ウラニウム・パニック
今日はコウキに関してと彼の誕生経緯と彼の狂いの原因についてが今日の話です。
王国の聖女の呪いは断絶したが、被害は未だ多い。地盤が陥没し、災害への対抗にリソースを消費する。負担が大き過ぎる。
・・・一人が追い打ちを仕込む。前線の将の圧力が未だに残る。
世界に三度の衝撃が起きた。
その名はアルトリウス、王国の地面の一部は破壊され、建築物が崩れ落ちていく。
「味方は撤退済み、ならば存分にやろうじゃないか。」
アルトリウスは計画を変更した。
アスタルトを用いた情報収集により、彼は戦況をリアルタイムで把握している。リアルタイムと言っても最低十分はズレるが。帝国は農業も重視しており、その弊害か都市の間が普通より長い、その為夢魔を繋げると狙われ易い・・・という結果になって現れた。
彼は結論を出すのにそう時間を必要としなかった。竜王を確保しよう。そして、その質量なら吹っ飛ばせばあの上空の要塞を壊せるのでは?夜叉の硬さを利用し、詰めるか外装に縫い付ければ大質量かつカッチカチの激ヤバナマモノ爬虫類ウィップが出来上がる訳だ。
「・・・しかし肉壁は減らしたいなぁ・・・。それは流石に立て直して行うべきだろう。」
一部兵士の残存、というより殿師団という西部王の用意した島津の民、薩摩の戦闘狂みたいな奴等が詰まってる。多分一番厄介で強い。躱されているだけで軍法違反、解体案件の代物だ。
「ロタールの潜入に関しては良い、寧ろ都合が良い。作戦の軌道修正は不要だったな。・・・やる事間違えたり失敗したら責任は俺に来る、代償としてぶっ殺して他の有能な奴に継がせれば良い。」
残酷とは言えるが、同時に当然の事だと言える部分があった。コウキとの決定的な差異としてその目の色が語っていた。
その当のロタールは、眠りから目覚めた。流石に血の波で起きない訳が無い。有り得ない距離だが、メルリウスの隠しなら当然か・・・という一方で血が混ざって河川が汚れて・・・。これ以上考えるのは止めよう。どうせ自分の生死には関わらん、と。
走る事数時間、疲れが残り、触覚の違和感が残る。パラノイアの断片もある。敏感になり過ぎてうっかり攻撃しない様にしたいが、一旦は抑え、睡眠薬で無理矢理留める。
そして沈みかけた二人を救助する。
「起きろ、未だ眠る時じゃない。」
飛び起きたのは不死の方、
「はっ!」
不貞腐れた・・・と言うよりは見下す様な目で語る。
「・・・何で居るの。」
「お前が求める奴は深刻なダメージで前線に居ない、こっちの管轄として仕事をさせてもらう。血は払った、だが、竜王は半身以外回収出来てない。」
『敵ではないね・・・というより、パパの手助けもしてるみたい。』
「ならいいや、ビンタ一回で済ませてあげる。」
一回ビンタを食らった後で、前線の配置を撃ち漏らし対策の陣形に変え、逃走妨害の形態にする。作戦を理解した以上、最適解はこれだ、と。
ロタールの本質は毒ではない、それは置いておき、彼の攻撃力に関しては圧倒的、更に摂取する物を選ばず、栄養化するという継戦能力、リミッターを外して再生を続ける肉体。ブレーキが壊れた様な男・・・だ。
それだけではないのだが、エマが本国より厳重な許可を突破して持ち運んで来た新型の武器・・・制圧用に特化した機関銃である。
理由は色々あるが、アランの存在が無くなったので捕虜の治療ペースが減り、生かす必要が最初から無くなった。民間人確保が捕虜の供給先である為、兵士の治療が不要になったのだ。兵士の数が減ると使うのに不便が生じる・・・被虐と侮蔑の返し方として、適切な判断をした迄だ。支持はそうしなければ得られなかった。
「アレが落ちて来た時ように壊すべく西部に配置してる。」
航空機は木製なら五発程度のライフル弾で落とせる、多くても十発で足りる。アレにそれが適用されるとは到底思えない、有効射程ではないが、エマ特製高速弾は理論上届くとしている。一発約四千円の弾丸、それを第一の目的、装甲の一部破壊と回収の為に行うのだ。
「・・・もしかしてだが、あの竜王の半分を投げてそれに当て続けろと?」
「理論上当て続けると壊れて貫通、骨の硬い部分を狙わなきゃ貫通、骨と血液の凝固の強い切り口か凄く動く尻尾付近を狙わなきゃいけないよ。徹甲弾で鱗破って血管から血液絞るっぽい。」
「・・・推進力にするつもり・・・って辺りか。イカみたいに心臓三つあるとか?」
「心臓無くてもあの身体じゃ筋力でポンプするでしょ。」
「分かった、集中集中・・・良し。」
あとはタイミングを合わせるだけだ。
・・・少し懸念があるとすれば、下だ。地上の問題は解決出来たとは言えない、数はみるみる減っているが、決定打に欠けるし、少人数で処理する場合、心理キャパが大きい。
「あのコウキはどうしている・・・かだな。切り札になれば嬉しいのだが。」
その当のコウキは意識が水底、起きるまでには時間が掛かる。撤退時用防衛線の野戦病院にて、眠っていた。
2022年後半頃からの話。
日本ほど愚かで不気味な国家は無かった。
最初は農業の支援を怠った事だ、アメリカの安い食糧に甘やかされ、依存させる戦略をしている事を忘れ、平和ボケの最中にいた。その見え透いた罠にまんまとかかり、国民を餓死させるつもりでいた。円安、食糧危機、その中で競り合い、食糧を勝ち取る。海外資産を持った一部の人間はまだしも、無駄に税金を取られ食糧も取れない庶民は貯金残高を数えなければいけない。世界恐慌をもう一度起こせばその海外資産もゴミになる。インフラ整備を改竄と抑圧で回し続け、国民は疲弊と飢餓を待つ。
テロ事件多発、日本の元首相銃撃事件から治安の悪化が爆発的に広まり、闇バイト、政治的活動が平和的なものでは成功しないと見切り、インテリ層までもが国家に敵対した。
土地買収と独立、中国の反共産主義者達の流入。留学生として大学生の人口が一変、競走の増大と同時に精神的に強い人々が集まる様になり、大学生が政治的活動の中心となった。
ロシアの凋落と中国の外交的取引、核兵器に信憑性がないと内部から暴露されたロシアは、中国から核兵器を輸入、石油と食糧が限界に達しており、その補填を約束し、また、中国のある手によりそれを実行可能にした。
アメリカの第三政党設立、日本人として送り出された東アジア諸国の人々は、ロシアを恐れ逃げてきたという名目で集合とマフィア化、西海岸を事実上乗っ取った。円安やブロック経済化が起きている中で日本からほぼ全ての物品を買収、スーパーに缶一つ残っていればマシな状況に追い込み、日本を破綻させた。その物品を基軸にレートを掻き乱し、家具や家電、様々な道具を手に入れ、労働者に提供し、既得権益層ばかりしか居ない過去の政党達に圧を掛け、対立を深めた。
中国に手を出そうとしたが、一帯一路の解体・・・海洋国家への転身に切り替え、ギリシャ方面の港防衛をセットで行う事で脅威度を減らしつつ、経済規模を何とか保った。
どの道一帯一路はムスリムの協力が必須、ウイグルに手を出している時点で無理なのは確定していたが。
海洋国家と富裕層、ロボットによる少数精鋭の支配に、大多数は排除された。食糧の価値は上がり、食糧生産が出来る箇所の価格が上昇、ウクライナ周辺が戦争後により安値になった。また、戦争時の出生率上昇で労働力も大量に存在し、介入が始まった。海洋国家数国は干渉するが、流入した大多数の一派が支配し、撃退に成功した。
刑務所や拘置所の管理が難しくなり、政治犯等の管理や、私営化により脱走しない様にするのにも影響が出た。
・・・そんな国際情勢は置いておこう。
日本の労働党、彼等の主張は過激から始まった。
「我等が党は国家第一の下僕であり、我等の党は一日十六時間働き、週五で会議と視察を繰り返す!給与はその年の中央値の倍を受け取り、経費の使用も極力削減!病院高齢者負担を7割から5割へ変更し、その金で大学までの無償化を叶える!新技術を取り入れ、既存の治療を安くし負担の増加を帳消を行う!北欧諸国とアメリカ協力で北極ルートが開通し、道具も揃えられ、輸入金額も安価になり、移動手段も整え、新医術協会が各国の法に合わせて安価な治療を提供する飛び地を作った。」
そんな経済力は無い。
「全国家公務員の給与削減、マイナンバー利用により税務署は不要となり、警察の管轄とする。ゾンビ企業の削除、インボイス制の解除を当選後行い、無駄な徴税を終わらせる。」
そんな対外影響力は無い。
「だから・・・神よ・・・許してくれ・・・。」
国会議事堂も、いや、東京全土は硫酸が空から降って来た。いち早く気付いた彼を嘲笑う様に。
「己の法を守れぬと言うのなら、三度の選定を与えましょう。一度で金を、二度目で名誉を、三度目には命を奪います。」
統計上の神は、神としての仕事を全うした。
「人類の罪は3つ、地球を踏み荒らした事、神を創造した事。」
彼は憎いと言わぬ儘、その日照無き目で人を見下す。
「そして、災害を家畜化した事です。種々の動物は自然の摂理に従いますが、災害も理論上可能ではある。しかし人類を駆逐する道具でもある。」
火と硫酸が街を多い、災害は同時に動き、世は蹂躙される。ビルディングは硫酸を散らし、受け皿になるどころか効率良く人里に硫酸を散らすものにしかなっていない。
「災害が望んで人を殺す訳では無い。その道を切り開くのに数万の命が亡くなった、しかし更に不必要な消費に数十人を費やした。前者は糾弾しません、しかし、後者は糾弾しましょう。」
人間は一人一人死んでいく。文明の生贄の怨念は晴らされる。いや、未だ足りない。
「災害は無駄な生産と無駄な消費の結果、一度解き放たれれば戻る事の無い生物群。半永久的な罰を望んだ貴方達への答えです。」
こうして、群れる渇望は誕生した。
それは災害として、人類を滅ぼす存在として産まれたが、生物である以上、脳への介入は容易い。・・・人型という縛りが存在し、潜入して根絶やしにする個体であったから。
奴隷の全てに人は管理タグを付けた。疑わしい場合タグを外し、身分を渡すと言いつつ同時に処分した。
一人、未だ息を潜めていた人物が居た。魔女の研究者として、また、古い関係から貴族の裏を支えていたが、今回の騒動で死んだ為、表に立った。
「俺の名はアルトリウス、既存の国家が嫌いな奴は俺の着いてこい。」
対災害特化の人員を募った傭兵団、その首領。それが彼の現代における初動である。
「裁判記録と顔を照らし合わせると妥当な判断になっている、あの串刺し数人は偽証や冤罪を起こした奴等だったりな。」
右手に書類を提示するが、ついうっかりで落としつつも、手を伸ばしたら希望があった、歓喜が起きた。
「むかっ腹が立つ屑共は死んだ、なら生き残った俺等は常人、俺に限っては数百万の殺害でさえ正義と証明された。」
失敗を一環かのように見せれば、アシスタントに後ろから指で引っ張られる。
「人を集め、国にする。誰でも良い、志ある者を片っ端から集めてくるんだ。」
一応の指示の後も、彼は讃えられた。彼が帝国に合流するのは遙か未来の話・・・しかし、その時から存在する古参の兵士・・・その様な存在も少なからず居る・・・というのも事実だ。敵か味方か、強いか弱いか、その一切が分からない相手が今後も存在するというのだ。
経歴を調査した中で、唯一黒いと言えた人物。天命らしきものを受けた自分は除くが、一人、本当に一人居たのだ。経歴は詐欺が最大、条例違反、風営法違反等が多数であった。ぼったくるタイプの娼婦・・・とのこと。原因の推測をするとすれば、災害を所有しているとか、魔女や災害の母胎であるか・・・か。
姉の子は生き残った、眠る十歳程度の子を抱えた。
「私は昔、本当に嫌な人間だった。」
警戒して捜索、核汚染の進む日本で、季節風の為はんとしだけ猶予を与えられた地域。上陸ルートを絞られ、リソースも少ない。救助も出来るか怪しい。その中で上にいる女が、小さく、静かな山地で呟く。
「あの子を見た時に、全部変わった。子供なのに、重みが全く違った。」
「・・・あれは、私のもう愛していない存在なんだ・・・って。」
彼女は変えられた、彼の力によって。
いや、意外と彼女自身が自らを変えたのかもしれない。
コウキの家族は一人しか居なかったのではない、居た者を失っただけだ。
正義の為に偽造を重ね、姉の子を守り通した。
・・・彼女の功績は数多く、コウキ生存の背景に絡まない事がない位である。
本来は有り得ない、血の繋がりも何も無い、人の死体から使える物を取り出し、繕った化け物。突然変異が起きたのではない、そうしなければ生き残れなかったのだ。
犇き合う、しかし目的は同じ。記憶を繋ぎ止め、それぞれが内臓の僅かな隙間に意思を差し込む。
生きよ生きよと呼ぶ声はどこまでも聞こえる。故に群れる渇望と名付けられたのだ。
彼が失ったのは、果たして自我だけであろうか。
偶像の空想・・・そう表現するのが相応しいとは思わないだろうか。彼の構成要素は何で保っているのだろうか。
生という呪い、人類の手のみで構成された、最も不死に近い存在。・・・人類の手、何方も無ければ生まれやしなかったし、人間の進化が狂う事も無かった。寿命を変え、殺しに付加価値を持たせ、技術による殺しの加速化・・・。
災害としてコウキを上回る存在は居ない。
彼は圧倒的に強く、その実績で裏付けられている。
遺伝や継承を利用した、汚染する災害である。
残念だが、彼の影響を受けていない人類は既に駆逐されている。
そして、三百年が過ぎた。知らぬ儘、生き続けていた。
ターニングポイントと記憶の継承、その中で向けられたのは生き残った善人達が、教えた自分を信頼していた事、そして、自分は一度の殺し以降、無数の命の死因、戦争に出てしまえる様な状況を作っていた事。
其れ等を以て自分は自分の生を見直した。生の価値を求め続けたのだ。
そして、彼に匹敵する力がある災害、彼女に殺された。
「・・・貴方には、渡せない。」
災害であると気付いたとしても、彼女は育て切った。先代幻想の魔女、サチ・タカハシ。密教由来の名前で、タカハシの家系。
彼は何も知る事無く、その半年で終わらせられた。
回収した戦力の早期撤退命令。重症=撤退。その中で彼は下がらざるを得なかった。
「・・・あ、お目覚めですね。コウキさん、エリニューエスさん。」
この女、敬称を付けているがコウキに対しては三歳年上でしかもこっちの方が強い。伸び代を見るかどうかは兎も角、同僚は思う。
「(コイツサボるつもりだな?)」
看護師が一人入って、治療の可能性ありと撤退する。看護師側はお茶目というか、仕事を雑に終わらせ、廊下テントの方に顔を出して、一人呼んだ。
「貴方にお声掛けをしたいと皇族・・・帝位継承権第十位、ヴィンディクティヴのミア様から連絡が。」
・・・彼女は工廠公、姿が認知されていない人物の為それを活かし変装して侵入中。機械の修理は得意だが人体の修理は専門外、その過程で何が起きようと彼女は知った事では無い。エマに比肩する発明家でありながら、素材の節約法等も優れている。貴族として在る辺り、経済力と知名度の差が出たと言えよう。
その後に入ってきた背丈が同等の、気品と同じく背丈が高い麗人・・・とも思ったが首が下に向かない影響で、足音や手の所作が推測上は女性的で、混乱する。一言が顔と共に入って馴染み、逃走用意は不要と力を抜く。
「どうも、ミアなんて居ないから。騙してごめんなさいね。」
聞いたことはあったが、やはりペーパー、金の動きの少なさと経歴の出処の少なさで予想はしていた。そこまでしてるという事は、そのバック以外には明かせない問題、アスタルトも向こうにいるという状況。危険行為は不可能となる。
「私はハドリアヌス、現皇帝ハドリアヌス。貴方目当てにやって来ました。」
血が足りない為、目を丸く出来ない。そうすると真上まで顔を寄せられる。
「・・・気遣いは不要です。」
「そうですか、おっぱい揉みます?」
「不要って言ったよね俺。先ず動けないんだが?」
「英語なんて昔選挙と勃起がほぼ同じだったせいで間違えた人が居るんですから誤差でしょう。」
「意図して聞いてないであろう人には言われたかないんだが?」
彼女に向かって話続けると、体を動かす後ろから押し出される。工廠公の腕だ。平衡感覚の鈍りが頭を安定させない状況下、視点を合わせるのに時間が掛かる。
「貴方の目的は、何がありますか?」
「災害になった彼女を助け、人して生きるか、災害として生きるか問う。少なくとも生かす。そして次点で銓の救出とその条件の捜索。最後に必要最低限の災害返却だ。」
面接は堂々と行う、戦闘力がないという判断と、金属や火薬の臭いが無い事。・・・工廠公が敵意を持っていたら今ので死んでいた。甘い部分が出ている対応に相手側としても意表を突かれる。
「災害なんて言ってしまえば容易に製造出来る上司令部を壊しても動作し続ける核兵器だ。生贄は必要だが。」
「特に敵対してはいませんね、アルトリウスとはどうなるか分かりませんが。」
ハドリアヌスとしては違和感があるのか、歯切れが悪いのか、若干恐れる様に言う。
「・・・リーツィアの気配を感じるんですが・・・心当たりは?」
「託された。」
「・・・あの子・・・。」
気を許した様に近付いたと思えば、姿勢を直しただけであった。・・・言葉が上っ面と言うよりは胡散臭い。誘導的なものが多く、最初こそ信用出来ないものだが、考えたらアレだ、オタクの自分の壇上で語ろうとする専門知識にかまけた常識に欠けている奴だ。・・・仕方ない、合わせよう。
「彼女は若いとは到底思えませんよ、豪胆で、自分も他人も何処までも信用する。・・・演技派、というのも含んでいます。」
警戒から安堵を通り越して信頼があった。ヒントが根底にあり、報われないが故の慈悲というものを何処か思う。
「彼女の事は大事にしてあげてくださいね、そうでなければ報われないというもの。」
心からの笑顔は見れなかった、自分の視界が上手く向けられない。心配もされない、邪魔出来ない、動けない。動いていないのか。
「私も目的を提示しなければ・・・と言うより使命の開示ですね。これに反したら死ぬので警告しておきたいのです。それ建国及び最長の文明になるまで維持する事。・・・母から受け取ったものとして、あの旅立ったものを終わりを見守る事、だそうです。」
彼女の長話はここに表れた、寧ろコレが本命だ。目的に予想は付く。彼女は王の位を渡す人物を絞っているのだ。公爵や大公の様な被制限の立場の存在は忠誠心の証明をされた信頼ある者達。王は留める必要があるから自由を許した、実力の有無だけで判断した上下関係や強弱が未知数の話。それでも存在価値があるのなら、その位は応じるだろう。
「ここ十年で変えようとしたのは家系に関する制度女王の国を目指し、日々計画しているのです。理由としては・・・サウジアラビア、厳格な宗派で支えられた古き王国は、数千の王位継承者により治安が狂った。後悔王ウィリアムの血は、災害を食らい続けた者の血、生物としては強い。・・・最低限保証は出来ます、そして、数を抑える事で安定すると発案したのが私です。追放されましたけど。」
異端の王女、そして結果的な正義の存在。それが彼女である。人脈と運、本質を見る目が彼女に国を作られせた。
「ここは前線付近、直ぐに復帰出来ます。貴方の身体の損傷は治りきってはいません、それでも行きますか?」
尋ねた、異端より異端に問う。彼女は同志と看做し、そして、その期待に応えよと問う。彼女にとっては、それ以降は誰でもいい。目的を達成において誰が相手でも構わない。
「エマが居ない。」
「・・・分かりました、何があったかは知りませんが、余程信頼があるようで・・・。」
「折衷として貴方に良い対応をしているだけで愛情は一切持ち込んでいません、ですから、貴方は私に利用されている・・・それを呉々もお忘れなく。」
「嘘は良くない、だが、告白は大好きだ。嘘を言われない事よりも。・・・それを分かった上でやっているのだろう?」
「私は、今迄アルトリウスやメルリウス以外の男性経験が全く以てありませんでした。・・・この感情はあまり解せません。」
「・・・。」
皇帝という地位は、縛りに縛られたものであった。
彼女はきっと処女であろう、それが哀愁でしかないとして、我欲が欠損し、漸く浮かんできたのだ。
「終わらせるし、助けるさ。」
「・・・はい。」
「(・・・もしかしてだが、誰かが裏にいる?)」
コウキは信用する一方で、裏を疑った。優秀さと性格は噛み合わない者も多いが、それでも乖離に差が有り過ぎる。才能で補っているだけで、年齢不相応、儀式化された行事に縛られる道具同然の人間の様な、束縛を感じ取った。
「(部分的な記憶喪失・・・?)」
その可能性を一番に疑った。彼女は自分を説明するのにエピソードが無い。文面上で把握出来る・・・照らし合わせが多い。良く考えればアスタルトを利用すれば死を観測可能になる以上、指弾も指摘も違和感は無い。
「(・・・アルトリウスの案を代替するには・・・。)」
共に手を取れる道を考えた。自分の頭の中で解消出来るだろうか、彼女にも言うべきだろうか、少し迷う。
「(シャーマンの国を壊すか、更に別の同じ存在を探すか。)」
指針は良いが、それを叶えるのは難しい。彼女の場合、都合が良い使命がある。災害自体、特殊な使命と能の複合、更に継承前の存在が条件を満たす事で承認される。・・・情報で計画を作るのが良い、指針だけは立てておく、その方向で情報を集められれば、偏見こそあれ、関連性により思い出し易い。
「(・・・それで妥協させ、ハドリアヌスを何処かの段階で脱出させた方が良い。)」
それが指針、というより彼女にとって都合が良い。先の使命、その条件に自分が運営する事は言及されていないのだ。
「(悪意は無い、怪しくもない。しかし、自分のやりたい事の為に生きる事を一度疑うべきではないか?)」
英雄と、王位。自分のやりたい事。それが自分の中では安定しない。分からないのだ。
「(妥協手段は多い、殺害はしても勢力図を乱さない手法ならある。)」
一応は、平和的手段を見つけた。・・・彼は、リーツィアの影響で大きく変化した。そして、それとは別に英雄の道を選んでしまった。次はその方向性だ。スターリンの気付けなかったものを知る彼は、真っ当な英雄になれるのか、災害として人を駆逐し、歪んだ統計上の英雄となるか。リーツィアを弔うのに、最適な者に今はなりたかったと迷っていた。
一方のハドリアヌス、直ぐに退散し、エマの状況を確認するべくアスタルトの所に移動する。そう遠くないが、数kmはある。馬もアリだが、軍部にバレるとローガンが胃を痛め机の端を噛み出すので走っていく事にした。
「まぁ、これで誘導は完了しました。優しい子なので単純でしたね。・・・少し悪い事をしたとも思いますが、打てる手は少ない・・・後で詫びると誓いましょう。」
最重要決定事項についても言及した。
「・・・アルトリウスに王国の政治基盤破壊許可を出します。私の目標は全て達成されました。」
・・・王国の崩壊、王都の侵攻許可だけでなく、周辺住民の住む環境を壊す、敵国向け焦土作戦を行うのだ。誰も住めない土地にして、完全に放棄する、あとは劫掠だ、損失を埋め合わせ、戦争を終結させよう。そう誓った。
こちらは一方でベスのトレーラー内。発電機がけたたましく、太陽光も恩恵が無い。曇り空と黒の要塞があった。
「核兵器の使用は?」
「無いでしょう、風向きが少し特殊・・・あの要塞って空の方の大気を歪めるんで地上にも放射能ばら撒かれて機械ぶっ壊れますよ。」
「要塞ぶっ壊しつつ打ち込めば良いじゃん。」
「・・・推奨はしません、あの機体は水素爆弾搭載飛行原子力空母、なんか一周回った感じがしますね。」
「字面だけでカロリーオーバーだ、心臓麻痺しそうなメニュー・・・少し吐き気がする。」
そんなハートアタック・グリルを見るかのような目で頭を上に目を隠し、光を指間から覗かせる。
「狂の方との取引条件上維持しなきゃいかんのよな。彼奴シャーマンの原子力発電所の話聞いてないし。」
排熱箇所を借りて焼肉をし、モニターから作戦を練る。LifiでAiオンラインアーカイブ上のデータを漁っている彼に向かって、相談内容に関して言及される。
「核廃棄物の武装配布?」
「王国は先短いから放射能汚染ダバッダバの鎧を送り付けた。異変に気付いた頃には遅いだろうな。」
「・・・私は何も見なかったという事で。」
「本質は試しているだけだ、帝国勢力が見破るかどうか。そして、王国地下にあるという神殿の詳細調査を全て代行させる。予算が浮いていく様程見ていて楽しいものは無いなぁやはり。」
笑うと言うには邪悪が過ぎる、悪戯ではなく、もっと利益的、自国の通貨が不健全な上がり方をした時の笑いだ。
「そもそも数十年前から施設用に小型原子力発電機置いてるしな。充分汚染されてる。」
小型の影響は決して大きくない、精々数十メートル以内でやっと体感して違和感を得られる程度。山岳地帯の風が厄介なだけで大した量は無い。不思議とその周辺には動物が住み着き、人間も同じ様に住み、後半まで出生率も上がり続けた。・・・今回の事件における最大の違和感が機能している、それだけにより聖女の呪いは際立つ。
彼の目標は向こうの目標達成、影響力の確保と今後の計画、それ等が今回望むものだ。
「・・・少しちょっかいを掛けに行こう。南方から上がってくる将を始末する。突破を頼む。」
どうやら彼は攻撃的アプローチで行くらしい。
アルトリウスの行動ターン、と言うより予め決めておいたラインに到達、更に準備を終えた。残りは将校の炙り出しと向こうへの損害。将と将の対決に切り替える。悪魔局も半分潰したが、残り半分は将校、そもそも前線に出ばっていなかった。
「・・・王国の将、全員王都に居るのか。そりゃ不味い。アスタルトを誤魔化す程精巧なフェイクを作れる時点で脱帽モノだが、それ以上に怖い。笑えてさえくる。」
自分は向き合う必要がある、数度の殺しにて、それは明らかとなった。
「意味のある殺し。」
過去の情報が流れ込む不気味と、相手が不意に走らせる、自我の補強をする走馬灯。
彼は、部下に話し掛けた。
「刻め、良いな?」
だが、その割には人を選ぶ様な言い方で続ける。態度ではなく、内容がだ。
「英雄は希望の光として生きる為に必要なのは、希望を捻じ曲げる事だ。無理を言って我を通し、我によって人を支配する。それが出来ないなら英雄ではない。」
手元に剣を捧げた、鞘を掴み、片手は未だ動かさない。
「助けの声以外に耳を傾けるな、プライドを誓いをするな。我々に許されているのは、デクラレーション・オブ・ウォーのみだ。その戦争の終了を以って漸く人に戻れるのだ。そこで漸く色恋は許される。」
其の儘言葉を続けた、彼は上に手を差し伸べ、深く一度押し込む。
「多臓器不全の死者、病気による自殺、核汚染による死者、戦争による死者。今回の侵略は十万人の犠牲、更に、公債発行凡そ国家予算1/3。自分の利益の為ならどこまでも罪を犯せるのが人間という存在だ。」
最後に伝えるのは、彼への言葉だ。
「俺の犯した罪は、この程度の事すら些細な物にする。どうするかを見て学べ、英雄の姿だ。・・・そう記録しろ。」
さて、ここからは完全に彼の独壇場。舞台に立つただ一人の演者は、儀礼として剣を可前、風が全方位に吹き荒れる。
「風向き良し、ウラヌス使用申請を行う。」
向こうは、一度躊躇った。
『・・・承認。』
詠唱を始めよう。必要があるかどうかは兎も角、誤魔化す為の儀式。
爆縮レンズの仕込まれた特殊な鞘に剣を仕舞い込む。最初こそ単純な音であった、自爆行為と思われ、人は進む。チェレンコフ光が鞘から浮かび上がる。
「分散」
封じ込められたそれは、左右に広まった。
「収束」
分散と反射を繰り返す光は、束として二次元に広がる。
「破滅」
彼の身体の表示が霞む。光が彼の前で阻害され、黒が灯る。
「熱線」
黒が明けた、残りは自分がどれだけ耐えられるか。
「融解」
周囲の人間は爛れていく、彼以外は無意味な存在になる。
「国家の蓄えを削る剣の威力、御照覧あれ。」
引き抜かれた剣は天へと召し上げられる、切っ先を向けた先には、一つ目の太陽があった。光と光で僅かに陰る、せめぎ合い、雪崩込む。
「天上の神々から、地獄の淵にまでこの光を照らしましょう。我等が新たなる光、文明の光、導きの光。」
背中を託す相手は、もう居ない。しかし、彼は過去を馳せる。
「人の夢、神の夢、その末にある究極。」
下に、胸の前に寄せた。
青の光が周囲一帯を照らし、じわじわと消し飛ばす。少し遅れ、彼の鎧が歪む。
剣を構える。
そして、熱が後押しをし、切断を容易く、更に、派手な色に変える。
「是は王国を滅ぼさんとする一撃・・・王国二億の命は此処に潰えんとして、その犠牲は必ずや報いよう。」
世界に終焉の音が響く、海は荒れ、地は沈む。蒼空は見えず、噴火に見紛う灰を作り続ける。ウラン1gは石炭5000kgに匹敵する発電量を誇る。チャイナシンドロームが発生し、周囲の国、自国も例が居なく停止する。知る由もない、届く筈も無い。分かるとすれば、あの英雄が何かをしたのだという確信であった。
雲が大きく凹み、形状を変える。無重力圏が機能を停止する。しかし液体の金属は降ってこない。竜王の半身にへばりつき、冷やされてその儘空中の要塞に叩き込まれる。夜叉の大半は持っていかれた。
「・・・良し、回収も出来たし、面倒事もなさそうだな。」
衣類がまた無くなった、予備自体は置いてあるがあまり気分は良くない。自分の身体だけが頑丈だと、衣服への信頼が無くなってしまうというものだ。
「・・・真っ二つには出来たが、そう上手くはいかんな。アスタルトの演算上確率が低いとはいえもう少しプラスが欲しかった。」
頭を掻き毟ると、多少髪の毛が抜け落ちる。ティアマトの影響で酷くは無いが、朝見たくない光景なのは確かだ。
「・・・少々クールダウンだ。輸送を頼む。」
『四日間は最低行動禁止ですかね。』
「・・・少しの間、前線を維持しろ。恐らく反転攻勢が来る、誤魔化せるのは一日。二日間の突撃が起きる。」
予想と目標を最優先して伝える。先の通り、失敗すれば代償は大きい。災害の討伐と捕虜も確保出来て、被害はそこそこ、発生した問題も終わらせられて・・・後は自分が参入する前の帝国民に対し貢献と信頼を獲得出来る。それは完璧であればあるほど良いというもの。
「将を一匹残らず片付けろ、手薄になった防衛軍の破壊、遊撃に向かった攻撃軍の撃破、その双方によって目標は達成される。対攻勢はロタール、チェルノボグを主軸にする、チェルノボグが良いものを手に入れたらしい。それ以外はフリーだ。」
そして最後に、気合と根性を目覚めさせる言葉を添えた。
「完勝一歩手前、国の親殺し達成だ。・・・心して挑め。」
眠りにつく英雄は、立ったまま破壊痕に倒れかかる。身体がべらぼうに熱い、傷の感覚は無いが、パフォーマンスを発揮出来ない熱を発している。
欧州言語に訳す際楽だからという理由で統計上の神は『彼』と表現していますが実際の所は観測不可。キャストオフ出来る人達が増えていく・・・。
毒=汎用性高い
魔術=王国限定
召喚術=明関係者
・・・って感じで色々後にも出てくるのでどうぞよろしく。
あ、そうそう。デクラレーションは宣言の意味もあるけど決議の意味もあるし告白の意味もあるのよね。だから戦争以外するなと言ってる訳ではなく「さっさと決めろ」「嘘を言うな」とも言ってるのです。
同人誌の作成数二桁超えたの初めてかもしれん・・・。絵柄で身近な奴にバレるのとサークル長が小説書いてる私が嫌いでその一方同人誌は好んでいる・・・同一人物と把握してないのでバラすと収入減るから困るので名義は公開しないぞい。でもバレたら本編もバリバリ絵描くつもり。最近漸くデジタルが板に付いてきたのとレイヤーで描くのが異様に楽しい事に気付いたのじゃ。
私の絵をAiに突っ込んだら光の描き方のせいで毎回ライトセイバー持ってるんだけどこれどうにかなんない?ダウナー系の絵でもなるのが救えない。
何がとは言わんけど土下座しておこう。
対象この世に一人だけど。
あとハドリアヌスの母の本名はマルギット・カン、ハドリアヌス自身は王位継承順位第三位レイチェル・レセップスです。処刑出来ないので追放処分にした所しっぺ返し食らって法律守れる裁判官が軒並み処刑された為クソ国家になりました。後で書くけど。




