類は数十年を掛けてバランスが乱れ、価値も変わっていく。だが、これは一つのパーツに過ぎない。

「『キャンサー・ホワイト』」

癌はこの世界において、あまり害意を見せない。寧ろ突然変異を起こしやすくする材料として多く使われる。魔女の要でもある。

「『ストーン・ベイビーズ』」

しかし、一つだけ違うものがあった。

物語は歪み始めた。

「『我等が真に頭を垂れる事はない。』」

石灰の白の中に、一人赤が混ざった。

「『我等は神格、人の身に余る力。』」

その赤は急速に世界を蝕み、爆発する様に拡大する。

「『我等が目指すは一つ、神格の修復なれば。』」

人類が、人類を殺し始めた。

人類が、人類を産み始めた。

人類が、人類を滅ぼし始めた。

さぁ、新たな時代が始まる。



第一の戦略、王位再選を利用した乗っ取り。

先の災害投入で知性のある側の災害を仕込み、影で送った。まだ災害と発覚していない連中も多いだろう。

第二の戦略、鷹鷲の回収。

前から行っていたがそろそろ終了する。災害の材料、その断片を多く握っている彼等は利用価値がある。

第三の戦略、戦争の強制再開。

全員が限界に達した時に起きるのは戦争だろう、逆に戦争を避ける場合、武器の数は変化する。どちらにせよ都合が良い。質の悪い武器は此方の有利だ。

第四の戦略、帝国の消耗。

対災害において帝国は有利、アルトリウスは潰すのが必須だが、妨害工作は可能だ。しかし同時にマノンという物理環境・座標上に存在する限り攻撃は有効。アスタルトと組ませたら全てが無意味になる。その為最優先で潰す。

第五の戦略、カルナの遺体利用。

カルナの遺体を強奪した災害の作成、制御不能だが、放置しておくだけで氷河が作れる。



災害の恐怖は生きる限り逃れられない。

原初の災害、群れる渇望の原点。

コウキ・タカハシという名の『生存の悪魔』。

死と結び付けられがちな悪魔だが、彼は違う、生きる事で覚えさせ、苦しめ、悩ませる。

生きる事は、時に死よりも恐ろしい恐怖を孕んでいる。

それは、狂団の狂祖も良く理解している。彼程災害理解した人間も居ないだろう。

「『七つの海を越えて』」

そう言うと、土地が僅かに崩壊し、段々と植物が生え始め、生物の法則が歪み始める。

「・・・。」

にわかに信じ難い、だが、彼は十秒間であればアルトリウスを上回れる。・・・その十秒間上回っただけでは意味が無いというのは置いておき、攻撃も防御も圧倒的だ。

「・・・全ては一人の為に。」

彼は決して悪い人間じゃない、ただ、正解の為に不正解を続け、本命だけを叶える。そういうタイプのダメな人間だ。

世界は荒れて覆される、しかし新たな王の活躍に帝国は収束する。順調過ぎて逆に疑われ、慌てて表に出た。・・・今はどれだけミスをしない様に出来るか。



アスタルトは一人気付いていた。

「・・・コウキは今一体何処にいるの・・・?」

根拠がある訳では無い、だが、どうも心がザワつく。

察の彼だけは行方不明、偽物はエリニューエスの仕込み・・・しかしそれ以上は分からない。

これから巻き起こる長い歴史・・・なんて事があるだろうか。戦火と共に飛躍的に増える犠牲者と規模、強者が集い争う末に不毛の地となればまだマシ、地の塵一つ残らない事も有り得る。


さぁ、数多の強者は立ち上がる時が来た、帝国の隙、災害を圧倒する人間、狂団狂祖。

彼が世界を狙うなら、それに合わせて滅ぼすが吉。一致団結の気が緩んだ中、容赦なく破壊するべきだろうと。

仕込まれた二十の刃は、徐々に動き始めた。八人の潜入者、十人の攻勢、二人の裏切り者。

片方は狂祖、もう片方を狙うは帝国の頂点。

コウキはその中で行方不明になり、何かを企んだのか、巻き込まれた。

善意も悪意も牙を剥き、無意味な戦いに意味を込めて、無駄な争いを繰り返す。

それを終わらせると誓った彼等は、夫々が燃えて戦いに挑む。

さぁ、英雄は誰になる。

ロタールは殺傷能力が無いのに厄介ではなく殺傷能力が無いから厄介という。

ボルバキアは熟成精子を死滅させ熟成卵子だけを残して徐々にメス個体を増やすという細菌です。産まれたての個体だと性転換が起きる事もあるとか。

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