アイドリズム・ファンタジー 上
王国にした理由は?
王都が人道的にアレなので嘔吐と掛けている。
ジルヴィアさんが変換の影響でシルヴィア表記になっちゃうから変えたけど同じって事で。辞書設定貫通するとかどうなっとんねん。
あと二十五話以内に王都は崩壊します。
彗星の導く儘にコウキはクローンとして再誕した場所に到達する。
「・・・此処なら・・・。」
治療成功率は今や1%あれば聖書に刻める程の奇跡である。だが、これならどうか。クローンなら話は全く別。エリニューエスの行方不明を解決する目的で彗星は帰った。
自分は彼女を治す、その為に来た、その筈だった。
此処で作った訳が無い、此処には何も無い。強いて言うなら、遥か遠い道がある。レールの様なものがあり、自分の足で辿り着く頃には彼女は腐っているだろう。
「・・・そんな。」
彼にはリーツィアを救えなかった。
本来ならここでも折れてしまうだろう、それだとしても。
頑張ろうという意気込みや、カッコ付けた言い分は自分には合わない。自分は若造だ、死んだ人間、否、生を諦めた人間の様々な物を多少しか知らないのだ。戦え、良い人間であれ、無理に助ける必要は無い。諦めて、さっさと浮気してしまえと割り切る。
「・・・まぁ良いや・・・俺の事馬鹿にしてた・・・し。」
涙を五度拭う。我慢して決別し、立ち去る。彼女には見せたくない涙を、彼女の遺体と共に運ぶのだ。
彼女は苦しみと洗脳を逸らす為に自分には向けなかった。あれだけアピールしたのに、彼女も言っていたのに、自分の弱さをいつの間にか知っていたのだ。年齢で判断したものならまだしも、と。
リーツィア、帰って来てくれ・・・。という言葉は心の中に閉ざし、語る事は無かった。寝言に出ている事は、流石に責めてはいけない。
自分の本心を誤魔化す事も出来ず、只管耐え忍ぶのだ。
こうなると分かっていても走りたい性分になる・・・その程度を、自分は勘違いしていたのかもしれない。
英雄降ろしで母親が死ぬ事になるのは、代わりである。
『未完の英雄誕』
それらには英雄が宿る。しかし、本来出来る活躍を社会的な外圧により発揮出来なかった人物の名前が寄せられる。
全ては、嘗ての政府を覆す為の継承であった。
そんな事はどうでも良い、積み込んだ奴以外は全部燃やした、時既に遅しと言った所か。金子勇辺りは載ってそうなものである。
「フレアガンは・・・緑だ。」
「何それ。」
「発煙筒とフレアガンの二つ告知法があってな。フレアガンは空中からゆっくり落ちて、色で状況を示す。発煙筒は動かさずに持ってると支援が飛んでくる。動かすと砲撃命令が出る。」
「・・・そんなもん俺に持たせたのかお前。」
「紐引っ張ると出るぞ。通称はタンポンだ。銃創止血で良く使う。コンドームといい便利だな。」
「タンポンって何だ・・・?」
「ピュアな男の子には分かんないさ。」
「ろくでもないものか逆張りして凄い大事なものかと予想した。」
「後者だ、大事なもんだが全部セクハラだの痴漢だの言っていたせいで大事なものではあるが触れてはいけない物と勘違いさせた国があるらしい。」
「自由を専横させ過ぎた我儘だらけの国家なら、そうなる。国家経営においてフェミニズムの危険性は第一に考えるべきだろう。」
「ほう?」
「十字文化は女性保護、子供保護を謳い広まり、結婚等で広がった。宗教の入口は女性だ、故に宗教では改宗や汚染を防ぐべく女性を抑圧する。些細な程度でも移ろいやすく、気ままで、危険であるとして考える。」
「・・・まぁ、そうだな。財布の紐握ってるから若干当て嵌らないでもない」
「当然の理屈だ、かと言って所詮は男も女も割合で決まるもの、男女平等は役割を分け、ロールプレイを設定し、その上で漸く平等が実現する。」
「・・・それできんの?」
「魔術で全部短縮出来るから問題は無い。不器用かどうかもすぐ分かる。」
「流行らせるか。」
「元々リスクがあるものだからな。無理だ。やらない方が良い。平等は重んじられるべきだがそうした所で大したものは生まれない。」
「ちょっと銃使うから耳塞げ。」
「カバーしとく。」
「サンキュ、後でチューしてやる。」
「安売りすんな。それはそれとして帝国も一度は向き合う事になる。政府という組織は正解の掴みにくさに対して失敗しやすい。しかし、失敗は大抵意図的に起こされる。数が多いのは、この先決して有利ではないのだ。」
「見直しばっかだな、今。」
「今から未来を指したものだからな、当然っちゃ当然だ。形状の変化は段々と進み、人間の盲信は引き返せない所に立つ。それをどう防ぐかだ。」
将棋の駒を引く様に、そのタイミングを見極める・・・そういう時に凡庸の末である金よりは多少奇抜な銀の方が仕事出来る可能性がある。・・・後ろに下がれない連中は先に切られていくのだが。
「物には、最適な手段が時代毎に存在する。それは相対的価値として決定し、常に移り変わる。」
ソロモンの記憶が囁くのよ、奇妙な声が。
「前時代的にし、破壊や過去への固執を確かにする。利権なんて傾向と配慮を確実なものにすれば可能であるのにも関わらず、人々を捻じ曲げてでも行わせる。」
意志が渡されているが、記憶の増量により制御が効いていないのだ。
「一時の栄華は築けよう、しかし、永遠の繁栄も、功績の継承もあるまいて。アルトリウスとて例外ではない、国民を見誤った時、そして彼の力が相対的に弱まった時、戦力の一部が失われる、小規模の集団破産、宗教の勃興それが引き金に国は崩れるぞ。」
「・・・いや、よく考えたら当たり前だろそれ。」
「それもそうだな、常識を忘れるから失敗するのだが。」
「そんなもの戦争に有益な情報だ、そっちの方が欲しい。」
「なら悪魔局は厄介だ・・・王国の一切が関与しない非政府組織、異端の宗教だが、戦力として用いられるならという取引条件で死刑を免れている。」
「構成員は夢魔、魔術を使える様にするキーだ。ソロモンの使命はそういう制限がないが、輸血と分解で漸く使える様になる。」
「よーし、じゃあついでに片付けに行こう。私が居るなら問題無い。向こうでは破産者が出るかもしれない位しか懸念は無い。」
戦況は整理された、兵站と衛生管理において絶対安全を保証出来る期間はそろそろオーバーする。あと数日で自滅と自壊の危険性があるのだ。迂闊に事を遅らせる事は出来ない。
竜王の贄、宗教施設の攻略終了。
「なんだかんだ言って簡単だったが・・・どうするんだこれ。」
「手遅れだったから攻略出来た・・・って感じだね。」
「倉庫のものをかっぱらってこう、後で使えるかもしれん。」
「・・・王国の強さは拍子抜けだな。国境の強度からすれば戦力の一部しか動員していない気がする・・・。もし流行病なら厄介だ・・・。」
「まぁまぁ、国境から厄介なのが出なかったのは幸運だって。」
「後で戦うとキツい事になるぞ・・・。」
「コウキさん?お怪我ありませんか?」
「お変わりありませんかみたいに聞かれても・・・。」
「あら、心配無用でしたか。失礼しました。」
当の竜王は居らず、掘り返しても空洞ばかり・・・。
「ローマのコンクリート技術でガッチリ固めてある。なので今から道具と力でコンクリートを全力で壊します!想定時間は凡そ三十時間!」
「はい。」
「はい!」
「そこの夢魔働けカス。」
「記録が間に合わなくてユウキ君が慌てているのさ・・・少し待ってはくれないか?」
「・・・まぁ、良いか。作業始め!」
結果としては四十時間掛かる事になるが、それは別の話。一番の問題は竜王が居ないという事実だった。
「・・・でも召喚方法なるものは見つけた・・・と。」
「数千kmの剣ってなんだよ・・・。」
「眷属自体は居るのよね・・・。」
「召喚が中途半端に出来るとか・・・?でも僕達は完全に再現しなければいけない。」
「・・・あれ?」
コウキは気付いた、彼等は北方面に居たから気付いていないが、見ていた、そしてそれが活用出来るかもしれないと断定した。
・・・一先ず、メルリウスからの相談で黙る様に言われたので止めておこう。
ジーメンスの呪われた人生は、終わりを迎える。
侮辱と罵倒を繰り返すとしても、彼は挑む。
アランという協力者を以って、彼の計画を受け入れた。
「ルナ・・・俺はその為にやってきたんだから・・・最後までそうしなきゃいけねぇってのも事実か。」
帝国の惨劇を止められるのは、一つの悲劇だけだ。
王都の地下は様々な施設があり、奴隷制度と言われて差し支えないものになっている。
しかし最も謎なのは建築技法、似通ったものはなく、初めからこういう形状をしていたとすら思ってしまう。単独で篭城戦と補給を行えるトンデモ施設だ。
・・・準備は着々と整った。金属が固体液体を問わず動く中、衝突で速度は増々、そして夜叉を送り込む。肝臓からの液体がオーバーすると破裂、栄養が切れると停止、水を詰んだクッションの様に使える。
「試験運用、1%を飛ばす。」
己の魔術を一秒程度解く、上空の捕虜が吊るされた金網が緩み風に乗る。光り輝く金属が雨の様に王都以外を刺激する。咄嗟に反応出来た捕虜によって王都は守られるが、それ以外は悲惨にも消え去る。何も無かったかの様に。
五感に引っ掛かる様なものすらなく、消え去った。
燃える少し前・・・。
ロタールの目覚めは二日後、丸々二日寝ていたのだ。その後も・・・見事に壁付近の為当たらず、それでも寝てるズブさは何とも言い難い。
「・・・やっと起きれたか・・・背中が重いな・・・。」
疲労困憊、毒の分のデメリットが機能し身体が重い、燃費は最悪、食った物がそもそも適切な消化がされるかの時点で怪しい。
「私は役目終了ー。自分の実験室も破壊してきたし、武器も製品版が出来た。あの子達は?」
「見てない、未だ終わってないのか?」
「・・・心配だけど、大丈夫だよね、うん。」
「そうか・・・どうせ軍部は追い付く、眠気覚ましにもぬけの殻の城壁を壊すか。」
少し説明すると、王都はバグダードに近い形式をしている。城壁を守る専門の貴族達が存在し、城壁内に家が存在する。マンションが壁代わりという事だ。実に合理的だ。今の敵が減るか未来の敵が減るかの二択しかない。王都は魔術による維持で特に建築は見た目程度しか変化が無い。最初から最後まで同じ形状で、同じ材質で維持可能なのだ。管理者を殺せば全部分解されるオマケ付きでもある。自爆スイッチはやはり浪漫。
エリニューエスに合流したコウキは、酷く傷付いた身体に治癒を挟む。
「ごめんね・・・そういう事情があって・・・リーツィア一人なら大丈夫かと・・・。」
「戦力采配としては妥当だ・・・。」
「・・・うん、そうだね。」
「支障は無い、さっさと仕留める。」
「・・・本当に大丈夫?」
「・・・我慢する。」
そんなこんなはさておき、アルトリウスの合流である。先の事件より走って近場に到達したのだ。兵士は数人しか連れず、それ以外は無駄な犠牲にしかならんと切り捨てていた。失いたくないという意志の表れでもある。。
「あれこれ一度助けてトドメ刺さなきゃ不味い奴では?」
サンプル集めは全く捗らない。
「え?アレ助けるの?」
と無重力圏に手を突っ込む。奥の方は金属で満たされており、表層部が薄れた分、此方の方が良い。
「昔こんな感じのくじ引き機あったなぁ・・・。」
「今もあるけどチェルノボグ添えるだけで皆当たらなくなる。」
「商売に対して凶悪過ぎないか?」
「多少の揺り戻しが来るから案外トントンよ。命賭けると致命傷になる。」
「リスキー何とか・・・。」
「腕が蒸発したんだが?」
「鎮痛効果付けたからそこまで気にしなくて良いわ。」
「何を?」
「試行回数。」
「ねぇこれやっぱ無謀・・・。」
「お前がやるって言ったんだろうが。」
こう見せ掛けて本命は神経を用いた会話、接触と接続、直接伝達で思考を共有する。部下に見せられない話も混ざっていたのだ。
「(目の色は全く違う・・・覚悟は出来たって所か。)」
「(・・・メンタル刺激はしない方が良いって事ね。)」
「(・・・彗星からの情報を回収する。)」
「(捕虜はアスタルトが鑑定してくれるから本国まで送ってあるよ。)」
「(了解した。)」
まぁいいやとその面倒な作業を止め、腕の蒸発を治す。話を切り替え、告知をする。
「王都の突破は難しい、数及び確実な戦力で徹底的に破壊する。その為に周囲の戦力を殲滅し、独立した状態にした上で攻め込む。そしてその為に排除する戦力を挙げ、少数精鋭で仕留める。増援は不可、新国境防衛と撤退に割り当てる。」
そして以下の名前を挙げた。正直、覚えるのもキツい。だが記憶から回収出来る分、心当たりを片っ端から処理すれば良い。
「王国将軍十名ルヨ・ホーエンローエ、パスカル・チェコヴァ、ジェラルド・フォン・ザロモン、フェルディナント・フルスト、グレゴール・ボアテング、ヴィリー・ダイチェル、ユーリ・ロイトホイサー=シュナレンベルガー、ベルンフリート・ウイベル、オリバー・ティファート、ハインツ=ハラルド・ティアム、ユルク・オット。
悪魔局総人数不明。それ等を排除する。」
「・・・了解。」
沈む声で応じた、彼は理解していたから答える事は無かった。
少し後の話だ。エリニューエスは気付いており、再度話し掛ける。
「リーツィアは?」
「死んだ。」
「・・・そう。」
「彼奴、自分の意志で決して記憶を見せてくれないんだよ。・・・辛いんだろうな。」
「・・・そうね。」
エリニューエスは彼の言葉を素直に受け取れなかった。自分の過去を振り返り、責める事も出来ない。
「英雄は犠牲を軽く見るべきなのか、重く見るべきなのか。自分でも何となく分かっていた、その答えだ。」
リーツィアとの過程を混ぜ、段々と理解する。殺した命と、助けられなかった命・・・その差だ。
「女性性は数値じゃ上手く測れない。試行するだけリスクがある、そうやって避けるものだった。大半は大した事ないのも事実だ。」
彼女が心地好く死ねたなら、記憶は渡されただろう。しかし、渡されはしなかった。彼女は意志によって見れなくしたのだ。・・・常人には成し得ない、彼の延命ありきでもあった。
「出会うのは何百人じゃ飽き足らない、それが現実だった、出会った内の数人でも居ればその特定出来ない価値ある存在だと。」
心が折れる様な気持ちだった、英雄という宣言はこれほど迄に重いのか、そう落胆する。彼は成長出来る程成熟していない。悩みというものが明確に存在した過去よりも、今の方が辛い。自分に向き合わなければいけないのだ。
「俺は・・・リーツィアを忘れる事は出来ない・・・でも、前に進む。軽い訳がねぇんだ、軽くないからあそこまで振り切った事が出来るんだ・・・。・・・もう絶対、馬鹿にしねぇから・・・。お前みたいな良い奴が嫌な目に遭うのなんて・・・。」
彼は、思想を考え直す。全ての国がそうする必要がある様に、彼自身もその様に修正される。
・・・彼は未だ、英雄に足りない。しかし、心意気は英雄になれたのではないか。
王国は焼き尽くされる、差別という環境は何を起こしたか。被差別者が去っていた頃は良かった・・・しかし、それはもう許されなくなった。
誰が死に、誰が生きたかは分からない。国としての体裁を失い、守るに値しないと外交は打ち切られた。完全な孤立を起こし、殲滅戦の開始となった。
アルトリウスは諦めて災害の利用を画策する。
「悪意の玉座か。」
「なんですかそれ。」
「神話から出した名前だから気にすんな。災害が災害を取り込むと元からある繁殖能力で突然変異と淘汰を繰り返し、新しいものになる。
そして特殊な魔術・・・それに類似したものを使える。」
「ふむ・・・。」
「相思相愛になると対象を人間にする。生物であれば例外じゃない。死体も、夜叉も。」
「便利ですね。」
「そうか?・・・細菌を一度にヒトへ変えれると言ったらどうする?」
「・・・あ。」
「極論人間を大量発生させるだけで全生物の窒息死を起こせる、だが真に恐れるべきは人間にしてしまうという行為自体。
サキュバスやキメラは使用不能、純粋な人類で挑まなければいけない。
俺の様な殺し過ぎて血が混じった奴には無理だ。
相思相愛にならない様に俺に愛情が向ききった奴だけしか偵察には連れて行かない。・・・これはオマケみたいなものだが。」
「・・・では。」
「チェルノボグと狙撃を敢行する。」
一度告げて別れる、そしてアルトリウスは災害の探知をメインに、拘束法及び専用人員を用意する。
一旦一人になるが、チェルノボグの位置はあまり近くない。アスタルト曰く、王都破壊に使える人員を手に入れたとか。
「・・・自分一人でも出来るが、銃声でバレる可能性があるからなぁ・・・サプレッサーだ威力微妙だしなぁ・・・。」
災害の場所は掴めない、情報量が多過ぎて処理出来なくなるそうだ。しかし、情報から推測は出来る。また、この特性を考えるなら・・・。
「コウキ以外は使えないな・・・。」
その結論になり、エリニューエスに指示を入れ、誘導する。・・・自分は悪魔局を片付け、チェルノボグに合流するべきだと判断し、南北に戦力は分かたれた。
そして指示通り動いている所・・・。
「どんどん死体が増えてく・・・腐った臭いが本当にキツい・・・!」
「慣れないなら鼻は塞ぎますよ?」
「大丈夫、自分の事を優先して。」
「了解。」
馬車上で銃声を鳴らす。一つ警戒が足りないとすれば、エリニューエス、彼女が任せるという行動を先の一件で出来なくなってしまった事であり。
何も言わずに倒れ、馬がズレる。手網を持ち直し、彼女を寄せた。しかし目覚めは悪い。
「・・・何があった・・・?」
エリニューエスの怪我修復は期待出来ない、彼女と自分の傷を対策し、確実に相手を仕留める方向に切り替え、馬車を止める。手網と馬車を外し、馬も戦えるだろうかと心配、増援を呼ぶよう木に書き、咥えて持っていく様促した。
「・・・これで自分達だけだ。」
エリニューエスは何をされた?
「居るんだろう?」
無性に腹が立ち、心当たりのある数カ所を撃ち抜く、しかし無数に増えていくのだ。
「殺しはしていない、だがリセットはしてやった。修復能力は厄介だ、魔術は弄れないが価値は薄い。」
「殺す。」
抜刀と共に左腕を飛ばし、派手に散らすが直ぐに修復された。
「危ねぇな、何すんだよ。」
「地球ぶっ壊しかけてるお前には言われたかねぇ。」
「そうだったなぁ・・・でも良いだろ?愛情は重いんだ。」
「じゃあ俺も愛情を理由に殺す。」
「お前純粋な人間かよ、時代遅れだな。」
「バカが想像する生物兵器みたいな奴よりは遥かにマシだ。」
互いに侮辱し、笑い、足を引く。
「「死ね。」」
人が降ってくるが、刀で両断する。やはりエマ製、カーボン製の武器ではあるがチタン合金入りで軽くは無い。振る度にブレる、金属バットの様な武器だ。
背中には銃を装備し、トリガーを引けば直ぐに射てる、角度動かせば真横に、現状では接近されなければ無理である。人で満ちた場所において信用出来るのは重力のみ、足下が狂い、倒れれば噛み付かれて死ぬだろう。
相手の本体性能が不明の中、使用するべきか? ・・・いや、即決即断で使おう。
「・・・!」
「遅い!」
銃声で周囲の耳がほぼ全てイカれ、ガスと排熱でカバー出来ていない部分が火傷する。壁が割り込もうと弾丸は先に進む。加熱する酸化アルミニウムが到達する迄積まれる人を犠牲にする。弾丸が生を否定し、次々に貪るのだ。
弾丸を追うように刀を振るう手は止まらない、近く、近く、そして掴まれ、握られ、引かれる。
当たっている、切られている。その結果がいつの間にか消えているのだ。
自己愛、この災害は恐らく人間だ。人間ベースの別物だと思ったが、自分と違いそうではないらしい。人間にする事で身体が直ぐに修復するのだ。成分表だけ見れば同じだが、腐敗具合が違うのではないか。自分の直ぐに拒絶された内臓とも違い、それを確信した。
「・・・さぁ、無尽蔵を相手にラッキーパンチだけで戦えるか?」
災害が囁く、しかし、未熟な英雄は燃ゆる想いを持って応じた。
「戦うつもりで来てねぇ、俺は殺す為に来ている。」
続けて彼は覚悟する、殺しに手を染め、助ける事も出来ない復讐心、そして、全てを一括りにした刀。
鋭く黒く、輝き届く。
「俺の名はコウキ・タカハシ。」
握り直したそれを引き、チェロの弓の位置に置く。片刃の内側を身に寄せ、眼の真下に光が灯る。眼球が照り返し、脱ぐう事はしない。
「リーツィアに貰った、大事な名だ。」
人が横溢しようと振るうのは止めない、しかし一刀一刀の力が変わり、光の差し方が只管に彼を照らしている。スポットライトの様に、英雄を示すかの様に。
「八つ当たりだが、本気で挑む。」
災害に問い掛け、向こうもそれに応じた。
「来い!俺は災害・・・悪意の玉座!本名は知らん!」
人が散り、血泥に塗れた髪と肌が再度露出する。その液体の中で目を広げ続け、衣服は赤黒く変わっていく。酸素の量が減り、掛け算を反復するとミスが出てくる。恐らく酸素濃度は11%、酸欠が近い。
「人類を根絶やしにし、世界を修正する。それが俺の役目だ。」
「彼奴を守る為なら、手を尽くす。」
「大層な願いじゃないか!英雄もみみっちいもんだな!」
「未だ英雄じゃないからな、当然だろ?」
「・・・お前があとどれだけ努力すれば、俺を殺せるか、実に楽しみだ。」
刀と腕が交わされ、血が広がる。無謀に挑むは幼き英雄。彼の戦いは頭脳を使わない、無茶苦茶な戦いでもあった。感情任せとも言えるが、それと同時に躊躇いが無く、手が読めない。
災害も、死を覚悟していた。相手は純粋な人間、応じた所で特に変化は無い。
ダガンは話し合っていた。恐らく理解者、或いは最初から把握しているであろうもの・・・アスタルトだ。
「明帝国の復活、それを未然に防ぐ為に命を尽くす。」
彼女は冷酷に告げる。外見を解消してから、全てが吹っ切れた様に行動し始めた。
「引退ではない、死ぬつもりで来ている。」
目を凝らし、周りを見渡すと誰も居ないと伝える。抑圧から開放され、その話の事情を聞く。
「・・・少し、耳を貸せ。」
彼女はあの彼以外には抑圧的で、厳しい。ユウキも別ではあるが、彼相手でも遠慮する事が多い。その圧力は只々珍しかった。しかし所詮は不可避の状況故、圧を掛けるのも嫌々選ばざるを得なかったからだろう。慌てる様でもあったが、それを理解しえる彼女は閉口し、伝えはしなかった。
一方のアルトリウスも予想はしていた。数百年の付き合いがあり、その結果、行動は読まれていた。疑ったのではない、アランの時と同じ気配、命の危機だ。幾度となく感じた出来事でもある。
「ダガンの記憶は重要度が高い、絶対に守り通せ。僅かな分散も許さん。」
しかし気持ちを覆い隠し、その目は恐ろしいが、哀愁もあった。
「彼奴は俺にすら心を開いていない、全ての行動が虚像に見える奴だ。」
部下はその発言に合わせるように見せかけ、実際は彼の目に呼応していた。
悪意の玉座は、ベースの人間がいる。というより災害は基本的にどこかしらで人間が混ざる為、黄金錆殺し以外は人間がベースになる。
彼はエレミヤに近い状況にあった。地震で建物が数多く崩れ、人が火で悶える中、恨みの為に一人一人、助けなかった全てを絶やし、加害者は拘束し燃やした。英雄の真逆に相応しい、彼の前では全ては人間になる。彼にとっては全ては同じ命で、滅ぼすべき命だ。故に増やし、狂わせ、飢え死にさせる。
二次災害はどれも地球に対し致命的な存在で、産まぬ人間や群れる渇望はある意味まだマシな方なのだ。
彼は一本の映画である。純粋さに希望を見せ、汚濁を恐怖させる。チェンソーの様に、ドリルの様に。災害に成り果てた頃には、全人類の責任だ。優しさとして、せめて人類の数を増やし、責任を分散させてやる。
一番の問題は一定以上の戦力は接近禁止命令が出される。相手は人間を人間化させられる。意識すれば細胞一個一個単位で出来るが、不意打ち対策として人間のリセット、別人に置き換える事で戦意喪失、思考のスタン等を起こす。記憶が無くなる事は無いが、人体改造も全て無に返したり、性格が変わっていたり、病気が改善したり。恩恵と損失が起こり、どれだけの寿命も、どれだけの使命も、彼の前では無意味である。故に、アルトリウスやロタールは戦えない、クローンのコウキはモロに影響を受けており、既に症状を克服した。つまり、最適解である。
・・・神話において、古い英雄だった彼はやがてその神に与えられた力が呪いだと分かった。・・・それ由来である。
宗教団体側でも問題は起きていた。
「・・・コウキ、撤退を。私は幼稚な彼をぶちのめします。彼がああなったのは私のせい・・・そう思っているので。」
頷くと動かす様に手を押す、馬に乗せ、去らせる。
「また後で会いましょう、コウキ。」
「・・・うん。」
「ありがとうございます、私の友の話ですから・・・分かりあってから行きます。」
彼は覚悟を決め、殺すつもりで挑む。
その相手とは・・・竜王と、フクマツである。
Q.カニバリズムとか規制に引っかからないの?
A.呪術師の死体の指食ってる漫画あるしセーフ。
Q.チェルノボグはビッチ?
A.バイビッチ。ティアマト由来。身体は緩々だけど心は全然。
Q.エレミアは出番あるの?
A.魔術の拡散防止の為軍事では出番無し。学者や実験する人としては出番アリ。まぁどうせコウキが壊すんで無いようなもんですよ。
Q.チェルノボグは良い子?
A.昔はメスガキだけどデメテル因子が覚醒した結果ああなった。
Q.タカハシの里?
A.王都地下に情報アリ。
だいぶ前に仲の良い奴が亡くなったんだけどダーウィン賞登録されてた。
誰かがテニスのアレで「反則を促す抗議」ってタイトルでマフティーダンスパロ作るんじゃないかというのが夏の予言です。




