塗油式
強化イベントです通してください。
後で描写を盛らないとアイディア処理が追いつかないんです。
だから早めに処理します。
でもちょっと次章一通り作ったけど微妙なので作り直してます。
どうせ物語全編後で作り直すからええやろの精神。
功績を残したが、使命の影響で代理人である彼女しか出られなくなった結果、お休み中である。
「・・・いやぁ、大変そうですねぇ。」
『誰この人。』
「皇帝が差し向けた工廠公だ。」
『用済みだって事?(エアヘカテー)』
「いや?寧ろ用しかないから待機中。」
一週間前。
「私は補助の工廠公・・・エマの夫かと思わせて実は女友達。・・・ハドリアヌスの好みを見つけるのがお仕事。正直誰でも良いが、バレる可能性、それ対策の偽造、表に出したくもないのに脅してくる奴とか。そういう要件を満たした人を確保する担当。」
「うん。(治療中でそれ以外言えない。)」
「エマ+公爵位の連中しか知らないから大臣とかにバラすとお前が今後痛ーい目に遭う事になる。」
「うん。」
という訳で功績に関する内容は把握していた。
「約束通り、君に城を渡す。良いね?」
次にこれからの目標である。こちらが本題だ。
「・・・これから王国の残党を処理する。捕虜を緊急で流し込み救助した関係でそこが脆弱だった、西部の何処かに居るだろう。」
今回、やたら逃した敵が多かったらしい。強さ的には納得だが、目撃した件数が多く、準備していない状態で上手く撒かれた。やたら敵に都合良く味方が死んでいた。その原因は協力者或いは隠した戦力ではないかとされたのだ。
「狂団と悪魔局、それが暗部組織と手を結んだ。裁判済みで処刑許可が出ている。塗油式が終わったら帰ってくる彼等にも伝え、西部を探してもらう。」
国境侵攻から外せるのはかなり少ない。というのも国内探索が一番面倒だからだ。魔術の易化によるテロ等もあった。
「今回もし敗北したら、表向きには処理出来ないから君だけ性奴隷として帝都地下に監禁させてもらう。それでも良いかな?」
「そうなったら帝都を壊すだけだ。」
「その心意気だ・・・君は未だ成長が足りない。だが、未来にはもっと違う実力を有する存在として称えられる、ズルズルと甘えてきた私よりは遥かに強くなれるだろうね。」
「(甘えていると言いつつ身体能力エグいぞこの女。)」
「エマの役割は引き継ぐ、心配はするな。」
自分はあまり触れられなかった、今自分は行動出来ない分、誰かの管轄だと任せるしかなかった。
「・・・。」
「どうしたの、性奴隷嫌?」
「うん。」
「でも性癖は持っておいた方が良い、意外と心の支えになる。ロタールは胸フェチ、ローガンは太腿フェチ、蒼髪公・・・グェナエルは股フェチ、チェルノボグは匂いフェチ、陛下は胸板フェチ。あとアルトリウスはロリコン。」
「あれの前じゃ全員小さいし年齢違うじゃん。」
「だからだよ。」
「ああ、でも知ってるか? 大半はもう死んだがアルトリウスはティアマトとデメテルの間に大量に子供が居る。あの二人は簡単に産めるしな。神の名を冠する訳だわ。」
「数字で言えば?」
「ティアマト2000人以上、デメテル1000人ちょい。」
「・・・凄いな。」
「大半は死んで残りはアルトリウス直属部隊・・・って事さ。」
「不思議な力があるからってインド神話とギリシャ神話に対抗し始めるバカがよぉ。」
「私は未だ処女、二千年は維持してる。」
「聖母マリアに対抗しだした。」
「攻めよ攻め、私は受けなんて絶対しないわ。」
「興味ねぇよ。」
工廠公はそう思いつつ、目をキッチリ見ている。命令があったとはいえ、どの道自分で調べていただろう。
「(思ったより気さくだし、精神的なダメージも酷くはない・・・かな。)」
心配事は無いか、とは思ったがもっと踏み込みたかった、折角だ、バカが言った言葉を借りよう。
「ローガンから一言。『クソ女誑し』ですって。何したのお前。」
空気が変わった、嬉々として耳を傾け、近寄って隣に座る。
「・・・もう、其奴は殺した。」
「ありゃ、彼奴やっぱタイミング悪いな。これだからモテない男は。」
「・・・はは、でも冗談にして笑えるなら、今はそっちが有難い。男と女の話題は・・・冗談に出来ないからな。」
経験を語る様に言った言葉は、決して軽くない。心に刺さる、だが、諦めろという言葉を内包した傷に近いものでもあった。
「代わりはそういうのには無いものさ。リスキーなギャンブル、それに勝った結果得られるものだからな。失敗は当然と受け入れてしまえ、そうでなきゃ相手は報われない。」
胸を指で突っかれると、心拍が驚く。
「・・・信頼もされてなかった・・・か。」
ドーパミンは罪の音を鳴らす、彼女という存在がどうあれ、自分は名に恥じる事をした。公はそれを否定する。
「いや、それは違うと思うなぁ。」
笑いながら言ったと声で分かるのに、自分は上を向いてそれを確認しない。責め立てる音は止まないのだ。
「信頼した人を苦労させたいなんて思ってない筈さ。」
指から掌に変え一度胸板を鳴らす。心拍は揺れず、落ち着いた流れになる。
「恋する乙女の一途は絶対さ、滅多に一途にならないから尚更ってもの・・・これで分かったかい?」
直ぐにそれは収まる、一時的な病み音は消えなかった。そして彼は言う。
「・・・分かった、確かにそうだ。」
涙は決して流さない、自分が流すべきじゃない。
「俺は俺自身をそんな言葉で甘やかしたくなんか無い。俺は俺の理想でありたい。」
「・・・そう。」
工廠公は女としてではなく、関係者として、姉の様な視線を向けて言う。
「死なないでね、気を付けるんだよ?」
「・・・ああ。」
これが少しでも彼の生きる理由になれば良いと願って、彼女は少しだけ手を貸した。
帝都祭儀の間にて。
「沈黙を誓え、陛下の御前なるぞ!」
ヴィルギルが手を横に、王侯貴族総勢50名、将校重要位90名、魔女10人は跪く。
「者共、大義であった。此度の王国崩壊は勝利である。」
皇帝は軍服に身を包み、目配せを終わらせて手を横にそう言った。
「先ずは全員無事に帰投出来た事を誉に思え。一国を地図より消し、損害は軽微。最上の戦争であった事は言うまでもない。」
その終わり、拍手はなく厳粛な儘にヴィルギルは続ける。
「功績を挙げる!受け取る準備をせよ!!」
先頭に居る彼の目の前に立った。剣を向けて告げる。先の戦争で消費したウラヌスを正式に渡す為である。
「大将アルトリウス、お前は過失、部下の把握を怠った事、大量虐殺の禍根。それを以て此度の功績は帳消しとされる。」
それと共に剣を彼の両手に合わせる。
「寛大な御心に感謝致します。」
彼の後ろに周り、戦争の功労者を労う。
「公爵ロタール、脱走に関しての罰は複数の功績を以て見逃そう。」
「は、確と承りました。」
「公爵ローガン、此度の功績、其方は緊急の用に良く答え、民間人の保護、捕虜の確保、災害の輸送を行った。その軍に資金と土地を支給せよ。」
「精進致します。」
「魔女チェルノボグ、ヘカテー、エリニューエス。ソロモンの子息エレミヤの保護、竜王討伐、聖女事件の解決。種々の功を以て後に要求を述べよ。」
「陛下、私は結構です。」
『エリニューエス殿より、不要でありますとの事。私も同じく、不要であります。』
「・・・そうか。」
そこにおいては先の物と違い不安という感情を顕にしていた。・・・功績は取引じみた所もある。忠誠は信用出来れば良いのだが、逆に疑わしくなる。
「西部王、諸国の抑圧及び西部戦線の全国境破壊、ご苦労であった。引き続き攻撃を仕掛けよ。」
西部王は不参加・・・現在死者の処理と捜索を行っている為、後で直々に労う必要がある。
そして功績の儀最大の注目所が為に身を乗り出そうと躍起になる、椅子の音がけたたましい。
「・・・ここに新たなる王を選定する。」
玉座に戻る皇帝は十名の若者を呼び寄せた。代役で尚且つ戸籍を共有している産まぬ人間がそれを受け取る。
「・・・名を、コウキ・タカハシ。他候補者に比較して最大である遠征公、隻腕公、工廠公、粛清剣の四票により選定を認める。」
玉座の前、ヴィルギルが剣で指す場所に跪く。
「功績を述べる。」
隣で羊皮紙が広がり、それを読み上げた。
「王国戦による彗星の確保、及び協力の取り付け。聖女事件解決の第一人者、大虐殺発生の抑止、竜王の討伐、王国将十人の討伐、悪意の玉座の討伐。」
その次の言葉に耳を疑った。
「及び、小国三つの単独処理。」
「(・・・今初めて知ったんだけど。)」
『(私は覚えてないし・・・記憶にも無いね。)』
「王コウキ・タカハシ、副王カン・ニイミ。監視は魔女ティアマト、キーイに管轄させ、西部王と北部王は部下を派遣し、観察を。」
既に玉座にある皇帝に誓う。これは試金石だ。
「私、コウキ・タカハシは王として陛下に命を捧げ、全うし、帝国の悲願を果たす剣となり、盾となり・・・血となり肉となり、心身を捧げ、王道を果たします。」
「(精も捧げられたが。)」
「(精も捧げられる越して注がれてますね。)」
「(精も捧げられましたね。)」
『(何の事考えてんのこの人達・・・?)』
そして、認められたのかコウキの前で彼女は立つ。
「余の手を取りなさい。余が王として貴方を認めましょう。」
優しく告げる、先の厳しさとは全く違った。
「中部王コウキ、その数多の功績と戦力、人徳は王たる素質であり、何にも代え難い物。」
その言葉には裏があると、自分は明確に理解出来る。・・・彼に聞かせるには酷だ、ヘカテーに伝えぬように言った。
「誉れ、産まれ、資質を喜び、関係や経験。それ等全てを喜び、思い続けなさい。」
彼女は先の負い目と真逆の言葉を言い放つ。
「・・・コウキ・タカハシに最大の喝采を。」
間もなくその言葉を言い、喝采で言葉を掻き消したのであった。
「三ヶ月後『塗油式』を執り行う。」
ヴィルギルからの通達は、直ぐに彼に届く。
ヘカテーからの連絡を物理的に脳内に組み込まれた。死んだかと思った。
『塗油式・・・は普通のものの意味合いもあるけど帝国式の作法と効果があるの。』
「寝ている最中に突然話すな。」
『陰陽五行説、それが帝国の有する神秘。全人類平等に使え、独占されていないもの。』
「名前からして条件とかはあるのか?」
『それもあるけどちょっと待ってね。属性があるんだけど、継承の影響でランダムに振り分けられていて・・・火・金・土・水・木のどれかがあるの。』
「前衛的な曜日構成。」
『火属性とそれ以外で大きく価値が違って・・・血液型で言うとRh-みたいな価値があるし、確率は数百万の内一人居れば良い方。』
ああ、そういう事か気付く。
『火属性は英雄の色・・・なんて文句もあるけど、火属性って、弱いとあっさり死んじゃうから淘汰されて強いのしか居ないだけよ。』
「当たり外れあるんだ。」
『塗油式は火属性の人間しか受けられない。人数は十人未満で行うから出席必須だよ。』
「あ、はい。」
一方で彼女は恩恵が無い、ベースは金属性、災害に変化させる要素はない。自分の方が不足は多い、下手な心配を起こしたら自分は誰に損害を負わせるか分からないのだ。
「アイツ殺しちまって暫く拘束されてた日々を思い出すなぁ。」
『内容がしみじみと思い出すものじゃないけど!?』
牛乳が一時の甘さを与える、そうしてまた話を聞く。ヘカテーとの話が久々で楽しく思えるのは気の所為だろうか、自分が幼くなったと思いつつ、喜べる。
『魔女の祝福、血を交わし、その力の一部を行使する。・・・と言っても使っていいものは限りがあるし、向こうが同意するかどうかは分からない。』
リーツィアが既に行ったものである。体内の維持は基本それがないと出来ない。彼女のほのかな使命の痛みが自分を支えている。・・・それと同じ様なものが流れ込む。デメリットも当然ありそうだ。
『今からアポ取りに行こう。死なれちゃ困るし使命の影響もあるし。あとエリちゃんの影響でイメージはかなり良い。アスタルトの尻拭いもあるしね。』
・・・という訳でアルトリウス邸(家主は治療中)に向かう。距離はかなり遠い、領土は飛び地を管轄しているので運営はどうしても分割必須。名義上の王でしかない。その不満はさておき、チェルノボグとの関係性だ。
チェルノボグ、比較的優しい方で親戚の世話をしてくれる従姉妹みたいな存在・・・とユウキは言っていたが自分は親戚も気付いたら全員消えていたので分かりはしなかった。分かったつもりでいる事が罪の様に思えてならなかった。
「問題は『拒絶』だ。」
「嫌われる・・・とは別か。」
「確率で血が変質し命が失われる、安全が補償できるのは三度まで。」
服のエプロンを外し料理を終え、数十人分作り終えたと肩を持ち上げる。
「・・・どの魔女を選ぶか、だな。」
深呼吸と共に言い捨てた。
『恩恵を言っておくとティアマトは再生能力の向上、チェルノボグは幸運の強化と多数化、デメテルは恩恵の向上、スムルティは相手の強さに応じた強化、モイラは身体機能の時間を短縮、スクルドは身体の耐久力や毒耐性の底上げ、メリュジーヌは竜種の内臓を部分指定で使える様にする。
私、キーイ、アスタルト、エリニューエスは法で規制されてるから無いよ。数値的に表せるかは試してからじゃないと分からない。』
「話し合いって相性確かめる意味合いもあるのか。」
「一番惚気出してて相性良さそうなエリニューエス使えないのは残念だな。NTR感出て多分相性悪くなるぞ。」
それではと踏み込んで聞いてみた。
「一番難しいのは?」
「間違いなくデメテルだ。」
即答、何か地雷に触れた気がして、刺激を控えつつ内容を聞く。
「デメテルは会話がほぼ成立しない。」
「そういう障害?」
「いや、そもそも脳が半分以上機能していない。先ず会話も三単語以上だと分からない。そして感情制御も殆ど出来ないから好意を抱かせるのが無理だ。」
自分の指で指しているが、分かり易くあってほしくはなかった。
「夫とロタールだけは契約出来た。夫は脳がある時にしたから、ロタールは体内の意図的な調整をギリギリで行ったから成功した。」
彼女は決して前向きに話さない、言葉の本質は変わっていないのにも関わらず、重かった。乾いた笑いを同調出来る程人間を忘れていない以上、自分は只管噛み締めた沈黙でしか観察出来なかった。
「・・・私の母親があんなザマだと見ていられない、」
目を細めた姿を瞬き以外で初めて見た。漆の様な黒い髪、メタリックのカーボン・ブラック色。
「私との契約条件は再生でも治らなかった母親デメテルの感情及び脳の修復。それが出来たら良い。・・・次に死にかけたら無理にでもするが、短期間で死にかけるなら直ぐに死ぬ、契約も意味は無いだろうな。」
アポを一つ取り付けた、得る物としては厳しい。上手くいく訳ないやと諦めていた分には良いが、二個封じられたのだ。・・・とならないように彼女は助け舟を出した。
「ティアマトには話してある、快く受けてくれたから感謝しとけよ?」
「・・・一番最初に感謝したいのはチェル姉さんの方だが・・・。」
「どういたしまして・・・って。私は無理難題言ってるんだから感謝を受け取る立場なんかじゃ全然ない。」
「・・・自分が言いたかっただけです。」
「・・・そうか。」
チェルノボグ、どうも掴むにも難しい。彼女は優しいが、諦めが異様に早い。合理的というには持つ感情が変だ、新時代の潮流の可能性もある。なんと言うか、自分を考慮に入れていない様な、他の何かの為に生きているとしか思えないのだ。
デメテルの改善では終わらない、予感としてこれを記す。
魔女の大半は居場所不明なのだが、公爵、王位(扱いとしては大公位級なので上)、皇帝に情報が入る。その為今日から漸く動ける・・・と思ったが、一人で居る時に限って問題は起きた。ヘカテーに支えてもらって彼女はアポ取りに、芝刈も洗濯も出来ないが単独で動く魔女に接触する。その為スクルドを狙っていた。ティアマトは条件として養子にならない?と聞いてきたのであっさり許可したら逆に引かれた。その為
・・・だが、外出前に状況が変わった。
「妾は災害種、産まぬ人間。よく知っておる筈じゃ。」
立ち入り禁止の場所、即座にナイフを投げ、背中に刺した。その筈だった。
背中に刺さったナイフは見せない、
ドレスに血は垂れない。
唯一無二の美しさに補正される。
それだけだ。
「妾は血を城内各地にばら蒔いた。そして、それを自壊魔術の行使によって一度に破壊出来る。」
足音はヒールの音、重量感は確かにある、コツコツとした音。だが、何処か弾みがある、軽やかな音。
「端獣かどうかはお前の行く末次第、妾は害にも益にもならん。」
汗が止まらない、敵かどうかが全く分からない。記憶に欠けた状態の中、自分は最悪の相性を引いた。殺してはならないと本能が叫ぶ。囁かないのだ。自分が確かな理由を持って手を出せないのだ。彼女は顔を睨む、邪悪な微笑みから切り替えその様な表情を見せていた。
「・・・ああ、届け物じゃ。あの竜が渡せと言っていたからのぉ。」
背負う一振、見覚えのある剣だが・・・何か小さい。
「倶利伽羅剣、スケールダウンはしたが・・・。」
「重っも・・・!!」
「話を聞け、持ってくるだけで腰が折れる。密度も段違い、一振で城塞の壁を壊し、塔をへし折り、地面を抉る。そんな剣じゃ。今の儘だと振れば骨折か下手すれば腕が引っ張られてぽろん、じゃ。」
城の床に感謝したい。岩に刺したら岩が砕けて地面に突き刺さるだろう。振り回すのも出来ない。
「『五本爪』ブループからの贈り物、息子を止めた事への感謝として・・・じゃったか。」
「・・・自分が倒した訳じゃないさ・・・というか未だ生きていたのか。」
「肉片一個でも燃やさなければ生きたままではあるが・・・再生はもうせんじゃろ。」
その会話の内に安堵があり、自分は先手を打っておく。
「ありがとう、敵では無いと。」
「まぁ・・・今は味方じゃ、気にするな。だが何れ敵となる。悲しい事にな。」
・・・彼女は涙を隠したのではないか、そう疑う。自分は異様な哀愁を感じ取れた。それが意地で隠されている。・・・自分は、こういう事に気付けなかったからリーツィアも、エマも、彼女も傷付け、時に失った。今は味方、今は味方なのだ。
「妾は遠い国で待っておる、いつしか来ると良い。」
笑顔に屈託が無くなった。朗らかという、何時でも自分に綻びを与える感情が向けられた。・・・優しさか問われたら、少し異なる。陰謀や渇望を見て取れるのだ。或いは、もっと単純で率直な感情だ。
「・・・愛いのぉ、本当は敵対等したくはない・・・だが、仕方無く、じゃ。何時かその力を磨き、立ち向かってこい。」
鈍い刃を託され、即座に胴を切れる。その筈が絆されている。産まぬ人間の力を行使したのか、自分の身体が馬鹿なだけか。分からない。
「・・・何時か、な。妾に負ける様な軟弱者でない事を祈るぞ。」
追いつこうと、届こうと願った。手を伸ばした。
「・・・待って。」
振り絞る声は喉を引き裂く様に出てくる。脳より先に情動が手をより遠くへ。
「あ・・・アリア・・・。」
心拍が上がり続ける、愛情やそれに伴う辛さ、更には恐怖があった。落ち着かない中、死の淵の中で自分は彼女を必死に留めようとしたかった。
「・・・無理に思い出すな。妾は何時でも待っておる。・・・最期でも良い、戦う前で良い。」
初めて彼女は自分に対し肉体の直接コンタクトを求めた。頭を下げる様に言い、頭を撫でられた。その時の無性な涙が、自分の感情の現れだ。
「この姿を其方にあまり見せたくはない、妾の我儘じゃ、許しておくれ。」
こんな自分の姿は嫌いだと、自分は吐き捨てた。彼女が何を思っているかは分かる、だが、どうすれば良いか、そしてそれ以上にどうやって解決しろと言う話になる。迷走しか出来なかったら、自分は最悪の存在に成り果てる。
だから覚悟を決めてスクルドに会いに行く。失敗を失敗で終わらせないのは、立った時に決められる。折れた時、砕けた時、諦めた時。そのどれもを凌駕してきたではないか、ならば、進まない手は無い。
「・・・取り戻す、その為に行ってくる。」
「・・・そうか、未だ健在で本当に良かった。」
背中を引っ張り出し、裏向きにして背中に凭れて告げた。
「私の栄えある理想、私の最も愛した家族。
・・・コウキ・タカハシ。優しい兄よ。
この言葉は届きはしないだろう。
彼岸の向こうにいる私に届きはしないだろう。」
彼には聞こえなかった、不満は洗いざらい告げられた。そこに悪や害は無く、無事を喜んでいたものだった、同時に後悔が煮詰まっていた。
「・・・待てぬ程小娘ではないわ、期待して待っておる。切り替えて行くと良い。」
折角だ、切り替えろと言われたのでキッチリ切り替えよう。切り替えて感動的なナントカも全部有耶無耶にしてやる。
「待て、今から掃除の時間だ。」
「またのー。」
城内各地で十八禁Gス〇ラトゥーンをした結果凡そ三時間片付け続ける事になった。一人で。
掃除中、未だに賄賂受け取ってお仕事中のサキュバスを通した会話が行われた。
『闘の居場所は分かったのか?』
『ああ、予想はしていた。帝国の真逆だ。』
『真逆・・・?』
『小国を滅ぼして功績にし、確実な結果にする。敵の死後の期間を調整して一年間で整合性が取れる様に調整してあった。』
『闘の人格が確定したから一人称を変えてくれ。』
『あいよー、僕で良いか。』
『これで別々だな。』
『察が影響受けて俺だろ?闘はなんだ?儂とか余、朕とかか?』
『いや?もっとだな・・・。』
『名前一人称?』
『・・・あたし、だそうだ。普段から女装してて気付けなかった。百面相って位パターンが多い。』
『なんかゾワゾワしてくるな。』
『同感だ。刺されそうで怖い。』
闘の所業に関してまとめた途中で察が入ってきて、何を言っているのかと優をスルーする。
『もしもし、狂。』
『僕は帰る。優に言え。』
「面倒事を押し付けるな多分お前の影響だろ。」
『闘は男の娘アイドル稼業で性癖を壊してファン全員に手を出してバトロワしてついでに軍事行動に参加している。』
『?????』
掃除に熱中し過ぎたか、休憩をする事にした。
闘との接触は確実、ヘカテーが遭遇したらしい。副王のカンとやらが闘を従えている(とは聞いているがどう考えても従わされている側)らしい。それを考慮して翌日合流の指示を出してある。通信への加入、及び場合によっては名誉の為に地面に沈める事を考えなければいけない。一番不安なのは今回の功績取り消しだが、恐らく向こうが勝手に加算している。それに関しては心配する必要はなさそうだ。
「・・・闘と明日合流する、指示は?」
『近い内にそっちに潜入する。確認とサボタージュ仕掛けておこうと思う。その辺バレないように内容非公開にしておくが察するのは直ぐに出来る筈だ。』
「一応こっちのフリーで行く、裏切っていれば殺すが手段が不足する可能性が高い。」
『生存優先にしておけ、流石に。』
「・・・ああ。」
『心配も分かる、裏切り者は生存が最大の危険であるとも分かる。一分一秒が惜しい事も。・・・抑えろ。私に不都合だ。』
「・・・。」
『殺しの選択を理解出来る人間なんて居ないに決まっている。自分なら出来ると信じるなよ?分かったか?』
「・・・仕方ない。」
『それで良い、闘は危険だが、不信には値しない。こんなにも天才か馬鹿か判断しかねる奴を懸念する必要性なんてあるかよ。』
「それもそうだな。」
優は察を疑い、其の儘通信を切る。・・・忠誠心が無い、その場凌ぎ感が否めない・・・答えはなんとなく出ている。
「記憶喪失・・・だな。」
優は倫理観に欠ける。人を数値的に最良な利用を行う、無慈悲で同時に慈悲ある人間だ。最良の値によって彼女は助けられる筈だ。ベスの背を叩き、抱き寄せる。
「・・・え?私の端末とは言え体重分かってます?」
「羽毛みたいに軽い、三桁程度ならそう難しい話じゃない。」
「・・・そうなんですか。」
彼の愛は、機械達に向いていた。
星を見ていた。
星を見た時、ふと思う事には、何時もと違う、というもの。強いて言うなら、道と星が不一致だという気がしたのだ。
さぁて、どうせ過去に戻る。少し未来の話をしよう。
一週間後、コウキの勢力はコウキ除いて死ぬ事になる。工廠公も例外じゃない。ああ、一瞬にして、だ。・・・まぁ、こんな感じだ。
馬車から降りた時、自分含めた全員は首を落とされた。直感で予兆無く回避した自分は掠め削れた程度で済んだが、死は近い。
「・・・は。」
・・・これは、天才によって築き上げられた2分間のシナリオ。
敵の名は五つ。
『100%の人間』リコ・ルドルフ。
『排熱伝導長』ペア・シューラー
『暗部王』フランツ・ミゴー
『陽より速し』アルノルト・ハールマン
『狂団教祖』シルヴェール・サルティーヌ
以上だ。
次章、ループマン・ウォーキング。
五十話迄に終わる予定です。
ミスと思わせておいて伏線で殴る方式。
誤字見つけるの得意だけど読み返すほど内容忘れてないから別の本を手に取る毎日。
十八禁Gス〇ラトゥーンとかそれどっちかと言えばプラ〇ーンじゃねぇかな。
難易度上げられてクソ長クールタイム付与されて報酬下げられたカヨペリコ下方修正集を許すな。




