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継承物語  作者: 伊阪 証
ループマン・ウォーキング

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救いのない呪い

最初国安村もっと北の方に置こうとしたけどやっぱ南の方が良いなってなった。というよりもっと良い場所見つけて設定変えた。

今回の粗筋:言い訳RTA


パブロとの会話及び、自身の内々の会話。基本的に警戒を怠らぬ様、六時間毎に右脳と左脳を交代させ寝る。引き継ぎつつ歩く。

ベス、エリザベスの略称として優はよく語る。

『旧式ってよく考えたらそういう事だよな。』

「文明が滅んだ後に設計した、その後文明が正常に進んだ場合の最新式・・・か。」

物質数種類の質量を気軸とした取引、それによる3Dプリンターの稼働。特許の独占が影響し、かなり遅れていた為に実用化に至らなかったのだ。

『ベスはその優秀さ故に街一つ作り出し、同時にアルゴリズムにプライド性が削除されて、何故か同時に自己肯定を削除されていた。埋め合わせが無い、虚構のプライドが存在するのさ。』

『虚構のプライド・・・ね。』

「自己肯定感とプライドは反比例する、プライド自体虚構みたいなもんだが・・・そういう事ではないから言ってるんだよな?」

『ああ。』

彼はベスの実力を知っている、実際、アレはリコの奥の手より使い勝手、範囲共に有効な実力がある。最も器用な戦争が彼女は出来るのだ。

『分裂システム完成したぞ。』

「脳はコピー出来るか?」

『再現だけは。質量ごっそり持ってかれる。』

「向こうはパブロが居るから最低限。」

『了解。』

準備は完了した、直感で嫌な予感がする為保険としてこの身体を用意する。

「お前のアレ、結局なんなんだ?」

「アレ・・・?」

『多分最大出力の事じゃないかな。』

『アレは空気中のウイルスや細菌から史上最大と言われる獣『魔鈴の打手』までを強さ基準にして進化させ、様々な生物を召喚、破壊を繰り返す。竜種という存在を観測出来たからそれ取り込めれば強化出来た筈。ティアマトの血の影響で再生力が底上げされている、奴等も影響を受ける。魔鈴の打手の方が勝算があったから出しただけで別に単品でも用意出来る。・・・ざっと説明したぞ面倒いなこれ。』

更に付け足して話す。

「だが、本質はもっと違う。」

本質?と聞かれて彼女に答えた。

『生物と植物の垣根を乱し、自然物となり、やがて・・・となる。』

自分とスケールの違う、何かがあった。災害を滅ぼせる、その理由が納得出来た。確かに、それが事実なら破滅の日照を耐え凌ぐ事が出来る。タイムパラドクス耐性にも納得が可能だ。

『産まぬ人間と違い群れる渇望は永遠の命では無い。』

「五百億年、群れる渇望の寿命だ。つまり小さい方だな。」

正直、聞かれるとは思っていなかったが自己開示には良いだろう。

「国安村を中心に現状を把握、残った研究施設から使えそうな物を探して取り込んでおく。然る後にリコ・ルドルフの本拠地、ドイツへ赴く。タイムリミットはあと三ヶ月、リコ・ルドルフの殺害において講じる策は二つ。」

ドイツ以降は絞れていない、確証もない。しかし人口的にそこから探すのが手っ取り早い。

「殺すか、生かすか。殺せない場合があったら後者に移行する。そしてそれぞれ、最難関である殺害及びアルトリウス戦を想定した場合を優、それ以外の場合を狂、生かす場合を闘、監査を俺がする。」

『ああ。』

『良いんじゃね?』

『問題ないよ。』

門の前、僅かな時間を会話に転用していた。・・・正直、この時間以外は身体の制御に出力を使いたい。眠っている間が自分の底上げに繋がる。ティアマトの血の解析、倶利伽羅剣の実用化・・・そこが未だ不足していると言える。その情報共有を短時間で確認、交換するのが最適であった。優がループが起きたのではという話を始めた、唐突だが、違和感は無い。内容に少し引っ掛かりがあっただけだ。

『ループは既に起きている・・・あの王国を滅ぼす時にな。夜叉の製作人数が一人になっている。娘は一人、もう一人は流産になっている。』

「アスタルトの行動がますます謎になるな。多分気付かれて殺されるのが無くなったんだろうよ。」

アスタルトの分析は文章で浮かぶ、図書館で覆い、その地下や中に彼を隠せば星を見ない限りループに気付かれないし、見た所でループの対策は出来ない。星の情報が無限に出てくるのでそちらを見てもどうしようもないが。フィルターにはかけられるが検索は出来ない。ラプラスの悪魔の様にきっちり観測出来る存在専用なのだ。

『一人で作った事自体が問題なのではない、王国の伝統と噛み合わない。基本的に王国は家柄を重視する。魔術が原因だ。名誉を共有し、集団としての価値を上げる。ナショナリズムと同じ様なイカれた思考が凝り固まっている。』

そんな視点に今日には示してはいなかったが、魔術という概念を考えればそうなる。血縁が重要だとか、貴族制だとか。しかしジョーやリーツィアの様な関係無い立場、関係はあるが関与をしたくない立場などが該当する。

『そもそれが個人主義の帝国と対立した原因だ、それが破られてるのは異常な話。最低でも家の名前になる。』

継承がある以上、個人主義の方が勢力的には伸びやすい。ギリシャ神話のクロノスが子を食らった様に、それがスタンダードだった。・・・しかし家を重んじて勢力を伸ばすという場所も多く、強い勢力であれば前者、弱い勢力であれば後者が起きる結果になった。その為、帝国の方が優勢になるという当然の流れもあった。内部争いさえ封じ込めれば強い勢力の溜まり場、それを統率した結果である。

『な?明らかにおかしいだろ。』

方針の切り替えも有り得るが、そんな文書程度なら誤魔化した方が良い。勢力の分散や離反が有り得る、そのレベルの問題なのだ。

他にもあった、彗星に関してだ。

『彗星の配置、陽より速しは今や昔と知らない人物が多い。つーか走ったらバレる。1.1km/sだぞ。現在の地球換算ではなく未来の地球換算だ。10万kmを一日で走破する人間なんて制御が効かん。』

強いのと強いのを組ませるのは当然だが、スペック差があり過ぎる。彗星を団体行動させるならまだしも、無駄に戻る過程を挟んでいるのだ。

『そんな奴組ませる必要無いだろ普通。寧ろ組むだけ邪魔だ。単独行動が基本、だが、組ませる理由がある。だとすれば知識や観察になる。』

何かがある、燃料補給の可能性もあるが、カオルコを見る限りは無い。その何かだ。

『他にもある、竜王が衝撃波を起こした、二度目は消耗するとはいえもっと早いペースで出せる筈だ。』

自分も撃たれる覚悟で構えたが無かった、正直あの時点で一度撃たれるプランも練っていた。

『・・・あの時、脳に何かが起きて打てなかったのだろう。』

『予想するならティアマトと工廠公の殺害手段だな。アレがある限り不死身とも言える。』

『引っ張り出す為・・・だな。』

戦いを見て戦功を判断する、その過程だけでどうやら異常が起きる事態になったらしい。恐らくダガン抜きで倒してしまったのだ。その場合工廠公かティアマトが出てこない、そういう風に仮定出来る。

「国安村はそろそろだ。」

国安村の話だ、国安村は京都の愛宕山付近に地図上は省かれているが一応存在する場所。

「仇子山、それが本来の名前だ。姥捨山の子供版、奇形児を捨てる山。それを北に、南の方に妖し山、嵐山が存在する。・・・愛宕山から嵐山の間に掛けて存在する。」

枝を踏み、危ないからと手を握り、ハドリアヌスをより近くに寄せる。

「廃神社という結界、それが四方を支配し通り抜ければ神隠しに遭う・・・だからこの道しか無い。」

道は無い、獣が通るような場所、崩れて平らになった場所、茸と草木が妙にない場所。・・・道と思って迷い込ませる。

「妖し山の妖怪とされているものは廃神社の神格、信じて貰おうと縋り付く怪物達。・・・虫螻と畜生の信仰が彼等を歪めたのさ。」

言葉を以て覆い隠し、戦火に襲われた時にそれ等は外へ牙を剥く。神道の根本を利用した、荒の活用法。

「廃神社になったのはそう昔ではない、だから逸話も何も無い。気付かせないには最適だ。」

妖怪が居るから神社で封じ、そして神社で活動が収まり興味を無くした人々が忘れた頃にやってきた・・・流れとしては当然だ。

「正直この村生かせばどうでもいい、他全部沈没させても構わん。」

「ああ、優先順位としてそうしとく。」

旧日本国の無制限利用、対災害及び対災害級戦闘においてかなり制限が解除される。

「それ、便利だな。」

「?」

「ああ、隠すには便利だろ?」

音響を用いた撃退、様々な動物に効く上、エアロゾル等のものも無効化される為ウイルス対策にも使える。本人の経験ありきなので使うのは普通に難しい。だが、少なくともソフトウェア化してあるのでスマホさえあれば誰でも使えるらしい。

「指揮の維持にも使える、お前程露骨じゃなければお前程影響も無い。数パーセントも動かない話だ。それでも自分に対しては効果がデカい。パーセンテージだからな。」

極寒の中、普通は死ぬ環境下で音楽を奏でて耐えた冒険団が居た。それを常時用意出来る。精神的な不安定を起こさない様にするという事に特化している。

「少し私が与太話をしてやろう。」

「というと?」

「お前にも耳寄りな英雄に関する話だ。」

「聞こう。」

パブロの話は、ゆっくりと始まる。チューニングを挟む様な話し方をするのだ。

「英雄はなる事自体は簡単だ、いや、簡単になった。人は英雄になりたいという願望があり、それを全力で進めた。」

リズミカルではないが、癒す様なバラード調に話し、歌詞の原型である様に聞こえる。

「正直、それは堕落でしかない。英雄を分割して部分的に英雄になった事を讃えている。それが現実だ。」

一ヶ月は不眠、段々と疲れが溜まる。そういえば、自分は人の言う事を聞いて八時間キッチリ寝ていたのだ。だから不眠の悪影響を受けておらず、身体的ダメージと解析でエネルギーが割かれているのだ。

「ノブレス・オブリージュ、英雄は貴族的であり、無責任な人間にはなれないという証明だ。心が死んででも英雄として生きる覚悟があって漸く英雄として価値があると示せるのさ。」

彼女は何となくそれを把握しているのか、片手を自分に寄越す、一点で引いているのにも関わらず、強く、暖かかった。情熱の様な何かがある、自分のあまり理解していない、人間の根幹。

「他者の全てを見て、他者の救いとなる。それが英雄のあるべき姿さ。見なかった癖に、救ったら満足で終わるのが英雄だなんて片腹痛い。」

彼女は、英雄の意地を持った自由人だ。本質が英雄で、それが全てを支えているのだ。

「レッスン第二はこれで終わり。失った物を早く取り戻せると良いね。」

彼等は準備万端で向かい、国安村の北門へ向かった。



村において、狩りをしていた川副が連絡を受けた。

「・・・コウキが帰って来た!?」

松林一慶の方・・・北側だ。

「・・・先に行く、本物かどうか確かめたい。」

「カメラカメラ・・・三人の男女が来ている。しかも草木が通って時間が経過すると生い茂っているんだ。」

「・・・。」

木野、笠木、川副のどれかが最初に出てくるだろう。という賭けをしても良いくらい奴等に自分は信頼を置いている。隣の自由人は盗聴して答えを理解したらしい。賭けもクソもねぇ。

コウキはその獣を防ぐ門に立つ前に開き始めた事を察し、少し後退る。

「優衣!」

「・・・コウキ・・・!」

「久しいな・・・!」

「何処に居たの!バカぁ・・・。」

桃色に変色し切った髪、彼の影響を最も受け、この村で最も進化した存在、笠木優衣。

「青春だねー。」

「誰この人。」

「本来の実力の半分以下で俺をボコボコに出来るヤバい人。あと近場で助けた子。」

「娘とかじゃない?」

「産まれるとしたら一万四千年後だな。」

「私嬉しいから写真撮るね、はいチーズ!」

「皆コウキを何年も探して・・・。まぁ会えたから良いけど。」

「陽夏だな?」

国田陽夏、自分との相性が良い女、多分自分の精神性が男と決定された要因である。群れる渇望の影響で好意を持たれているだけで、この力が無ければ視線すら向けないだろう。

「・・・いつもの悪い顔、そういう時は大体自分を責めてるよね。」

「・・・せいかーい。責め過ぎるから私に負けるんだぞ。」

「そりゃ失礼。ああ、癖なんだよ。」

「そういう所、嫌いじゃないよ。」

「・・・ああ。」

「素直じゃないね。」

背後から優衣があらましを語る、不幸をすぐに話す女、それと同時に警戒心が優れ、警備を担っているとか。実力行使ではなく、連絡係メインだが。

「コウキが連れ去られてからも皆は探してた。」

「爆破解体されてキャリーケースにバラバラにして詰められてアメリカで逃げる用意をしていたのさ。」

「・・・そうなのね、でも生きて帰って来れたんだ。」

「残念だったら次は帰り方を凝るか、ロケットで侵入とか?」

「ソ連式帰宅法はやめて?」

「取り敢えず他の連中を探したい、良いか?」

「分かった。これ地図ね。」

「ああ。」

地図を受け取った時、パブロは気付いた。

「(彼奴、目見えてんのか?)」

彼は顔のパーツ動いている部分には反応していた。だが反応が乏しかった。元々が災害、敵意があると多く見る傾向等の場合もあるが、好意すら抱いてると思えない程見ていなかった。

「(・・・場合によっては殺す手段も練っておこう。災害として危険なら、或いは成長が見られないなら、何時精神が呑まれるか分からん。)」

殺すのは嫌だ、利益を失うのは増して嫌だ。しかし彼女等は災害の脅威、人型の異形、地震や津波とは違った、数の暴力だけでない、緻密な殺傷。警戒せざるを得ないのだ。

「(・・・いや、違うな。心拍数が多い。・・・もっと別の問題か?)」

違和感の正体・・・いや、群れる渇望がいる以上水を刺して来そうだ、考えるの悪手か。・・・そう思い思考を切り替えていた所、答えらしきものをつい見つけてしまった。

「(・・・分かった、コイツ予想以上のスケベだ。コイツさっきから会った人間に恋心抱いてんだ・・・。)」

群れる渇望は進化を促す・・・相手側、自分側を問わず起こす。彼は最大最強の国家を作り得る存在だ。国民全員を恋心という連衡で支配する事が出来る。それは自分側からも例外ではないだろう。

「(・・・恋の音って、初めて聞くな。)」

地図を見る度に酷くなる彼の音、血流が倍増する様な音。・・・それを穏やかに見ると、どこか魅入られる。災害の恐ろしさと諦めが起き、自分は溜息に色を、無意識下に宿していた。



明神初音、木野曰く、コウキを最も愛した女。彼が居なくなってから姿を殆ど見せない、損害を与えてはいないが、交流はしなくなった。彼女にとっては彼が全てだった。正直気分は良くない。

「初音。」

「・・・え・・・。」

変わり果てた初音を、物ともせず彼は抱く。

醜く、老いたかの様な姿でさえも。

音で盗聴されている中で何が起きたかを察する。

「口付けが一番進化で手っ取り早いだなんて、存外にロマンチストだな、あの災害。」

昔の見た目に、彼女は戻り切った。

醜いから程遠く、光ある姿へ。

「ショックで倒れたな。暫くは眠らせる。」

「木野、頼んだ。」

「一人でやってろ。」

丁度一人になった、今なら出来る、戸惑いの瞬間を見逃さなかった。

「ヘカテー、掌握。ハドリアヌスに張って場所を教え込め。」

『おっけー、戻る時再掌握するからそれは警戒しといてね。』

「お前以外にやられる程馬鹿じゃない。」

『ちょっと嬉しいかも。』

外に出て託し、重ねてもう一人に視線を向ける。

「幻想の魔女か、すげぇツテあるなコウキ。」

ちょっと声借りるね。と一言伝え、許可を取って話す。

「パパ凄いでしょ?」

「・・・遺伝子工学か、そこまで来ると最早未知の技術だな。」

「なんで気付いたの?」

「周波数が違う。気になんだよなそれ。」

「えー、何それ。すご。」

一度戻し、自分の声に変えて伝える。

「それはそれとして安定させるのに時間はそんなに割けない。これも早く済ませて決戦の地を整える。・・・対アルトリウス用のを、二つだ。これの為に優が予め戦って来た。」

「生きて帰ってる時点で私より強い可能性あるんだが?」

「ズルはした、徹底的に。取捨選択で必ず殺すべき相手になるかどうかが違う。」

「それもそうか。」

「リコの仕事量を大幅に増やし、記憶を消去する。そしてアルトリウスを迎撃してそれを確実にする。それが作戦だ。」

コウキの作戦の全容を伝え、ヘカテーで記憶を上書きし、掌握を解く。

「・・・一人、足りない。」

「ああ、何となくそんな気はしてた。」

「リア、こっちへ。一人が侵入者だった場合何をしているか分からん。」

『・・・村の端っこがぽっかり空いている。畑はあるが進入禁止はよく分からん。』

一件、家があった。

到底建て直しているとは言えない、古い家だ。

悪臭はしない、只管に異質な家であった。

「外で警戒しておく、中は任せた。」

「ああ。」

自分は昔、手紙を受け取った。

『みっともなくても良い、生きていてくれ。』

そう、業を背負わされた。

同時に、人殺しである自分は人を歪めていた。彼女の死を無視したのだ。自分は怖かった。アリアに出会うまで逃げ続けたのだ。

『大好きだったよ。』

自分を一番苦しめた言葉だ。自分は好かれる理由が無かった、その不安だけで心が機能しなくなった。自分は災害だ、死んだ人間から作られた、純粋な生物や植物とは全く違う、既存の法則から外れた存在。奇跡の代物であり、同程度に恐怖足りる奇妙。絶対値の高い、そこから先の分からぬ存在であった。

『貴方に会いたい。』

やめろ、俺は何時誰を殺すか分からない、人殺しが正当化出来る立場が、英雄でしかないのだ。上に立った者は人殺しとして立たなければいけない、抑制する事は出来る、その手腕こそ政治をするというもの。・・・自分は今、そうあれない。

自分は記憶のない儘に人殺しを選んだ、四人の記憶となった時、その重さを理解した。

それと同時に、軽さを理解したのだ。

ヒトの遺体から取り出された内臓を集めただけ、動かぬ人体模型を作っただけだ。・・・その結果、自分は生まれた。

タカハシという穢れた血の象徴として、残し続ける為に。最初は遺体であればなんでも良かった。実績を付与する為に形だけは保たなければいけなかった。正義を作る為に担ぎ上げられた奇妙が、自分なのだ。

・・・望まず、最強の兵器となった。世界的に偏在し、人類を変質させ、人間が生物の道を外れた。最初こそその奇妙を正義によって廃絶ではなく疑惑として問題視していたが、段々とそれは廃絶すべきものとなったのだ。

全人類の寿命が減り続け、それが最適であると。

全人類に使命が与えられ、それが最適であると。

全人類が記憶を継承され、それが最適であると。

人類は既に呪われた、たった数度殺しで生まれたのがこの存在だ。

「気負うな、コウキ。」

ちょっとした嫉妬だ、そう付け加えて抱き寄せられた。心配したハドリアヌスが手を握り、負の感情を分散させる。

「お前が英雄であるのは、確かに殺しが原因だ。だが、英雄となる事は贖罪だ。」

その言葉が、自分には響くものがあった。人生を決定付けられた一言になったのだと、この段階から確信した。



生川礼馨と書かれた看板があった。

『レイカなんて居たか?』

『レイカじゃないよこれ、ヨシカって読むよ。ナルカワヨシカ。』

『覚えが無いな。』

『それはそうだね。』

「聞ける感じでもない、推定も出来ない。看板の文字が定期的に書かれている感じがある。」

パブロが村方向に足を向けた、嫌気が差したのかと思い其方を向く。そして言った。

「潰すか?」

「駄目だ、木野の合理的な作戦の可能性がある。」

『隔離か。』

「人間としての感覚を一度シャットアウトする、他生物の感覚でヒトに近いのに切り替える。」

『・・・確かに弾かれたね、モノクロは見難いけど、補正する?』

「しなくて結構だ。」

犬の様な視界に切り替わった、静寂の中に自然の音と、不自然の一が混じる。

「・・・隠したのなら質が悪い、罠の警戒だ。」

家へ踏み入れれば、そこには小綺麗な空間があった。言うなれば、ハイジの様な家。知識や世間を知りながら、表に出ない人間。諦めた人間。

生きている、それだけは分かる。

敵意、それが外から向けられている。警戒し過ぎだろう。彼女に抑える様言った。ハドリアヌスは彼女に寄り添うが、吐き気を堪える顔をしている。

自分はこの使命をよく知っている。ヘカテーを用いて抑えただけで、マイナス思考を常に寄せ続ける悪意。存在すら罪であると言える使命。

そう、この雰囲気は・・・。

この呪われた力は・・・。

「ジョーの使命。」

優は素早く応じた、ここで凍りつける程馬鹿じゃなかったのだ。

『・・・マジか。村崩壊の原因になる可能性すらあるぞ。』

『・・・緊急会議だ、これをクリアしなければ失敗する。』

対応を考えようにも、同様が止まらない。犠牲者を許容出来ない環境下、更には、彼を愛している救いである人間が不明であるという事が気掛かりになる。闘が真面目に頭を回した、彼に対処法を練らせるべきと考え、アイデアを回してもらう事にした。



ハドリアヌスが話し出した。

「伝言があるから言っておくね、周囲に防音の何かやってくれる?」

「もうやってある、話してくれ。」

コウキの声ととして、彼女は伝えた。

「『災害は害ではあるが敵ではない、倒して味方にし、そして、返す。』」

コウキのものか先とは違うが、奴自身は内部に爆弾を抱えている。これが最適な可能性がある。

「『ある人物のものとそれ以外のものが今後生まれるが、殺して良いのは後者だけだ。』」

ある人物?自分には検討もつかない。だが、誰もが知っているかのように彼は伝えた。

「『彼の力であれば少なくとも人に手は出さない、しかし自ら人に手を出さぬ種類と魂がある。』」

何か違う、彼ではない。だが、それは嘘ではないだろう。誤魔化していない、彼は最も早く真実に辿り着いた可能性がある。

「『自分の中の人格は把握していない可能性が高い。特に優と狂、意図的に外されているとも言える。』」

彼にアルトリウスを重ねてしまう。裏路地で聞いたアルトリウスの話が古く聞いた英雄伝説と同じだった、かなりの時を経たものが、知っている彼がスピンオフ化したのだ。本来とは掛け離れている筈なのに、同じと思ったのだ。

「『もし、自分が死んだ時は全て託す。』」

ならば彼は言うだろう、そんな事を言わぬ筈だし、言った所で意味は無い。この死とは、彼自身の諦めを意味する言葉だった。諦めない、その覚悟を真逆の言葉で示したのだ。

「・・・そうか、分かった。引き受ける。」

そう、自分は応じた。絆された、ダメだ、自分は馬鹿だ。彼は迷っているのに行動だけは全て決めていた。悩むべき事すら全て決めている、群れる渇望の力が関与しているかは分からないが、人間臭くて、到底そうとは思えなかった。

「だが、お前にはもう一人その事実を伝えるべき人間が居るんじゃないか?・・・って言っておいてくれ。」

・・・その示す指は、人殺しになれず、更に英雄となれる、時代の象徴を示していた。・・・ヘカテーとハドリアヌスにそれを託した。

分解か、融合か。初めて人類はその分岐点に立ったのだ。



ジョーの使命所有者とは会話が出来なかった。

標準的な会話機能は存在しておらず、言語が読めるだけ。発音を知らず、外にも出ない病弱で臆病な存在であった。

・・・自分は、終了の為にまず進化を起こさなければいけなかった。先の通り口付けによって、多分男だが、貞操観念はあるのか嫌がっては居なかったが恥じらいはあった。

・・・何を言っても、呻き声かそこから派生した喘ぎ声、正気であることを見失いそうな恐怖の光景、自分は涎を引いて向き合い続ける。

魅入られない相手との深い関係は、補えるものが無ければ崩れ去る。

目の前の恐怖と向き合った、自分は自分の意思でこうした筈なのに、そうではない気がした。

「・・・ごめん。」

自分は謝った。これが原因で彼は謝るというのが癖になった。

言語と発音が一致しない、だが、初めて知った恋という実感をごめんという言葉に宿した。

股を少し閉じて、そして彼に柔らかく寄せる。背筋がゾクゾクする、嬉しさと言えるものはない。

自分はこれに向き合う必要があった。

自分は、闘のアイデア混じりのこれをした。

煽る様に言わなかった、躊躇無く言った。

『・・・ごめんね、無理させちゃって。』

その言葉は、自分に向いたものであった。

それもそうだ、先の様な出会って快い何かが存在しないのだから。これは、自分にとっての贖罪だ。

そうしなければいけない、しなくてもいいが、それは人として許されないのだ。

この微妙が、納得出来なかった。自分は進化がある限り、罰ではなく贖罪の方が効率的だった。

故に罰が下されない。

罪悪感とは、そこに罪が存在すると仮想された場合に下される感情だ。

自分は罰を受けられない存在だ。

贖罪しろ、全力で。

許されるかどうかは二の次だ。

英雄になれ、それが贖罪だ。

自分の夢は変質した。喜びの感情から、怒りの感情を加えたのだ。

別作品三作同時進行中につきちょっと待ってて欲しいのだ。


備考エピソード

彼女の無縁仏を渡す事拒否されて医者連れて来たけど合祀で既に撒かれていたので拾って回収した事。なんかそれ以来神社とかに入るとめっちゃ嫌な目で見られる。

まぁ三日三晩探して脱水症状になって中断して未だに足りない事後悔してるんですけどね。そこのお坊さんの計らいで近い寺に墓作ってくれたのは感謝し切れてない。

そこの自治体減量の為に粉砕していたのが一番苦労したポイント。

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